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「ごめんなさい」その十七_第十七話_近い距離と近かった距離は違う

 こんばんは、三日月です。
 遅れまして本当に申し訳ありません。また今回憲邇さんの年齢を「今年二十七歳」と変えさせていただきました。内容の改変はなるべくやりたくないのですが、これだけはやっておかないと不都合が生じるのでご了承願います。今後も展開上どうしてもおかしい部分は後日改変するかもしれませんが、何卒許してくださいませ。その際はまたこちらに明記いたします。
 それでは第十七話です。どうぞ。
















 



 十七 近い距離と近かった距離は違う



 



 



 やはり道行く人々は停車中の車内になどまったく気をつけたりはしないのだろう。みゆがじっとこちらを見つめながらそっとスカートをめくり上げ、白い下着を見せているのにもかかわらず、周囲の人々は気が付いた様子はなかった。



「みゆは結構髪が伸びてきたね」



「……え、あ、す、すみません、今なんて……?」



「髪、伸びてきたね」



 これは本当だった。首までだったのが肩を少し越えた辺りになっている。真ん丸い顔にその髪は非常に愛らしい。みゆは瞳も大きいしかわいいんだよ? でも、あんまり言ってあげないから。



「あ、はい。ようやくこれくらいになってくれました」



「せっかくだから色んな髪形体験してみるといいよ。気に入ったのがあるかもしれない」



「は、はい。そうですね」



 どこか上の空の返事。いつまでこれを続けたらいいのかと不安で目線を外せない。ついかわいいと思った私は自分のほうからキスをしてしまった。お互いに目を開けたまま、この状況を愉しんで。



「……憲邇(けんじ)さま」



「ふふ。もういいよ」



 すぐにさっとスカートを戻す。信号も青に変わり、一番前に位置した私の車が進んでいく。



「ずいぶん赤い顔してるね」



「だ、だって憲邇さまが……」



「学校でスカートよくめくられるんだろう?」



「そ、それとこれは違いますぅ」



「私にだってたくさん見せてるくせに」



「ううう……そういうこと言わないでくださいぃ」



 本当にみゆは加虐心を煽るなぁ。いじめて欲しいとしか思えない顔をする。



「みゆの、下着とか、えっちなところは、憲邇さまだけのものなんです。ほかの人に見せたくないです」



「ありがとう。わかってるよ、野外露出はおおっぴらに見せたりはしないんだ。見えるかもしれないところでやるから愉しいんだよ」



 もちろん完全にオープンにするものもあるが、私はどちらかというとソフトなほうが好みだ。あんまりコアなことをやってしまうと、後が大変だろうし。



「ほ、ほんとに見られたらどうすればいいんですか」



「すぐに隠すしかないね。そうならないように私もちゃんと見張ってるよ。大丈夫、相手には私から誤魔化してあげる」



 実際、みゆの年齢ならばほぼ問題はないだろう。子供の無邪気さ加減で大抵の大人は納得する。自分でスカートをめくっていたとしても、太ももに異変を感じたと言えばなんとかなるだろう。



 だからこそ、愉しそうだ。



「ちゃんとみゆが野外露出をこなせたら、みゆの言うこと、なんでも一つ聞いてあげる」



「えっ」



「私にできることだけね」



「……じゃあ」



 大きなトラックが追い越していった。



「まゆちゃんとえっちしてあげてください」



 また、追い越してしまう。



「……それはできないよ」



「どうしてですか? まゆちゃんのお母さんも憲邇さまのこと好きです。憲邇さまのほうから、どれいにしてあげるって言えば絶対OKしてくれます」



「いや、しない。彼女に確認もしたんだ。みゆたちと同じ関係は結べないって」



「そんなの、おかしいです」



「おかしくないよ。彼女は普通の一人の男の人とだけ結婚したんだ。こんな大人数の関係に満足できなくてもおかしくない」



「でも……まゆちゃん、さみしそうです」



「うん。どうにか、したいんだけどね」



 来月が怖くないといえば嘘になる。先日のことだって尾方(おがた)親子を襲わないためにかなりの精神力を要した。これ以上この関係が続くことは難しいだろう。こうなったら確かに、絵里(えり)さんのほうを説得したほうがいいのかもしれない。例えそれで、まゆちゃんが離れていくとしても。



 私も思わずキスをしてしまうほど、彼女が好きなのだから。



「それ以外でないかな?」



「えっと、えっと……じゃ、じゃあ、髪どめ、一つ、プレゼントしてほしいです」



「そんなのでいいの? こういうえっちはやめてほしいですっていうのでもいいけど」



「い、いえっ、え、えっちは、やなのなんてありませんから」



 そうか。つまり、野外露出も嫌ではないんだな。ふふ。みゆ、今のは失言だよ。



「そう? わかった。どんなのがいい? 私が選ぶ?」



「はい。憲邇さまが選んでください」



「わかった。せっかくだから終わってすぐ買うか、いや、買ってすぐ着けて露出でもいいね」



「あああの、ろしゅつは、その、せ、せめてぱんつだけに……」



 仕方ない。にっこり笑って、



「そうだね、みゆの真っ赤になる度合いで許してあげてもいいよ」



 妥協案を出してみた。みゆは早くも半べそをかき上目遣いにやめてくださいと懇願してきた。



「ううう……」



「ああ、明日学校に下着を着けずに行ってくれたら今日はパンツをちょっと出すだけで勘弁してあげる」



「そんなの無理ですよぅ!」



「みゆは一日何回めくられるの?」



「そ、それはわかりません」



「言ってよ。大体でいいから、言ってくれないと今すぐみゆの大切なところを見たくなっちゃうなぁ」



 再度赤信号に止まる。目の前の横断歩道を大勢の人が横切っていくのを見て、みゆは仕方なく「さ、三人くらいです。ま、まゆちゃんがめくられると泣いちゃうから、み、みゆにたくさん……」と言ってくれた。



「かわいいと大変だね。私も同学年だったらめくりたいなぁ」



「ほ、ほんとですか? あ、あの、憲邇さまだったら、いつでも、めくってください。いつ見られてもいいように、ぱんつ、いいのしかはいてませんから」



「仕方ないなぁ。たくさんめくられてるみゆ想像したら興奮しちゃったし」



 言うが早いかスカートを上にめくり上げた。今日のはプリーツだからめくってから手を離してもちらりとのぞき、逆に興奮する。



 みゆはいい子で、それを直そうとはしなかった。ただじっとこちらを見上げ、反応を窺っている。ちょっと恥ずかしい色が見える顔が愛らしい。



「みゆに白はぴったりだね。私は白が好きだから、もう少し大きくなったらもっと小さい白いの、履かせるよ?」



「は、はい……」



「そうだなぁ、みゆはまだ子供だけど実は私は白のレースが一番好きなんだ。似合わなくても、無理矢理履かせてあげる」



「は、はい。みゆもそういうの、あこがれてました」



「かわいいなぁ、我慢できるかなぁ……」



 信号が変わるまでの間、私はずっとみゆの太ももをさすり続けていた。みゆは私を見つめながらもちらちらと外を窺っていた。



「いいかい、みゆのまっしろですべすべの肌、みだりに男の子に触らせちゃダメだよ? 私は独占欲が強いからね」



「はい。もちろんです。みゆの体は憲邇さまのものですから。あ、あと、ありがとうございます」



 本当に、よく調教できてるのかもしれない。



 ようやく車はみゆの活動範囲から遠いところまできた。ここなら、もしもの場合でも風評は広まりづらいだろう。車を駐車場に止め、外に出るとすぐみゆはこちらまで走ってきて抱きついた。私はみゆを抱きかかえ、口付けを交わす。



「憲邇さま……好き……」



「好きだよ、みゆ」



 人前、軽くに留めておいた。



「さて、じゃあその格好で最後の一枚を撮るから、私が合図したらたくし上げてね?」



「は、はい……最後?」



「いいから、その車の陰で、はい、ポーズ」



 言われるままに慌ててみゆはスカートをたくし上げた。きちんとどの程度上げたら下着が見えるかを知っているのか、ほんの少し不格好な三角がのぞいたところで止める。ふふ、いい子だ……シャッターを押し、自ら下着を見せる小学一年生を記録に残した。すぐにみゆは手を下ろした。



 後部座席に置いておいたものとランドセルを取り出す。鞄の中身を確認、よし。さて、次は場所だな。



「ついておいで」



 手を取り、わずかに頬を染めたみゆと歩き出した。



 小さな駐車場にはブロック塀があり、車が進入する入り口以外を囲っていた。ちょうどいい。入り口のすぐ傍まで歩いていく。そこで鞄の中身を取りだし、みゆに手渡した。ブルーレイカムも同時に用意する。



「はい、じゃあみゆはこれに着替えて」



「は、はい。あの、どこで着替えれば?」



「ここで、着替えてね」



「え……」



 一台、車が通り過ぎていった。みゆの目もそれを追い、確実に見えるこの位置を気にしている。



「野外露出っていうのは、こういうことなんだ。誰かに見られるかもしれないところで肌を露出する。みゆのまっしろですべすべの肌が、見られちゃうんだ」



「……」



 じっと見ていた入ってきた車から人が数人降りてくる。幸い、進入口とは別にすぐ傍に隣の家具専門店への道があり、ここに止める人は殆どそちらへ向かっていた。駐車場にある車も多くない。



「ここなら、車の中から見てない限り滅多なことでは見えないよ。安心して、着替えなさい」



「……はい」



 そこでようやく、みゆは渡されたものを確認した。小さいみゆの股下数センチ程度の白いふんわりとした同じくプリーツのミニスカート。本当は下着も用意していたのだが、みゆの様子を見るにじっくりやったほうが面白そうだった。



「あ、あの、こ、これ、短いです。ぱ、ぱんつ、見えちゃいます」



「そうだね、大変だね。でも履かなくちゃならないんだ。みゆが」



 顎を持ち上げる。「みんなに恥ずかしいところを見られて、えっちな子だと思われるためにね」



「……」



 ああ、顔に真っ赤なペンキがぶちまけられている。



「命令だよ、みゆ。それに着替えなさい」



「は、はぃ……」



 そのままの顔でみゆは周囲をきょろきょろ見渡して、車がこなさそうなことを確認してから、急いでスカートを脱ぎだした。が、少しドジなところもあるみゆは焦ってなかなかサスペンダーを外せずにいた。その様子も、もちろんカメラの中だ。



「私はみゆを一生抱くつもりだから……」



 みゆをもっと焦らせるつもりで言う。「こういうことはこれから先ずっとついて回るだろうね。嫌になっても無理矢理やらせるから、覚悟して……あ、ごめん、やっぱり嫌だった?」



 泣いていた。スカートに手をかけたまま、大粒の涙をとめどなく溢れさせていた。



「大丈夫? 帰ろうか」



「いえっ、いえ……憲邇さまが、うれしいことばっかり言うからぁ……ひっ、ううう……」



「え、まさかみゆ、こういうのが嬉しいの?」



「いいえっ、っ、命令されるのはとってもうれしいですけど、その、ひっ、前のぉ……うわあああああああああん……」



 前? なにを……



 一生、抱く? そんな当たり前が、嬉しいのか……付き合っている女性を一生愛したいというのは男性の基本的な願望なのに。



 私は当惑したまま、そっとみゆを抱き寄せた。私の腹に顔を押し付け、ぐしゃぐしゃに濡らしたまま嗚咽を繰り返すみゆ。そっと頭を撫で、背中をさすり、治まるのを待つしかなかった。



 腹の底から、この女の子をものすごく愛しいと思う感情が湧き上がってくるのが感じられた。大切にしたい。幸せにしたい。愛したい。早く体力をつけて、みゆと何度もまぐわいたかった。



 同時に、むくむくと苛めてやりたいと思う感情が少し、あるのもわかってしまった。野外露出をやめたいという気持ちは毛ほども湧いてこない。ひどい命令や恥ずかしい命令をどんどんしてやりたいと、思うのだった。



 ああ、異常性愛だ。



「……大好き、憲邇さま」



「私だって、みゆが大好きだよ」



 思いっきり持ち上げてキスを交わした。みゆは泣きはらした顔で幸福そうに笑う……この瞬間は過去の影がない。これを重ねていけば、いずれは平時でもそれをなくせるのだろうか。



 授業参観を見る限り。学校ではその素振りは少ないのだろう。



 逆にどうやら落ち着かせてしまったようで、すぐにスカートを脱ぎミニを履いてしまった。もちろん下着を露出しているときは神経質に辺りを見渡したが、頬の染まり具合は減ったようだった。ううん、かわいいなぁ……あ、誰も通らなかったぞ。残念だ。



 うん、本当はもっと長いスカートだったのだけれど、みゆに合わせて短くしてみたがぴったりだな。これぐらいは野外露出にはちょうどいい。成長したら尚、だな。



 一枚、写真を撮って。嬉しさが残る幼い顔を記録しておいた。



 その後にランドセルを担がせる。加えて、たくし上げるようにも一度言った。再度茹で上がるバカみたいにかわいいみゆも記録した。今度は丈の長さがわからないのか、白い下着が半分くらい見えてしまっていた。それに気付いたみゆはまた赤くなり、慌てて下に下げた。



「こらみゆ、それじゃ見えないよ。もっと上げなさい」



「……は、はい」



 終始カメラ目線であるよう言いつけてきたせいか実に従順にカメラのほうを向いてくる。というよりは、私の目を見てきているようだった。瞳にやめてくださいという色は消え、寧ろどこかもっと言ってくださいとなっているように感じるのは、恐らく気のせいだろう。



 後ろを向かせてお尻も撮った。みゆの小さいお尻もやっぱりいいなぁ。子供ということを差し置いてもいい美尻だと思う。丸みしかない曲線に白はいやらしい、と感じるのは私だけだな。みゆはお尻でもいいと言ったが、どうしようか。一度もそんなお尻でやったことなどないしなぁ。



 でも、まあ、特にランドセル姿に興奮はしないな。試しにアクセントとして持ってきたが、意味がなさそうなので次回はやめておこう。こういうことをすればより背徳感が高められるかと思ったがどうも違うようだった。



 撮影会が終わるまで歩く人も車も通らなかった。少し閑散としすぎるところを選んでしまったようだ。次はもう少し、人通りが多いところを探そう。せっかく今はフラッシュをたいているのだから。



