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「ごめんなさい」その三_第三話_現実がやっぱり一番ありえない

 こんばんは、三日月まるるです。
 早く雪が降って欲しいです。寒いので。
 それでは第三話です。どうぞ。
 追記:看護士ではなく看護師ということに今更気づきました。あとがきも書き忘れていました。死にたい。申し訳ありませんでした。












 



 三 現実がやっぱり一番ありえない



 



 



 子供の好きはやっぱり子供の好きだ。将来結婚するといっても、それはあしらうための言葉であることが多い。だから、みゆちゃんがそう言っていても、言葉どおりの意味だなんて少しも思わなかった。



 みゆちゃんはいつも憲邇(けんじ)さんにべったりで、あたしと遊んでいる間もその人のことばかりを喋る。家に遊びに行っても、憲邇さんのところにいることが圧倒的に多くなっていた。当人がいなくてもだ。よっぽど入れこんでいるんだと思う。



 みゆちゃんは助けてもらった、と言っていた。なにからだろ。誰からだろ? それは辛いこと? 悲しいこと? 訊くには、あまりにも彼女がしあわせそうで……かげを差してしまいそうで躊躇する。憲邇さんはみゆちゃんから聞くべきだと言っていた。だったら、彼女のお父さんたちから聞くのもやめておいたほうがよさそう。どうしようっか……



 その日は二人、憲邇さんの家で憲邇さんが小説を書いているのを見学していた。本人はつまらないよと言っていたけど、楽しそうに、真剣にパソコンに向かう大人の姿を見ているのはおもしろかった。そこに並んでいる漢字のほとんどが読めなかったけど、これはどういう意味、と訊ねるときちんと答えてくれた。



 憲邇さんは色々なお話を書いているらしいけど、その日読ませてもらったのはラブストーリーだった。好き合う二人がある日はなればなれになって、それでも相手のことを想い、日々を大切に過ごしていく。さみしさはたまっていくけど、それ以上に、好きだっていう気持ちが高まっていく。だから、二人は大丈夫。そうして、今は二人が再会しようとするところまでが書かれてた。



「ちゃんとハッピーエンドになりますよね?」



「……まだそこまで考えていないよ。現実はそんなに甘くないし……事実は小説より奇なんだけどね」



「どういう意味ですか?」



「私たちのようなものがどれだけ奇をてらったものを考えても、あ、えーと珍しいことを考えても、現実のほうがはるかに珍しいことが起きるってことだよ」



「ふぅん……」



 でも、憲邇さんの存在そのものが、ずっとずっと珍しいですよ。あたしのお父さんを助けてくれたんだから。



 ノックの音がする。「ご主人様、お茶が入りました。少し休憩なされてはいかがですか」



「ああ、ありがとう。それじゃ君たちも一緒に」



「はーい」



 葛西(かさい)さんのいれてくれる紅茶もクッキーもとてもおいしいのであたしたちは大好きだ。彼女みたいな家庭的な女の人になれるといいなって思う。ううん、でもあたし運動してるほうが好きなんだよなぁ。



 外は雨が、なりやまない悲鳴を上げていた。



「ご主人様、お仕事のほうはよろしいんですか」



「ちゃんとやっているよ。今日は久しぶりの休日だから。出勤日に少し時間を増やして、休日はゆっくり休むことにしたんだ」



「あ、よく患者さん来て待ってますよ、憲邇さんのこと。女の人がすっごく多いですけどねっ」



 みゆちゃんは少しふくれっ面になった。憲邇さんはそれをなでてあやし、あっさりと彼女は笑顔になる。……抱きつく。膝の上に乗る。そしてごろごろと、猫がじゃれるように頭をすり寄せるのだ。……うらやましい。代わりたい。ひとり占めできれば、どれだけいいか、って。だけど、その人の周りにはたくさんのきれいな大人の女の人がいて……みゆちゃんのようにでもしない限り、きっとあたしの心は伝わったりしないんだから。それに、きっと恋人がいる。もしかしたらそれは葛西さんなのかもしれないけど……



