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「ごめんなさい」その三十一_第三十話_柚香里

 メリークリスマス、三日月です。聖夜記念一万記念ということで一話だけ更新です。クリスマス、バレンタイン、結婚記念日はいいのですけれど、元旦に自分ができちゃったと知ると複雑な気持ちですよね。皆様明日はがま……それはさておき、コンソメパンチのCMかわいいですね。つい買いたくなります。おいしいですし。小さい子供はやっぱりジャンプするくらい元気があるのがかわいいです。もちろんこども店長もかわいいです。紅白にしようかダウンタウンにしようか迷い中。
 次回更新は来年一月二十七日水曜日(前後)予定です。通常営業の二話更新になります。
 拍手ありがとうございます。たくさんいっぱい感激です。やっぱり皆様家族がお好きなのですね、私もです。
 それはさておき、本年は本当にお世話になりました。たくさんのご来訪、ご感想、拍手感謝しております。ありがとうございました。来年もまたよろしくお願いします。皆様よいお年を。
 その前にぜひこちらをどうぞ。第三十話です。では私も絵里さんまゆさん親子を電車に乗せる準備をしながら、年越ししようかと思います。ではまた来年、お会いしましょう。























 三十 柚香里








 昔のように大きな椅子の上に
憲邇(けんじ)が座り、その上にわたしが座った。憲邇が優しく後ろから抱きしめてくる。自慢の長い黒髪を擦りつけ、わたしは至福の笑みになる。


 あの頃は子供だった。憲邇も子供で、大人びようとしてる憲邇と一緒で、お父さんがいなくて。いろいろとなにかがずれてっちゃったから、わたしはこんなのになってしまった。


 異常な女。実の弟以外男として見れない、その弟と二人も子供を作ってしまった、ぐずぐずに崩れた女。


 でも幸せだった。この人の子供を産んだときも、育てたときも幸せでしかなかった。辛くて、苦しいこともあったけど、それもみんないい思い出。後悔なんてしていない。するはずもない。


 ただ、子供だった。なにがいけないとしたら、わたしが子供だったという、それだけ。


 それだけであってほしい。


「憲邇……
柚香里(ゆかり)ね……柚香里はね、憲邇がいるからだめになっちゃったんだと思うの。甘えてたんだって」


「僕は甘やかした覚えはないんだけど」


「うふふ。そうだね、憲邇はそうだよね……憲邇にとっての当たり前を柚香里はただ享受してただけなの。子供のくせに成長していかない、ぐずでしょうのない」


「ゆぅちゃん」


「違うの、憲邇、聞いて。柚香里はね、憲邇と別れてから、中学に上がってから大きくなったんだよ? ようやくお姉ちゃんらしく成長したの。お腹の子供は忘れなくちゃいけない、でも大好きな人の子で大切だった。……育てたかったけど、新しいお家はだめだって、養子に出したんだって。まさか
詩音(ふみね)ちゃんがそうだなんて思わなかったけど。名前も読み方もぴったり。まず間違いないかな」


「……」


「子供を、産んでね、少し大きくなった気がするの。学校のみんなは誰も柚香里が母親だなんて知らないけど、でもね、すくすく育ってくれてる詩音に恥ずかしくないようにって、大きくなったの。もっと大人になったらちゃんと迎えに行ってあげないといけない、柚香里が母親じゃ嫌かもしれないけど、受け入れてもらえるような立派なお母さんに──
紗絵子(さえこ)お母さんみたいに──なろうって。そのときはきっと、どうしても思い出せないお父さんがいるはずだって思ってたから」


 異常なんだ。わたしは自分で自分の記憶をいじれる、おかしい人間だと思う。お母さんに今日からあなたはこの人の娘よ、って言われたショックからかもしれないけど、でもわたしはおかしいから、自分で傷の浅いようにこうしようって考えたんだと思う。忘れたほうが楽だって。今ならわかる。そうだって。そんな気、する。わたしは辛いことがあると『自分は前からこうだった』と勝手に記憶を改ざんして、自分の弱すぎる心を守ってるんだと思う。無意識に。何度もその経験を経て、大人になった今ならわかる気がする。なにより失った記憶の欠片をほぼすべて取り戻した今なら、自分の記憶の変遷がよく、わかるから。どうしてって思うと、こうだろうとしか、思えない。


 もしかしたら憲邇か、あるいはお母さんが、なにかしてくれていたのかも、しれないけど。


「柚香里ね、明るくなれたの。明るくて元気な女の子に。ちょっと元気すぎて男勝りになっちゃったけど、あはは。それは……憲邇もよく知ってるでしょう?」


「うん。ゆぅちゃんがびっくりするくらい明るくなってて嬉しかったよ」


 抱きしめる手が強くなってく。わたしも自分の手をそっと重ねて、この慈しみに満ちた指を撫でていった。


「それはね、やっぱり憲邇がいなかったからだと思うんだ。大好きな弟がいなくなったら、変わらなくちゃって、変わらないといけないって危機感に焦ったんだと、思うの」


「でもそれは……一歩間違えたら大変なことになる」


「ほら、憲邇は過保護でしょう? 変化を恐れちゃいけないって、言ったくせに」


「そ、そうだったかな……」


「憲邇はね、昔のことだし、子供だったから仕方ないけど慎重すぎたんだよ。柚香里のことを守りすぎだったの。柚香里もきっと、憲邇に守ってもらえるのが当たり前なんだって傲慢になってた」


「そんなことない、僕はゆぅちゃんに助けられてばっかりだったじゃないか」


「いいえ、憲邇ばっかりお姉ちゃんを甘やかしたの。異論はお姉ちゃんが認めません」


「卑怯だぞ、そんなこと言われたら逆らえないじゃないか」


「当たり前です、お姉ちゃんなんですから」


 くすくす笑いながら胸に顔を埋めた。今ではもう、たくさんの女の人の匂いが混ざってしまってる憲邇の匂い。それでも大好きな弟の、本の落ち着く匂いを感じる。


「今ぐらいのがちょうどいいんだよ、きっと。憲邇と一緒に暮らしてるけど、お互いお仕事に汗をかくの。それくらい離れてないとまた柚香里はごっちゃごちゃになっちゃう」


「……僕は、ゆぅちゃんが専属の看護師がいい」


「っ……や、やぁだ、冗談きついよ、もう」


 顔熱くさせるのが上手なんだから。そうなれたらいいって、誰よりわたしが一番思ってるからって、ずるい。


「八年を埋めたい。できるだけゆぅちゃんと一緒にいたいよっ……この一晩じゃ全然、足りないっ」


 長い髪に憲邇の顔が被さる。すりすりしてくれる弟が好き。


「うん……埋めてこうね、ゆっくりでいいから……また赤ちゃん、今度は男の子がいいな」


「こればっかりはどうしようもないよ。女の子が生まれやすいのは仕方ないんだ。女性のほうが優れているんだからね」


「あー、そういうの蔑視っていうんだよ?」


「……そうかなぁ。女性は一人でも生きていけるけど、男性は絶対に無理だと思う」


「そんなことないよ」


「生きてけるのは、男は支えがあるからさ」


「一緒だよ、男も女も。支えがないと人は生きてけない」


 絶対に。そう思う。


 柚香里は憲邇がいないとダメ。生きてけない。大切な弟がいないと無理。中学のときや、みゆが生まれてからはね、憲邇がどこかにいるって、待っててくれるって信じてたからなだけなんだよ? それと大切な子供の、詩音とみゆがいたから。誰かいなくちゃ、家族や好きな人がいなくちゃ生きてけないよ。人間はきっと全部そうだよ。


 一人じゃ生きてけないんだよ。


「出産は大変だった?」


「うん、とっても。十三で、だからさ、あはは、お母さんと一緒だな……死ぬかと思った。憲邇の……名前、呼ぼうとしてもね、なくなってたから、言えなかった。ぼろぼろ泣いてね、向こうのお義母さんに心配かけちゃって。声が出なくて……呼んでるはずなのに、なんにも声にならなかったの。大変だったなぁ」


「ごめん。何度母さんを問い質しても教えてくれなかったんだ。……母さんもぼろぼろ泣いてさ、ごめんねって謝るばっかりで」


「仕方ないよ。お母さんも自分と同じ目を子供に遭わせたくなんてないもの。柚香里だってそうだよ。みゆも……みゆにも、柚香里とおんなじような目に遭わせてる。ひどいよね、憲邇がいなかったらみゆきっと生きてられないよ」


「……聞いていいの?」


「……ご、ごめんね、もうちょっと……あとにして」


 誰になにを、されたか。震えが湧き上がり、もっと強くって、ねだっちゃう。


 みゆと違い、陵辱されていないだけましね。ううん、ずっとずっと幸せよ。


「ゆぅちゃん、さっきから気になってたんだけど、左手と、あれ、まさか」


 あ、気遣っちゃって。ふふ、もうしょうがないなぁ。


「うん」


 左手をそっと掲げる。「憲邇がくれた指輪だよ。結婚指輪。あれはね、高校のときにもらった万華鏡だよ。ずっとずっと、大事にとってたから」


 薬指にあるのはただの銀の指輪。憲邇が自分で作ってくれた、ちょっと楕円になっちゃってるもの。万華鏡は自作じゃない、とても綺麗なやつ。憲邇がそっちまで作ってたら、きっと変なのになってたと思うな。憲邇が来るまでに、準備しといたの。


「やっぱり……僕もとってあるよ。ほら、一番上のぼろぼろの本」


「あ……」


 ほんとだ。あれ、わたしが小学生の頃お小遣い貯めてプレゼントした図鑑だ。確か鳥図鑑。男の子って好きそうだって思ったの。


「……もう。あんなになるまでとっとかなくていいのに」


「いいじゃないか。ゆぅちゃんだってとってた癖に」


「書物と銀細工は耐久性が違います。憲邇は本が好きですぐぼろぼろにしちゃうんだから……ごめんね、めんどくさい女で」


「どこが? ものを大切にしてくれる人を好きになってよかったよ」


「もう」


「ものも、思い出もね。ずっと想い続けてくれて、信じ続けてくれたんだ。僕も同じだ。嬉しくてたまらないよ……」


「憲邇……」


 上を見上げて、深い海の色にそのまま、唇を奪われちゃった。甘くて、とろけそうになるの。昔から、だよね……反則だよ。


「僕こそごめんだ。こんなにいて、ゆぅちゃんだけを選べない」


「ううん、いいの。お姉ちゃんだから許したげる。その代わり! これからなにがあってもずっと一緒にいるって約束して? 柚香里が別れたいっていっても無様にすがるの。できる?」


「うん。そんな簡単なことでいいなら」


「絶対?」


「絶対」


「じゃあ、誓いの指きりしよ」


 右手と左手の小指を絡めた。


「ゆーびきーりげーんまーん、うーそつーいたーらはーりせーんぼーんのー、ますっ。ゆーびきったっ」


 指を離すと、またすぐ憲邇は手を握ってきた。


「今度こそ守れるかな。僕はゆぅちゃんに嘘をつきっぱなしで、ずっとゆぅちゃんだけを愛するっていうのすら守れてない」


「ううん、柚香里だけを愛してくれてる。お姉ちゃんが言うんだよ、次そんなこと言ったらめっ、だからね?」


「……うん」


 憲邇が申しわけないって思うのも嬉しいけど、でもしつこいよ。しょうがない弟ね。


「ねぇ憲邇、男の人って、好きな人じゃなくてもえっちなことしたいって思うの?」


「思う人もいるよ。ただ抱きたいだけの人だっている」


「憲邇は違うの?」


「違うよ。好きでもない人と夜を過ごしても嬉しくなんてない。女を抱きたいんじゃないんだ、好きな人を抱きたい」


「……柚香里ね、女を抱きたいってだけの人にばっかり、会ってきた」


 今だからわかる。憲邇と幼少時代を過ごした記憶のない頃のわたしが、憲邇と別れてから誰かと付き合い、セックス寸前までいった記憶。あれは全部嘘だわ。自分で勝手に捏造してる。


 乱暴されたっていうのを、一応付き合ってた人って勝手に変えて、それで自己を守ってたの。服を破られ、勝手にあちこち触られ、ぶたれたのを、せめて好き合った人と最後までしようとしたって、都合よく変えた。それだけなの。わたしはなんて異常なのかしら。


「柚香里が襲いやすそうだからってだけで、よくち、痴漢とか、絡まれたの。えっちしたいえっちしたいって、そればっかりの人たちに」


「違うよ、ゆぅちゃんが綺麗だから」


「もう、またそういうこと言う」


「言うよ。僕だけでもずっと言う」


「ばかぁ、さいてぇだよぅ……だ、誰にだって言ってるんでしょう、ほかの女の子にも綺麗ってさ、そ、そんなの嬉しくないもん」


「ごめん。でも綺麗なんだ。言わせて」


「……うん」


 また少し、ついばむみたいにキス。嘘だよ? ほんとはすっごくすっごく嬉しいの。あまのじゃくでごめんね。憲邇だって綺麗だよ。


 ちょっとの間を置いて。


「……暴漢にね、襲われたとき、助けてくれた人がいるの。嬉しくって、ちょっと仲良くした。でもね、その人お茶した帰りに、家まで送って、くれて、と、止めたんだよ? でも上がって、ちょっとって、時間潰させてよって、上がって、きて……いいだろうって、抱きついてきたの。胸触って、服脱がそうとして、嫌って言ってるのに無理矢理するの。た、助けたんだからいいだろうって、お、お前だって俺のこと好きなんだろうって、家に入れるってそういうことだろって、そんなこと言って……」


「そう……」


「したいだけなのよ。やりやすそうな女としたいだけ。柚香里としたいわけじゃない。そんなの嫌……必死で抵抗して、最後には包丁取り出して追い返した。傷だらけで……強引にされたから、痕が残ってる」


 もみくちゃにされて、あちこちをぶつけて引っかいて。そっとパジャマの襟を引っぱり、上にある憲邇からは鎖骨の斜め下にあるケロイドが見えてるはず。消そうと思って頑張ったけど、まだちょっと残ってる。そこだけじゃない、体中、あちこち。裸なんて見れたものじゃないって、お風呂に入るたびに思う。


「ひどい……」


「そういう人、ばっかりだった。襲われて、痴漢されて、助けてもらって、助けてもらった人に、また襲われて。その繰り返し。もう男の人怖いってすぐになった。信じられないって。女の人もすぐだめになった。えっちなことしないけど、やっぱり襲ってくるの。大きな声で。……怖かった……ようやくね、
久代(ひさよ)さん夫妻に出会えて優しくしてもらってる。きっとね、柚香里が男の人怖いのわかってるんだ。いつも笑顔で見守ってくれてるの」


「そっか。いい人に巡り会えたね。後でお礼に挨拶に行かなきゃ」


「うん。憲邇はね、柚香里にプロポーズしたことになってるから口裏合わせるんだよ?」


「合わせるもなにも、事実じゃないか」


「うふふ。そう言うと思ったぁ」


 じゃれついちゃう。憲邇は相変わらずだよ。最低の女ったらしなんだから。


 しょうがないから、柚香里がもらったげる。お姉ちゃんが嫁いであげるんだよ? 憲邇が泣いて頼むんだからね?