 いったん、ランドセルを回収してからみゆと手を繋いだ。



「さて、じゃあこのまま髪留めを買いに行こうか」



「はい……」



「もう少し風が吹いてくれるといいんだけどなぁ。あ、でも、みゆと手も繋ぎたいし、後ろからめくれるのも撮りたいし……」



 しかしみゆは小さい。後でみゆの服や荷物にカメラを付けるのもありだが、今は素直に手を繋ごう。



 なにしろ指輪の感触だ。味わい続けたい。



「みゆ、風でめくれても押さえちゃダメだよ」



 今日はこの地方にしては風が凪いでおり、そんなことは滅多にないだろうが。



「……は、はい」



 じっとスカートの動きを追っていたみゆが私のほうを見上げるとその顔は大きな羞恥心で覆われていた。



「そうだ、みゆが大切なところを触って欲しくなったらいつでも言ってね? どこでも、誰が見てても触ってあげる」



「い、言いませんそんなの」



「え、そうなの? そうか、みゆは私に触って欲しくないのか。悲しいなぁ」



「け、憲邇さまひどいですぅ」



「ごめんごめん。冗談だよ」



 軽く頭を下げてキスをする。みゆは安い。キスだけで満足げにかわいい笑顔になるのだから。



「憲邇さま、みゆ、自分で背伸びしてキスするのも好きですけど、憲邇さまにかがんでキスしてもらうの、もっと好きなんです」



「本当? それはいいことを聞いたなぁ」



 今度からそうしようか。実際みゆに合わせるのは結構楽しいし。



 この町の大通りのようなところに出る。さっきとは違い、人の往来が激しい。ここで露出はもう少し覚悟を固めてもらってからだな。子供が少ないな。いればみゆのスカートの短さを大声で指摘してくれそうなものなのに。ああ、寧ろおば様方がなんてはしたないと、そういう目でみゆを見てるな。どうだろう。それはみゆに効くかなぁ……あ、やっぱり。少し俯き加減で耳を赤くしている。羞恥心が強いな、みゆは。



「こらみゆ、裾握っちゃダメだよ」



「はぅ、はい……」



 さて、すぐそこにデパートがあるが、近いのでやめておいて、少し歩いて別のアクセサリーショップを探そう。やはりこの状態で少しは時間を過ごさなければ。



 みゆの手が握るのが段々と強くなってくる。あっちこっちを目で追い、空いた右手はずっとスカートに添えてある。確かにそれは歩くたびひらひらと舞い、今にも下着を見せてしまいそうだった。



 少し遠くまできたここは、この県ではそれなりに賑わっているところだろう。雑踏は多く、空気も少し悪い気がする。しかしだからこそか、人々はどこか無関心が強い気がする。おば様方は他人をよく見るのか軽蔑したような視線を送ってはくるがそれだけだ。意外と、野外露出は簡単なのか?



「……憲邇さま……」



 だがそれでも、みゆにとっては充分にすぎるほど羞恥を煽ったのだろう。立ち止まり、もう歩けないと首を振ってきた。迷子のような不安に満ちた表情。見たかったもの。



「頑張りなさい。ほら、向こうにアクセサリーショップが見えるから、あそこで髪留めを買うまでね。そうしたらお終い。着替えていいから」



「……はぃ……」



 終わりを見せると覚悟を決めてくれる。ふむ。慣れてきたならいつまでやるかを教えないほうがいいんだな。



 子供が一人走っていく。だが走ることに夢中で、同年代の少女を気にかけてはくれなかった。



 お店には髪留めといわず普通になんでもあった。髪留めも数があったのでこれは選ぶのは大変だな、よしみゆの目線の先を選ぼう……黒いオープンハートのヘアクリップを一瞥して、すぐに他のものを見渡していった。それだけ、二度見をしない。



「いっぱいあるね。参考までに、みゆはどれがいい?」



「えっと……」



「おっと、そのままじゃ見えないものもあるだろうから、ほら」



「きゃあ!」



 軽いみゆの体を持ち上げる。慣性でふわっとプリーツが揺れて、みゆがまた慌てに慌てた。



「これだと見やすいだろう?」



「……」



 じっとこちらを見上げてくる。なにか言いたげ、でも言えない、そんなかわいいみゆ。今だけは言わせないよ? 騒ぐと、店員とお客さん全員に見られるからね? 目が語るとかすかに唇をへの字っぽくし、品選びに戻っていった。



「あ、あの、ディズニーのとか、みずたまのシュシュとか」



「ふんふん。こっちも行ってみようか」



「……ぅぅぅ」



 店内を少し移動し、これ見よがしにお客さんたちにも教えてみた。一人、女性が気付き視線を逸らしつつも、ちらちらと窺いだす。みゆも気付いた。必死な目がこちらを貫いてきたので、ここらでやめておこう。ゆっくりとみゆを下ろした。



「じゃあ、これください。そのままでいいです、すぐ使いますから」



「えっ」



 普通の大人が見やすい位置に展示されていた先ほどの黒のクリップを指差す。返事とともに店員がそれを手に取り、慣れた手つきでレジを叩いた。数枚の紙幣を出して商品を受け取り、なぜか呆然としているみゆの手のひらに置く。



「着けないの? 似合うと思うけど」



「け、憲邇さんはどうしてみゆのほしいのがわかるんですか? みゆ、あれがいいって、言ったのに」



「うん、単に意地悪したいだけだよ。みゆの欲しいのなんて買ってあげないから」



 大体、小学生が値段を気にするようじゃいけない。もっとわがままになったっていいくらいだ。みゆに振り回されるのもきっと楽しいだろう。だがそれも、言うことではない。



「……ずるです、そんなこと言うの……大好きぃ……」



 言うまでもないくらいにみゆの涙脆さは特記すべきことなのだろう。私の普通が、みゆには特別に思えてならないのかもしれない。みゆ、私のは単なるカッコつけだよ。男は意地とプライドだけの生き物だから、こうして好きな女の前じゃカッコつけたがるだけなんだ。



 でも。「ありがとう。私も大好きだよ」キスはしたがるのだろう。



 涙を滲ませたまま、みゆはたどたどしい手つきで買ったばかりの髪留めを着けた。ラインストーンが付いたそれは、セミロングよりちょっと長いみゆの髪を綺麗にまとめ、小さなみゆの頭に対して大きく存在感を放っていた。それでも、本人を邪魔したりしない。それだけみゆはかわいいのだから。



「よく似合ってるよ。かわいい」



「ありがとうございます。あ、あの、け、ケータイで、とってください」



 みゆはスカートのポケットから二つ目の携帯を取り出した。私専用のもの。私の番号とアドレスしか入っていないもの。頷いて受け取り、少しはにかみ小首を傾げる愛しい少女を写真に撮った。二人きりのデートや時間があるたび、みゆはこうしてこの携帯に保存していく。もうずいぶんと溜まった。もちろん、セックスのときのものも。携帯を戻し今しがた撮ったものを見てはまた、目を綻ばせる。つい、撫でてしまった。



 手を繋いで店を出る。あの女性の視線はもう感じない。なら大丈夫か。この辺で……ああ、所謂路地裏を発見。誰もいないな。よし、とみゆを連れ込んだ。



「みゆ、今日はどんな感じだった?」



「す、すっごく恥ずかしかったですぅ……こんなのだれかに見られたら、学校行けません……」



「そっか。じゃあ今度は近所でやってみようか。楽しそうだねぇ」



「憲邇さまぁ……」



「冗談だよ」



 かがんで唇を合わせた。みゆにしてはめずらしく力強く首に手を回す。そのまま舌でみゆをこじあけた。



「はぅ、ふぁ……んぅ……」



 往来はいつの世も平和が常だ。特に田舎の県筆頭と言っても言い過ぎでないこの県に限って言うのなら。日本という国の首都は、もはやこの県とは別の国のような気がしてならないほど、ニュースの類が違っていた。なのでほんの数メートル離れただけのところを行き来している人々もここで今から小学一年生と情事に励もうとしている変態がいることなど気付きはしない。



 唇が離れると同時に瞳をゆっくりと開け、足音に紛れる私からの雰囲気を嗅ぎ取ったみゆは抱きつく振りをして私の横に回った。街頭とは反対側へと。



「みゆ、私の左手に行きなさい」



「えぅ、ううう……」



 みゆもここを殆どの人間が注視などしていないことをわかるくらい周囲を気にしているので、それほどこれからに恐怖を感じてはいないのだろう。なら、なるべく追い込まなくては。



 カメラを床に置いた。みゆと立ってやる場合、どこに置けばなるべく多く恥部を写せるのか。大体わかってきつつある。



「ランドセルをしょいなさい」



「は、はい」



 言うとおり、小学生の象徴を背負う。



「はい、くるくる一回転」



「……」



 私から視線を外さずにふわりとスカートを翻らせた。問答無用、当然のごとく中身が見え……そろそろとやる気が忍び寄ってくる。



 フラッシュをたけないのが残念だが、「じゃあ、これ言いながら最後のたく仕上げをして」なるべくいいアングルを探すのみだ。気付かれるわけにはいかない。



「は、はい……お外でせ、せっくすは初めてですけど、どうかみゆを、いつもどおりかわいがってください……がんばって声はあげません。で、でも、思いっきり奥までしちゃってください」



 シャッター音。後ろを振り向きたいみゆがそれをどうにか堪えた辺りで、私の膨張は最大になった。



 自ら下着を見せてくる女の子をそっと撫で、持ち上げた。それでもスカートから手を離さないみゆに舌を出すように言い、出てきた小さいものをそっと同じもので撫でる。真正面に見つめ合い、潤んできたところで「ズボンのチャックを開けて、それからみゆのパンツをずらしなさい」と告げた。かすかに震えた後一度ぐっと目を瞑ったみゆは細い両足でしっかりと私を掴み、ガチャガチャとうるさいベルトを外し始める。その間に、右手だけでお尻を支えて左手でスリップの中に手を入れていった。柔らかくてたまらない平坦でしかない胸と、まだ小さくむにむにしたお尻を揉んでいく。強くすると一瞬手が止まり、キスをせがむような視線を送る。でもそのまま顔は距離をとり、続けるよう促していった。



 みゆは本当にキスが好きだな……今までのセックスのときはほぼ絶え間なくやっていたせいか、それともこのシチュエーションのせいか、何度も私を見ては目を瞑り、唇が触れないことに涙を滲ませてくる。いじらしいのでしばらくこのままでいよう。いや、そうだ首にはしよう。本当に柔らかくすべすべの肌だな……あ、じれったそう。



 お互いの性器が露出したところで、みゆはちらりと後ろに最終確認をとった。するっと指を入れる。身体を跳ねらせ、両腕で思いっきり抱きついてきた。



「……ぁ……っ……っ……ぅ……」



「我慢しなくてもいいよ? みゆの声、聞かせちゃおうよ」



 囁きに首を振り、また何度もキスを求めてきた。それでも私が動かないから、つうっと一筋涙を流し自分から首にキスをしてきた。いけない、強引に顔を起こさせ唇を奪う。そのまま思いっきりみゆの口内を蹂躙した。いけないいけない、かわいすぎて我慢できなかった。



「ふぁっ、憲邇さまぁ……好き、好きぃ……」



「私も、っ、好きだよ」



 ダメだ。みゆには敵わない。狭くてたまらない膣が濡れてくるまで、キスを交し合った。これで濡れるのが早かったら野外露出が好きということなのだが、残念ながらみゆにその気はないようだった。それでも今までの慣れできちんと濡れるようになったみゆを、キスの終わりの息切れでじっと見つめる。さっきから少し体勢がきつく、初めから濡らしておけばと何度か繰り返した失敗をまたしてしまった。ごめんねみゆ、苦しいだろう。かわいかったからなんて、言い訳だ。



 ぶんぶんと思い切り首を振ったみゆは、みゆに、信じがたいほどのかわいらしさを備えたみゆに挿入した。



「っぁ、ぁぅ……っ!」



「みゆ……!」



 腰を振った。力の限りしがみついてくるみゆに応えるために。また舌と舌で舐め合い、歯の裏まで伸ばす。目と鼻の先に通行人がいることが興奮をいや増していく。小さい膣を犯して摩擦音をかすかに耳で捉えるとみゆは恥ずかしいと前のめりになって唇を押し付けてきた。奥まで私が届くたびに小さな、とても色っぽい声を上げる七歳児にまた硬くなっていく気がする。それと同時に大きなランドセルがベルトよりも激しく揺れる音を出し、いつ誰がこれに気付いてもおかしくはなかった。尤も、大きく聞こえるのは渦中の私のみで、みゆは後ろをもうまったく気にしてはいなかった。熱く艶かしい吐息を吐いては唇と舌が欲しいと小さく口を開け、泣き続ける瞳は衝動を加速させるばかり。ああ、



「好きだ、みゆっ、好きだっ」



「……ぅぁ……っぅ……好き……ぁっ……」



 もちろん膣はきつく狭く気持ちよくってなかった。いつものように子宮に届くとそれを言いたいが、今日は言えない。子宮を突けば我慢する喘ぎを指摘したい。なのに無理だ。今日はこのスリルに病み付きになりそうなほど興奮している。ああ、バレてしまうかもしれない。これも言いたいのに。倒錯だ。変態だ。でも、気持ちいい……



 我慢してるみゆが、愛おしい……!