「なに?」



 当人は首を傾げてこっちを見にきた。あたしは慌てて、ごまかしの言葉を出す。



「あ、あの、葛西さんって何歳なんですか? すごく若いですよね……」



「あら、ありがとう。まだ十九、今年二十歳になるばかりの若輩者よ。このお仕事も、二年目だし」



「でも、すごくお料理もお掃除も上手だよ?」



「ありがとう。昔から家事は私の仕事だったから、それで慣れたところがあるの。……高校三年生の頃、就職活動してるときにここを見つけて、それでここにきたのね。懐かしいなぁ、あの頃。私、お仕事で最初は失敗ばかりしてて。お客様のおもてなしとか全然ダメで、怒らせたこともあって、迷惑いっぱいかけたのに、それでもご主人様優しいから一回も怒られたことないのよ。叱ってはくれたけど、気にしないでって慰めてもらってばっかり。泊めてもくれるし、お料理には正直に感想言ってくれるし……お休みも、頂きすぎな気がしちゃって悪いなって。……本当、ご主人様は、優しいから……」



 あ。自慢げだ。うれしげだ。なにかをたゆたえてじっと憲邇さんを見る目は、きっと多分、恋の目だ。でも、それに憲邇さんは気づいてないような気がする。つきあってないのかな?



「これだけ身の回りのお世話をしてもらって、文句があるはずもないでしょう。私は根がずぼらですから、葛西さんがいないと生活できていけないんです。感謝していますよ、本当に」



「……ありがとうございます」



 そこでインターホンが鳴った。ぱたぱたと葛西さんは駆けていく。すぐに戻ってきて、「大口(おおぐち)さんがお見えです。お通ししてもよろしいでしょうか」と確認をとった。



「はい、どうぞ。ごめんね、君たちはちょっと外してくれるかな」



「はーい」



 と言いつつ、あたしたちは扉を閉めるふりをして、こっそり隙間からのぞいて話を聞くのだった。



 部屋に入ってきたのは高校生くらいのすごく美人な女の子と、そのお母さんだった。女の子は、俯き加減でじっとおとなしくしている。お母さんは何度も何度も頭を下げていた。



「すいません、お休みの日に。でも、また静香(しずか)が手を出したものですから……」



「いついらしてもらっても結構ですよ。私はそのための仕事をしているのですから。それで、またとは、PBを?」



「はい。どこから手に入れてくるのか、気付いたら部屋で……」



 ああいう話をするってことは、患者さんかな? ……それにしても。せっかくの休日なのに患者さんが訪ねてくるなんて。これじゃ憲邇さん、休む暇が……



「ねぇ静香ちゃん、どうしてまた、麻薬を使ったの?」



「まやくってなに?」



 みゆちゃんが囁いてくる。「使っちゃダメな薬だよ。使うと体が壊れてくんだって」



「そんなの、どうして使うの?」



「さあ……」



「……」



「静香ちゃん。使いたかったのなら、一度病院に来て欲しい。今日みたいに、私のところにでも。いつでもいいから。……なにかあったのなら、教えてくれないかな」



「静香」



「……せんせがデートしてくれたから、いけないの。あたしは悪くない。せんせといるときだけ忘れられた。だから、いないときすごく寂しくて、辛くて……きらって、呆れて、他の薬漬けにしてくれればいいのに、せんせ、こんなあたしでも、かわいいって、きれいって、言うから……だから、夢見ちゃう。やめてよ。やさしくしないで。笑いかけないで。あたしが悪いのに、自分が悪いって顔、しないで……もう、会いたくない……!」



「静香っ!」



 引き止めるお母さんの手を、その子は振りほどいて走り出してしまった。憲邇さんはそれをすぐに追いかける。あたしたちも慌てて、その後についていった。



 家の前で、彼女はその主人に捕まっていた。つかまれた腕を、最初だけ拒絶して、でもすぐにやめた。……そして、憲邇さんに抱きついた。やがて、泣きじゃくる彼女の声が響いていく。



「……やさしくするなら、恋人にしてください。責任とってください。責任とって……結婚してください」



 結婚。その言葉に、みゆちゃんはぎゅっと手を握り締めていた。



「私は医者なだけだよ。それに君には君の、似合いの人がいるはずだよ。その人のために生きてみよう。それはすぐに、自分のために変わるから。……静香ちゃん、君には、麻薬に負けない強い心があるんだよ。それを思い出そう。眠っているだけだから。その人と一緒にいれば、すぐにそれは目が覚めてくれる。彼を、大悟(だいご)君を頼ってみたらどうだい」