「もう二度と僕がそんなことさせないよ。守ってみせる。ゆぅちゃんがなんて言っても、絶対に守るんだ」


「う、うん……そういうときはお願いね。柚香里は非力だから……そ、その代わり、お姉ちゃんがいくらでも憲邇にえっちなことしてあげる。身の回りのお世話も、
良子(りょうこ)さんいるけどできるだけするの。特にお花のお世話が得意だから、花壇作りたいな」


「任せるよ。……いや、いつか一緒にしてもいいね。家が華やぐと嬉しいな。女の子いっぱいで充分華はあるけど」


 久代さんとおんなじこと言うね。


「憲邇の好きなお料理たくさん作ったげる。お仕事のお手伝いもしたいな、資料整理ならできるし、お裁縫だって。ゆ、柚香里だって、ちゃ、チャイナドレスくらい、き、着るよ? 憲邇が言ってくれたら、いくらだって」


「じゃあバニーガールの衣装着てもらおうかな」


「バニーガール? む、無理よぅ、そんなの似合うわけないじゃない。えっ」


 耳のすぐ傍で囁かれるあまあまの声に、全部許しちゃう。


「ううう、卑怯だよぅ、そんなの言うのずるだよぅ……わ、っ、わかった。着る。着ますっ。その代わり、ほんとにしてね? でないと怒るからねっ。約束だよ?」


「どうかな、僕は嘘つきだからね。着せるだけ着せて約束を守らないと思うよ?」


 あ、憲邇がこう言うときは嘘だ。わざとこう言ってるの。ほんとはきちんとしてくれるくせに。


「もう、お姉ちゃんじゃなかったら怒ってるよ? っふふ、いいよ。柚香里は今や憲邇の奴隷だもんね」


 言葉だけじゃない。ほんとにわたしはもう、憲邇になにを言われても従える自信がある。さっきのなんて嫌って言うのは口だけだし。あんなあまあまを言われなくったって、やる気満々だったから。


「奴隷で恋人だよ」


「それから妻ね。ここだけは譲れないよ?」


「うん、僕こそ」


 そっと憲邇の指が薬指をなぞってくれる。大きな弟の触れるのを感じて、くすぐったい笑みばっかり。


「僕も言わなきゃならないことがあるんだ。中学に上がってからのこと。そんなに大したことはないんだけど、この前も言った、施設の人に命を救ってもらったこと。だから医者になったんだ」


「うん。偉いよ、憲邇」


「ありがとう。だからね、医者に定年は今のところないんだ。花屋で一緒には働けそうにない」


「えっ、そ、そうなんだ……」


 ショックだなぁ。ど、どうしよ、一度でいいから憲邇と同じ職場がいいのに。


「わかった、お姉ちゃんが譲って、看護師になったげる」


「あはは、今からなれるの? 大変な仕事だよ」


「残念ね、調べたの。今の看護師は求人がいっぱいって」


「そりゃあそうだけど……本気?」


「当たり前でしょうっ。お勉強したことも思い出したから。今と昔じゃ違うかもだけど、再チャレンジしたいの。いいでしょう?」


「うん。喜んで迎えるよ。待ってる」


「えへへ。柚香里のナース姿に欲情しちゃだめだよ?」


「それは無理な注文だよ」


「もう、憲邇ったらぁ」


 すけべになっちゃって。しょうがないっか。これだけ多いもんね。許したげる。


「それと……中学に上がって、高校で再会するまでの間だね、言っておくことが……」


 少し黙る。言い辛いことかな? 別にわたし以外の人と付き合ってたって許したげるのに。


「今の桜園、パトリシアのいるところだね、そこの施設の創始者と子供たちと、小学校の頃に知り合ってたんだ」


「うん」


「それで……中学に上がってね、僕、誘拐されたんだ」


「えっ」


 驚いてじっと見つめてしまう。


「どうしてかな、うちはお金なんてなかったし今でもわからないけど、誘拐されて身代金を要求されたんだ」


「……憲邇が、上品に振舞うからだよ。童顔だし、きっといいとこのお坊ちゃんだって思われたんだ」


「そう、かな。とにかく母さんに何千万なんて払わせたくないって、思ったんだ。……母さんは、きっとあの母さんは借金してでも払おうとするって、子供だったから勘違いしてね」


 そのとおりだと思う。わたしを引き離すしかなかった紗絵子お母さんが、残った憲邇だけに頼って生きてっても誰も責めることなんてできない。取り乱してすぐにお金の工面に走るお母さんなんて簡単に想像できる。


「それで……誘拐された場所から、逃げ出したんだ。相手を騙してこっそりね。そしたら……その、創始者の
武文(たけふみ)さんに偶然、出会ったんだ。助けてもらおうって、思って、近寄ろうと、してさ、でも、すぐ、後ろにね、犯人が来てたんだ。武文さんは……とても立派な人だったんだ。僕を、庇って、逃がそうって、犯人と、争って……僕だけが、生き残った。武文さんは傷つき、騒ぎが大きくなって犯人は逃げ出した。病院についていったけど、武文さんはもう、還暦を迎えてて……亡くなったんだ」


「……」


 命を救ってもらったって。このことだったんだ。なにをしても恩返しができない。それは死んだ人にはどうやっても、できっこないから。


「彼は、彼こそあの子供たちを導く、父親だったんだ。僕は代わりをやっているだけ。あの人は凶器を持った犯人と対峙しても、決して子供たちの力を頼らなかった。僕がいたからかもしれないけど、あの人は僕と違って、みだりに子供たちに無理をさせなかった」


「……」


「武文さんは死ぬ間際に、僕に桜園の子供たちを頼むって、言ってくれたんだ。まだ中学生の僕に。少しは親しかったけど、僕になんてびっくりして、子供たちがそんな不思議な、漫画みたいなことがあるんだって聞かされても信じられなかった。……でも、彼はその立場上、親しい人がいなかったんだって、後で知ってね。天涯孤独の身だったからこそ、子供たちと深く関係を持ってもいいって、思ってたそうだ。それでたまたま、子供でこういったことに抵抗を持たない僕に白羽の矢が立った、いや、立たざるを得なかったんだ」


「……」


「僕は彼女たちを救いたいって、思った。だから医者を目指したんだ。武文さんに助けてもらったこともある。どちらも大きな理由で、譲れないものになったんだ。ああ、彼女たちはね、不思議な力のせいで心が不安定なんだ。だから精神科医を目指した。あの人のように経験のある大人じゃない、子供だったから勉強しないとって、必死だった。……なにせ、なにをしたらいいかわからない僕は多くの、もっと幼い子供たちを危険に晒して、施設出だというだけで偏見に曇る、昔は多かったんだ、人たちからもなにもできず、ただ泣かせ続けてた。彼女たちは次は僕だと、しばらくは理解できなかったみたいで、寧ろ彼の死を受け入れられている子供がいなかった。僕が代わりだと何度言っても、マスターはどこですかしか言わない。探してもいないんです、お兄ちゃん知りませんか……子供で、無力であることがこんなに辛いと、思ったことはないよ。力がないというのは罪なんだと初めて知った」


「憲邇……」


 弱々しい憲邇。そのときに傍に、いたかった。わたしができることといったら憲邇を慰めることぐらいしかないのに、一番必要なときにいないなんてお姉ちゃん失格だね。ごめんね、憲邇。


「それぐらいかな。今はようやくみんなを安定させることができつつある。けれどまだまだだ。彼女たちの力に頼らなければなにもできないのに代わりはない」


「ねぇ、憲邇。自分にできないことをできる人に頼るのって、いけないの?」


「……でも」


「言ってくれたでしょう、子供の頃。もう忘れたの? そうやって助け合って人間は生きてるんだって、言ってくれたじゃない」


「違う、僕にできることを頼ってる」


「違わないよ。憲邇はあの子たちに得意なことを頼って、あの子たちは憲邇の得意なところに頼ってる。あと憲邇は大人だから、子供じゃできないことも。あの子たちは子供だから、子供にしかできないことあるし。子供たちに憲邇は癒されてる。それっていけない?」


「違う、違うんだ」


「それが家族でしょう?」


「──」


 憲邇の目がすごく見開いて、身動きとらなくなった。かすかに震えて、見る見るうちに涙目になる。わたしはそっと手を伸ばして、よしよしって撫でてあげる。


「……家族、かな。なれてるかな」


「血の繋がりだけが父親じゃないよ。あの子たちにとって憲邇は立派なお父さんです。武文さんの次の、二人目の大事なお父さん。見ればわかるよ、何度かね、桜園の子が来たことあるから。あ、パティちゃんはお父さんじゃなくて恋人がいいみたいだけど」


「……初めて、だよ。あの子たち以外で、そんなこと言うのは」


「ふぅん? 意外だな、みんな言ってるかと思ったのに」


「僕は、父さんのことなんて覚えてないんだ。それなのに、知らないのに父親なんて、できてないって、ずっと思ってた」


「偉いね憲邇。子供ができたって父親になれないやつなんていっぱいいるのに。さすが柚香里の弟だ」


「……ありがとう……」


 それから憲邇は声もなく、泣いた。昔から泣いても声の出ない憲邇は、悲しいときは黙って泣いてた。わたしもただ連れ添って、そっと分けてほしいって手を繋ぐ。


 憲邇の無音の泣き声は、今までのどの悲鳴よりも耳に痛い。……今まで一人で、頑張ってきた。わたしからすると信じられない。誰にもこんなこと言えやしない。一人で抱えて、相談できずに一人で悩んで、苦しんできた。なんでも一人でやっちゃう癖ができてた憲邇は、こんなにも泣くくらいすり減ってしまってる。元に戻して、あげたい。


 二人なら、できそうな気がする。ううんこんなにたくさん、いるんだもの。


 何度か涙を拭いてあげると、ようやく止まってくれた。


「……ありがとう。すっきりした」


「ううん、柚香里こそ泣き虫だったじゃない。憲邇は少ないくらいだよ」


「そうかな……それと、高校のときはごめんね。とてもじゃないけど、言い出せなかった。騙してるってわかってても、ゆぅちゃんが欲しかったんだ」


「も、もう、そういうこと、い、言わないの」


 卑怯だよ、許したくなっちゃう。ずるいな、言い方。


「柚香里こそ、えへへ、あのときはごめんね。無理矢理女装させちゃって」


「いやいや、あれはあれで楽しかったよ。いい思い出だ。なにせ若いときじゃないとできない」


「ばかやったねぇわたしたち。修学旅行のときは二人だけで抜け出して、沖縄デートして回ったっけ」


「ああ、あったあった。翌日に泳げる時間あるから今は違うのにしようって、水着その場で買ってすぐそこの綺麗な海で泳いだっけ。おかげで翌日泳げなくなるくらい、後で先生にも
斉藤(さいとう)にも怒られたんだよね。先生はわかるけど、斉藤は単に羨ましいってだけでさ」


「そうそう。っふふ、先生はね、違うでしょう? わかってるくせにぃ」


「なにが?」


「あらまあ、とぼけるの? あの先生はね、私と二人っきりなら許したのにって、あとで愚痴ってたんだから」


「え、でも、そのときは先生には別の人が」


「ぶっぶー。あれはね、別れたけど悔しくないわよっていう、女のくだらない見栄なの。プライドが高いだけ。あの人は結構すれてたから、憲邇みたいな男の子に癒されたんだって」


「……どうして、そんなに知ってるの?」


「ふふふ。さぁどうしてでしょう? これから仲良くえっちしてくれたら、教えてもいいよ?」


「うん、わかった」


 ねぇ、キス魔。








 ちゅっちゅって音と一緒に、指が昔みたいに太ももをさすって、やめてって持ち上げそうになる。けど憲邇はやらせてよってやめないんだ。もう、変わってない。


 ほんとはこんなミニスカートでさ、太もも見せるのやなんだよ? 憲邇にはいいけどさ、若奥さん丸出しの
絵里(えり)さんとかさ、お姫様まっしぐらの春花(はるか)さんとかさ、同じぐらいの年でも負けてるのに、もっと若い子なんて敵うとこないんだから。憲邇はひどい弟だよ。