「はーっ、はー、けん、はー、はーっ……ぁぁぁっ……!」



 射精がみゆの子宮を旅していった。同時にカラカランとさっき買ったばかりの髪留めが地面に落ちる。初めてだから少し緩かったのだろう。それも後だ。余韻に浸り、残りもすべてみゆの膣内(なか)射精()した。すぐに溢れたものがぽたぽたと地面に落ち、今日の私の興奮の度合いを示してくれる。精子が放出されるたびにびくんと反応するみゆがかわいくてなかった。痛くないようにと思いながら力の限り抱きしめる。



「……はぁ、はぁ……ふぁっ、ふぅ……」



 力が抜けたので両手でしっかりとみゆを支えた。ここでそのままにするとみゆの膣に大きな負担をかけてしまう。なにより、私のあそこが変な形になりそうだった。



 落ち着くまでそのままでいた。抜こうとするとみゆは力なくいやいやをする。くそっ、完全にコントロールされてるな……抜けなかった。涙をそっと舌で拭いた。



 最後にもう一度、キスをせがむみゆを今度も断れず、深く唇を味わい、ようやく結合から解放される。まだふらふらで、時折びくつき、あそこを押さえていた。ランドセルを外し、汚れたところを拭いていく。その様もばっちりカメラだから、いつか一緒に観よう。



「気持ちよかったよ、みゆ」



「あ、ありがとう、ござ、いますぅ」



 着替えを手渡した。もはやこの後にこれは恥ずかしくないだろうと思ったが、みゆはまたちらちらと後ろを確認したので、私もついガードするようにみゆを見えなくしてしまった。まずい、これは尻に敷かれるパターンだ。どうしよう、みゆは最高だぞ。



 二人分のハンカチを地面に敷き、そこで少し休憩をとることにした。休ませたいというより、終わった後のみゆを誰にも見せたくないというのが殆どだ。膝の上に抱え、指先を絡め合う。



「みゆは、その、我慢して辛くない?」



「いいえっ、我慢なんてしてません。つらくなんてないです」



「嫌じゃないの? 無理してるならいいんだよ」



「いいえ。が、我慢は、ちょっとだけ、してるかもしれませんけど、でも、憲邇さまのほうがずっとずっと我慢してます。これくらいみゆはいいんです。う、うれしいくらいですから……えへへ」



 そういうことを言うな、強く抱きしめるしかないじゃないか、まったく。



「ふぅん、我慢したいんだ? Mだね」



「え、えむ?」



「苛められたい人のことだよ。苛められたり、叩かれたりして興奮するんだ。命令も自分からしてくださいって懇願するんだよ」



「……は、はい。みゆは、き、きっとえむです。憲邇さまに、いじめられたいです。たたいてください。命令、もっといっぱいしてください」



「わかった。じゃあしばらくこうしてくっついて、いちゃいちゃしてたいな」



「はい……憲邇さま、大好き」



「私も大好きだよ」



 百度目のキスをした。



 絡めた指をくすぐるように転がし合い、私の胸でごろごろするみゆを幾度となく抱きしめた。「憲邇さまの匂い……」と胸の中で呟くみゆの声に、みゆの甘ったるい匂いに私のほうこそ骨抜きにされそうだった。



 疲れているみゆを駐車場まで歩かせるのは忍びないので、おんぶすることにした。みゆも反対はしなかった。これは恥ずかしくないんだな。子供だからか。ううむ、やはり子供心はよくわからない。それでも片手でずっとスカートを押さえる辺り、みゆはさすがだと思う。



 車に戻り、助手席でシートベルトをしてすぐ、みゆは眠ってしまった。寝顔は天使だ。誰が見ても天使だった。



 もっともっと抱きたい。まずは自分の体力をだ。まだまだウォーキングは続けないと。それと野外露出は頻繁にやってはいけない。なるべく自重しなければ。慣れてしまえばお終いだ。忘れた頃にやるくらいがちょうどいい。ちょっとずつ、ちょっとずつ……



「大好きだよ、みゆ」



「……大好きぃ、憲邇さま……」



 ……寝言で見事に返事をするみゆを、撫でざるを得なかった。かわいい……本当に……



 幸せになろうね。



 



 



 



 



 カレーカレー、うん、結構あるわね。お鍋お鍋、ほいほいっと。



 私の地元だとお裾分けは本当に日常茶飯事で、ここに来て見知らぬところだとあんまりないことに驚いた。私が外様の奥さんだからだったのかもしれない。深町(ふかまち)の家に来てそれを実感する。あいつは地元と同じくらいよくおばあ様方からお裾分けを受けていた。この前もらって嬉しかったのはスイカね。でっかいの一個まるまるもらっちゃって、それも毎年のことなのか良子(りょうこ)さんは平然としてたけど。



 夕飯時、あの先生のお家が早いのか遅いのか、どちらにしろ一応常識的な時間だと思う。この季節まだまだ日は高く、うんざりするほど湿気の暑さを照らしていた。



 ……インターホン、ないのね。この辺じゃ珍しくないのかしら。「こんばんはー?」



「はいはい、どちらさん……?」



 玄関の戸を横にスライドさせて出てきたのはぽつぽつと白髪のある五十代のおじ様だった。ふむふむ、似てないわね。ナイスミドルでもないし、角ばった顔は一切受け継がれてないみたい。



「こんばんは、私、上山(うえやま)先生の生徒の尾方まゆの母です」



「おお、親御さんですか。なにか……?」



 視線の先を差し出す。「実は私、この近くに住んでまして。先ほど先生と話してせっかくだからお裾分けに」



「ああ、これはどうも。おーい彩明(さいめい)、今日はこれにしてくれー」



 彩明っていうのね。珍しい名前だわ。あ、奥からさっきの格好にひよこのエプロンをした彩明くんが現れた。



「これって、またナマコを調理しろとか言うんじゃ……あ」



「こんばんは。先ほどはどうも」



 こっちが微笑みかけると向こうは照れくさそうに苦笑した。



「こんばんは。すごいですね、今からちょうど夕食の準備をしようかと」



「あらまあ、よかったです。かわいいですね。それ、彼女さんの趣味でしょ?」



「そうそう。彩明はやっこさんの言いなりだからな」



「父さん」



「大丈夫、私は口が軽いから、子供にちょっと滑らせるだけです」



「そうそう。この前ストーカーに遭ったのに、そいつを懲らしめたのはこいつの彼女だからな」



 ああ、なんとなく想像がつく。気の強い彼女さんなのね。



「父さん、本当に、やめてくれ。尾方さん、せっかくですから少し上がっていってください」



「はーいじゃあお言葉に甘えて」



「お前いいのか? こんな美人さんあげたらまた浮気だって疑われるぞ。この前の音楽教師だって」



「生徒の母親とそんなのなるわけないだろ。父さんはお茶」



「いえ、お構いなく」



 いいわねぇ、結構仲睦まじい親子じゃない。母親がいなくてもなんとかなった好例かな。



 そういえば、あの人の母親はどんな人なんでしょうね。できたら早く会いたいな。



 畳の床に直接座る。この辺、深町と同じね。日本家屋だわ。障子だし。ただ、家電だけは新しいわね。一新したのかしら。大きいテレビ。



「尾方さんは最近お忙しいのですか」



「いいえ。不況ですけど以前と変わってません」



「そうなんですか。やはり公務員とは違うんですね」



「先生は学校でまゆを見る機会あります?」



「はい。体育を少し担当しているので。まゆちゃんは元気ですね。足も速いですし。ただ……」



「ただ?」



「やはり以前のことが残っているのか、親しい男子以外、ちょっかいをよく働く子には近づこうとしませんね」



「……そうですか」



 ねぇあなた、また練習、しないといけないわ。あなたと一緒に少し前へ歩かないと、あの子はまた立ち止まる。



「それでも、日に日に努力はしているみたいです。一度自分から声をかけたこともありますし」



「それは、どう?」



「普通に会話していましたけれど……?」



「そのあとは? どこか人気のないところへ行って、塞ぎ込んだりとか」



「……すみません、そこまでは」



「あ、いえ、こちらこそごめんなさい」



 彼の話ではストレス過多になると過呼吸に陥るようだった。それを見られたくないから人気のないところへ行く。先生の反応を見る限り、まだ深町以外誰にも見つかってないのでしょうね。ああもう、どこまでもあの人が必要なんだわ。



「こっちの話ばっかりじゃ悪いわね。先生は最近どう?」



「息子は最近腹を括ったようですよ」



 いい香りのお茶が三杯、テーブルに置かれる。



「今日検査して、できてたら籍を入れるんだそうだな?」



「はい、聞きました聞きました。相手はどんな人なんですか?」



「同じ公務員です。市役所で働いてまして」



「気が強くって強引で言うこと聞いてくれないでしょう?」



「え、ええ。よくわかりましたね」



「あなたを見てると大体想像つきます」



 私も似たようなものだしね。



「はは、まあこういうカップルもありでしょう。息子は昔っから奥手で奥手で、外面だけはいいから恋人には困らないものの、ここまでの相手は初めてだよな?」



「父さん、本当にやめてくれよ……」



「ふふ。私もいいと思いますよ? あなたみたいな男の人、かわいいって思います。ちょっと情けないからこっちが引っぱってやらなきゃって。母性本能くすぐられるわ」



 あの人はまったく別物よね。女をすべて見せたくなるって言うか。あの人をよしよしといい子いい子できるできた女なんて、この世に存在するのかしら。



「よく言われます。僕は情けないのは嫌だから、頑張ってるんですけど」



「そうそう、そういうのがかわいいの。励ましたくなるわ」



「俺のなくなった連れが甘やかしたせいかな。悪いな、恨むなら母さんを恨んでくれ」



「恨むわけないだろ。僕が教師になったのは母さんのおかげなんだから」



「あらまあ。すいませんちょっとそこ詳しく」



「え……いえ、言うほどでもないんです。単に母も教師だったので、僕もなろうって。それだけです」



「どんな人だったんですか、お父さん?」



 矛先を向けられて、父親はむしろ楽しそうに語りだした。



「いい教師でしたよ。昔の日本の、えー、高度成長期とか、その時期にいた教師ですよ。げんこつはするわよく大声で叱るわ。でも、きちんと褒めて教育をする。学校も近所だったから生徒によく会っては一緒に遊んでたなぁ……」



「あらまあ、それは憧れるわねぇ。でも、先生はちょっと頼りないかも」



「はっはっは! そうそう、親御さんのほうでびしっとしつけてやってくださいよ」



「いいですよー? びしばし、教育してやろうかしら」



「……勘弁してください」



 うわ、本当にちょっとかわいらしいわねぇ。こういう男の人は久しぶりだわ。学生のときはよく見たけど。



「ごめんなさいね。あなたはいい男です。よいご両親に恵まれて、きっといい父親になれますよ」



「……ありがとうございます」



「そのためにまず料理に手を出すのは正解です。頑張ってください。なんなら、教えましょうか?」



「い、いえ、そこまでは」



「うちの主人ったらいっつも帰りが遅いんで平気ですよ。ちょっと若い子と浮気したいしなぁ」



「そうだな、やってみろ彩明。たまには年上に習うことも多いだろう」



「カレーは温め直して、あとはおかずね。なにあります?」



「野菜は結構あるはず、あ、生ハムがあるんですよ、サラダにでもしてもらえます? 野菜が余って仕方ないんですよ」



「あ、あのー……」



 先生その人を無視して、ずかずかとことは進んでいった。父親がせきたてて台所に立たせて、私があれやこれやとお節介を焼く。ほうほう、器用ね。これは飲み込みが早いわ。ちゃんと言うことを聞くし、先生としてもいいけど、生徒としても一流ね。



 一つの包丁を二人で持って作業するなんて久しぶりかな。それぐらい密着すると赤面しちゃってまあかわいいこと。これは尻に敷かれるわね。まず逆らえないわ。



 出来上がった料理に父親は満足そうだった。せっかくだからと誘われたけど、さすがになんというか本末転倒な気がして、辞退しておく。



「お鍋はいつでもいいので。また作りすぎちゃったらお願いしますね」



「はい。今日は本当にありがとうございました。それと父が失礼なことを」



「いいえ、私こそずけずけ言いたいこと言っちゃってごめんなさい。おまけに台所まで侵入しちゃって。そこは家族と彼女の聖域なのに」



「そんなことないですよ。助かりました」



「どうもありがとう。それじゃあこれで。お子さんが生まれたら抱かせてくださいね」



「はい。さようなら」



 にっこり手を振る彼をあとにする。ううん、ちょっと図々しかったかな。反省反省。あの父親がフレンドリーだったからよかったものの、もう少し抑えたほうがいいわね。



 さあ、これを楽しげに夕食の話題にしなきゃ。ふふん、今日のお弁当の感想のあとにね。あなたはどう反応するのかしら。楽しみだわ。



 



 



 



 



 憲邇さまにああしなさいこうしなさいって言われるとぞくぞくする。どきどきして、ぶるぶるってなって、びくびくってして、その声に身体の奥から熱いものがのぼってくる。うれしくて苦しくて言うとおりにしたくなっちゃう。



 そしたら……あああ、みゆったらなにしてるんだろ、へんたいだよ、ううう……



 ……くちびるをなぞると、憲邇さまのがよみがえってくる。ただのキスが、熱くってなかった。お腹をさすると、あのときの感じもよみがえってきて……しゅうしゅう、やかんみたいな音がなりそう。



 言うとおりにしたあとの憲邇さまのやさしいえっちで、みゆはすごくすごくしあわせ。にへへって笑ってふわふわの気持ちでいっぱい。



 きっとまゆちゃんもおんなじだと思うのに。こっそり、憲邇さまやらないのかな。憲邇さまなら、ヒミツにするのできそうなのにな。まゆちゃんだって、今度はヒミツの関係でいられるよ。



 まゆちゃんのお母さん、憲邇さまはみゆたちみたいなのはやだって言ったみたいだけど、そんなの信じられなかった。しっとはする、けど、でもそれより憲邇さまにえっちしてもらえるほうがうれしいのに。憲邇さまを信じてるから、みゆはたくさんいても大丈夫。きっとまゆちゃんのお母さんもそうだと思うけど……



 ……そっか。よし、まゆちゃんのお母さんに憲邇さまのどれいがどれだけしあわせか、教えてあげなくちゃ。そしたら、あの人のほうからどれいにしてくださいって頼むはずだもん。きっと知らないだけだよね。憲邇さまがどんなのにえっちするか。そうだ、まゆちゃんのブルーレイ見せたげよう。絶対自分もやりたいって、やってほしいって思うはず。



 またみゆも見せてもらったら、またあんなことしなさいって命令されたら、いじわるなこと……あああ、ダメだよぅ、いんらんだよぅ……



 一生って、言ってもらっちゃった。一生、一生……ど、どうしよう、うれしすぎて、頭がくらくらしてきた。ううんダメダメ、一生、憲邇さまを満足させなくちゃいけないんだから、もっともっとがんばんないと。で、でも、一生だよ? こんなぐずなみゆなのに、一生だなんて……はぁ……しあわせぇ……