「あいつはダメ。あいつはあたしを想ってくれてるけど、わかるの。別の女の子が好きなんだって。あたしに気を向けてるのは、あたしが麻薬をやったから……だから、哀れみがほとんど。せんせは違う。せんせはあたしを知ってる。ひどいことをたくさん言ったのに、それでも態度が変わらない。麻薬をやった、バカな女じゃなくて、演劇が好きな、大口静香として、扱ってくれる……そんなせんせが……」



 ……多分、憲邇さんにそういうつもりはないんだ。女の子だって思うんじゃなくて、一人の人間として、同じに扱っているつもりだと思う。あたしにもそうだったから。だから、ちょっとだけそういう気が、した。



「……私だって哀れみを抱いているよ。それに、もう私には好きな女性がいる。何度も言うけれど、私は医者なだけだ」



 その言葉に、どきりとした。やっぱりそうだ。そうだった。……ああ、でも、それでもいいから、傍に、いたいかも。



 みゆちゃんはどうなんだろ。あれだけ好きって言って……え? な、なんで? どうして、



 そんなうれしそうな顔してるの?



「それでもいい。愛人でいい。一緒にいたい。あなたの同情ならうれしい。なんでもする。奴隷でいいから……」



 なぜか、憲邇さんはひどく、辛そうな顔をした。まるで、前に誰かに言われてしまったみたいに。



「……私とそうなるには、まず君が完全に麻薬から脱却することが必要だよ。できる?」



 だっきゃく……? あ、ダメだよ憲邇さん、仕事優先で、自分を捨てちゃダメだよ。好きでもない人にそんなことしたって、結局お互いが悲しくなるだけなんだから。それで一時的に麻薬をやめられたって、別れたらまたやりたくなるだけなのに。お母さんが、似たようなこと言ってたのに。



「できます。やってみせますから」



「もう一度手を出したなら、私は君に二度と興味を持たなくなるかもしれない。麻薬は、重いものだ」



「……でき、ます。あなたに、振り向いてもらえるなら……」



「でも、私はひどい人間だよ? そういう関係の人には、支配せずには、命令せずにはいられない。それでも」



「それでも! いいです……」



「そう。じゃあ、約束」



 指きりをした。雨で濡れてよくわからなかったけど、きっと今流れてるのはうれし涙なんだと思う。憲邇さんはそっと頭をなでて、家に戻ろうとして、彼女は引き止めて、やがて二人は見つめあって、女の子は目をつむって、憲邇さんは、



 見れなかった。



 雨の中でも、二人はまるで気にしていなかった。ぬれた瞳は、とても大きかった。



 その子のお母さんは複雑そうな顔をしていたけど、これも治療に必要なことなんですねと、納得していた。……



 今はその子、静香さんがシャワーを浴びてる。風邪を引くといけないからだ。着替えはそのうちにお母さんが持ってきてくれるという。憲邇さんはそれを待って、タオルで体をふいていた。葛西さんが温かい飲み物を用意してくれる。



 みゆちゃんはなにも言わない。もしも二人が本気でつきあうことになったら、一番悲しむと思ったのに。だから、あたしが口を開いた。



「どうして憲邇さんはあんなこと言ったんですか。ほかにやり方があったと思います」



「……そうだね。そうだと思う。……彼女は、自分の弱さから麻薬に逃げたんだ。ちょっと辛いことがあるとすぐに。それで、友人たちは離れていった。残った人たちはかわいそうだというばかりで、同情だけで彼女を見た。家族だけが、彼女を個人として扱っていた。それで……彼女は絶望してね。ますますそれに逃げた。……彼女を好きだった男の子も、それに支配されて、やがて別の女の子を見るようになった。それでね。せめて私だけでも、家族以外の人間が、対等に見てあげることが必要だって、気がして。私が対等になれるかどうかはまた別問題だけど……私は元々医者失格なんだ。今までも、何度も同じようなことをしてる。しちゃいけないことだってわかっている。だけど……やらずにはいられないんだ。私が目標になるのなら、理由になるのなら、彼女の望むままにしてあげるほうがいいのかと、思ったんだ。……今は、ね。ただ、これは……」