 
深町(ふかまち)柚香里は、高校のときの覚えもある。あのときは自信たっぷりにミニスカート姿を街中で披露して回った。その自分と、草薙(くさなぎ)柚香里の自分と、深町の自分。……競合するとやっぱり、深町が顔を出しそうになる。けどどっちでもいけそう。嫌は嫌だけど、自信がどこかありそうで自分でもまだよくわかっていない気がする。これから憲邇と八年を取り戻して、どうなるのか。わかるわけなかった。


 どっちでもいい。どっちになっても、柚香里は柚香里、わたしはわたし。わたしでいられる、気がする。憲邇がいるなら。わたしはわたしだけど、でも、


 憲邇のためのわたしでありたい。


 内助の功を、良子さんみたいにやれるようになりたかった。


 とりあえず食事当番は当たり前でしょ、愚痴聞き係もわたしだし、ご近所付き合いとか雑多なお手伝い、お買い物は節約上手になれるからね、昔散々したし、お仕事の資料整理なんてうってつけだよね。あとはやっぱり疲れた憲邇をマッサージで癒したりとか、夜の……今の求めを、えっちをしたいどうしようもない男の人の欲望に、応じてあげる。


「言っておくけど、男の性欲は果てしないからね? これだけいるからって安心してると大変だよ?」


「これだけいるから安心できるわけないでしょうっ、もう、憲邇のばかっ」


 憲邇がね、そんなに優しげに撫でてくれないと無理だよ。憲邇のぐらぐらする匂いがないと我慢できっこない。


「毎日、して。毎日お猿さんになって、毎日徹夜でやって」


「それは無理だよ、身体が持たない」


「なによぅ、子供の頃は毎日やりたいって言ってたくせにぃ」


「毎日やると嬉しくなくなるって言った癖に」


「今だけだよ。お姉ちゃんのわがままくらい叶えなさい」


「あはは。一週間でいい?」


「えっ……うん」


 あっさりと承諾した憲邇に、わたしもあっさりと頷いてしまう。


「わかった、一週間だね」


「……やっぱり嘘っ、今のなしっ! む、無理だよ、憲邇のあんなの、毎日やったらおかしくなっちゃうっ」


 思い出しちゃった。憲邇は昔も今も変態で、子供の頃なんて下着着けずに遊び回るのに連れてかれて、四六時中スカート抑えっぱなしの変な子だってみんなに思われたの。


「そうか。残念だけど助かったよ」


「ご、ごめんね無理言って。今日、今日も、朝までとか、いいよ。い、一回でいい、から」


「うん。できたらね」


「もう……んっ、んっ、はぁ……」


 憲邇のせいでわたしもキス好きになっちゃった。キスが大好き。キスしてくれないのにえっちなことするのなんて耐えられない。朝の挨拶なんて正気の沙汰じゃないよ。できっこないっ。


「ひゃっ、も、もう……急だってばぁ……」


 パジャマの裾が、ミニ丈がめくられる。子供の頃と違う、高校からの、レースたっぷりふりふりの白いショーツを憲邇に見てもらう。お花模様のだよ、わたしね、大好きなの。


「ぁ……もうっ! 変態っ!」


 した、下着姿見ただけだよ? あんなに見たくせに、なんで急に、お、おっきく……! やだっ、もう。


「脱いで」


「えぅ……ぬ、脱がせなさい」


「脱いで」


「……はい……」


 逆らえない。憲邇とキスを続けながら、そっとするするショーツを下ろしていった。どうしてかな、お姉ちゃんなのに、弟の鶴の一声に脱がしてもらいたい気持ちがどっかいっちゃった。で、でも恥ずかしいからパジャマで隠したままね。いいよね。


 膝のとこまでやってから口を離す。開けた憲邇がじろじろわたしの黒いところを見つめて……っ、ま、また、おっきく、した。まだ、パジャマ、あるのに。


 ……また、憲邇はショーツを脱がしたまま、スカートをそのままにしてくれる。憲邇が、してくれるの。恥ずかしくてたまらないの、また……嬉しいな……めくられるとかあって赤くなっちゃって、憲邇が笑うのに許しちゃうんだよ? 憲邇の愉しそうな顔で全部……


 めく、られる。履いてない、スカート穿いてるのに履いてない、わたしの女の子をじっくり見てもらう……どきどきする。またえっちなこと、してるんだね、憲邇と、二人……


 らんらんと輝く憲邇に我慢ならなくて、わたしはなぜかそれ以上見られたくないってショーツを引き上げてしまう。


「あ、こらゆぅちゃん、なにしてるの」


「お布団、い、いこ? こ、ここはだめ、嫌なの」


「それはいいけど、パンツを戻すのはよくないなぁ」


「うるさいっ」


 自分から立ち上がり、誤魔化すように髪をふんってかき上げて、つかつかベッドに向かっていった。


 ……立ち止まり。理由がわかる。わたしは、椅子の上だと突き飛ばされるのが嫌なんだ。わたしが嫌だって、この身体が気持ち悪いって言われるのが。


 自分のお腹をなぞり、そこにあるものを思い出して口が、勝手に動いた。


「ねぇ、憲邇……ほんとにこんな、傷だらけの醜い女、抱ける?」


「抱ける」


「っ……こんなだよ? こんな、気持ち悪い……あ、あたしでいいの?」


「ゆぅちゃんがいい」


 ほかになにも言うことないって、憲邇はわたしのパジャマを一気にめくり上げた。悲鳴を上げ、思わず隠そうとしたわたしを押しやり、無理矢理、強引に肌を見られる。傷だらけの上半身。二の腕が両方とも、あちこちにケロイドが残る。胸元もある程度隠せるものじゃないと見えてしまう。スリップの下にあるお腹にも背中にもそれなりに。なにより……左胸にも一筋、どれだけやっても消えてくれないのが、あった。


 見られたくない。見てほしくない。憲邇に、憲邇にだけは嫌われたくない。世界中の人がこれを見て眉をひそめても、憲邇だけが穏やかに微笑んでくれるなら救われる。逆に言えば、憲邇が嫌なものを見る顔になれば、例えどこの誰がなにを言ったって、わたしは生きていたくなくなる。ただ、みゆと詩音とともに生きようとこの人の傍を離れてしまう。それは……二人ともの子供の崩壊を招くしかない。


 頭の中をぐるぐるといらない考えが巡り、抱いてもらいたい、救われたい、こんな身体でも求めてもらいたいという強い願いがあるにもかかわらず、崖を飛び越える勇気をわたしは持てずにいた。落ちるかもしれない。落ちるかもしれないのなら飛びたくない。後ずさりたい。気持ちのまま、本当に後ろに下がってやめてと手を伸ばす、わたしに。無理矢理、力のまま、スリップを下ろされ、下着を、外されそうになる恐怖に、蹲った。


「見せて」


「……」


 いやいや、首を振る。


「見せて」


 強い言葉。「見たい」と重なり、胸に重ねた両手を、そっととってもらう。立てた膝を、ゆっくりと下ろされて。背中に回る憲邇の、指に、抵抗が、できなかった。


 海は、魔性の誘惑を放つ。逆らえずにわたしは、溺れていった。


「……」


 気持ち悪い、でしょう? ほら、ここ、傷が……お腹に何本も裂傷があって、火傷の痕があって、面白がる男の人たちにたくさん、つけられたの。あの人たちはね、えっちなことしようとすると、前にあった傷を見ると怒るんだよ。そんなもの見せるなって、気分害したってさ。自分たちがタバコ、押し付けたくせに。


 嫌でしょう? 憲邇はこんなお姉ちゃん、嫌でしょう?


「……」


 そっと右手を、憲邇の左胸に当てられる。……どくどく、速い。さっき背中で感じてたのよりずっと。


 昔に何度も感じた、えっちなときの憲邇の胸。


「ゆぅちゃん、これだけ興奮させといてお預けはひどいよ」


「……だ、だって……け、憲邇はこれ、見えないの?」


 自分で思いっきり指を指す。左胸の下についた縦のケロイド。すぐ下にずらして、お腹中に。


「うん、見える。すごく柔らかそうな胸とお腹だね」


「っ、ち、違うっ! お姉ちゃんは誤魔化しいらないの!」


「綺麗だよ、ゆぅちゃんの裸」


 びくっと、体中が跳ねて。


「その肌も、その傷も」


「……」


「僕は傷ついたゆぅちゃんを抱きたい。ゆぅちゃんが愛しい。ゆぅちゃんの肌も、性格も、傷痕も愛しいんだ。抱かせてよ。触らせてよ。その傷に触って、しかめっ面しないでいやらしい顔するから」


「……」


 左胸に重なってた憲邇の左手を、今度はわたしがとって。ゆっくり、お腹全体をなぞらせて、わたしに嫌な感触を与えて、胸の傷をつまませた。


 憲邇は、すけべな弟は真っ赤に微笑んで、鼻の下伸ばして、でれでれ、やらしい顔になった。


 大好きな憲邇は変態で、こんな汚い傷があってもいい変態で、わたしはその変態にぼろぼろ泣かされて、なおも執拗に傷痕ごと胸を揉んでくる大好きな大好きな憲邇に、


「ごめんなさい……ごめん、ごめんねぇ……」


 謝ってしまった。


 ありがとうなのに。どうしてか口をつくのは、謝罪の言葉で。堰を切ったように溢れて止まらなかった。


 こんなに、ただわたしを好きって言ってくれる憲邇に、罪悪感でいっぱいだった。なにが嫌なのか、なにがごめんなさいなのか、わからなくて。ただただ謝った。


 すると憲邇は、中学生みたいに、高校のときの学園祭みたいに、キスで唇を、塞いでくれて。止まらない涙で塩味になる口づけに、酔って、嬉しくて、もう嬉しくて、大好きな憲邇の首に腕を巻きつけて、絶対離さないって、息が止まるまでって、嬉しさを力に込めた。


「んっ……ん、はぁ、ん……んっ……ん、ふぁ……はぅ……あ、ん……ん、ん……ぁ、あっ……んっ、んっ、んぅ……あっ、ん、ん……やぁ、ん、やぁ、んっ、あっ……ふぅ、はぁ、あぅっ……ん、ん、ん……んーっ」


 満足いくまでキスをすると、涙は止まってた。その代わりに笑顔が出る。


 飛び越えられた。一人じゃ無理だったけど、憲邇が手を繋いで、一緒に導いてくれた。ほとんど憲邇が飛んだようなものだけど、最後の、ほんの少しの勇気は。わたし自身のもの。


 ……憲邇が好き。こんなにたくさんいるのにまだ、わたしを求める憲邇が好き。すけべでやらしい憲邇が好き。どうしようもないな、わたし。こーんなろくでなし好きになったって仕方ないのになぁ。うふふ。


「好きだよ、ゆぅちゃん」


「柚香里だって憲邇が好き。負けないから」


「うん、僕の負けだよ。負けでいいから、ベッド行こう。それともここでする?」


「べ、ベッド行こうっか。久しぶりだから、やっぱりお布団がいいよね」


 手を伸ばして、立とうとするのを助けようとする紳士みたいな憲邇。女に優しい、フェミニスト。またの名を八方美人のお人よし。しょうがないから助けられてやるの。ゆっくり、右手で胸を隠しながら、左手で憲邇の右手をとった。


「どうして隠すの、見せなさい」


「や、やぁよぅ、憲邇はえっちだからね、あんまり見せると鼻血出しちゃうんだから」


 だからさっきも隠したの。


 立ち上がって、ベッドの上に片膝を乗せると憲邇はなぜかぐいっと引っぱってきた?


「おっとっと。忘れるところだった。さぁ、スリップをもう一回着るんだ。そして一回転しなさい」


「……変態。最初に言いなさいよ、段取りがへたなんだから」


 ぶつぶつ文句言いながらもいそいそと上に着ていく。文句なんてほんとに口だけ、やってあげたい気持ちでいっぱいにされた今や、なにを言われようと完遂する自信があった。


 くるり、回って。スカート部分の裾をつまんでひらひら、ふわふわ。昔みたいにやったげる。好きでしょう、憲邇?