 学校の休み時間中、みゆは一人で気持ち悪いくらいにやにやしてた。



 三ヶ月前からは考えられないくらいじゅうじつした毎日に、とけちゃいそう。



 これでずっとへんな顔しないでいられれば最高なのにな。憲邇さま、みゆはダメな子です。し、しかってください……みゆはいんらんです……



 みゆにえっちしてくれる憲邇さまが大好き。もっと憲邇さまにごほうしして、気持ちよくなってもらわなきゃ。



 ああ、もっかいなでるとやっぱりお腹出てきてる。ふ、太っちゃった……うでとか、足も太くなってる。顔も大きくなってるかも。……太ってるんじゃなくて、成長して大きくなっただけだといいな。今度お母さんに相談しよう。



 また指をなめそうになるのを、慌てて押さえて。代わりに薬指をそっとなでてた。



 笑わないでいるなんて無理だよぅ。



「みゆっち、なに笑ってんの? そんなに髪どめプレゼントしてもらったのうれしい? あれ? みゆっち、首になんかあとついてるよ」



「え」



 手鏡を出して見てみると、そこには、憲邇さまがつけたキスのあとがあった。うわ、ど、どうしよう。これ、こんなになるまでキスしてもらったんだって知られたら、大変……



「なーに? ぶつけたの?」



「あ、う、うん。そうなの。痛かったぁ……」



「ダメだよ、みゆっちはドジなんだから、気をつけないと。この前だって給食当番のときによそったご飯何個も落としてたじゃない」



「あぅ……ご、ごめんね。次はもっとがんばるから」



「それもダメ。みゆっちきんちょうしぃなんだから。みゆっちのペースでやればいいの。わかった?」



「……う、うん」



「一応、保健室行ったほうがいいよ。先生にみてもらったら」



「い、いいよ! たいしたことないし」



「痛いって言ってたじゃん。あ、先生」



 やってきた先生に、久美(くみ)ちゃんは大丈夫かどうか見てほしいって言う。どうしよう。先生なら、わかるかも……



「どれどれ……これは大変ね。ちょっと先生と一緒に来なさい」



 みゆが言えないでいると、先生はあっという間に保健室に連れてってくれた。



「誰もいないわね。ちょうどいいわ。みゆちゃん、そのあと、ほんとにぶつけただけ?」



「は、はい。そうです」



「ほんとに? 誰かにキスされたんじゃなくて?」



 うわ、やっぱり大人の人だ。「き、キスは、お口と、ほっぺしかしてないです」



「ほんとに? 裸になって、体中してるんじゃないの?」



「してないですっ。そんな恥ずかしいことできません」



「じゃあちょっと、上着脱いで見せて」



「だ、ダメです。お母さんが、下着はだれにも見せちゃダメだって」



「女同士ならいいの。脱がないと、みゆちゃんは体中キスしてる子だって勘違いされるわよ?」



「……でも、でも……」



「見せなさい。もしみゆちゃんが誰かに乱暴されてたら、先生はその人を叱らなくちゃいけないから」



「……」



 憲邇さまは乱暴なんてしませんって、先生に教えたくなったから、仕方なく上着を脱いでいった。お母さんと憲邇さま以外に見せたことない下着姿。憲邇さまは最近、スリップがお気に入り。しばらく着続けて、突然普通のシャツにするとおどろいてくれる。でも、そっちもいいよって言ってくれる。



「……」



「ど、どこにも、乱暴にされたあとなんてないです」



「じゃあこのあとはなに」



 先生はスリップを引っ張って胸のすぐ上にあったキスマークを指差した。慌てて手で隠す。



「こ、転んであちこちぶつけたんです」



「こういう形のはね、大人がするキスのあとなのよ。されてるんでしょ? 裸になって、えっちなことっ!」



 あ、怖い。怖いよ……



「ぇっ、ひぐっ……」



 泣いちゃった。どうしよう。みゆはバカだから、なに言ったらいいのかわかんない。先生に知られて、もうダメって言われたら、会えなくなるの、やだ……



「ごめん、ごめん……みゆちゃんを怒ってるわけじゃないの。悪いのはやったやつで……」



「して、ないですぅ……えっちな、ことなんて、してません……怖いです、そんなの……」



「……ごめんね」



 先生はそっと、上着を着せてくれた。



「じゃあ、これだけ教えてあげる。えっちなことは、大人になったらしていいのよ」



「そう、なんですか?」



「だから、大人になる前にみゆちゃんの好きな人がえっちなことをしようとしたら、ちゃんとダメですって、言いなさい」



「……はい」



「約束」



 そっと小指を、重ねて。



 先生に疑われちゃった。でも、だれにも言わない気もする。信じてくれてる。いい先生。



 裏切ってて、ちょっとやだ。



 いつか話せたら、いいな。



 



 



 



 



 どうしてこの時期に同窓会なのかしら。普通成人式のときので充分じゃない。もう。



 今年二十歳になるメイドの私、葛西(かさい)良子は、小学校の同窓会をよりにもよって今この時期にやるのにため息を漏らしています。せっかく、ご主人様との恋が叶ってるのに、今の私にとってご主人様との、その、恋人同士の時間は血の一滴より大切だっていうのに。そうです、早く赤ちゃん欲しいのに、今さら同窓会なんて……そりゃあ、みんな今年で二十歳だけどさ。



 これでご主人様が嫉妬してくれるならいいですけど。お生憎と、小学校のときから地味な私を『初恋の人だったんだ』なんていうロマンス、ないんですから。



 でもその日にお仕事もなく、加えてご主人様のバカはお仕事で帰りも遅いとなると、年上の恋敵がいるところでじっと待つなんてできませんし、せっかくだから行きましょうっか。同性の目に笑われない程度におめかしをして、在りし日の同級生たちの変化を見てこよう。



 確かに居酒屋くらいなら貸し切ったっていいでしょうけど、結構、広いな。予算よく三千円で通ったなぁ。



 やっぱりメイドたるもの時間厳守は基本なため、現地集合も相まってか図らずも一番乗りをしてしまいました。幹事さんもいない。かといって注文しないのもなんだけど、勝手にというのも……あ、来た来た。



「うお、俺より早いやつがいる……? 誰だお前」



 この目つきの悪いちび助は……



「初めての運動会で二度三度転んでたっけね、塔矢(とうや)くん」



「恥ずかしい過去を堂々とバラすな!」



「ごめんごめん。葛西です。久しぶり」



「葛西……? うわー、マジかよ。お前変わったなぁ……」



「塔矢くんは変わってないね。いつまでたってもちびっちゃい」



「人のコンプレックスを堂々と言うな!」



「あははは」



 覚えてるもんだなぁ。次々とやってくる人たちもそこそこ恥ずかしい過去を指摘できる。そのたびに目を丸くして、また私を変わったって言ってくる。



 変えたのはご主人様です。この二年で、私の面影は消えちゃったかも。



 塔矢くんの音頭とともに乾杯をする。まだ正確には二十歳でない人たちも全員アルコール。私も気にせずにビールを飲んだ。帰りはご主人様に迎えに来てもらおう。



「ほぇー変わったねー良子ちゃん」



「そうかな」



「だって小学校の頃すごいショートだったじゃん。そんなに伸ばすと印象変わるよー」



「そうそう。あんなに風景に溶け込んでた良子ちゃんがこんなに立派に育って……お母さんは嬉しいわ」



「視線がやらしいです。やめてください」



「なにおー? 五年の頃から無神経にどんどん大きくしやがって。そこで止まっとけよ、くそっ」



「別に貧乳だっていいじゃない。好きな人が好きだって言ってくれたら」



「うわ、でたなこの夢見る少女が。お前昔っからそうだったよな」



「男はボインにしか興味がないといっても過言ではないというのに」



「好きな男が好きだというだけでコンプレックスが解消されたら商売上がったりだっつーの」



「でも私、ご主人様にこの胸も好きって言われてコンプレックス感じなくなったけど」



「……」



「……」



 ビールおいしいなぁ。これならジョッキもいけるかも。



「お前、まさかのアブノーマルな世界に足を突っ込んじゃいないだろうな」



「……あ、えっとね、私メイドやってるの」



「だから、そういうのアブノーマルって言うんだよ」



「違う違う、お仕事で、本物のメイド、家政婦かな、やってるの」



「お前、本当に夢の世界の住人になったのか?」



「ほんとだってばぁ」



「え、お帰りなさいませご主人様だろ?」



「うん」



「あんな店この辺やってないだろうが」



「家政婦のお仕事だよ。本当にあるの」



「ふぅん……世の中は広いな」



 二人で頷き合う。もう、信じてよ。



「それはそれとして、良子ちゃんそのご主人様と付き合ってるの?」



「うん」



「初老の老人とか? やっぱり財産だろ?」



「違うよ、七つ年上のお医者さん」



「医者ぁ?」



 二人の声がハーモニー。



「マジか、お前医者捕まえたの? うっらやっましー」



「あたしたちにも分けてよ。今二人とも彼氏いないからさぁ」



「嫌です。ご主人様は私だけのものですから」



 少し誇らしげに。今だけ、こういうこと言える。



「……ムカつくな、こいつ」



「ムカつくわね」



「よーしならばあたしがプロデュースしてやろう。お前な、胸だけで好きだっていうやついたからな。おい前田(まえだ)、ちょっと来い」



 前田くん……音楽が得意で、ベースやってたんだっけ。今は髪を茶色に染めてる。



「なに? どしたん?」



「お前良子に言いたいことあるだろ? あるよな?」



「綺麗になったな」



「ありがとう」



「違う。んなのいらねぇんだよ。おい、言え。言わねぇとあたしが今ここで大声で言うぞ」



「前田くん彼女いたっけ?」



「いや、いないけどさ……やめろよ。ガキじゃねぇんだから」



「うるさい! 人の幸せがあったら壊す! それがあたしの幸せです!」



 ……酔うと志保(しほ)は質悪いのね。気を付けなきゃ。



「お前だってとう」



「だぁあーすまねぇ悪かったぁ! 後生だぁ見逃してくれぇ」



「はいはい。……まあ、急かされたわけじゃねぇけども」



 なぜか前田くんは私の横に座った。



「良子ちゃん、今彼氏いる?」



「うん」



「そっか。じゃあ望むところだな」



 ぐいっと近付いてきた。「俺、結構略奪愛好きなんだ。立候補させてよ」



「ふふ、ありがとう。でもごめんなさい。私の作ったお料理を、おいしいって言ってくれる人がいるのは、とっても嬉しいことだから」



「なん、そこまで進んでんの? ますますやりがい感じるなぁ」



「ダメですよ、それ以上近付いたら。オイタがすぎます」



「どうなんの?」



 掌底を下から顎に打ち据えた。がちんと歯がぶつかる音が聞こえて、危うく舌を噛みそうになった前田くんが慌てて距離をとる。



「こうなります。酔ってるからってなぁなぁで許す空気は読めません」



 この胸のせいで中学高校と痴漢にはよーく遭った。対処の仕方にも慣れるほどに。こういう手合いには引っぱたくだけじゃダメだってこと。



「……こわ」



「ほんと、良子ちゃんは立派に育ったわねぇ」



「私に近付いていいのも、私の手料理を食べられるのもご主人様だけです。しつこい男は、もっとひどい目に遭うかも?」



「わりぃ、もうしねぇよ。……変わったな、良子ちゃん」



「はい。ご主人様に会って変わりました。変わろうって思ったわけじゃないけど、変わってました」



 気が付いたらご主人様の衣類でしてたっけ。なにも考えずに、いつの間にか手の中にあったの。ご主人様は罪作りだから。



「この胸を揉み放題なのもご主人様だけかー」



「こら、触ろうとしない」



 ふらふらと近寄る手をびしっと叩き落す。



「なんでぇ、昔っからお前はケチだよな」



「でかくなる方法教えてよ」



和佳(のどか)だって大きいでしょう」



「あたしまだ凝ったことがないんだよ。凝りたいなぁ」



「私が大きくなったのは恋してからなんだけどなぁ」



「……また夢物語を言っているぞ」



「お前、そういうのが許されるの今だけだからな」



「私はそうだったの。だから個人差。バストアップ運動をすればいいじゃない」



 そこで携帯が鳴った。ごめんねと画面を見るとご主人様だ。「もしもし、ご主人様?」



『もしもし、私だよ。えっと、ごめんね、迎えに出られるのは十一時ぐらいになるんだ』



「いえ、全然大丈夫です。それくらいまで飲んじゃいそうですから」



『そう。酔い潰れた良子を介抱するのも楽しそうだな』



「はい……そのとき悪戯されちゃっても気付かないと思います」



『ごめんね、私は良子に悪戯するなら起きてるときじゃないと興奮しないな』



「もう、そういうこと言わないでください」



『ごめんごめん。……その喧騒、店内だね。良子がどうしてもって言うなら、そこで脱いでもいいよ』



「ど、どういう意味ですか」



『別に? ただ、宴会の場で良子が酔って乱れても気にしないって言ってるんだ。誰も脱ぎなさいとは言っていないよ』



「……」



 携帯を強く握り締める。「そ、そういう、プレイですか」



『良子がどうしてもと言うのならね。許してあげる』



「……」



 お酒のせいじゃない火照りが顔を支配していく。試されてる。ご主人様への忠誠を、試されてるんだ。



『そこで今すぐ良子が私のものだと再確認させてくれる台詞を言ってもいいよ。良子の好きなように』



 そうしたら脱がなくてもいいって、そういうこと。ごくりと、生唾を飲み込んで。



 私の(さが)を言葉にして表した。



「わ、私はご主人様だけのものです。ご主人様が脱げと言うのならどこででも脱ぎます。ご主人様に呼ばれたらどこへでも駆けつけます。ご主人様にご奉仕しなさいと言われたなら誠心誠意尽くします。ご主人様の命令には絶対服従します。……ご主人様、私は私のほうから望みを言いません。どうしてもと言うことは、ご主人様の命令を受けることだけです。なんなりとお申し付けください」