「……?」



 お話のはんぶんもよくわからなかったけど、最後の、どこがしちゃいけないことなのか、小さいあたしにはまだわからなかった。



「それで、二人はつきあうんですか」



「どうだろうね。彼女も、私なんかすぐに愛想をつかすかもしれないし……とにかく、当面だけでも麻薬をやめてもらうようにしないと。そうすれば、それをもう一度手にしようなんて中々思わないから」



 やっぱり、仕事を優先してるんだ。自分の気持ちを、好きな人がいるっていう気持ちを、もっと大事にしたらいいのに。



 言えないあたしが、言えたことじゃないけど。



 



 



 



 



 わかってる。せんせがあたしを見てくれているのは、あたしが患者だからってことだけ。本気で、こんな十四の小娘と付き合ってくれるはずがない。わかってる。……でも、奴隷でもいいから、なんだっていいから、傍に置いてほしかった。命令されるのだって、せんせなら喜んで受け入れられる。



 せんせがこの体を欲望の捌け口にしてくれれば、それで妊娠できれば、よかった。幸い、あたしはこの年齢にしては大人びた体つきをしている。顔にだって、ああは言ったけど(せんせにとってこんな女じゃない自分が好かれてるとは思えなかったから)自信がある。着飾ればそれなりになると思う。今だって、チャンスはあるはずだった。



 そうでなくとも、もう五年もすればいい年だ。それくらいなら、せんせと付き合ったっておかしくない。それまで我慢できるか、一緒にいられるか不安だったけど……



 熱いシャワーを浴びながら、これからどうしたいかをずっと考えていた。



 



 



 



 



 誰がどう考えたってみゆの倍は生きてる人のほうがいいに決まってる。憲邇さまだってそっちを選ぶと思う。そうなるとみゆは何番になるのかわからない。最後かもしれない。それでも、きらわれるよりは何倍も何倍もましだった。



 その女の人は静香さんといってた。今シャワーから戻って、着替えを持ってくるお母さんを待っている。……バスタオルを一枚巻いただけの姿で。憲邇さまがシャワーから出てくるのを扉を一枚はさんだだけのところでじっと。あたしもまゆちゃんもそこで待ってた。けど、その人はあたしたちに目もくれていない。普通に考えればあたしたちは遊びに来たただの近所の子供。憲邇さまと深い関係にあるだなんて、考えてもいないと思う。だから、ちょっとだけの優越感。



 でもやっぱり、そのプロポーションにちょっと見とれてしまうのはさけられなかった。



「あのー、大口さん? そんな格好でいるとお風邪を引きますよ。毛布を持ってきましたら、せめてこれだけでも……」



 葛西さんだ。でもその人は耳からその言葉が通り抜けているかのように彼女を無視してた。メイドさんはため息をついて、彼女の肩にそれをかける。



 そして憲邇さまが扉を開けた。途端彼女は憲邇さまに体当たりをする。それで毛布がずり落ちても、まるで気にしていないようだった。そのまま、両腕でしっかりと憲邇さまの右腕をつかんでいた。……そこは、みゆもよく組ませてもらっているところだった。みゆも、どくせんよくが強いんだと、実感する。



「静香ちゃん、風邪引くよ。そこの毛布でも使いなさい」



「それは命令ですか?」



 あ、同じだ。あの人はみゆと同じだ。好きな人のためにすべてをなげうつことができる、殉教者の瞳だ。本気で、どこまでも憲邇さまについていきたい、労働者の瞳だ。



 この人とは、一緒になれるかもしれない。



「……お願いだよ。ダメかな」



「いえ……でも、どんどん命令してください。あたし、なんでも聞きますから」



「じゃあ、私の言うことばかり聞いてないで、自分のためを思って行動して欲しい。風邪を引くのは嫌だろう?」



「……はい」



 素直に彼女は毛布にくるまった。



 それでも彼女のお母さんがくるまで、静香さんは憲邇さまの腕をはなさなかった。



 静香、なんて格好してるの……とお母さんは娘を気づかっていた。



 着替えが終わると、お母さんはお礼を言って帰ろうとした。でも、静香さんはぼそっと、



「……ほんとは、同棲したい。一緒にいないと、怖い。またやりそうで、怖い」って、憲邇さまをじっと見てる。



「静香ちゃん、せめて通いで我慢しなさい」



 命令だよ、と言っているように見えた。そこでようやく彼女はそれを受け入れた。



 彼女はずっと、はなれたくないと視線を送っていた。



 ……あんな人が、憲邇さまにはたくさんいるのかな。憲邇さまにだってお友達はたくさんいる。患者さんはもっといるから、その中にはきっと同じような人がたくさんいると思う。憲邇さまはそういう人に好かれやすい人だ。