 パシャパシャ、写真を撮られた。……赤くなるけど、気にせずもう一回って言う愛しの王子様の言うことをちゃんと聞く。何枚も撮られ、憲邇目線しかしないわたしをたくさん撮影してもらった。……録画も、されてるんだって。


 いいよ。こんなのを受け入れてくれるわたしのヒーローを、わたしも受け入れてあげる。あんなことされた上にあんなことまで言われたから。嫌な気持ちより、ほしがる憲邇に負けちゃうんだ。


「めくって」


「……はい……」


 さっきおっきくさせた下着を、自分でめくって見せたげる。う、うわ、憲邇の男の子が暴れてるの、ここからでもわかるよ。ううう、受け止められるかなぁ。


「上までめくって」


「……はぁい……」


 ブラ、外されてるのにな。もう、しょうがないなぁ……スリップを持ち上げて、傷痕ごとわたしの胸を見てもらう。写真が、光って、愉しそうな憲邇に笑顔を返したくなっちゃう。


「……柚香里、綺麗?」


「綺麗だよ。これからたくさん写真を撮らなきゃ」


「八年前のほうが綺麗だよ? ごめんね、あのときの、一番綺麗だった柚香里をあげられなくて」


「なに言ってるんだ、ゆぅちゃんはバカだな」


「なっ、なによぅ」


「僕は二十歳から今日までのゆぅちゃんに、今出会ったんだ」


「……ぁ……ばかぁ……どうかして、る……」


 甘いことばっかり言う、女の子を手玉にとってばっかりの憲邇なんだからぁ。うっ、ううう、嬉しいよぅ……ひどいよ、言葉だけでわたしを、こんなに、めちゃくちゃにしてぇ。


「見ればわかるよ。二十歳の頃のゆぅちゃんも二十一のゆぅちゃんも。一目見れば全部わかるんだ。もちろん、恥ずかしい少女時代の頃もね」


「は、恥ずかしくないもん。ぇっく、柚香里はね、中学に上がってからのほうが輝いてたんだから」


「うん、見ればわかるよ。ダメだよ、いくら猥雑な話してるからって辞書で叩こうとするの」


「なっ……ううう、そういう子いっぱい見てきたんでしょう? あてずっぽうでも、男子を叱る女子のやることって大抵一緒だからね、ふんだ、騙されないよ」


「修学旅行で告白されたときに、ムードに流されないで僕がいるからって、断ってくれてありがとう」


「……ばかぁ、さいてぇ……さいてぇだよぅ、憲邇なんかきら、き、き……ありがとう、好き、すごいね、憲邇、好き、好き、好き……」


 どうしてわかるのかな。そうなんだよ。憲邇だって告白されっぱなしだったかもしれないけど、わたしだってね、修学旅行だからか一回、してもらったんだ。でもね、誰かわからない人が頭をよぎってね、断ったの。この人は嫌って、思わなかったけど、あんなに大事な人がいるのにって、なんでか思ったんだ。すごいね、憲邇。すごいよ、自慢の弟だね。


「僕も好きだよ。お姉ちゃんに敵いっこないけどね。ほら、もういいよ」


 カメラ置いてる。でも。「ううん、いいよ。ぱんつ、脱ぐ? 自分でやるよ?」


「いいよ。今度は脱がせたい」


「うん……」


 近づいてまたキス魔になる憲邇に、でもスリップは下ろせなかった。大きな手がそっと下に押しやるまで持ち上げてて、元に戻してからは指を絡めあった。


 そのまま、どさっとベッドの上に。男の人の硬そうなのが上にのしかかってきて、明かりで青白い肌が照らされるのがちょっと恥ずかしい。


 でも。


 不束者ですが、これからどうぞよろしくお願いします。


「な、なーんちゃって」


 あ、い、言えなかった、あれ? 言えない、どうして? あああ、今のただのおかしなやつだよ。口がどうして、動いてくれないの。新婚さんになりたいのに。


「どうしたの?」


「……柚香里をもらって、くれる?」


「うん」


「捨てちゃ、やだよ?」


「うん」


「じゃ、じゃあ……」


 今度こそ。


 迷惑と一緒に、いい目にも遭わせてあげるからね。


「ふ、不束者ですが、これからどうぞよろしくお願いします」


「はい、こちらこそ」


「な、なーんちゃって! あはは、柚香里がそんなこと言うと思ったの?」


 ダメだぁ……わたしはつい誤魔化しちゃう、軽い女になってる。


「なんだ、冗談だったの? 惜しいな、貞淑なゆぅちゃんになったかと思ったのに」


「残念だね、柚香里はもう一人えっちだってするスキモノになったんだから」


「いや、それくらいするよ」


「し、しないよ。する人おかしいのっ。そ、そういうえっちなのはね、男の人だけなんだから」


「また偏った考えだね……僕はもう一人でなんてしないよ。ゆぅちゃんもしちゃ嫌だな」


「う、うん。するわけないよ。憲邇にいつだってえっちなことされてるんだから、そんなこと考える暇もない」


 こうやってね、焦らされてる間だってえっちに感じるんだから。見下ろして、ブラないスリップだけのわたしを見られてるのも、恥ずかしいんだからね? さらさら髪梳くのはいいけどさ。


「ただし、して欲しいときはやるんだよ?」


「うん……わかってる」


「ありがとう。お姉ちゃん大好き」


「あっ、憲邇ぃ……っ」


 覆い被さってきた。重い、熱い、苦しい、気持ちいい……


「ねぇ、柚香里の身体を好きにしていいの、憲邇だけだからねっ? はぁ、なにしてもいいよ、んっ、好きなようにえっちなこと、して……」


「うん」


「あっ、だ、だめ、えっちな声、出るから、首舐めちゃ、だめ……っ」


 憲邇のやらしい、艶かしい舌が蠢きながら首筋を這ってくる……髪をふるふる揺らして、ダメだよって言ってもやめてくれない。


「好きにしていいんじゃなかったの?」


「え、えと、んっ、や、やり方がへたなのっ。柚香里が声、がっ、我慢できるくらいに、して」


「無茶な注文だよ」


「……ん……ぁ……憲邇……憲邇っ……」


 また首筋、舐められる。もう、やだ、首弱いのに、憲邇め、許さないぞ。お返しに思いっきりぎゅうぎゅうしてやるっ。


 憲邇の身体あったかいよぅ……大好きだよ、この匂いも硬さもあったかさも、全部……わたしにぴったりだからね。


 肌、すごいね、昔と全然違う。筋肉しい。こりゃあ今ケンカしたら勝てないなぁ……ん……


 気がつくといつの間にか、スリップを脱がされてた。憲邇はこういう、えっちなことに器用になってはお姉ちゃんを困らせる。それでいつの間にか憲邇まで裸なんだから。……カッコいいなぁ、憲邇の身体……肩幅広くって、たくましくって、見惚れちゃう……


「んっ……ぁ……好き、好き……」


「僕も好きだよ。白くて丸いゆぅちゃんのが好き」


「やぁ、もう、ばかぁ……白すぎくない? 形、おかしくない?」


 比べる人がいなくてわかんない。幼い頃に見たお母さんのだけは、とてもとても真ん丸い綺麗だってしか。


「僕、ゆぅちゃんの身体目当てで好きだって言ってるんだ」


「こらぁ、憲邇は誤魔化すことばっかりうまくなったねっ、口先八丁でさ、女の子をたぶらかしまくってっ」


 今は意味がわかる。こんなのでいいって、言ってくれてたんだ。


「透き通る肌は綺麗だよ。おっぱいに好き嫌いはないんだ」


「透き通って、ん、ないっ」


「ゆぅちゃんがそう言ってもなぁ、僕にはそう見える」


「ううう……ぁっ……お、おっぱいに好き嫌いくらい、男の子でしょう、作りなさいっ。あ、柚香里のならなんでも好きはなしだよ?」


「うっ……じゃあ仕方ない、今ちょうどできたんだ、一筋ラインの入ったおっぱい好き。顔埋めたくなる」


「やぁ……



 わたしの胸小さいから、憲邇の顔入んないよぅ……あ、ダメ、まさぐっちゃってぇ、もう……


 嬉しいことばっか……変になる……おかしい憲邇はいっつもいいことしか言わないけど、夜になるともっともっとって、どうかしてるんだから。


「んっ」


 あそこ、入って、きた。指が、わたしを、進んでく。ぬ、がして? ショーツ、汚れちゃう、これ結構、気に入ってるんだから……


「ん、ん、ん……ぁぅ、強い、優しく、してよぅ……やぁ、おっぱい舐めちゃやだぁ、お口、ちょうだい、キスがほしいよぅ、憲邇の、唇……んっ……」


 ありがとう……やっぱりね、キスの最中は魔法がかかるんだよ。いろんなこと耐えられそう。ちょうだいって、恥ずかしい台詞も言えるの。あ、頭撫でるのもいいね。気持ちいい……ふにゃふにゃにされちゃう……


「はぁ……憲邇ぃ……」


「ゆぅちゃん……」


 お互いを求め合って、肌と肌で触れ合いあう。もう裸と裸になってて、憲邇の息がかかるとあったかい。下のほう、見れない。見れっこない、よ。見たら混乱させられちゃうもの。


 背中もいいね。背中触ってくとごつごつ、硬くっていいね。夜にね、寝るときは背中向けてくれていいよ? そこに寄り添うのってね、女冥利に尽きるんだから。腕の中もいいけど、背中もいいんだよ? あ、腕枕もしてもらわなきゃ。


「ゆぅちゃん、ね、白い肌、赤くなってくとえっちだ」


「やぁ、やぁだ、ばかっ、ぶっ飛ばすぞっ」


 ビンタするフリ。する気もないくせに。


「全身赤くしていい?」


「うっ、ううう……うん。いいよ」


「あ、一ヶ所だけ白くなるけ」


「やぁだぁ! そ、そんなこと言わないでいいの!」


 ううう、しそうになっちゃった。憲邇がいけないんだよ?


「ごめん」


 そう言ってまた、おっぱい星人になるんだからぁ……ん、いいよ、そろそろ、ぷっくり、なりそう、だから、もっと、しても、いい、よ……あ、太もも、好きなんだね、さすっちゃって、あ、脚の、下のほう、いってる、ほんとに赤く、する気なんだ……あ、そ、そこはね、確か、もう赤いから、ほ、ほら、びちゃびちゃ、もうしてるから、い、いいってば、憲邇……んっ、ぁ……


「憲邇、気持ちいい?」


「うんっ。気持ちいいよ、ゆぅちゃんの身体」


「よかったぁ……ゆ、柚香里はね、言わないからね。内緒だから」


「いいよ。わかってるから」


「やぁ、嘘つきぃ……ぁ、ぁ、ん……あっ」


 えっちな声、出された……ううう、もう無理かぁ。我慢したかったけどなぁ、け、憲邇だもんね、仕方ないよね。


 ……これ、気持ちいいなのかな……い、いつまでたっても、ね? わかんないんだ。高校のときも、そんな感じ、したけど、気持ちいいかなって、わかんなくて……嬉しいしあったかいけど、気持ちいいとは違う気がするの。ぞくぞくなんだ。ぞくっ、って、ぞくぞくって、されるの。気持ちいいじゃ、ないよねぇ?


「はぁ、憲邇っ、んっ、ふぅ、憲邇っ」


「ゆぅちゃんっ」


「んっ、ん……もっと優しく、優しく、して……んっ、はぁ、うっ、はぁ」


 憲邇の指大きいよ。身長差は理想だけど、きっとたっくさんえっちしてるから指が大きくなったんだ。すけべ親父、や、そんなに強く押しちゃ、やだよぅ……っ。


「ゆぅちゃんの
膣内(なか)、ぎゅうぎゅうにしてくるね」


「ばっ、ばかぁ! 変態ぃ、もう、やめてよぅ……っ」


 意味わかるようになっちゃったんだからぁ。えっちぃんでしょう、そういうのっ。わたしは違うからね? 憲邇がやってるだけだからね?


「びちゃびちゃいってるじゃないか。聞こえないの? 目閉じてる癖に」


「やぁ、やぁだ、やなの、やめて、えっちなこと、言っちゃやだ……っ」


 そういえばさっきから目閉じてるかも。ていうか開けられっこないよ。今憲邇の顔見たら全部許しちゃうから、許さないためにも、嫌って言うためにも閉じてなきゃ。


「僕ももう我慢できないよ。挿れたいから、これ、言って」


「……! 変態っ、ばかっ、知らない、言うわけないでしょうっ」


 どう言おうかな、かわいく言えるかな、憲邇、気持ちよくなってくれるかな。よ、よし、こう言おう。


「柚香里の言葉に変えるね、そしたらお姉ちゃん言ったげる。柚香里は憲邇専用の性奴隷だよ。でも、妻でもあり家内でもありお嫁さんでもあるの。だから、仕方ないから夫の持て余し気味の性欲を処理させたげる。憲邇専用の女の子を、好きにしていいよ。その代わり一つだけ、条件があります。聞いてくれる?」


「なに?」


 くすくす笑っちゃって。楽しそう。わたしも茶化しちゃうと簡単だね、こんなの。


 だから、憲邇のとは反対のこと言うよ。


「ナカダシはだぁめ! 柚香里、ずっと考えてたの。ようやくいろいろ思い出してね、憲邇の話も聞いちゃったし、もうちょっと落ち着いてから、さおりもほしいけど、女心は秋の空だし、ねぇけん」


「産んで」


「……」


 いじってくれるの、全部止めて。海に雷が、落ちる。


「産んで」


 じわって泣いちゃう、じんとくる一言、言っちゃうんだ……わたしがちっちゃい頃、言ってほしくてナカはダメだよって何回も言っちゃったの、覚えてる、くせに……


 ごめんね。嘘ついちゃった。言って、ほしかったの。たまらなかったの。あれね、すっごくぞくぞく、ほら今もしてるから。聞きたかった。わがままなお姉ちゃんでごめんね。


「……はい
 産みます……憲邇の赤ちゃん、今度こそいっぱい産むね」


「うん、お願い。ほら、足りないよ」


「ううう……赤ちゃん、くださいっ」


「それから?」


「そ、それからもなにも、もうないわ」


「あ、またそんなこと言うんだ? ふぅん、しょうがないなぁ、こんなになっちゃったままだから、誰に処理してもらおうかなぁ」


「ううう……ゆ、柚香里で処理しなさいよ、つ、妻なんだから、好きにしていいのに」


「言ってくれないとできないんだ、ごめんね」


「ごめんじゃないでしょうっ、もう……け、憲邇の、大大大好きな憲邇の、あ、あれ、ください」


「あれ? わかった、キスが欲しいんだね」


 ちゅって、もう、ばかぁ……言えないよぅ、言えなく、なってる、大人になったほうが、羞恥心って強くなるんだからぁ……


「け、け、憲邇の、憲邇のぉ……ぉ、ぉち、んちん、ください」


「やわかいのでいいならあげるけど?」


「そ、それでいいよ。赤ちゃんくれるなら」


「いやぁ無理かな。やわかいので赤ちゃんは絶対にできないなぁ」


「……な、なに言わせたいの。焦らしすぎだよ」


「僕のどうなってるか言ってよ。あ、ゆぅちゃんのはね、たくさん濡れてて、準備万端だね。ほら、昔は自分からたくさん言ってたくせに。こんなのは嫌だって、やわかくしてって」