『ありがとう。よく言えたね。悪いけど、今日は夜更かししてもらうよ』



「はっ、はいっ」



『じゃあ終わったら連絡して。楽しんできなさい』



「はい」



 笑顔で返事をすると通話は切れた。やった。今日してもらえる。



「……? あれ、どうしたの」



 志保も和佳も近いよ。「まさか、聞いてたの?」



「聞いてたもなにも、お前こそどうしてこんな至近距離で気づかない」



「すごーい。良子ちゃんったらそういう関係なんだー」



「いやそれよか相手だね。いい声してドSじゃねぇか」



「やーんでもあんな声で命令とかされると従っちゃうかもー」



「嫌だね、あたしゃ命令してこそだな。男をヒールで踏んでこそだろ」



「趣味わるーい。よーしあたし言いふらしちゃおーっと」



「や、やめて、お願いだから」



 けれども女子二人の口の達者さなど、一人で抑えきれるものではないのでした。次々と男女問わず視線が刺さり、女性はときになぜか羨ましそうなものが、男性は主に俺もやりたいぜというようなものが。さらに視線が胸にくるので恥ずかしいったらなかった。もう、ご主人様、これを見越して言わせましたね? ひどいです。こうなったら飲みますからね。本当に乱れたら責任とってくださいよ。



 羞恥心を煽られつつも、私は半ばやけくそ気味におかわりを頼んでいくのでした。ひどいです、変態、でも大好き。楽しみです。今日もいっぱい愛してくださいね。うふふ。



「ね、ねぇねぇ良子ちゃん」



 酔いがずいぶん回った頃。あんまり仲良くなかった長坂(ながさか)さんがこっそり話しかけてきた。



「その、良子ちゃんみたいにご主人様探すのには、どうしたらいいの?」



「ふぇ? どうって、家政婦を募集してるところに応募すればいいよ?」



 うわ、私も酔っちゃったなぁ。



「そ、そういうご主人様だって、どうしてわかったの?」



「……え」



 なにを言ってるんだろう。



「わ、私ね、私を飼ってくれるご主人様を探してるの。良子ちゃんが羨ましくて」



「……」



 酔いが醒めました。同時に、長坂さんがさっきの視線を送ってきた張本人で、かつ今一切酔っていないことに気付きます。



「もし、その、良子ちゃんのご主人様が許してくれて、私の身体とか、お眼鏡に叶うなら、わ、私も……」



「えーっと……」



 飲んでいたコップを脇にどけ、頭を抱える。どうしよう。こんな展開、完璧予想外。まさかご主人様、奴隷を増やしたいからってあんなこと……



 がしっと、両手をつかまれる。



「私も同じ気持ちなの。ご主人様の命令を受けることだけが私の望み。今まで付き合った人は誰も、そんなの重いって聞いてくれなかった」



 う、こんなところでシンパシー感じるようなこと言わないでぇ……



「ご、ごめんね。私他の人が関係を結ぶの、嫌かも」



「なに言ってるの! ご主人様がすべてでしょう? ご主人様がたくさんの女を支配したいなら、それに従うのが普通でしょう!」



 うう、正鵠を射るようなこと言わないでぇ……



「とにかく、ご主人様に会わせて? 自由に開発してもらっていいの。気に入らないなら、気に入ってもらえるようになるまで通うから。努力します。良子ちゃんみたいになればいいなら髪だって伸ばすから」



 近い、近いよ……



「ええーっとねぇ、ご、ご主人様はすっごくカッコよくてモテるけど、私がいいって私を選んでくれたの。それから他の人は断ってるし、長坂さんもダメだと思う」



「そんな……」



 うわ、がっくりとうな垂れた。すごい落ち込みよう。「そう、よね。私みたいな地味で重い女、嫌よね……やっぱり、お料理もできて美人のほうがいいんだ……従順なだけじゃダメなんだ……」



 な、泣き出した。よっぽどなんだ。どうしよう。ご主人様に相談してもいいかも。こういう女の子、もろにストライクゾーンでしょう、ご主人様?



「私、どんなブサイクで中年でも、私にたくさん命令してくれる人ならって、色んな人経験したの。でもダメだった。良子ちゃんが羨ましい。そんな美形で、若くて、お医者様で、いい声してる人にたくさん命令されて……」



 幸い今はみんなも酔いが回り、私たちに注意してる人なんていなかった。てんでばらばらにバカなことを言ったりやったりしてる。男子だった人は脱いでる人も出てきた。



「良子ちゃん、どんなこと言われた?」



「え、うーん……目の前で自慰しなさいって」



 目を丸くした。わ、私、なに言ってるんだろ。



「い、いいなぁ。羨ましい……そういう、辱めを受ける命令、されたいのに」



「でも、ご主人様真性の変態だよ? 変態な命令、そんなに受けたい?」



「受け、たい……みんなね、ちゃんと避妊するの。あなたに迷惑はかけないからなしでしてってせがんでもダメ。できたら責任とれってお前なら言いそうだって、断られちゃう。良子ちゃんは違うでしょう?」



「う、そうね。最初避妊したけど、私が孕むかもしれない興奮を味わいたいって言うと即座になしでしてくれたかも」



「ずるいっ。いいご主人様じゃないっ」



「で、でも、おしっこしなさいとか、お客様にわざと聞こえるようにそういうことするんですよ? そういうの、全部ビデオに撮るし、後でそれを一緒に観てしたりとか、ひどいんだから」



 なぜかもっとうるうるとなりだしました。



「なによぉ、自慢? 自分だけのご主人様だからって、そんなの言わないでよぉ……私の夢見る理想のご主人様じゃない。やりたい、私にもその命令、してくれるよう頼んでよぉ」



 つい他の人の話をしてみたけど、どうもこれが彼女にとってストライクゾーンみたいでした。諦めてもらうのは無理そうです。むしろこんなこと言ったせいで余計惹かれているようです。



「む、無理よ。私の言うことなんてご主人様聞いてくれないから」



「また自慢? そんなに自慢したい?」



「そういう意味じゃ、あの、落ち着いて?」



「私なんか、フェラしたいって自分から言っただけなのに引かれたの。今どきそれぐらい普通なのに、女のほうから言うと引くって……」



 ここでご主人様は私がメイド服でやりたいと快く承諾してくれたことなんて言おうものなら、大変なことになりそう。



「ねぇ、あなたに迷惑はかけないから、ご主人様紹介して? 別の人でもいい。ほら、そういう人同士の繋がりがあるはずだから」



「うーん、ないと思うけど……」



「なーに話してるの良子ちゃんにメグちゃんっ?」



 和佳が肩に寄りかかってきた。「いつの間に仲良くなったのかなー?」



「和佳、ちょっと今だけ、離れてくれる?」



「なーによー、あたしがいると話せないの?」



「やっぱり、処女がよかったのかな? 男の人ってみんな好きだもんね。良子ちゃんだって捧げたんでしょう?」



 ビールを飲もうとした和佳が噴いた。口を塞ぐのも遅れ、完全に和佳の耳に入ってしまったよう。



「おい、あなたたち、一体なんの話をしている」



「和佳、離れといたほうがいいよ」



「じゃあ、家だけ教えて? 迷惑にならない程度に待つから。会いたい。そんな素敵なご主人様、一目でいいから会いたい。そしたら満足する」



「……良子、ちゃん。もしかして、メグちゃんって」



 黙って首を振る。衝撃に和佳は一歩後ろへ下がりました。「うわー、さっきあたしああは言ったけど、そこまでじゃないよ」



「ダメかな? やっぱり迷惑かな? 自分から命令されたいって、男の人は引くのかな?」



「そ、そうね。長坂さんはもうちょっと自分を持ったほうがいいかも」



「そっか……」



 嗚咽を繰り返しながらも、ようやく彼女は落ち着いてくれました。ふぅ。よっぽど今まで本気で好きじゃない人たちとばかり付き合ってきたのね。そういう嗜好を持つ人たちも自分からだと受け付けないのかしら。それともプライドが邪魔? よくわからない。



「そんな会いたいなら今日迎えにくるってさ」



「やめてよ和佳!」



 ああ、すっごく顔きらきらさせてるっ。



「お願い、一目でいいから」



「う……」



 もう、他の女の子見てるみたい。仕方なく私は折れたのです。大丈夫、ご主人様の理想は高いから、きっとお断りを入れるはずです。



 半分くらいの人が二次会へ向かう二十四時。飲みすぎた顔をした人たちが歩きで帰宅していきました。



 そして、隣にぴったりと長坂さんがいます。



「じゃねー良子ちゃん。二人仲良くしなさいよ?」



「恨むよ和佳」



 元気な顔をして和佳も志保も二次会へ向かいました。



 この時間になれば、少し涼しげな夜の空気。じっと待ち続ける長坂さんに、ふと問いかけてみました。



「長坂さんはどうして、その、命令とかされたいの?」



「良子ちゃんは?」



「私は最初そんなつもりなかったんだけど、ご主人様に告白したらそうじゃなきゃ付き合ってくれないって」



「……いいなぁ。私、昔から変だったでしょう? 先生の言うこと全部ちゃんと聞いて、バカ正直だってみんなに笑われてた」



 そういえばそうだったかも。親のいいつけもきっちり守る、どちらかというと頑固な子だったかな。



「親も普通だったの。私が変なだけ。とにかく、人の言うことを聞きたい、守りたい。そしたら親も先生もよくやったってほめてくれるから。そのうちそれが当たり前になっても、ほめてくれなくなっても続けたの。それが楽しくて」



「ふぅん……」



 世の中は広いなぁ。あ、ご主人様の車の音。窓が上がり大好きな人の顔がのぞきました。



「待たせたね……? そちらは?」



「長坂(めぐみ)ちゃんです」



「こんばんは」



「……」



 震えてる。また拒絶されるかもって怖いのかな。私はそっと、背中を押した。



「ご主人様はこれ以上女の子が増えても体のほう平気ですよね?」



「いきなりなにを言って……ちょっと待って、嫌な予感してきた」



「あの、私」



「待った! 考える時間をください。頼む、お願いだから」



「長坂さん、今ここで裸になりなさいって言われたらできる?」



「……うん。嬉しくてたまらないと思う」



 朱に染まる頬のまま、じっとご主人様を見つめました。ご主人様ったら困ってるみたい。



「すごくいい声……カッコいい……」



「大体想像つくけど、長坂さんはそういう志願者なのかな」



「はい。良子ちゃんからいっぱい命令されてるって聞いて、絶対服従だっていうから、私もそうなりたいと思いました」



「そう。わかった。でも残念だけど、私が欲しいのは従順な奴隷じゃなくて、私を好きな人なんだよ。確かにそういう関係の子はたくさんいるけど、みんな私を好きだから同じように扱っているだけなんだ。という訳で」



 ご主人様はにっこり笑って、



「お友達から始めようか。私を知って、それでも好きというのなら付き合ってみよう」



 それこそ欲しがっていた一言をあげました。



「……はい……」



 うっとりとした彼女は喜びのあまり崩れ落ちていきました。「長坂さんっ?」



「ご、ごめんなさい。びっくりして……私を、こんな私を断らない人、初めてで……腰、抜けちゃった」



「こんなとか言っちゃダメだよ。歩ける? 無理そうなら送ろうか」



「……っ……な、なによ良子ちゃん、こんな優しいご主人様なら、そう言ってよ……うわぁ……理想の先だよ……」



 万感の想いがあるのか、両手で頬を押さえてふるふると顔を振りました。



「でも、私はひどい命令たくさんしてるよ? きっと幻滅すると思うな」



「いいえ……優しいSなんですね……そりゃあ、たくさんの子が志願したがるわけです」



「優しくないよ。夢を持たれても困る。いいから乗りなさい。こんなところに長くいるのは迷惑だ」



「は、はいっ」



 ちょっと叱られるのすら嬉しそう。もう、しょうがないなぁ。この人ならみんないいって言うかも。でも、意識の違いで衝突しないかしら。



「私、いきなりここで三人ででもいいです」



「そういうことをいきなり言うと、男性は引く人が多いかな。やめときなさい」



「……はい……」



 こそりと、「やっぱり、優しいね」と囁いてきました。ふふん、そうでしょうとも。ご主人様の優しさは三千世界に響き渡りますから。



「あ、あの、お名前、伺っても……」



「深町憲邇だよ。よろしくね、長坂愛さん」



 一度で名前を記憶するプレイボーイさんは送り狼になることなく、長坂さんを自宅へと届けました。上がって欲しそうにする彼女を簡単に嗜め、せめてと食い下がる彼女に連絡先を教えました。彼女が私のだけ教えます、あなたのを聞いてこちらから迷惑かけたくないからと言うものの、そういうのは嫌だから黙って受け取りなさいと強引に携帯に記録させました。



「そっちからかけてこない限り、私のほうからは連絡しないかもね」



「え……」



「私にかけてこないってことは、私のことなんてどうでもいいってことだと思うんだ」



「そ、そんなこと」



「冗談だよ。こっちからも連絡する。君みたいな一途な子、ほっときたくないしね」



「は、はい……」



 なんでだろう、長坂さん、さっきからのやり取りでこれ以上ないくらい茹で上がっちゃってるみたい。



「さっきの志願とは関係なくても、私は君みたいな一途な子は素敵だと思う。っていう、きざな男が深町憲邇です。それでもというのならこれからよろしく」



「はい……よろしく、お願いします」



「じゃあね。夜更かししないで早めに寝なさい」



「はい……」



 さっさと運転席にご主人様は乗り込みました。私も一言さよならと言うと、



「あなたのご主人様、最高だね……優しくて、押すとこ押してくれる、その上、命令の仕方も上手で……夢みたい」



 今まで見た中で一番の微笑みを彼女はしました。少し頬をつねったり。



「そうでしょう? しかも頑張ると応えてくれるんです。私は今日の宣言をこれから仲良しして返してもらうから、長坂さんも頑張ってね」



「うん……さよなら」



「さよなら」



 小さく手を振る彼女をずっと見ていました。姿が小さくなって、見えなくなってもまだ、振っている気がして。



「ご主人様、ああいう女の人、患者さんでいっぱいいたでしょう?」



 対応が手慣れすぎています。



「一人いたかな。そのせいだと思うよ」



「そうですか。それより、ご主人様のせいで今日、みんなにいっぱい胸とか視姦されたんですよ? どうしてくれるんですか」



「それが狙いだったからね。そんな綺麗な格好してるからいけないんだよ。嫌なら言わなきゃいいのに」



「やっぱり。ひどいですよ、もう」



「嘘つきなさい。みんなの前で宣言して、興奮したくせに」



「してませんっ」



「じゃあ証拠を見せてもらわなきゃね。その長いスカート、めくって見せてもらわなきゃ」



「……はい」



 そうです。ご主人様はこういう、優しくてたまらないSの人なんです。長坂さん、ご主人様を好きになって、ご主人様に好きになってもらうといいですよ。えっちな命令、たくさんされますし、その上、