 みゆもそうだ。そういう、憲邇さまに頼ってばかりのダメな子だ。だから、今日は泊まらせてもらうことにした。



「まゆちゃんはどうする? 帰っちゃう?」



 明日も休みだし、せっかくだから。憲邇さまは仕事だけど。



「……憲邇さんが迷惑じゃなかったら、お願いしたいな」



「うん。親御さんに連絡しておいで」



「は、はい」



 まゆちゃんはとてとてと駆けていった。



「……みゆ。みゆは後で私が言うときに連絡するんだ。いいね」



「? はい」



「ご主人様、お夕飯の支度ができました」



「ああ、はい。それじゃ夕食にしようか」



 ご飯を食べているとき、葛西さんも今日は泊まってくっていう話を聞いた。どこかうれしそうだった。



「それにしてもご主人様って自分で自分の首絞めてってますよね」



「そういうつもりはないよ。私はただ、私らしくあるだけだ」



「でも、いくらだってもっといいやり方があると思います。わざわざ難しい手段をとらなくったって。後が怖いですよ」



「……私の選択は、易しいものばかり選んでいるよ」



「そんなこと言って、プライベートの時間どんどん減ってるじゃないですか。ご主人様がそうだと、私だって仕事に張り合いがなくなるんですよ」



「すいません。承知しました」



 叱られてる憲邇さまも、かわいかった。



 お仕事のことでパソコンと向かい合っていた憲邇さまを見てたら、まゆちゃんが二人だけで話があるって呼び出してきた。



 みゆの部屋に入って鍵を閉めると、まゆちゃんは真剣な表情で切り出した。



「あ……あの、みゆちゃんは、どんな病気だったの?」



「病気?」



「だって、憲邇さんに助けられたんでしょ? あの女の人みたいに」



「ああ……」



 そうだ。まゆちゃんにはまだ話してなかったっけ。でも、話したら今の憲邇さまとの関係も話さなくちゃならない気がする……そこだけぼかして話そうっか。みゆも、共有できる人が増えるのはうれしいし。



 少しだけ悩んでから、あたしは全部を話すことにした。



 まゆちゃんは驚いて、なにを言ってるのかよくわかってないみたいだった。だいたい、まゆちゃんはえっちのことを知ってないと思う。だから、そこは仕方ない。それでも、痛いということと気持ち悪いということはちゃんと伝わったみたいだった。



「あ……ご、ごめん。そんなこと訊いちゃって……」



「いいよ。聞いてもらえてうれしかったから。……誰にも、言っちゃダメだよ?」



「うん。絶対言わない。誰にも言わない。……あたしのも、聞いて」



「?」



 まゆちゃんも語ってくれた。どう憲邇さまが彼女を助けだしたのかを。それはちょっとしたことだったかもしれない。でも、まゆちゃんにとっては大切なことだったんだ。



 だから、まゆちゃんは今も憲邇さまのことを好きなんだ。



 そうして、二人の距離はちょっとだけ近づいたかも。もしかしたら、まゆちゃんも一緒になれるかもしれないくらいに。二人でなんでもないことをしばらく話しあった。楽しかった。



 やがて、夜が深まってく。まゆちゃんは部屋に戻って、葛西さんもおやすみを言ったあと。静かなノックのあとに、憲邇さまはみゆの部屋を訪ねてくれた。……今日、するんだ。



「まゆちゃんとはなにを話してたの?」



「みゆのこと、助けてくれたって話しました」



「……そう」



 憲邇さまはちょっとうれしそうに笑った。



「そうして、大切な人をたくさん作ってこう。友人は多くて困ることなんてない。特にそういうことを話せる間柄は」



「はい……あの、憲邇さま、今日のはかわいいですか」



 今日はピンクのリボントップス(リボンは黒地に白のみずたま模様)に、インナーも英語の文字とハートが印刷されてるもの、スカートも合わせてピンクのミニにした。裾はレースで、ピンクの模様は線と線がたくさん交差してる。多分、今回転してって言われると下着が見えちゃうと思う。その下着は、同じピンクでちょっと小さいものだった。大人の女の人がはくようなの。ちょっと背伸びをしてみたの。えへへ。