「え? あ、あんなのでいいの? じゃ、じゃあ、憲邇の、硬くて、おっきいの、ください」


 呼び方さえ言わなきゃ、こっちは恥ずかしくないよ。


「そうそう。どこに?」


「柚香里のお腹」


「呼び方も違うし、どんなのか言わないと」


「しつこいなぁ、いい加減にしてよ」


「……ごめん。実はさ、本当にやばいんだ。ちょっとこうして、時間おかないと情けないことになる」


「え? どういうこと?」


「だからさ、挿れた途端終わりなんてやりたくないんだ。ちょっと時間おかないと」


「……あ、ああ、う、うん、わかった」


 男の人ってよくわかんない。


「触ると興奮するしね、本当は言葉でも興奮するけど、ゆぅちゃんは恥ずかしがりやだから躊躇うし、ちょうどいいかなって。ごめん」


「あ、ううん。気づけない家内がいけないの。え、えっと、で、でもね、それ、言うの時間すっごくかかるよ……」


 そろそろ、目を開けてみる。憲邇の瞳、情けないのを見れば、いけるかも……


「っ! きゃっ……ぅ……」


 し、下、見ちゃったっ。す、すっごい、ぐろてすくすぎる……おへそにくっつきそうなくらい、反り上がってるよぅ。お、おっきい、高校のときより、もしかしたらおっきいかも……うわぁ、ちょびっと、ぞくって、しちゃった。あ、あれ、さきっちょ、もう濡れてる? どうしたんだろ。血管まで浮き出てて、大丈夫なのかなぁ。


「そんなにじろじろ見ないでくれ」


「うっ、ご、ごめんね。で、でもね、そんなおっきいの、柚香里に入んないよ」


「昔は入ったから、今も入る」


「そ、そうかなぁ……ゆ、柚香里の……小さくてやり辛い……ぬ、濡れてる、お、お……おま、おま○こに、け、憲邇の、大好きな憲邇の、えっと……お、おっきくて、硬い、血走ってる……の、い、挿れ、挿れ……挿れ、て、く、くだ、さい」


 ちろちろ下見ながらになっちゃった。はず、恥ずかしい……ちろちろ見ちゃうよ。見ちゃうって。だって、憲邇のだもん。恥ずかしいくせに、スキモノだからね、わたしは。


「欲しいです」


「うっ……ほしいですぅ」


「それから、まだなにか欲しいのがあるよね?」


「ううう……え、えっとね、ねぇ、うーんとねぇ……憲邇の、あったかくて、し、白くて、幸せになれるの、ください」


「柚香里の子宮に」


「ううう! ……ゆ、柚香里の、し、し、子宮に、たっくさんっ!」


 変態憲邇っ。もう知らないっ。


「昔散々言った癖に、まだ慣れないの?」


「しょうがないでしょう、女の子はね、恥ずかしいこと言うのに慣れられないんだから。男の子とは違うの」


「そっか。ちなみに白いのは精子って言うんだけ」


「やぁだぁ! 教えなくていいよっ、ばかぁ!」


 思い出しちゃったぁ……恥ずい……知りたくなかったのに。


「そう? じゃあ忘れて。ごめん、いけそうだから、挿れるよ」


「うん、ゆっくり、優しくね……あっ! はぁっ! はんっ! ……はー、はー」


 ど、どうしよう。い、今、びりびりって、なった。ぞくぞくって、びりびりって、身体中……どうしたんだろう。憲邇のが
挿入(はい)ってきた途端、身体が反って、ぐいってなって、憲邇を力いっぱい抱き寄せちゃった。びりびり……びくびく……あぅ……


「大丈夫? ゆぅちゃん?」


「だっ、大丈夫、あっ、はぁ、はーっ、憲邇ぃ、なにしたの? お姉ちゃんびくびく、はぁ、しちゃったよぅ」


 嬉し涙。流れてく。ゆっくり、ずるずる憲邇のが、みりみりしてくと、涙いっぱい……ああ、やっぱおっきい、入りっこない、よ。全部お腹埋まっちゃうね……っ。


「久しぶりだからかな。痛くない?」


「全然っ。はぅっ、憲邇っ、もっとゆっくり、優しくしないと、お腹壊しちゃうよっ」


 いた、い……信じられなかった。高校の頃は痛いのは初めてだけで、あとは全然だったのに、広げてもらったのに、今は、痛い……憲邇が硬くて、大きくて、男の子で、広くって、熱いから、痛くて痛くてたまんない。あ、でも、苦しいけど、いいな、苦しいのが、いいの。おかしいからね、おかしくされたから、一人えっちも憲邇に教えてもらったし、外でえっちなことするなんて考えもしないことも教えてもらったね。もっと教えてね? またえっちにして? ぞくぞくいっぱい、ちょうだい?


「ゆぅちゃん、小さくなった? 背縮んだ?」


「えっ? あっ、ん、はぁ、あぅっ、え、えっとね、んっ、一緒だよ? 変わってない」


「おかしいな、すっごく狭く感じる。ぎゅうぎゅうで吸い付いてくるのは一緒だけ」


「や、やぁ、それ以上言わないで、ぁっ」


 優しいね……ゆっくりしてくれる。ならしてってくれる。また最初からみたいに。動き止めて、ほんとは動かしたいんでしょう? お猿さんみたいな動き、したいくせにね。止まって、キスして、なでこなでこしてくれて、髪さらさらにしてくれて、手と手を合わせてくれる。嬉しいな、優しいよ憲邇。うふふ。だーいすき。


「ねぇ、んっ、いいよ、憲邇。もっと動いても。ねぇ、柚香里は奴隷だよ、処理、して」


「いいの?」


「聞いちゃだめ。黙って、やりたいようにやりなさい。あんっ



 ほんとに強くしたぁ。もうしょうがないなぁ憲邇はぁ。ううう、痛いよぅ、苦しい、けど憲邇きっとえっちの顔してる。悦んでる。そんな気する、感じるの。


「憲邇ぃ……あっ、ああ、んっ、はーっ」


「ゆぅちゃんっ」


 ずんずんされてく、ぐちゅぐちゅ音が聞こえる。まただね、えっちだね、またやってるね、憲邇……ごりごり引っかかれてる、力いっぱい……うぁ、今軽くぞくって、したぁ。


「憲邇、好きだよ、憲邇が好き、綺麗な憲邇が好きっ」


「ゆぅちゃん、好きっ。強いゆぅちゃんが好きだよ」


「んっ、んーっ、んーっ」


 キス、ちょうだい、キス、ひどい、ね、音が大変だから、お腹ぐるぐるだから、キスして。んっ、ようし、いいよ、ありがとね、もっとして、キスばっかり、しなきゃダメだよ、お姉ちゃんなんだから。


「憲邇ぃ、硬いったらぁ。何回言ったらわかるの? もっとやわかくしてっ、あっ、んん、おっきいったらぁ」


「無理だよっ。ゆぅちゃんのに挿入してるんだからっ」


「やぁ、やめて、あっ、はぁ、ふぁっ、もう、やだぁ」


 そこ、ダメ、おっぱいの先は、触るとこじゃないの。赤ちゃん専用なのっ。やぁ、いじっちゃや、やめて、やめ、ああほら、またぞくぞくぅ。


 ごりごりが大変なことになってる。憲邇のが大きすぎて、めちゃくちゃに押してかれてる。お腹の全部が憲邇で、憲邇がどこいくかで形変わってく。行き止まりまで簡単に着いて、こんって何回もされるんだ。こんって、こんっ、こんっ、ふわぁ、あああ……


「憲邇っ、好きっ、だいす、やぁ!」


「ゆぅちゃん好きっ」


 あああダメだよぅ、おまめさんは、ぞくぞくが溜まってるから、いじると出てくるから、触っちゃだめぇ……あっ、ほら、またびくんって、なったでしょう。


「っ
 やぁ、やめて、触んないでぇ」


「どうして? 触るとあそこがきゅうってなるのに」


「そ、それいいの? 憲邇うれ、あっ、嬉しい?」


「忘れたんだ。じゃあもっかい教えるね。嬉しいよ。きゅうってなると気持ちいい」


「ほんと? はぁっ、わ、わかった、う、いいけど、もうちょっと丁寧にね? あぁっ、ひどいぃ、やさし、く……っ」


 ひねっちゃ、ダメ……ダメ、ダメ、ダメなの、最低だよ、おまめさん、出てきた……


「上も下も勃ったね」


「えっ? な、なに言ってるの、はんっ、柚香里は女の子だよ?」


「おっぱいとおまめさん」


「こ、こんなぷっくりするの、お、男の子と一緒で、た、勃つって、言うの?」


「そうだよ。言わなかったっけ?」


「言ってない言ってないっ、そ、それに違うよ、これ違うんだよ、男の子みたいにえっちなんかじゃないんだよっ、あんっ!」


 仰け反ったぁ。ぐぐいって行き止まり思いっきり突かれて、衝撃で身体が変にされてる。こんって音、どれだけぐちゅぐちゅうるさくても聞こえるね。変だね。


「そっか。確かにゆぅちゃんはえっちじゃないよ。僕がえっちなだけだから」


「そう、そうだよ、柚香里は違うの、はぅっ、うー、はーっ、はーっ、け、憲邇がえっちだから、しょうがないの、好きっ!」


 言っちゃえっ。言うの、言いたい、本当に言いたくてたまんない。痛いのを忘れられる。ずきずきが飛んでって、好きって言うとくれる口づけに酔わされるの。ほんとにキス魔だね。通りがかっただけでしてくれそう。してほしいなぁ。


「僕も好きだよっ、身体中真っ赤にして喘いでるゆぅちゃん好きっ」


「喘いでないもんっ。はー、喘ぐって、いうのはね、んっ、は、えっちな女の子が言うの。や、やぁっ……はっ、はぁ、ゆ、柚香里はえっちじゃないから、こ、これは、あっ、えっちな声だけど、喘ぎじゃ、ないのっ、好きっ」


「そっか。ごめんね、僕も好き、えっちな声」


 好き好き言い過ぎかもね、お互い。へへへ。


 ずん、ずん、され、てく。ずっちゅずっちゅうるさくて、こんこんされるたびに動いちゃう。憲邇の硬いの、入りきらなくて、もっとって行き止まり開けようとするの、あぅ、ぞくってなっちゃうよね、ううう。ごりごり、擦れて、ときどきびくって、なっちゃって、憲邇が好きって、ちゅっちゅ、キスもして、おっぱいも舐め放題、触られ放題、形めちゃくちゃ、きっと痕になってる。はぅっ、おまめさんもあっちこっち揺らされて、ぷっくりびんびんにされちゃった。顔は真っ赤なりんごと一緒。憲邇だってそう。だからときどき頭もなでなでしてくれるの。ふわぁって、気持ちいいの。腰つかまれてずんずんされてくけど、ずんずんも、やり方、あんっ、違うね、なんていうのかな、よくわかんないけど、一緒じゃないね。休んだりもするね。そんで一気に急にやるんだよね。反則だよ、ぞくぞくぞくって、一回一気にきたんだよ? どうしてくれるの、まったく、んっ、はぁ。指を絡めてもくれるね。背中もいいけど、憲邇は指もいいね。濡れてるほうはえっち極まりないけど、あんまり濡れてないほうはいいよ。あ、頬、さわさわするんだ。どう? 触り心地いい? みゆみたいなほっぺじゃないよ? あ、くすぐったい、もう、やだぁ。


 えっちなお汁が、いっぱい。うっ、ん、シーツ染みいっぱいだね。これ全部わたしのかなぁ? さっき憲邇も出てたから、きっと大半、ぁ、憲邇のだよ。飛び散って、肌にかかってるね、いっぱい。ふぅ、もうわけわかんないくらいに。


 ねぇ、挿れやすい? 脚折ってるけど、挿れやすいかな? はぁ、ふぅ、やりにくかったら言ってね、わたしは小さいから……あ、手は離さないよ? 憲邇をつかんで、抜けないようにするの。力もう、入らないけど……あっ、ん、ん……っ。


「はぁ……はぁ……はぁ……っ」


 汗、だくで、疲れ、てきた。ずっちゅずっちゅ、されっぱなしで……あそこがびっちゃびちゃ。わたしがだらしなく、あ、愛液を垂れ流してる。憲邇のやつが、これ、全部女の人なんだよって、愛液なんだよって言うからぁ。一人でどれだけやったって、淋しいだけでこんなに、濡れない……ね、愉しいね。いっぱい、しようね。寝たく、ないよ。失神するくらい、して。


「いいよ」


「えっ、あっ!」


 い、言ってたみたい。ううう、聞かれちゃった……もうっ、憲邇のせいだよ、ばかぁ。


「や、はぁ、はーっ、あっ、あ、あ、あっ、んっ……はーっ、ふぁっ、や、や、やぁ……」


「ゆぅちゃん……」


 憲邇の男の子は留まるところを知らず、休むことはあっても動くのをやめてくれない。こっちの女の子がぴったりくっつこうってしてるのに、あっちこっち動こうとする。離したくないって頑張るのに、男の子は全部入れたいって助走つけるから、戻るときもごりごりでじゅぷじゅぷだよ。えっち……だね……男の子と女の子が、いちゃいちゃすると、えっちなんだね、えっちな、いじられるくちゅくちゅより、キスのちゅっちゅより、ずっとずっと、じゅぷっ、じゅぷぅって、えっちだね、ねぇ、憲邇ぃ……