 こんなにおいしいキス、してもらえるんですから。



 



 



「どう? 懐かしかった?」



「はい。久しぶりに会えて楽しかったです」



 そ、それよりも、その、早く……



 ご主人様宅へ帰ってもまだなにもしてくれず、ただ楽しそうにお話しするだけ。あんなに車中でたくさんキスしたのに。



「初恋の人がいたんじゃないの?」



「来てませんでしたっ。そんなことより」



「ははは。わかったよ。そうだね……良子は以前どれくらいの頻度で自慰をしてたのかな?」



 いきなりの質問に答えに詰まる。まともに答えたくない。そっと頬に手を添えられ、ご主人様のほうを向かされた。



「……多分、週一くらいですよ。そんなにしてません」



「ふんふん、そうか。じゃあ今日も我慢できるよね。つい一昨日したばかりだし、今日は夜更かしするけど、話だけにしよう」



 こんなに近いのに、そんなこと言う。



「……お勤めの日は、必ずしてました。ご主人様に会うと我慢できなくて……」



「へぇ、そうなんだ。隠すのが上手なんだね。全然気付かなかったよ。週五でやってたんだ。ふぅん……」



「だってっ、ご主人様がカッコよくて、若くしてお医者様になんてなるからっ」



 添えた左手が徐々に南下していく。直下にある私の自慢の谷間に挟まり、すぐに頂点をいじりだした。



 私が下、ご主人様が上になる。目と目がずっと、同じものを見てる。



「でも、最初は私じゃなかっただろう? なにを考えてしてたの?」



「最初からご主人様です。あっ、彼氏もいなかったから、ずっとご主人様に片恋慕してました」



 少しずつ右手で脱がされてく。上はもうまっしろブラジャーだけ。下の長いスカートも徐々に下げられていった。同じまっしろのぱんつも一緒に下げられ、先にあそこが出てきてしまう。でも、隠さない。外したくない。



「どんな想像してたの?」



「お食事を作ってるときに、あっ、後ろからいきなりとか、んっ、隠してあるのが見つかって問い詰められて、それを使って襲われたりとか」



 ブラの中に侵入している左手がぐにぐに撫でるように揉んでくれて気持ちいい。とっくに立っちゃった先っぽをいじってくれなくなって、でも急にきゅってつねるからもっと気持ちいい。



「なんだ、そういうのがいいの? そうか、自慰を止めるのも考えものだね」



 右手がブラだけ残してご主人様のズボンを脱がし始めた。……や、やっぱり、絶対ご主人様の大きいよ。今日安全日なんだよね……もったいないな……



「ほ、あっ、かにも、お仕事で疲れたから胸で癒してみせろとか言われたり、卑猥な、格好で、あっ、お仕事しなさいって命令されて、一日中、あちこちで犯されてお仕事にならなかったりとか……」



「……良子は想像力豊かだね。参るよ。残念だけどご希望にはそえそうにないな。明日帰ってきたら仕事の疲れを、胸で癒して欲しくはなったけどね」



「はい……」



 あの、その、胸ばっかりは辛いです。お口、空いてますよ。右手も、使ってください。



「ねぇ良子。今日脱いでこなかったの?」



「ぬ、脱いでません」



「そうかぁ。残念だなぁ。脱いできてくれたら生膣内射精(なかだし)する予定だったんだけど、仕方ない、今日は胸にかけるだけにしよう」



「えっ……あ、あのご主人様っ、どういうこと、ですか」



「命令だよ、今日は胸にかけさせなさい」



「ええっ……い、嫌です、私、もっとご主人様と仲良しになりたいんですっ」



「じゃあこう言ってよ」



「……」



 そんな意地悪しなくても私はいくらでもあなたの言うとおりどんな台詞でも言いますから。お願いですから今みたいなのはやめてくださいね。



「私は初恋の人と不貞を働きました。何度も何度も犯されてもうあの人じゃないと満足できちょっとご主人様!」



 言い始めて気付いた。ああもう、ご主人様めちゃくちゃ笑ってる。



「まあ、ああ言うと内容考えずに言ってくれると思って」



「ひっ、ひどいですっ。そんなに私が不貞を働いたように見えますか?」



「そうだね、今から確かめようかな」



 指が急にいじりだした。唇と唇がぶつかって、素敵な音を奏でる。あっ、ダメですっ、私、そこっ、上のほう、弱いんですから……あっ。



「ダメだね、これは赤信号かな。唇から他の男の感触がするよ」



「し、してませんっ!」



「そう? おかしいなぁ、こんなに気持ちいいのはおかしいと思うんだよ」



「もう、あむ、ちが、んぅ……」



 そんなこと言いながらキスばっかしないでくださいっ。私だって、こんなに気持ちいいんですから、おかしくないです。



 ずっと目と目が同じものだけを見てる。開けたままのキス、雄弁に語る瞳の内容はきっと、好きだよってそれ一色。今の二人にはそれしかない。



「あっ……ご主人様……」



「憲邇って呼んで、綺麗な良子さん」



「あっ、ご、ごめんなさい、憲邇様……好き」



「私も好きだよ良子。こんなに濡れやすいえっちな女の子は特にね」



 ……びしょびしょだった。ご主人様に、大好きな人に思う様いじくられて、準備万端、早く欲しいですって、ひくひく蠢いてる。



「あ。そういえば良子って騎乗位が好きなんだっけ。ごめんごめん、忘れてたよ。乗りたい?」



「はい」



「わかった。一枚撮ったらね」



 カシャリ、乳首が立って、あそこが濡れてる、白いずれたブラだけした私を写真に撮られた。カメラはもうずっと回ってるらしく、今までのもすべてファインダーの向こうに収められてる。



「欲しかったら言ってね。いくらでもあげる」



「……い、いいです」



 止まらなさそうですから。ご主人様が使うだけにしてください。



 起き上がって、今度は下になったご主人様を導いた。「あっ……あ、あ、あっ」



 勝手に腰が動く。硬い大きなものが奥まで来て欲しいって勝手に、いやらしく体がうねる。手が勝手にブラを下ろして、自慢の胸が揺れるのを見せたがってしまう。



「うっ、もう、ごしゅ、憲邇様のやっぱり大きいですよっ。苦しいくらい……ああっ」



「そうかな。それよりやっぱりクロだね。こんなに膣がぐちゅぐちゅ締め付けて気持ちいいの、誰かに開発されたからだろう?」



「ちがっ、いますっ。憲邇様が好きだから身体がこうなるんですっ。あーっ、あ、好き、好きだから、好きなのっ」



 こうして、上のほうにくるよう、捻って動くの好きなんですっ。その後奥までずぼっていうのが、最高っ。



「私も好きだよ。この大きくて柔らかいものが」



 手がぶるぶる揺れてる胸をがっしりつかんできた。あっ、ダメ、潰さないでっ。「あっ」もう、形変わっちゃいますっ。



「これを独り占めできるなんて贅沢だよ。そうだ、良子を好きな人にも分けてあげようか」



「ダメっ、ですっ、私は、ご主人様だけのものですからっ。んっ」



「いいんだよ? 好きな人ができたらそっちと付き合ったって」



 意地悪ですひどいですっ。そんなに試さなくったっていいじゃないですかっ。私はずっとご主人様だけのことを考えてきました。ここにお仕えするようになってお誘いも受けたんですよ? でも、ご主人様が好きで好きでたまらなかったから、ずっと断ってきたんですっ。その気持ち、わかってくださいっ!



「ごめん。そんな顔しないで。ああ、やっぱり動いてもらうのはおかしな感じだな。ちょっと止まって」



「はっ、あっ、あ……」



 汁物が跳ね回る音が止まる。私の激しい呼吸音とぎしぎし揺れるベッドの残響音だけ。胸を好き放題こねくりまわしてた両手が、私の腰に向かいました。途端、ご主人様が二人の身体を動かし始めます。当然私は大きな声で喘いでしまいます。はしたなく大声で、同じ屋根の下眠っている尾方親子を起こしてしまうほど激しく乱れました。



「憲邇様っ、あ、あ、ダメ、ああっ、やめ、あっ、憲邇、あっ、あ、やめてくあっ!」



「良子はここがいいんだね?」



「はっ、はいっ、そこっ、そこですっ、あーっ! んっ、ご、ごしゅ、じゃない憲邇様ーっ! ダメ、ダメですっ、私、にもご奉仕させてくださいっ!」



 どうしよう。私のポイントがバレちゃった。ここ集中的に責められたらすぐイッちゃう、ご主人様のでぐりぐりされるとすぐイッちゃうっ。



「良子が気持ちいいって言ったらやめてあげる」



「気持ちいいですっ! ご主人様にしてもらうの、とっても気持ちいいですっ!」



「じゃあやってあげなくちゃね。良子はかわいいよ、気持ちいい……」



「あーっ! ダメ、け、あーっ! あ、あ、あーっ!」



 やだ、気持ちいい、ご主人様の、男の人の強い力でぐいってやられるの、気持ちいいっ。あっ、ダメです、奥までやっちゃ、すぐイッちゃいます、あ、もう、ダメ、ダメ……



「良子、もうちょっと我慢して。一緒に、ね?」



「は、はいっ、っ! む、りですっ! あーっ! ああーっ!」



 上に向かって仰け反りあがって絶頂を迎えてしまった。……よかった、ご主人様にイッたときの顔、見せずに済んだ。



「……先にイッたね。まったく、えっちなメイドさんには困ったものだ」



「はぁ、あ、あ……! あーっ! やめ、ああっ! わた、イッ、や、あーっ!」



 ご主人様がイッたばかりの私にまた腰、ぶつけてきたっ。そうだ、ご主人様まだ射精してない。ごめんなさいっ、存分に、射精してくださいっ。



「良子……!」



「憲邇様っ……!」



 奥までずぶっと挿入ったところでたくさん、たくさん射精してもらいました。イッた直後にまたそんなことされるものだから、気持ちよくって変な感じで、もう……っ。



 ぐいっと横に倒されてアレが抜けました。う、うわ、すごい量が、どろって、溢れてる……ああ、そんな写真撮らないでくださいっ。カメラも、持ってこなくていいですっ。



「もう憲邇様ったら、今日は安全日なのにこんなに射精しちゃって……もったいないです。できたら危険日だけ犯してくれるといいのに」



 ご主人様ったら最近たくさん求めてくれるようになってくれた。体力ついたのかそれともすけべになっちゃったのか。どっちでもいい。これだけ多いんだからちょっとぐらいすけべさんになったほうがいいと思う。もうちょっと、変態なことは抑えてくれるといいんだけど……



「嫌だよ。私がやりたいときにやるだけ」



 ちゅっと口付け。ふふ、もう、しょうがありませんね。やりたいとき、してください。



 終わった後のくすぐったい空気に包まれて、ご主人様といちゃいちゃし続けました。ご主人様、締まってきましたね。うわぁ、お腹ぺっこり。あっ、ダメです、上に乗せないでください。胸の形崩したくないんです。あっ、もう卑怯ですよ、そんなにぎゅって抱きしめるなんて。もう、しょうがありませんね、このままで許したげます。ご主人様、私、できちゃったときの家族にどう言うか、もう決めてますし、半分言っちゃいましたから、どんどんしてくださいね? 家族みんな許してくれました。私実は、三人は子供が欲しいんです。んっ、もう、キス魔なんですから。え? ちゃんと三回は孕ませてくれるんですか? 言いましたね? 絶対ですよ? この胸にかけて誓う? そんなのに誓わないでください、もう。あっ、やだ、どこキスしてるんですか、ここにキスが欲しいって開いてるお口があるんです。もう、あっ、んっ、ダメ、私も、キス魔になりそう……



 大好き。



 



 



 



 



 こめかみが引くつく。よーし、どうしても大事な話があるってせんせーが言ってきたときは文章で送付してもらおう。



 白く四角い包みに入っているものがなんなのか。ちらりとのぞく紙の色も、印刷されているものもよーく、見かけるものだった。



 この人、あーもう名前なんて忘れたけど、元夫のやることは理解できなかった。なぜもう、あまり会いたくないと断っている相手にあれやこれやと会いたがるんだろう。あたしが嫌がっているのをわかってくれてるんだろうか。



「じゃあ、お金受け取ればそれでいいの?」



「ああ」



「受け取ったらもうしつこく付きまとわない?」



「ああ。俺の自己満足なんだ」



「そう。わかった。じゃあ受け取れません」



 ずずずと押し戻す。重い、重いお金だ。



「なっ……どうして!」



「こんなお金があるなら、身近で困ってるほかの人を助けてあげてください」



「でもきちんと謝罪をしたいんだ!」



「うっさいなー。こっちがせっかく上品にまとめようとしてんのに。あんね、正直気持ち悪いのよ。悪いと思うなら、これ以上関わらないでくれる? あたしもう彼氏いんの。浮気と勘違いされたら最悪なのよ? それはね、お金じゃ買えないものなの」



「ぐっ……」



 老け込んだ、と思う。数年前同じ家に住んだときに見た面影がもうあまりない。この人らしくない、というか。



「……あなたには悪いと思ってます。でも、これもいい経験だと思って。ね? あなたならいい人たくさんいるでしょう」



「……」



「あらー、男って未練がましいのねー。そんなにあたしが忘れられないの?」



「……そうじゃ、ない」



「あなたがけじめをつけたいと思うならなお、あたしはけじめなんてつけさせません。それはね、一時でもあったあたしたちの関係に泥を塗ることなのよ。失礼だわ。心とか気持ちっていう曖昧なものに価値を決めちゃいけないのよ。これは私の持論。青臭いって笑っていいから、それは引っこめてほしいわ」