「うん。とってもかわいい。女の子らしくって、私の好みだよ。ちょっと一回回ってくれる?」



「……はい」



 やっぱり言われた。憲邇さまは一回転するのが好きみたい。だったらもっと、ミニをはいたほうがいいかな? 見えるほうが、きっといいよね……あ、で、でもそういうの、はしたないかな? そうだよね。やめなきゃ……一回くるっと回転すると、スカートはなにかに引っぱられてでふわりと持ち上がる。きっと見えた。ちょっと、顔が赤くなる。



 憲邇さまはただほほえんでみゆを抱きしめてくれた。そのまま少しだけ見つめあい、口づけをかわす。舌と舌がお互いを求め合ってうごめいて、音を立てる。それが隣に聞こえちゃったらどうしようって、心配にもなった。……でも、それは気持ちよくて、そういう心配はどこかへいってしまう。ただただ目をつむって、甘い感触を味わっていた。



 それが終わって一息ついて、そこで憲邇さまは「やっぱりみゆはかわいいよ」と言ってくれる。その言葉に安心しちゃう。



 ふと、静香さんの顔がよぎって、



「どっちが……」



 って言いかけて、やめた。そんなのどっちでもいい。ただ憲邇さまがこうしてくれてる。それだけでもう充分だし。



「どうしたの?」



「ううん。憲邇さま、好き」



「私も好きだよ」



 そこで抱きかかえられて、ベッドまで移動した。ゆっくりと、服を脱がされてく。あたしは恥ずかしさに顔をそむけた。今日はまだビデオを用意されてないだけましかもしれない。



「今日はあんまり声をあげちゃダメだよ。葛西さんもいるし、隣にはまゆちゃんもいる。わかるね?」



「はい」



「でも、ちょっとやってもらうことがあるんだ。まあ、その前に」



 スカートだけになったあたしを、憲邇さまの指があそこを滑ってく。じっと我慢して、声が出ないようにする。指が出入りして、体が反応してしまう。かすかに、声がもれる。……やがて、あいえきが少しずつ出てきた。



「……憲邇、さま……」



 同時に胸の先を責められて、それが少し張るのを感じる。そこは敏感なのに、気持ちよさが感じられない。なめられると声をあげそうになるくらい、そこは大切なところなのに。



 憲邇さまはみゆが力を使ったからなのか自分のをきちんとコントロールしてた。みゆの準備が整うと、ゆっくりと、おっきくなったそれをいれてきた。



「……ぁ……」



 ダメ。言っちゃいけない。手で自分の口をふさいで、声を出さないようにした。憲邇さまが挿入(はい)ってくる。一緒になれる。それはいつでもうれしくて、涙が出るほどだった。



 少しずつ動いて、みゆの体が振動してく。快感……を感じたい。けど、まだまだみゆは子供で、ただ恥ずかしい思いばっかり。けど、最初よりはずいぶん感じはよかった。



「……みゆ。電話を取るんだ。家に連絡を入れて」



「……え? い……ん……今ですか?」



「そうだよ。両親に電話をして、ちゃんと許可をもらうんだ。もちろん、喘ぎ声なんて出しちゃいけないよ」



「そ、そんな……」



 そんなこと、できません。お父さんたちに聞かれたら、終わっちゃう……あ、これは、そういうえっちなんだ。ど、どうしよう。恥ずかしいし、うまく言えるかどうか自信がない。どうしよう。失敗したら、もう……



「大丈夫。きっと言えるよ。それに我慢できなくて声が出ちゃっても、いくらでも誤魔化せるから。ほら、電話を取って」



「……はい」



 震える手で、ベッドの上にある備えつけの電話を取った。番号は憲邇さまが押してくれる。少しだけのコール音。すぐに、お母さんが出た。



「はい、もしもし?」



 憲邇さまは続けて突いてくる。手加減してくれてて、今はなんとか声は我慢できるけど、それでもちゃんとできるかどうかわからなかった。いたずらっぽい憲邇さまの目にせかされて、勇気を出して口を開いた。