「はーっ、はーっ、はー、け、はー、はーっ」


「ゆぅちゃん……白いの、欲しい?」


 こくこく、もう口、動かない。息切らして、体力つけなきゃって、ぜー、はー……「あんっ」あ、出た。ようし……


「ちょう、だい? あ、あっ、ん、ふぅ……はーっ、憲邇の、赤ちゃん、ちょうだい、ほしいな、白い、あったかいの、はぁ、ほしいな……いっぱいいっぱい、柚香里を、真っ白にして、いいよ? あんっ、もう、やぁ……くらくら、させて? ぜーんぶ、飲み干しであげる」


「ゆぅちゃん……!」


 あああ、嘘、憲邇、まだおっきくなるの……? んっ、もう、ダメだよ、お腹ぱんぱんだよぅ……あっ、無理、無理だから、それ以上しちゃ、いや……っ。


 こんこんっ、うるさい、ずんずん、激しい、でもね、憲邇のはね、あっ、優しいままだね、無理なのじゃ、ないね、ん、すごいな、お姉ちゃん形無しだよ、あっ、ん、はぁ……


「憲邇ぃ、好きだよ、大好きぃ、あんっ、やぅ、ああ、んぅ……っ」


「ゆぅちゃん、かわいい……っ!」


「やぁ、ぁ、ぁ、あ……
 憲邇ぃ あっ、あっ はぅ…… ゃ、ゃ、ん あん、もう、多い……っ ちょっと、止め、もう、いっぱ、ぁ あ、やぁ、やぁ……っ


 とくとくとく……とくとく……いっぱぁい、あったかいよぅ……とくとく、すごいね、こんこんするとこから、出てるのに、一番奥なのに、とくとく、いっぱい、飲み込めないよぅ……とく……とくっ、とく……いっぱい、だね、あったかいね、とくっ、とくっ、あぅ、ううう、もう、やだぁ……ああ、まだ、とく、とく……あったかい、いっぱい、とくとく……溢れちゃったぁ、ううう、頑張ったんだけどなぁ……はぁ、ぼーっとしちゃった。昔と一緒。とくとくの音と憲邇と、えっちな匂いだけになるね。変わんないね。


「憲邇……」


「ゆぅちゃん……」


 しあわせ……


 ぎゅうぎゅう、憲邇がしてくる。わたしもにっこり笑顔でぎゅうぎゅう、してやるの。目を開けるとそこには、大きな海原にお日様が照りつけてるんだから。


「えへへ。憲邇、お姉ちゃんどうだった?」


「綺麗……」


「もうっ、語彙が発達しない弟だなぁ。ほかに言うことないの?」


「ごめん、すっごく綺麗だった」


「むぅ、それだけ? 綺麗綺麗ばかすか言ってもね、嬉しくなんてないんだよ?」


「綺麗……」


 まったく、ばかの一つ覚えだね。弟は頭はいいけど、ばかなんだから。


 わたしが一番ほしい言葉しかくれない、大ばかなの。お礼にね、自分からちゅうしてあげる。


「あっ……ありがとう。嬉しい、自分から」


「憲邇ばっかりだからね。たまには柚香里からしないと」


「うん。おいしいね、はちみつ味だ……」


「や、やぁだ、今日なんにも食べてないよ?」


「うん。でも、する……もっとしよう」


「んっ、もう、やぁ、んっ、はぁ、ん、ん、んぁ……っ」


 あそこが繋がったまま、わたしたちは唇を貪りあった。とてもとてもおいしい味のする大好きな人の赤色は、こんなにたくさんしてあげてるのにまだまだってやめてくれない。嬉しいから、わたしもね。


 キスを続けて、ごろごろしあって。昔から変わってない、終わってからもいちゃいちゃをしてくれる憲邇に甘えて、まだ足りないってすけべに左胸揉んでくる弟をこらぁとめっ、した。


「もうする体力ないくせに、触りすぎだよ」


「だって僕、この左のおっぱい大好きになったんだ。触るとわかるよ、ほら、ゆぅちゃんも触って」


「やぁ、もう……ううう、ほらぁ、憲邇のほうが何倍もいい感じするよ?」


「じゃあ触っていいよね?」


「もう、ちょっとだけだよ? あんまりしないで、こら、もう……っ」


 ほんとにすけべでやらしい弟ね。わたし忘れてないよ? お風呂で春花さんとお母さんにして、それから
花雪(かゆき)ちゃんにしたこと。それでもこれなんだから、憲邇の性欲は果てしないね。


 ……仕方ないから、お姉ちゃんでお嫁さんのわたしが、応えてあげる。いくらでもいいよ。好きにしていいから、たくさん触りなさい。わたしも傷のあるほう、好きになれそうだから。


「……んっ、やだ、触りすぎ、少しは加減、あっ、もう、ばか、お姉ちゃんをいたわり、あんっ、ほ、ほらぁ、もう、ばか、やぁ、やぁだぁ……っ」


 触ってくうちに、せっかくわたしのお腹にも入るくらいに小さくなってたのがまたおっきくなってった。まただ、ううう、ずきずき、治まってきたのに、しょうがないなぁ。


 ……下をちらっと、見ちゃう。そ、そこには、ほんとに真っ白になってるわたしの、黒かった女の子があった。う、うわ、真っ白けっけ……って、あ、あれ、憲邇のじゃない。憲邇のに白いの、たくさん、ついてる……昔に比べてこんなにたくさん
射精()すってことはそれだけ気持ちいいってことだから、それだけ嬉しいってこと、素敵なご褒美。


「えへへ……」


 ぐにゃあって心底嬉しくて微笑むと、憲邇はまた急におっきく、暴れだしそうになった。


「ゆぅちゃん、もう一回するよ」


 って、またずんずん、してく……



 わたしは幸せいっぱいに、


「うん、好きなだけ、しよ?」


 なんて、両手広げて、憲邇が覆い被さるのを受け止めた。


 じんじんなんてへっちゃらだもん。疲れも今飛んだの。やってあげる。旦那の性欲を満たしてあげるのは女房の務めだからね。双子にならないのが残念だよ。ねぇ、憲邇?








 二回目は結構ゆっくり穏やかにしてくれる。わたしでも大丈夫なように。


「あっ、あんっ、はーっ、はー、ふぅ……」


 一回止めて、ちゅう、よしよし、さわさわ……髪、めちゃくちゃ飛んでるね。あとでちゃんと梳いてよね?


「うん、任せて。ね、二回目このままやってもいいけど、なにかやりたいことある?」


「えっ、う、うーん……んっ、ぁ、ぁ……も、もう、聞いといてうごっ、かすの、卑怯だよ」


「ごめん、つい」


 ついとか、そういうのがいっちばんずるなんだからね? お姉ちゃんじゃないと許されないよ、あっ、ん……


「僕ゆぅちゃんの言うことだったら聞ける自信あるよ」


「そんなのっ、柚香里のほうがあるからねっ、あんっ、やぁっ」


 やりたいこと……なんだろ、えっちやりたい。えっちなことなんてなんにも、憲邇に教えてもらったことしか知らないし。


「一回した後の匂いのままやるのってすごいね……すごいやらしい匂いする。僕とゆぅちゃんの」


「憲邇のっ。柚香里のは入ってないっ、好きぃっ」


「あはは。そうだね、僕の匂いだ。好きだよゆぅちゃん。頑固なとこも好きだ」


「あっ、あっ、あ、あ、ん、はぁ、ふぅ、はぁ……っ」


 そ、そうだね、
(めぐみ)さんみたいにだけは、やりたくない、かな。できるわけ、ないし……ん、ん……キス、まだし足りないね、えへへ。


 えっちじゃないけど、後ろからね、絵里さんみたく抱きしめてもらうのやりたいな。あれいいよねぇ。憧れる。憲邇はたくさんしてくれたけど、もっともっとやりたいよね。


「わかった。やってもいいよ」


「えっ、え、えと、い、今いいよ。んっ、今はね、あっ、あっ、あ……え、えっちの時間だから」


 憲邇は昔っからこうだ。こっちの心読んじゃうの。ときどきしかやらないけど、わたしは顔に出てわかりやすいんだって。ふんだ、わたしだって、弟の考えぐらい……


 で、できるわけ、ないけど。あはは。


「……け、け、憲邇は、なに、やりたい?」


「野外露出」


 やっぱりぃ。ううう、さいてぇ……


 ダメ、だよ? いきなりはダメだよ? ちょ、ちょうきょう、してね? 昔みたく、ゆっくりじゃないと、できっこないから、ね?


「……ダメ?」


 ぶんぶん首を振る。「あぅっ、んっ、はぁっ、憲邇っ」えっちな声で、こっちにしようって大声を出してあげる。のに憲邇は、不満そうに「ちぇっ」って言うの。


「……んっ、ぁ、ぁ、あのね、ねぇ、憲邇……よ、夜だから、だ、誰もいないなら、お、お外、出ても、いいよ?」


「あ、そうだね。誰もいないから今日はやめておこう。もうずいぶん遅いし」


「え? え、え、ええっ? ううう、柚香里頑張ったのにぃ、ひどいよ……んっ、もうっ」


「ごめん。でもね、誰にも見られる可能性のないところでやるのはね、野外露出って言わないんだ」


「なにそれぇ……あっ、ぁん、もう……」


 男の人の、特に憲邇のえっちのこだわりってわかんない。フェチって言うのかな、さっぱりだよ。


「ゆぅちゃんはないの? あんなにいっぱい教えたのに」


「えぅ、で、でもねぇ……ゆ、柚香里は……や、やっぱり言えないっ」


 言えない。実はす、スカートめくりなさいって言われるの大好きだって。憲邇にじっと見てもらうの大好きなんだって。言えないもん。し、下着脱いでから、スカートだけでやりなさいが一番好きだって、教えられないから。は、恥ずかしくてたまらないからっ、ねぇ?


「うむむ、今度はわからないな。なにを言いたかったんだろう」


「あっ、あぅ、憲邇ぃ、好き、キス、好き、もっとキス、キスだけ、キスずっと、ねぇ……んっ、ぁ……っ」


 誤魔化すしかない。キスが一番好きだって。それも嘘じゃないから。キスは好き。気持ちいいもん。憲邇の舌、うねうねって大好きだから。


「あ、あのね、そう、
大林(だいりん)の制服、着たげても、い、いいよ? んっ、はぁ」


「そう? まだ持ってる?」


「う、うん。あっちのお義母さんが、記念にってもらったんだって。とってあるよ」


 なんとなくね、捨てられなかったから。


「そっか。でもね、言ったはずだけどあれに欲情してるわけじゃなくてね」


「あの制服着た、柚香里に欲情してたんでしょう?」


「……」


 あ、黙った。ぴったりうごくのやめて、ぎこちなく撫でてくる。片目開けて確認。


「正解?」


「……うん」


 やっぱり。へへ、だからね、言われたときすっごく嬉しかったんだよ? それくらい楽勝だよ。してあげる。き、着れたらだけど。


「で、でも、今あるの?」


「う、前のマンションかな。ここにはさすがにないけど」


「じゃあ仕方ないね! 残念だなぁ」


「ううう……ふんっ、別いいけどさ」


 憲邇めちゃくちゃにこにこしちゃってぇ。あれ着たわたしにお猿さんから狼になるって、それが嫌なんでしょう? もう、別にいいのになぁ。それくらいのほうが、嬉しいよ……?


「ん、んぅ、はぁ、うっ、もう、おっぱい星人」


「ゆぅちゃんのせいだろう」


「そ、そう? えへへ、嬉しいね、あん」


 下からぐにゃり、揉まれてく。丸め込むみたいに揉んでかれて、形がぐんにゃり、ああ、ぞく、する。


 不思議だな、あんなにくたくただったのに、またしよって、憲邇の求めるのになんとかなるもんだね。こ、これなら一晩中、いけるかもね。


「じゃあどうしようか。本当にゆぅちゃんはやりたいことってないの?」


「ないよぅ。あるわけないでしょう。柚香里は憲邇とは違うんだよ。知識は少ないの」


「僕も知識なんてないよ。そうだねぇ、じゃあちょっと遠出して、アダルトショップで自分が使いたいバイブでも買ってもらおうかな」


「ばいぶ?」


 アダルトショップって、いかがわしいお店でしょう? 変態め。


「ああ、高校の頃は無理だったからねぇ、結局買わなかったっけ。道具だよ、えっちな道具。自分が使って欲しいのを自分で選ぶんだ」


「……ど、どんなのかわかんないけど、どうせえっちで変態なんでしょう? やらないよっ。お、お姉ちゃんがいつまでも憲邇の言うとおりにすると思ったら大間違いなんだから」