 似つかわしくない口調。自分で言ってて笑いそうになる。恥ずかしい言葉、でも私の真実だ。



「……そんな、そんなに君は魅力的なのに、意地も張れないのか、俺は」



 あ、あれ。なんかまずいこと言っちゃったかしら。



「君がそうだから、ますます俺は惨めになる。そんなに、輝いて、貫いている君が、羨ましい……」



「あ……」



 さすがに仕事ができる人はプライドが高いわね。まずったな。こりゃせんせーに毒されてるぞ。



 んー、んー、あーもうどうしていいかわかんないって。この際勢いよく立ち上がり、曲げた彼の背をばしばし叩いた。



「胸張んなさい! あんたは社長でしょ! 殿様がしゃきっとしないでどうすんの! あんたが大将なのよ? みじめだと思うならカッコつけなさい。背中で泣く相手はあたしじゃないでしょ? あなたは、あなたは……そんな人じゃ、ないでしょう?」



 同情すら、彼にはしちゃいけない。この人がこう変わったわけじゃなく、あたしが気づかなかっただけのこと。結局、同じ屋根の下で暮らしてもわかることなんてたかが知れてるってこと。どう慰めていいかわからないくらい、知っていることが少ないのよ。



「意地を張るならさ、いつまでもあたしが憧れたカッコいい仕事人間でいてよ。あたしが後悔するくらい、いい男でさ」



「……後悔、君はしてないのか。そうか、そうか……」



 俯いていた顔を上げ、どうにか弱い笑みを作った。



「すまない、本当に。仕事で気を張るばかりで、プライベートに気を許す相手がいないんだ。君をいつまでも頼って、ごめん」



「別に相談くらいならいいって。こういうことしなきゃお友達でいられるでしょ?」



「ああ、そうだな。考え方が狭かったよ。……君の相手は、いい人なんだな。ずいぶん変わった気がする」



「あらそーお? そうね、最近フェロモンむんむんで、小学生に俺の嫁にこい! って言われたから」



 もちろん嘘だけど。



「ああ、色っぽくなったよ。愛されているんだろうな」



「せーくーはーらー」



「そういう意味じゃ」



 笑えた。こういうのならいい。こういうので、せんせーに嫉妬してもらうのも悪くない。



 この人は業績も順調にますます稼ぎも重圧も増えていくようだった。カウンセラーでも紹介しましょうかと冗談交じりに言うと、真面目な顔でお願いしたいと言ってきた。仕方ない、手配しときましょう。



 幾分かマシになった顔つきで手をあげる彼にウィンクを飛ばしてやって、驚いたままで別れていった。



 あんなにも立派に胸を張っていた彼が自分を惨めだと感じていたことに若干ショックを受けてるみたい。不思議だった。せんせーも自分にできないことをする相手に対して尊敬と畏怖を持ち、自らを小さく見ることがあるのかしら。なさそうな気がする。あいつはバカだから、そこまで深く考えないだろう。



 あ、絵里さんだ。絵里さんはこの前、今度結婚するっていう若くてイケメンの教師のところへお裾分けに行き、更に夕飯まで手伝うというお世話を焼いてきたそうだ。単なる親切心かそれとも気を引きたいのか知らないけど、せんせーはむしろそんな人と仲良くなれたことを嬉しがっていた。なにしろまゆちゃんの学校の先生だ。親しくなっておくにこしたことはない。思惑が外れたのか少し落ち込み気味だった彼女が、今度は別の男といる。まったく、同じ手を使おうだなんてどうかしてるわ……



「俺はもう一度、お前とやり直したい」



 あれはどうやら、まゆちゃんに深い傷を残した、父親のようだった。



 



 



 



 



「あのときはどうかしてたんだ」



「……」



 あの人は一度もそんなことは言ってない。



「やり直そう。仕事に身が入らないんだ。やっぱり俺、お前がいないとダメなんだ」



 あの人は一度もそんなこと言ってくれない。



「お前に助けて欲しい。俺には仕事しか取り柄がないから、ほかはなにもダメだ。お前の力が要る」



 どうして、あの人が言わないことを、この人は簡単に言うの? そんな軽い言葉じゃないでしょう? あの人はあんなに、重そうに口を噤むのに。



「なぁ、頼む。再婚してくれ」



新垣(あらがき)さんは、さっきから自分のことばかりで、娘の話はしないんですね」



 この人の前ではもう、私は母でしかなかった。



「それは……悪いと思ってるから、話題にすることじゃないと」



「へぇ、そう。これから三人一緒になろうっていう人の考え方じゃないわね」



「……」



「なに、それともあの子はもうお嫁にでも出したつもり?」



「そういうつもりじゃ」



「大体、悪いと思ってるなら一言でも謝りなさいよ。私はまだ聞いてないわ、あなたのくだらないプライドがお高いせいで、ごめんなさいの一言もね」



「……」



「謝れないの? ああ、あの人と同じだからそんな必要ないって考えてるのかしら」



「違う」



「まゆね、すごく高い声で喘ぐからずいぶん色っぽいのよ? 男は好きな類なのかしら。あんたも聞いてみる? ああいうことするんだもの、聞きたいわよね?」



「違うっ!」



 また、大きな音を立ててテーブルを叩いた。



 私は冷徹な目で見つめた。



「あんたはどうして自分とあいつでこうも違うのか不思議でしょうけど、それはあんたが自分の視点でしか見てないからよ。視野が狭いの。女の子にとって、父親は特別よ。それはそう。だけど、好きな男の子はもっと特別なの。そして、父親から性を求められて答えたがる娘はいないわ。絶対に」



「しかし」



「なまじ、性のなんたるかを知ってしまえばね」



「……七歳だぞ」



「だからよ」



 冷たいコーヒーを口に含む。



「快感より愛情がほしいんだから、望まない相手から無理矢理にやられて、誰が喜ぶっていうのよ。女はレイプされたがっているとでも思ってるのかしら。立派ねえ」



「あいつと同じじゃ、ないっていうのか」



「あんたまだあの人にレイプされたって思ってるの」



「違うのか」



「だったら私があの家に住もうなんて思ったりしないわ」



「しかし、あいつは幼女を監禁するようなやつだぞ」



「まゆと彼、頻繁にお風呂に入ってるわよ。裸で一緒に。なにしてるのかしらねえ」



「お、お前……!」



「信頼って言葉、知ってる? 今私があの人に抱いてて、あんたにはひとかけらも抱いてないもの」



「だが、あんなことしておいて」



「あんたはあれがお互い二十七歳同士だったら、なにか問題あると思う?」



「現実は七歳だ」



「やられた側が自分で持っておいて、何度も見るっていうのはどういうこと?」



「……しかし」



 不毛ね。この男はやっぱり認められない、認めたくないだけだわ。『自分の娘』が、父親でなくほかの男を選んだことに。



「私、彼のしなやかな指先が好き」



「……は?」



「あれで思いっきり胸を揉まれると感じるの」



「な、お前、なに言って」



「彼のモノを触るのも躊躇しないわ。熱いものがかかっても興奮するだけだった」



「……」



「あんたの言うとおりよ。二人一緒に、してもらってるから」



「ふ、ふざけるな! お前、お前こそ、母親失格じゃないか!」



「あんた、やっぱり自分の過ちは認められないのね。他人のはすぐ言及するくせに。あの人とは大違いだわ。私、憲邇様が好きよ? 奴隷にしてもらってるの。危険日無視でゴムなしの節操なしに犯されて興奮してるの。いつ孕むかわかんないわ。前戯でいっつも咥えさせられるし、顔中べとべとにされて飲み込まされるの。この前縄で縛られてうっとりしちゃった。毎回彼が卑猥なこと言わせてくるからぞくぞくしちゃってないわ。あとでビデオも強制的に見させられるから火照ってしょうがないの」



「お前っ!」



「私もまゆも憲邇様が好きよ。あんたは嫌い。だから再婚はできない。簡単なことね」



「あいつはまゆを陵辱したんだぞ!」



「してないわよ! あんたが私にしたのよりよっぽど、優しく愛してもらっただけだわ!」



 見せてもらったビデオでわかる。真実、そこには愛しかなかった。あの人も苦しかったのがわかる。本当にこんなことをしていいのか、って。



 それでも抱く覚悟があった。それは、好きでしかないと思う。



 見せれば一発でわかってくれるでしょう。でもきっと、この男は見て数分で目を背ける。現実から。



「あれはお前だって悪かったじゃないか!」



「ああはいそうね! 悪かったわごめんなさい! もういいわ、帰ります!」



 適当に財布にあったお札を叩き置いて踵を返した。



「待てよ! 俺はお前がいないと」



「私は憲邇様がいないとダメなの!」



 言い捨てて、お店を出た。



 ……あの人は謝ってない。それは謝る必要がないから。レイプした人間が謝罪もしないのと、親だけが許さない子供の性交渉を、相手が二人とも好きだからやったと、逸らさず言うのでは百八十度違う。あの人も私の失敗を言ってはくる。あいつが言ったこととほぼ同じことを言われた。けど、どうしてか違う、気がする。



 電話をかけた。仕事中だから病院にかけ、取り次いだ人に深町先生をお願いしますと言う。すぐにでてくれたあの人に、



「ねぇ、あなたまゆのこと好き?」



『好きだよ、もちろんだ』



 甘えてしまう……



「まゆのどこ、好きなの」



『強いところだよ。母親に似て、凛としてて、健やかで』



「……っ……っ……」



 あなた、最低よ……



 あんなこと、嘘でもひどいことたくさん、言っちゃった。納得させるために、あの人を貶めて、私、嫌な女……そのくせ、憲邇様ってところだけに、熱を感じて、最低……



「はっ、早く、帰って、きて? っく、会いたい、二人で……」



 蹲り、泣いた。



 自分より相手のこの人が、



 



 



 泉さんにもすべて話してしまった。どうやら聞いていたらしく事情は簡単に飲み込めてもらえたみたい。彼女もなにやら元夫(同じバツイチだなんて初耳だった)といざこざがあったみたいで、すぐに同情してくれた。



「あたしだったら、自分の子供を虐待した相手とあそこまで冷静になれませんよ。絵里さんはすごいと思います」



「……ありがとう」



 相談できる相手がいるって、いいわね。あの人の家で二人、静かにコーヒーを飲んだ。今日は良子さんもほかの女の子たちも結構来てるけど、私たちは別の部屋で一息ついている。



「神経疑いますね。あんなことやっといて離婚までしといて、まだ一ヶ月だっていうのにもうより戻そうだなんて。今度会ったらぶちのめしてやりますよ」



「ふふ。ありがとう。……どうしてあんなやつと、また会ったりしたのかしらね」



 未練があったのかしら。それとも彼に気を持たせたいだけ? そんなの無駄だってわかってるのに。私があんな、カッコいい人と一緒だったって言っても眉一つ動かさなかった。それがショックで、会いたかった? わからない。



「どうせまゆちゃんのことで大事な話があるって言われたんでしょ? いいんですよ無視して」



 ずばりそのとおりだった。まゆの話題を持ち出されれば、今は誰が相手だろうととにかく話を聞きたいくらい。母は絶対的に関係を許せはしない。けれどもう、そちらのほうがまゆにとっていいのかもしれない。誰かに背中を押してもらえれば楽になれるとは、思うけど。



「ええ、次からはもうないわ。愛想が尽きるって、こういうことを言うのね。今はなにも、感じないわ。憎いとか、そういうのも全部」



「そうそう。あとは無関心でいきましょう」



「……自分がちょっと許せないかな。嘘でもあんなひどいこと、言っちゃったし」



「せんせーを貶めるようなこと、ですか? そんなの半分当たってるんですからいいじゃないですか」



「でも、わざと悪者にしちゃった。まゆのことを言ったら悪者は私とあの男なのにね」



 あんな風に悪く言う資格なんてないのに。聞かれたら終わりそう。出て行けって、言われそう。それが怖く、また苦しい。



「もうせんせーに慰めてもらいましょうよ。今回だけ特別です。『お願い、私を抱いて? なにしてもいいから、忘れさせてよ』なーんて」



「……あなたはいいわよね。そう言えば絶対、あの人が応えてくれるんだから。私、私なんて……私より娘なのよ、あの人は。私の下着姿なんて、私の裸見たって何一つ興奮しやしないの。あそこまでしてるのに、ここまでしてるのに理性を飛ばしてくれない。私のことなんて女とみてないのよ」



「……あそこまでって、なにしたんですか?」



 かいつまんで先日のお風呂のことを話した。もちろん、彼の精子を自分の膣に入れたことは省いて。



「そうよ、結局母親でしかないの。私がまゆを抱かせないから抱いてくれないだけ。鬱憤を晴らそうったってそれもまゆのためでしかないの。私が邪魔なのよ。あの人は優しいから直接言わないだけ。まゆのためだって、まゆのためだけにこんなうざったい女を我慢してるの。甘え続けて、バカみたい。叶うわけないのに、少女みたいに夢見てる」



 私が言ったって彼は抱いてくれやしない。慰めの言葉と軽く抱きしめるだけできっと終わる。それで満足しそうなバカな自分もいる。けど、けれど。



「あたしはずっとあなたが憎かったですよ? 邪魔だって思ってました。今だって恋人でもないのにそこまでやらせてもらえるなんて羨ましいです。でも、あなたの立場になったらこれほど辛いこともないんですね。こんなにも距離が近いのにそれが絶対に触れ合いないなんて」



 手のひらと手のひらを、ぎりぎりまで近づけて。それで終わる、関係。そのとおりだった。よくわかってる。ほしいから、望んでいるから、もう目の前にあるのにどうしてつかめないのか。頂上は目前なのに登頂ルートが何一つない、そんな状態。



「あたしは子供を持たない主義でしたからわかりませんけど、許せないものですか」



「本能的にね、理屈とか感情とかより先にダメだって思うのよ。なにも考えずにやめさせたいって思うの。もういっそ、まゆが彼とセックスしなきゃ死んでしまう病気にでもなればいいのかもね」



 もう半分、なっている。完璧に男性恐怖症。それに彼の話では過呼吸にもなりがちみたいなんだから。彼に女として愛され、ほかの男から守ってもらえる、ほかの男も怖くないと教えてもらえれば早いかもしれない。でも、でも、今はまだ選べなかった。