「あ、お、お母さん? あ、ん、あの、こんな時間、に……」



 あ、あ、急に強くなった。思わず手で口をおおう。びくんびくんと体が動く。どうしたのとお母さんは訊いてくるけど、それに答える余裕はなかった。あたしは無理です、と首を振った。



「仕方ないなぁ」



 と弱くしてくれた。そこで落ち着くまで待って、もう一度口を開ける。



「こ、こんな時間にごめんなさい。きょ、あ、今日、憲邇さんのとこに、と、泊めてもらうから……」



「そう。ちゃんとおとなしくしてなさい」



「ぁぅ」



 また憲邇さまは動いた。思わず声が漏れたけど、なんとか受話器を口からはなした。聞こえてないで、聞こえてないで……向こうから受話器を置く音が聞こえて、ほっとする。



 一瞬、あのおじいさんたちの顔がよぎって、戻るかもしれない、怖さに、目をつむったまま、逃げ出したくなる。でも、



「恥ずかしかった?」



「……はい……」



 頭を、なでてくれる。あの人たちは、髪をつかんで、引っ張りまわしたのに……うっすらと目を開けると、ほめてくれるときの顔をした、憲邇さんがいた。



 お父さんみたいな、恋人みたいな、不思議な人。みゆの膣内(なか)に憲邇さまのが挿入ってるのに、いっつも包んでもらってるような気がする、不思議な人。



 ……吸いこまれたい。



「よくできました。やっぱりみゆは偉いね。ご褒美に、今日はあまり恥ずかしくない台詞にするよ。射精する瞬間に、『赤ちゃんできちゃう、孕んじゃう……』って言うだけでいいよ」



「はらんじゃう?」



「赤ちゃんができることだよ。まあ、今はできないんだけどね。雰囲気だけでもって思って」



 そう言うと憲邇さまは腰を動かしてきた。その手が、あそこの上のほうをいじってくる。もう一度口をふさぐ。変な気分になってくる。苦しいのに、もっとしてほしい気持ちになってくる。こうしていられることが、しあわせだっていう気がする。愛してくれてる。女の子として。七歳なのに、こんなにも……涙がにじむのは、きっと幸福(しあわせ)だから。あたしはぎゅっと、憲邇さまの首に手を回した。顔を近づけて、キスをする。深い、キスを。とっても気持ちいい、ふわふわになれるキスを……



「……けん、じ……さまぁ……す、きぃ……」



「私も、好き」



 体をなめられる。胸の先も、お腹も、腕も、指も。だ液で、とけてしまいそうなくらいだった。あったかい。もこもこする……



「みゆ……射精()すよ……」



「……ぁっ……あか、ちゃん、できちゃう……はぅ……はらん、じゃうぅ……」



 憲邇さまが、たくさんみゆの膣内(なか)に出てきた。それは熱く、激しく動き回って、みゆをかき回す。体が、すごく振動した。びくびくって。あたしはやわらかくほほえんで、憲邇さまはそっと、涙をふいてくれた。



 もう一度軽い、キスをした。



 



 



 



 



 ……今日はたくさんのことがあった。憲邇さんの患者さんのこと。みゆちゃんのこと……どうしても眠れなかったから、憲邇さんにちょっと甘えようと思って、廊下を歩いてた。憲邇さんの寝室は知ってる。そこまで来ると、少し緊張したけど、ドアノブを回した。



 まだ明かりがついてた。あたしはこんな遅くにごめんなさいと、口を開こうとして、そこに目的の人がいないことに気づく。あれ、と思って、みゆちゃんのところにいるのか、それとも葛西さんのところかと思って、まずみゆちゃんの部屋に行ってみた。