「じゃあやろうか。そうだね、パンツはいいとして、ブラなしで、ぴったりフィットするくらいのブラウスと、スカートはなにがいいかな、短いのがいいよね」


「え、え、え……憲邇っ! 柚香里そんなのやらないからね!」


「自分は痴女ですって、男の店員に教えないとね」


「へ、へん……っ! 変態っ! やぁよぅ! 痴女じゃないもん、け、憲邇のえっちについてくので精一杯じゃない!」


「ついてきてよ。ね、ゆぅちゃん?」


「ううう……」


 目が開けられない。愛撫は止まってるけど、開けたいけど、開けられない。今見ると深い海の底に飲み込まれて、濁流に巻き込まれちゃうから。


「じゃあコートを使う定番でもいいけど、ありきたりすぎて面白くないと思うよ?」


「なにがよぅ! コートって、露出狂になれって言うの?」


「まさか。節度は守るよ。普通に露出」


 普通じゃないぃ……露出なんて変態人しかやんないってばぁ。


「嫌? おかしいな、自分でスカートめくりたがりのゆぅちゃんはやりたいはずなのに」


「めくりたがりじゃないっ、憲邇が、大好きな弟が見たいって、やりなさいって言うからでしょう? 誰がやりたがるのっ」


「……わかったよ。ちょっとずつね。ゆっくりまた調教してあげる」


「……うん……お願い、します……優しくね? そんでときどき、ちょっと強引にね? 押してくれると嬉しいな」


「ゆぅちゃんは本当に押しに弱いね。ダメだよ僕以外になびいたら」


「やーだよー。憲邇よりいい男の人いーっぱいいるもん。浮気してデートしてやるから、やきもきするんだねっ」


「別にいいけどさ……っ」


「あっ
 もう、ずるだよぅ、身体で意見言われたら、逆らえないでしょう、あっ、ぁ、あんっ」


 憲邇のぐちゅぐちゅがまたやってきた……んっ、ふぁ、ああ、ん……ずんっ、ずんっ、こんっ、こんっ、こんっ……ぁぅ。


「ねぇ、憲邇、柚香里の、身体でさ、おっぱい以外、どこ、好き?」


「言うと怒ると思うよ」


「……い、言って。怒んないから」


「この長い艶やかな黒髪かな」


 ふさふさ、髪に口づけ。ああどうしよう、髪から感じる憲邇に、き、気持ちいいって、ううう、変態っ。で、でも怒るわけないのに、憲邇ったら遠慮がちに言うんだから。


「あ、ありがと」


「ああそれと、おま○こも好きかな。名器だよ、大好き」


「……っ! ばかぁ! やぁだぁ! 変態っ! えっちっ! どすけべっ!」


「だから言ったのに」


「好き、好き、憲邇、好きっ、あんっ、あっ、あっ、あっ



 好きな人限定だけどね、好きな人に、女の子を好きって言われるの、嬉しいね。気持ちいいって、満足してもらえてるって、いいね。えへへ、ちょっと予想できたから、言ってもらっちゃった。ありがとね、憲邇ぃ。


「僕も好きだよ。ぷるんぷるんするおっぱいも、ぎゅうぎゅう吸い付いて締め」


「ばぁかぁ! ばかばかばか、どうかして、るっ、あっ、あっ、ああっ」


 なんでおんなじこと、言っちゃダメって何回も言ってるのに言うのよっ。わかってるくせに、それ言われちゃ、ぞくぞくが走ってやってくるってわかってるくせにぃ。


「汗だくの、この赤白い肌も好きだ。僕のものだよ」


「うん、憲邇のだよ、はぁっ、憲邇、専用だよっ。ほかの人に触られたら、怒ってやってね? 柚香里をオシオキ、してもいいよ?」


「そうだね、そのときはきついお仕置きだな。さっき言ったお買い物、行かなくちゃね」


「う、うん……そ、それくらいじゃないと、張り合いないもんね、へへ、はんっ、はぁ、ふぅ、はーっ、ふぅ」


 くたくたぁ……いけると思ったけど、ちょっと、休みたい……どうして弟は年下のくせにまだ動けるんだろ。ずるいなぁ、男って。


「少し休もうか。ゆぅちゃんも限界みたいだし」


「う、うん……はぁ、憲邇のでお腹いっぱい。白いのもさ、茶色で黒いのでもさ、いっぱいだよ、ひどい弟」


「……あのさ、ゆぅちゃんわざと言ってる?」


「え、え、えっ?」


 う、うわ、休もうかと思ったの、また暴れん坊になってった。


「わかってないから性質悪いなぁ。教えたくもないし」


「な、なにが?」


「いいよ。好きなだけ愚痴ればいいさ」


「愚痴ってないよ。憲邇のがいけないのっ。こんなに柚香里を苛めて、恥ずかしいと思わないの?」


 ぎっちぎち、痛いんだよ? 何回もやってきたからこれ、きっと憲邇が変わったんだよ。


「弟は姉を苛めるものだよ」


「違うでしょう、姉が弟を苛めるのっ。もう、憲邇がお兄ちゃんだったらよかったのにな。そしたらもっともっと優しくて、いじわるばっかりしないのに」


 隣に来て、くすぐるみたいにさわさわしてくれるのも優しいけど。繋がったまんま、ごろごろじゃれあえるのは嬉しいけど。馬乗りの憲邇が横に来てくれて、ほっと一息。めりめりお腹いっぱい感じるけど、安心するのもあるなぁ。


「ごめん。ゆぅちゃんを苛めるのは多分好きだからだよ。男はみんなそうなんだ」


「なら許したげる。好きな子だけにしときなさい。お姉ちゃんとみんなね。それ以外にいじわるしたら許さないよ?」


「うん、しない」


「柚香里もね、甘えるの憲邇だけだから。大好きな憲邇だけに甘えちゃうけど、許してくれる?」


「うん、もちろん」


「ふふ、ありがとう」


 厚い胸板に顔を突っ込んで、ぐりぐり攻撃を仕掛けてやる。ああ、気持ちいい。男の人の胸も、女は大好きだよ。


「だからね憲邇、柚香里憲邇以外の男の人とえっちなんてしてないよ? 信じてもらうしかないけど、でも陵辱はされてないから。い、一回襲われてからちゃんと対策したし、憲邇に教えてもらった護身術も使ったの。あ、あのときは怖くって、怖い思いが強すぎて無理だったけど、今はできるよ。憲邇が……いるから」


 やられそうになったら、男の急所とか、使えないくらい痛い目に遭わせ返ししてたから。それこそ、どんな手段でも使って。


「そっか。頑張ったね」


 なでなでしてくれる。えへへ、嬉しい……


「信じてくれる? 柚香里をちょうきょうしてくれたのは憲邇だけだって」


「大好きなお姉ちゃんを信じない弟はいないよ」


「ありがと……憲邇は色んな人と経験積んだみたいだけどねっ。ふんだ、お母さんともあんなに自慢げにえっちしてっ」


「ごめんなさい。僕も信じてもらうしかないけど、みゆとえっちするまでは母さんとしかしてないよ。ゆぅちゃんだけ」


「ほんと? 高校のときに英語のグラマーなグラマーの先生とえっちしたんじゃないの? 付き合ってたんでしょう?」


「付き合ってはいたけど……えっちはしてない」


 よしよし、話したげよう。


「ふふ、知ってる。本人から聞いたから」


「えっ」


 脚をぶらぶら、させちゃう。「憲邇のことでいろいろ揉めてたでしょう? そのときにね、諦めてもらうときにいっぱいお話聞いたんだ。憲邇がどれだけ優しくしてくれたか、にぶちんだったかとか。最後までどれだけ誘っても踏み切ってくれなくて、あんなにスタイルいいのに女として魅力ないのかって悩んでたくらいなんだよ? 罪作りなんだからぁ」


「そ、そうだったのか……」


「やっぱり憲邇は貧乳が好きなの? ゆ、柚香里ね、一センチ縮んでるんだけど……」


「ゆぅちゃんの胸が好き。中くらいの大きさで柔らかくって、真っ白でピンクのおっぱいが好き」


「やぁ、もう、えっちなことぽんぽん言うんだから。恥ずかしいからやめなさい」


「嫌だ、言う。ゆぅちゃんの流れる長い黒髪が好き。ゆぅちゃんのぱっちり大きい瞳が好き。細くて綺麗な脚が好き。キメ細やかですべすべの肌が好き。どこもかしこも舐めると弱いのも好き。傍にくると柚子みたいないい匂いがするのが好き。話す声がみんな鈴を転がすような音になるのが好き。コサージュとか髪飾りがよく似合うのが好き。ふわふわのスカートが世界で一番似合うのが好き」


「もう憲邇ったらぁ、やめてよぅ」


 さっきので充分なのに。


「なにより、僕を好きでいてくれることが好き」


「やぁだ、もう……
 柚香里もだよ。柚香里を好きでいてくれる、憲邇が好き」


「うん」


 またあまぁい、口づけ……溶けそう……柚香里は、憲邇の甘い唇も好きだよ。レモン味もするし、はちみつ味もする。憲邇の口もするの。いつまでだってしてられるくらいなんだから。


 じゃあね、わたしもコサージュとか、髪飾りやリボンいっぱいするね。みゆみたいにかわいくは無理だけど、やってみるから。あのメイドの良子さんみたいな、ヘッドドレスなんて大好きなんだから。引かないでよ? わ、わたしね、ゴシックロリータのお洋服いーっぱい持ってるんだから。お洋服なんてね、憲邇のせいでスカートとワンピースしかないんだから。高校のときのキュロットやジーンズなんてどっかいっちゃったの。憲邇がどうしてもって言うなら、着てあげてもいいけど? 今はスカートがいいな。だって……あああ、違う、違うよ? 違うんだよ。


「なに? どうしたの?」


「なんでもないっ。憲邇が饒舌だからびっくりしてる、だけ」


「本当にね、口ばっかり動いて、体はへたれなんだ。困ったもんだ」


「そ、そうかな。がたいっていうの? い、いいよ? こんな肩してたら、みゆなんておんぶされるの嬉しいって思うな」


「ふぅん? わかんないな、男は簡単なんだ、おっぱいが好きだから。でも女の人の、男の身体は普通どこが好きって、知らないから」


「そうねぇ、普通はどこだろうねぇ。柚香里は指と、胸と、目でしょう、あと背中と、腕と、脚と、もちろん肩もね、お腹も好きだし」


「ゆぅちゃん、殆ど全部じゃないか」


「えっ、あああ、ち、違うよ? 憲邇がいけないんだよっ、いつの間にか、たくましくなっちゃって」


「なってないよ。ほんの少し贅肉が落ちただけ。運動も最近ようやくジョギングしてるだけなんだ」


「本当? じゃあやっぱりうちの家系って痩せやすいんだね。そんで太れないんだ」


「そう、なのかな。言われるとゆぅちゃん暴飲暴食してた時期でも痩せてたね」


「なんでだろうね。お母さんもだから、これは遺伝だよ。しょうがないねぇ」


 でもいいなぁ……っふふ、そっか、これ締まってるだけか。余分なのが落ちて、男らしい、素敵な身体になったんだ……惚れ直してあげるね。


「ゆぅちゃんはもっとふっくらしていいよ。でないとまた産むの大変だから」


「うん。食欲も少しずつ出てきたから大丈夫。憲邇とこうしてたくさん運動したら嫌でも食べなくっちゃ」


「ごめん、激しいかな」


「ううん、優しい。とっても」


 そっと胸をなぞってく。うわぁ、触り心地最高だよぅ……へへへ、いっぱいそわそわしてやる。くすぐったいだろ?


「ちょっと、やめてくれ」


「やぁだ、いっぱい苛めた憲邇が悪いの。明日大変だよ。お仕事できるかなぁ」


 春花さんみたいになるよねぇ、きっと。昔も初めては翌朝大変だったっけ。じんじんが止まらなくてよりによって体育もあって、心配してくれる憲邇に意地張って無理して大怪我しちゃったっけ。いい思い出。


「僕はまだまだ楽勝だけど? ゆぅちゃんがどうしてもって言うなら、寝かせてあげてもいいよ?」


「……なにすればいいの?」


「やだなぁ、なにもしなくていいよ。僕はもう充分愉しくって気持ちよかったから、ゆぅちゃんに無理させたくないんだ」


「そ、そう? で、でも、まだまだ硬いじゃん、憲邇の。……や、やりたいんでしょう?」


「うん」


 即答だね。ううう、ひどいなぁ、明日お休みだなぁ。


「ゆぅちゃんが離さないからだよ。普通は一回で充分なんだ。ゆぅちゃんの膣内に挿れっぱなしだから、どうしても硬くだってなる」


「そんなこと、言われても、だって、ずっとこうしてたい、し、じゃないといつまでたっても柚香里の、ちっちゃいままでしょう? 憲邇に大きく、してもらわなきゃ」


「別にちっちゃくたっていいじゃないか。全部挿入る必要もないよ」


「……柚香里はほしい、よ。全部全部、一緒になりたい、あっ」


 な、なん、なんで? なんで男の人って、何気ない言葉でおっきくするの?


「……そろそろ、いい?」


「う、うん……」


 憲邇が起き上がって、わたしも起きるようにって、手を引っぱられる。ん……あそこの動きが招いてるみたいでちょっと恥ずかしい。


 大きな両足の上にわたしが全部乗っかる。ふぅ、どうにか、繋いだままいけたね。今憲邇のし、白いのでぬるぬるだから、抜けちゃうかと思った。よ、よかった、わたしは、下にある水溜り、あんまり感じない。……憲邇、えっちぃでしょう? 憲邇のだよ、ばか。散々やるからたくさんこぼれてるじゃない。


 真正面に憲邇がいる。微笑んでくれる、わたしも微笑み返して、憲邇の舌を招き入れた。


「んっ、ふっ、ん……うっ、ん、ん……」


 今まで触れなかったお尻、ここぞとばかりに触って、揉んで、あっ、くる……やわかい? おっぱいのがいいんでしょう? 男の人って、お尻よりおっぱい好きでしょう?


「お尻ぷにぷにしてるね」


「……っ! ばかぁ、どうしてそういう、やめてって言ってるでしょう!」


 聞きたいけどっ。聞きたいけど、聞きたくないっ。


「いけないよゆぅちゃん、事実を認めないと、僕の目を見てっ」


「ううう……ばかぁ、憲邇なんか、大好きぃ……っ」


 ひどい、ものすごく真剣な表情してる。そんなまじめに、ばかじゃないの?