「自暴自棄になんてならないでください。あなたがしっかりしないと、まゆちゃんは一人ぼっちになるんですよ」



「そんなことないわよ、彼がちゃんと育ててくれるわ。むしろ私がいなくなったほうが」



 ごつんと、げんこつが頭に乗っかる。



「まったく、あたしでもわかりますよ。今のは言っちゃいけないことです。せんせーが聞いたら、幻滅しますよ」



「……」



 わかっていた。少し、やけになっている。気を落ち着かせよう。最近この傾向が強い。まゆとああなってから一ヶ月、ときどきヒステリーが顔を出す。戒めなきゃ。



「尾方さーん? お客さんですよ」



 ノックした向こうで良子さんが言った。ちょうどいいわ。気持ちを切り替えましょう。パンパンと頬を張って、ジャンプするように立ち上がった。



「こんばんは。この前の鍋を返しに来ました」



「あらまあ、いつでもいいって言ったのに」



 上山先生だった。なぜか、後ろに女の子たちがこそこそ覗き見をしている。ふん、いっそこの人に鞍替えしなさい。そうすれば不倫よ。一気にどろどろした昼ドラ劇だわ。



 私は絶対に……不倫なんてしない。一対多数の関係なんて嫌。



 そう、思ってた。その矜持も危うい、今日この頃。みゆちゃんの笑顔と、まゆの笑顔。私が抱いてもらえるようになるには、まゆも元に戻る必要がある。そうでなければ、ほかの女の子たちとの関係は解体。それはほぼ無理だと最近わかってきた。覚悟を決める必要が、覚悟を決めたいと思う気持ちが、最近湧いてきつつある。



「また叱られましたよ。別の女連れ込んで何様だって」



「あらあら、ごめんなさい。こんなおばさん趣味じゃないって言ってやりなさいよ」



「あはは。まだ僕と同じ二十代でしょう? おばさんなんて言わないでください」



「まあお上手。立ち話もなんですから上がってきます? 別の女のお家に」



「いえ、ここで結構です。長話もなんですので、この辺りで」



 去ろうとする彼に思わず、「ねぇ、私のこと本当に二十代に見える?」とわけのわからないことを言ってしまった。彼はさすがに不思議がったみたい。



「違うんですか? まゆちゃんも一年生ですし、若く見えますし」



「女として見れる?」



「え、あの……? 僕、彼女が本気で好きなんです」



「本当に不倫しろって言ってるんじゃないわ。私に、女としての魅力、あると思う?」



「……はい。充分すぎるほどだと思いますよ」



 ならどうしてあの人、欲情してくれないのよ。



「あなたは陰口言われたら気分悪くする? それも、自分のことを責めてばっかりだった女が、そっちのことを棚に上げて」



「え、あの、それはどういう……?」



「答えて」



「……それはよくは感じないですよ。耳にしたらどうしてそんなことを言ったのか聞きたいですね」



 やっぱり。どうしよう、かな。都合いい、よね。



「でも、言うほうも言われるほうもなにか理由があるのなら、僕は許せると思います。自分が少しでも気にかかっている人なら、自分と関係が深い人なら、たとえば、あなたのような人なら」



 一瞬、彼の影が重なって……体が勝手に、ぐらりと彼に倒れこんでいた。受け止めてくれた彼の胸に顔をうずめ、小さく「ごめんなさい」と呟いた。



「……いいえ。僕は気にしませんよ。話してくれてむしろ好感度が上がりました」



 肩に手が乗る。……勘違い、してるけど、でも訂正するのも面倒ね。ああ、でも、でも、



 あの人の感触とは全然違うわ。匂いが、香水の匂いが強い。胸板は厚い、体育の担当っていうのは本当なのね。でも……前の主人を思い出してしまって嫌。手もべたべたなれなれしい。抱きしめないだけマシだけど。



 比べに比べてしまって、やっぱり私は夢中なんだって、再確認にしかならなかった。安心なんてしない。むしろ焦がれて焦ってしまう。でも、やっぱり社交辞令は必要で。



「先生、結構カッコいいのね」



 と離れてから言っておいた。



「そんなことないですよ。あなただから許せるだけです」



「光栄です。私も心の広い先生だから話せるのかしらね。きっとそうだわ」



 やっぱり、世渡りは苦手だわ。



「こちらこそ。これからお世話になると思います。よろしくお願いします」



「はーい。夜のお世話もしてあげていいわよ?」



「冗談はやめてくださいよ」



「私は浮気相手募集中だけどなー。若くてイケメンの体育教師がいいわね。今度探さなきゃ。うちの主人には、内緒でね?」



「……」



 あれ。目の色が一瞬、変わったぞ。動揺というか、なんというか。泳いだって言うのね。あれあれ。ふふふ。ちょっとは考えてくれてるのかしら。だとしたら、私に魅力があるっていうのもあながち嘘じゃないわね。



「じゃあ、またお裾分けに行きますね。色々なものを」



「……はい。楽しみにしています」



 にっこりと、どこか危うげな笑顔をして彼は去っていった。まあ、私の実年齢教えればそんなこと考えもしないでしょう。ありえないわ。私と簡単に不倫したがるなんて。



 社交辞令じゃなくて本気で私を美人だと言うのは。あの人しかいないと思う。



 散々はやし立てられたけど、そのままの意味しか言ってないと言ってやった。要するに、彼とは浮気をしたいだけだって。まゆにすぐ看破されたけど。嘘つき、って。



「どうせなら本気でしてくれると助かります」



 なんて、静香(しずか)ちゃんは言ったけど。



「みんなはこれからほかの男とえっちしたりしないの? あの人別に構わないって言ってたけど」



「するわけないです」



 全員がこう答える。でも私は。



「私はやる前からそうよ。リードしたいもの。昼は姉さん女房で夜だけはあの人に従順になるの」



 と夢物語を語ってしまう。するとはみんな憎々しげな瞳で睨んできた。思わずこっちがたじろぐほどに。そりゃあそうよねぇ。今目の前でタイプしている彼を見て、誰がそんなこと考えつく? みんなずっと傍で見てたいと思うわ。そっと近づきたいって、後ろから抱きすくめたいって、絶対に。



「……」



 拒絶しない。なにも言わなくてもこの人はわかってるみたいに、気にしちゃダメですよ、とでもいうような、包み込む卑怯な瞳をする。負ける。負け続けでただ、なにも言えずに傍にいたがるだけだった。傍にいれば、たとえ相手にその気がなくてもいつかはチャンスが生まれてくる。昔からそう思ってた。実際、前の相手はそれで捕まえたようなものだったから、この人だってと、思い込んで。



 香る匂いに酔ったまま、なにか言葉を、待ち続けていた。



 私からなんて決して、言えない。



 



 



 



 



 お母さんと憲邇さんが二人きりなんてよくあること。お母さんはどうせいの特権を使ってなるべくそばにいようとしてる。あたしもそう。お風呂から上がってもお母さん見当たんないからきっとまた憲邇さんのとこだって、邪魔してやろうって行ってみると、珍しく静かだった。こっそり、扉の隙間からのぞいてみる。



「……」



 中で憲邇さんが座ってカタカタしているのを、お母さんが後ろから抱きついてた。あからさまにおっぱいまでくっつけて。二人ともなんにも言ってない。憲邇さんが一息ついて、お母さん見上げたらお母さんぎゅっとした。憲邇さんそっと手をとって首ふった。お母さんもっとぎゅうって強くして憲邇さんより激しく首ふった。それから……くっついたまま、黙ってる。憲邇さんまたカタカタしだした。お母さんは絶対はなそうとしてない。



「……」



 二人の間に、あたしたちにはないおだやかな空気が流れてた。なにも話さなくてもわかりあってる。言ってもらわなくてもわかってる。あたしよりずっと大人……二人だけの時間になるのがなんなのか、わかんなくて、でもなんだかすごく怖くなって一歩ずつあとずさりしてった……



 勝てないよ、あんなの、勝てっこない!



 



 



 あたしとお母さんの部屋には、戻れなくて。いつもみゆちゃんが泊まってくお部屋で体育座りしてる。お母さんあたし探すかもしんないけど、ここで寝てたら大丈夫だと思う。



 お母さん。あんなにきれいなお母さん……



 ごうもんだよ、これ……なんであたし、お母さんと憲邇さんが、仲良くなってくの、こんな近くで見なきゃいけないの? 同じおうちに住んでるのに、一緒のお布団で寝てるのに、どうして……



 憲邇さんがえっちしてくれたら。



 お母さんさえいなかったら。



 区切りなんてついてなかった。お母さんは、お母さんだけは許せない。どうしても、憲邇さんの恋人になるの、許せないよ。



 お母さんも憲邇さんも、あたしとえっちしたこと、悪いと思ってる。憲邇さんはお母さんに頭が上がらない。ううん、わざと上げてない。だから、お母さんはずけずけ言いたいこと言う。言わせてもらってる。命令だって、お願いだってたくさんしてる。あたしたちがどれだけっ、やりたくてもできないか……知ってるくせに。知っててやってるんだよっ、お母さんはっ。その上言わなくてもあんなわかりあうなんておかしいよ、ひきょうだよっ。



「お願いします」の一言が言えないんだよ。わがままだって思われたくないんだよ。それで憲邇さんきらったりしないってわかってても、ためらうんだよ。そこを憲邇さんはいっつもくんでくれたんだよっ。それを、それをお……



 指輪ちょうだいって、言うつもりで頼んだんだ。



 腕組んでみんなに見せびらかしたいから、授業参観一緒に来たんだ。



 あたしのためってかこつけて、そんなこと……



「あたしが先に好きって言ったんだよ! あたしが先にえっちしたっ、あたしが先に、指輪もらったのにっ!」



 子供子供子供! いっつも、最後までいっつもこれだあ! 子供でなにがいけないんだよお……あたし、子供じゃないもん、おんなだもん……おとこを好きになる、一緒にいたい、えっちしたい、赤ちゃんほしい……



 九年たったら。憲邇さんと結婚できることは本当。憲邇さんは信じてる。でも、お母さん信じらんなくなった。お母さんは大人で、ずるして、憲邇さんからめとって奪ってきそう。「父親のほうが、まゆだっていいでしょう?」って、あたしのこと考えてるフリして自分が好きなだけなんだ。きっとそうだ。絶対そう。



 前のお父さんと楽しそうにお酒飲んでるときの顔、するようになった。お父さんが目を覚ますのをじっと待ってたときの大好きな顔、するようんなった。お父さんが目を開けたときに初めて見たきれいな笑顔、またしだした。それも普通にっ、一緒にお出かけする日、いっつもっ!



 輝くなよ。あたしのしあわせ、とったくせにっ。そうだ。ムカつくの、そうなんだ。お母さんが恋人になるのがやなの、そうなんだ。



 あたしの場所を奪って、自分が代わりになろうとするからだ。



 娘なんかじゃまなんだ。



 きらいなんだ……



 そうだ……



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 第十七話あとがき的戯言



 



 三日月(みかづき)まるる、以下作者「野外露出。野外露出。野外露出……」



 眞鍋(まなべ)みゆ、以下みゆ「は、はしたないですそんなこと言うの」



 葛西良子、以下良子「いきなりなに言ってるんですか」



 作者「こんばんは、三日月です。このたびは「ごめんなさい」第十七話を読了くださりましてありがとうございます。今回は最古参のお二人に来ていただきました」



 みゆ「こ、こんばんは、みゆです」



 良子「こんばんは、良子です」



 作者「正直野外露出なんてしてもどう楽しいかを伝えられるほど詳しくなんてないんですよ! 性描写は正常位に一回だけで充分です!」



 みゆ「だからはしたないですよぅ、そんなことばっかり言ってぇ」



 良子「だったら書かなきゃいいじゃないですか。大体ですね、性描写が少ないんです。私はもっとご主人様と仲良しになりたいんです」



 みゆ「そ、そんなことないです。憲邇さまたくさんしてくれてます」



 作者「そんなことはさておき、愛さんでしたっけ。また新キャラですね。やりすぎです」



 良子「そんなに親しいわけじゃなかったので驚いてます。ああいう人、まさにご主人様の好みど真ん中じゃないでしょうか」



 みゆ「どんな人なんですか?」



 作者「それは教えられません。出会ったときに聞いてください」



 良子「久しぶりに秘密主義なところが出ましたね」



 作者「そうだ、みゆさん、その髪留め、よく似合ってますね」



 みゆ「あ、ありがとうございます。憲邇さまに選んでもらいました」



 作者「学校は髪留めくらい許してくれましたっけ」



 みゆ「はい。つけてってます」



 作者「……まあ、似合う人と似合わない人っていますよね」



 良子「どういう意味ですか、なんでこっち見て言うんですか」



 作者「試しにみゆさんのを着けてみましょう」



 良子「……どうです? 結構、悪くないと思うんですけど」



 作者「う、確かに。すみません、先ほどのは失言でした」



 みゆ「やっぱり良子さん、美人だからなにつけても似合いますね。みゆとは大違いです」



 良子「そんなことないわよ、みゆちゃんだってかわいいです。はい、返すね」



 みゆ「……」



 作者「みゆさんはずっと良子さんが羨ましかったんですよね。女中のお仕事でお泊りもあって、雑貨が憲邇さんの家にあることに」



 良子「そう、聞きましたけど、でもね、傍にいるのに気付いてもらえないっていうの、辛いのよ。絵里さんとか、すごく感じてると思う」



 みゆ「そ、そうなんですか? みゆからするといいなぁって思ってばっかりで。ごめんなさい」



 作者「謝ることでもないですよ。すべてあの女ったら」



 良子「引っぱたきますよっ」



 みゆ「そうです、そんなこと言っちゃダメですっ」



 作者「う、またこのパターンですね。それでは今回はこの辺で。さようなら」



 良子「さようならっ。いいですか、女ったらしっていうのは自分から女の子とたくさん関係を持つことを言うんです」



 みゆ「さようならっ。憲邇さまは全部女の子たちからなんですっ。みゆたちのわがまま、聞いてくれてるだけなんですっ。憲邇さま悪くありませんっ。もっと憲邇さまがしあわせになるようにお話考えてくださいっ」



 



 20090616 三日月まるる



 




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テーマ : 官能小説 - ジャンル : アダルト

2009/07/26 01:29 | 小説COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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