「お尻も好きになれそうだね、ゆぅちゃんのおかげだ」


「ばかっ、んっ、ちょっと、変態っ、広げちゃ、お尻、おっきくなっちゃう、よぅっ」


 憲邇ひどいな、これ、あんまりやったことないのに。わたしはね、さっきのが一番好きなんだよ? 一番ぞくぞく、するのに。……多分。座るのもキスばっかりできて嬉しいし、くっついたら憲邇の胸触れて嬉しいけど。


 そうだ、わたしだって首、キスしてやる。憲邇だって弱いはずだよ、こんなとこ舐められて平気な人いないもん。


「……んっ、ん、んーっ……ど、どうだ、このやろ、びくびくするだろ?」


「全然? くすぐったいだけだね。大体全身性感帯のゆぅちゃんと僕じゃ」


「違う違う違う! な、なな、なに言ってるのっ!」


「あれ、違ったっけ。ほら、こうするだけで」


「ひゃんっ! きゃ、やめ、やぁ、んっ、はぅ……っ」


 首とか、ダメだよ、舐めるとこじゃないよ。あ、後ろまでいっちゃ、ダメ、後ろまで一周されるとおしまいだよ。制覇されちゃう……っ。


「あ、あっ、あ、あ、あっ、あん、ぁ、うっ、う、ん……」


「ふぅ。ほらね?」


「……違う、の。違うのぉ」


「ごめんごめん」


 よしよし、撫でてきた。ふん、騙されないよ。気持ちいい、ふあ、けど、騙されないもん。


「……頭も気持ちいい?」


「えっ……そそそんなことないよ? 嬉しいだけで、気持ちよくなんて」


「そう」


「ん……憲邇の手つき、なだらかだよねぇ、うふふ……」


 落ち着く……はぁ……気持ちよくはね、ないんだよ、違うの。落ち着くの、心地いいの。あったかいの。全然違う、やらしくはないの。


「お姉ちゃんも撫でたげる。よしよし」


「うん」


 大きい頭してるねぇ。この中にえっちなことを考えるのがたくさん詰まってるんだ。よしよし、かわいがってあげる。


「……やっぱりゆぅちゃん、綺麗だよ。笑顔」


「ん、そう? へへ、ありがと」


「我慢できないくらい」


「えっ、あっ
 はぁぅ、うんっ、はぁっ、やぁっ」


 ずん、ずん、急だってば、もう……はっ、どうして、こんなに近いのに、キス、くれないの? これできるよ、ずっとキスできるの、ねぇ、ちょうだい、ねぇ、ねぇ……


「ダーメ。キスはお預け、ゆぅちゃんの声聞きたいから」


「ひどっ、ひどいよぅ、あんっ、やぁだぁ、キスしたいっ、憲邇のお口、ほしいっ。ほ、ほらぁ、こんなにすけべなこと言わせてぇ」


「えっ? 今なにかすけべなこと言った?」


「言ったぁ、憲邇のせいぃ」


 お口ほしいなんて卑猥だよ、そんなのもわかんないの? えっちなくせして、知らんぷりするんだね。最低だよっ。


「んっ、んーっ、んーっ、んぅ、あっ、んっんー、んー!」


 こんなにほしいって唇、突き出してるのにしてくれないんだ。いじわるだね、焦らしてお楽しみなんだね。ばか……っ。


 仕方ないから、抱きつこう。抱きついて、憲邇の胸の感触味わおう。硬いのにおっぱい押しつけるしかない。お尻持たれて、揉みながらぐちゅぐちゅされちゃ敵わないよ。ほら、おっぱいから手、離しなさいっ。いつまで揉んでるの? 変形しちゃったらどうするのっ。大体、やるなら両手でやらなきゃダメでしょう、どっちつかずなんていけませんっ。お尻ならお尻、おっぱいならおっぱい、指絡めてくれるなら両手でそうしなきゃダメなのにっ。


「あっ」


 憲邇から抱きしめてくれた。背中に回る大きな、びっちゃりした手。もっと入れろって、強くして、くれる……っ。


「……すごい。ゆぅちゃんの髪の振り乱れる様、美しいよ」


「えっ? ほ、んっ、ほんと?」


「うん。さらぁって、流れるんだ。綺麗だよ。後で一緒に観ようね」


「っ! やぁ、やぁよぅ、観れるわけ、ないでしょうっ。んぁっ、はーっ、はんっ、ぁ、ぁ、ぁぁっ」


 そう、そうだよ、お尻ならお尻ね。おっぱいならおっぱい、両手で、やってよ。両方となると、おかしくなっちゃう、変な、二つの刺激で、変になっちゃうから。ぞくぞくがね、絶え間なくくるときがね、怖いんだ。ずっとびくびくしっぱなしになったらどうしようって。ずっとあの感じがやってきたらどうしようって。わたし、壊れちゃう気が、するの……


 お尻が、むにゅむにゅ、されて、あっ、そのあとなぞるみたいにそわそわってふんわり、して、ぱちんって、鳴らすみたいに叩いて、びっくりに跳ねちゃう身体を、逃がさないってずんっ、って、くる。最後になる、こん、って、それ、反則だよ……ほらぁ、ぞくぞく、する……



「憲邇ぃ……っ」


「ゆぅちゃん……っ」


「あんっ、激しいよぅ、優しく、して、お願い、くたくたなの、あっ」


「もうちょっとだよ。もうすぐ、射精すから」


「う、ん……はぁ、憲邇、好き、だよ、憲邇、好き、えっちっ、憲邇はえっちっ、好き、憲邇が好き、なの、はぁ、んっ……」


「なにされるの好き?」


「えっ、なにって、もう、またぁ? えっと……んっ、はー、はー……憲邇がね、気づいたらそっと、涙拭いてくれてるのかなぁ」


 嬉しいよ? 溢れて止まらないの、一休みしてるときにそっとしてくれてるでしょう? ダメだよ憲邇、嬉し涙なのに拭いちゃあ。とっときたいの。ううん、嘘だけど。


「ふぅん、じゃあ今えっちしてるのは好きじゃないんだ?」


「え、えっちは、好きとかじゃ、ないでしょう? んっ、はー、あぅっ、んっ、はぁ、ぁ、ぅ、あ、ぁ、ねぇ?」


「好きじゃないんだ。そうか、ショックだな、僕はへたくそなんだね」


「そ、そうだよ? 今頃、あっ、気づいたんだ。柚香里がね、しょうがなく相手してあげてるだけなんだから」


「こうするの嫌い?」


「あんっ



 ぎりぎりまで引いて、一気にずんって、したぁ。


「嫌いならもうやらないよ」


「……卑怯だよぅ……どうしてそんな、卑猥なことばっかり言わせるのぉ……柚香里は違う、淫乱じゃないからぁ、あっ、はぁっ、はーっ、う、ふぅ」


 嫌いじゃないけど、好きって言っちゃ変態じゃない。めりめりがいいなんて、どこの痴女だっていうの。こんって響かされるのが好きだなんて娼婦だよぅ。


「嫌い?」


「……」


 かすかに、震えるみたいに、首、横に。


「ありがとう、ゆぅちゃんっ!」


「あっ、憲邇っ、憲邇ぃっ! はぁ、早い、よぅ、くたくた、やさし、くぅっ」


 ずっちゅずっちゅ、ぎしぎし、うるさい。ぴちゃってときどき跳ねるような、あれなんだろうね、うるさいよね。こんって、行き止まりなのに何回も何回も奥まで突かれて、突かれて、強く、つか、れ……早い、けん、じ、がっ、大きく、かた、く、なっ、て、めりめり、押しやるように、すごくうれ、しそう、に……こんっ、て、やってくれ……た……


「憲邇ぃ……っ



「ゆぅちゃんっ」


 白いの、
射精()てき、た……とくとく、またいってる……あったかい、いっぱい、まただね、とくとく、ぞくぞく、あったかい、いっぱい、あああ、今度座ってるから、とくとく、あったかい、すぐ溢れちゃった……とくっ、とくっ、とくっ……って、なる、から、ぞくっ、ぞくっ、って……二回目、こんなに、うわ、おお、い、よぅ……もう


「……憲邇……



「ゆぅちゃん……」


「だ、射精しすぎ、だよぅ、もう、加減して?」


 ほらぁ、下の水溜り、洗うの大変だよ? 匂いも、ほらこれ、すっごく香って、く、くるね……んっ。


「何回目だと思ってるの? もっと女の子を思い遣らないと、逃げられちゃうよ?」


「逃げちゃ嫌だ、逃げないでくれ」


「はい、よろしい。情けない憲邇に免じて、許したげる。……こ、今度はどうだった? 二回目って、その、興奮しないんじゃない?」


「下ちゃんと見てくれればわかると思うけど」


「みっ、見れるわけ、ない、でしょ……う……っ」


 ど、どろどろ、だね。すごいね、昔は、二回目はもっと、どろどろして、なかったよね。あはは、うわ……変態っ。見ちゃうわたしも変態かな。あはは。


「気持ちよかったよ。さすがに疲れたけど」


「そうだよね、二回目って大変だもん」


「僕二回目じゃないけど」


「柚香里と二回目だから二回目なのっ。知らないわよ、どっかで勝手に三回も白いの射精しちゃう自慰が大好きな弟なんて」


 それでこの量でどろどろなんでしょう? もう、みゆが強くしてくれるからって甘えすぎだよ。ちょっとは自分でやりなさい。


「ごめん。僕えっちなこと大好きなんだ」


「知ってる。柚香里は大変だよ、こんな男の人のばかなお嫁さんだもん」


「バカじゃないよ」


「ばかだよ柚香里、憲邇みたいなばかを好きになるばかなの」


「ああ、そりゃバカだ」


「ぷっ……」


「ふふ」


 二人で笑い合った。そうだよね、お互いのことばかだって思うよねぇ。


 ……しばらく、ごろごろ憲邇の胸の中。腕に抱きしめてもらい、背中をいい子いい子さすってもらう。結構疲れきっちゃったからねぇ。これはみんなも大変だねぇ。


「ゆぅちゃん、小腹空かない? なにか作ろうか」


「え?」


 ちゅっとする憲邇の、エメラルドが妖しく光る。


「僕まだまだする気だよ? やりたいから、ここでなにか食べときたいな」


「……本気? 本気で今日、寝かせないつもりなの?」


「うん」


 あんまりにもあっさり、頷くものだから。


 しょうがないねってわたしも、微笑んじゃう。


「いいけど、ちょっと休ませて。火照った身体を冷まさないと動けないよ」


「あはは。そうだね」


 そう言ってぐったり憲邇に寄りかかった。背の高い憲邇はぽんぽんって背中を叩いてくれながら、指で長い黒髪をさらっと梳いてくれる。憲邇の櫛は変幻自在だからね、わたしのにぴったりだよ。


「……はぁ……憲邇……」


「うん……ゆぅちゃん」


 意味のわからない応酬をしばらくして、興奮しっぱなしの憲邇の心音を聞き続けた。


 落ち着いてから、憲邇がそっと繋いだところ、離そうとする。


「えっ、抜いちゃうの……?」


 ひどいよ、いじわるだよ……お願いするように見上げて、いやいやと首を振る。


「っ……そんな顔、しないでくれ」


「だって、まだ抜きたくないよぅ……憲邇のおっきいの、感じてたい、もうちょっとだけ……」


「ゆ、ゆぅちゃんっ!」


「あっ、あんっ! 憲邇ぃ、やぁ、小休止じゃ、なかったのぉ……ぁぅぅ……」


 ……どうしようもない弟は、ちょっとだけ、こんってやってきた。ずっちゅ、ぬちゅ、白いのとわたしの女の子が擦れて、卑猥な音を、出した。


「あんっ、あっ、あっ、ああっ」


「あっ、ご、ごめん。つい……」


「ばかぁ……淫乱っ、どすけべっ」


「はい……」


「……も、もう、いいよ。抜くね」


「うん」


 そーっと、抜いて……ううう、ごぽごぽ、言ってる……白いのが溢れて、重力で落ちてきた……お股を伝うどろどろした液体が卑猥で、すぐ拭き取ろうとして、


「なにしてるの。ほら、行くよ台所。僕が作ったげる」


「……憲邇? なに、言ってるの?」


 にっこり、愛しの旦那様。


「このまま、拭かずに、台所行きます。ああそうだ、夜中にお水飲みに起きてくる子がときどきいるみたいだね」


「……っ! ばかぁ!」


 今度こそわたしは万感の思いを込めて、ビンタしてやったのだ。


 でも、拭いて台所行くなんて考えはどっか消えて、どうやってこの白いのを隠そうかだけを考えるようになってた。


 光るシャッター音。赤い頬で微笑む憲邇。わなわなするわたし。


「……憲邇のワイシャツ、貸して」


 長い夜はまだ、終わりそうになかった。
















































































 第三十話あとがき的戯言




 こんばんは、
三日月(みかづき)まるるです。このたびは「ごめんなさい」第三十話を読了くださりましてありがとうございます。


 今回は都合によりゲストさんは登場しません。なぜかと言いますと、今もまだえっちの最中だからです。ほら、耳を澄ませば聞こえてきますでしょう?


 ごほん、下ネタが過ぎました。実は私今気付いたのですけれど、このブログのカテゴリは官能小説だそうですね。びっくりです。なので、きっとこのような下ネタを言っても大丈夫だと思います。安心しました。


 次回予告をちょっとだけしますと、次回もまだ憲邇さんと柚香里さんのいちゃいちゃが続きます。続くのです。すみません。お猿さんから狼になった憲邇さんを止められるものはなにもありませんでした。ご了承ください。バカだこいつらと、笑ってやってください。


 それでは今回はこの辺で。さようなら。また次回も見捨てないで読んでやってくださいませ。




 
20091107 三日月まるる





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テーマ : 官能小説 - ジャンル : アダルト

2009/12/31 18:10 | 小説COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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