 みゆちゃんの部屋も明かりがついてる。なにを話してるのかな、と思いながら扉を開いて、



 ほとんど裸のみゆちゃんと憲邇さんが、くっついてなにかをしているのを見てしまった。みゆちゃんはスカートをしてるだけで、ぱんつをはいていない。憲邇さんは裸だ。そして、よく見えないけど、憲邇さんのあそこと、足を広げたみゆちゃんのあそこがくっついているように見える。みゆちゃんのお腹が、ちょっとだけふくらんでた。彼女たちは何度もキスをしてた。唇がはなれるたび、そこから透明な糸が引くのが見える。憲邇さんの手が、みゆちゃんの胸や、あそこに伸びている風に見える。みゆちゃんの顔がとても赤く、そしてかすかな声でなにかを切れ切れに話している。憲邇さんは、みゆちゃんの体のあちこちをなめていた。体を揺らしている。ぬちゅぬちゅって、聞いたことない音が聞こえる。



 えっちなことをしてる。



 そうわかったとき、あたしは慌ててドアを閉めた。大きな音がした。しまった、と思う前に、足は駆け出していった。



 なにがなんだかよくわかんなかった。



 



 



 



 



 扉が閉められる音がしてはっとする。



 しまった。鍵をかけるのを忘れていた。今までかけたことなんてなかったからだ。なんという怠慢……! どうする。誰だ、という検索をかける。まゆちゃんか、葛西さんだ。ここから漏れたら、どうする……?



「憲邇さま?」



「……」



 口止めしなくてはならない。まゆちゃんならまだしも、葛西さんは通報する可能性がある。なんとかしなければ。なんとか……



 言い訳が通じるわけがない。まゆちゃんだとしても、裸でなにをしてたのか想像したり誰かに訊けば一発だ。どうする。まずどちらに知られたのか調べる必要があるが……



「あ、あの、憲邇さま、だ、ダメでした?」



「ああいや、みゆがどうっていうのじゃないんだ。誰かに見られちゃってね。どうしようか考えてるんだ」



「……もう、終わりになるんですか」



「終わりにしたい?」



 私の呟きにみゆは思いっきり首を振って否定した。「いや。ずっと一緒にいたいです。憲邇さまが、誰を一番にしてもいいです。なんでもいいから、傍にいられれば……」



 誰を一番……そうか。静香ちゃんのことか。



 それでも、ダメなのか。



「……うん」



 そっと、額にキスをした。



 行動を起こさなければ。私も、終わらせたくはないのだから。



 



 



 



 



 はじめて憲邇さんと会ったときに言った言葉が、えっちな言葉だっていうのはそのときそう言えって言ってたおじいさんたちが教えてくれた。だから、そういうことがえっちなことだっていう想像はついた。



 それを、みゆちゃんはやってた。つまり、憲邇さんのあそこが、みゆちゃんのに入ってた。そういうこと。……あたしは自分のを見つめて、本当に入るのか不思議だった。



 えっちなこと……まだ七歳なのに。憲邇さんはそういう趣味? ってことは、あたしだってチャンスがあるってこと。頼んだら、してくれるかも。好きって言えば、やってくれるかも。



 やりたいな。やって、絆にしたい。そういう、秘密を共有すれば、これからも一緒にいられるかもしれない。



 ……廊下をどこに行くのかわからずに走り回って、ふと立ち止まる。戻ろっか。そう考えてる自分がいた。あたしもやってもらおっか。……けど、やっぱりそれはできない。後戻りできなくなる前に、憲邇さんの気持ちを知りたかった。憲邇さんがいいって思わないと、なんとなくやだ。



 音を立てないようにして、部屋に戻った。



 ああいうのを見ても好きなままなのは、みゆちゃんのことも大切に思っているからなのかわからない。好きだからこそショックに思ったりするのかもしれないのに。わからない。あたしはどこかおかしいんだと思う。



 おかしいけど、好きだ。



 



 



 



 



 まゆちゃんだったら小さいしすぐにわかるだろうと思っていた。翌朝の様子ですぐに知れるだろうと。葛西さんだったらわからなかったと思う。



 だから、あまりにもわかりやすくぎくしゃくしているまゆちゃんを見て、確信に至った。これでそれとなくみゆに訊いてもらうだけでわかるだろう。とりあえず一安心だ。



「あ、お、おはようござい、ます」



「おはよう」



 私とみゆにまったく視線を合わせようとしない。じっと床を見つめてばかりいる。けれど、ちらちらとみゆが組んでいる腕に目線がいっているような気もする。気になるのだろうか。



 反面、みゆはいつもどおりだった。私がなんとかすると信じて疑ってないのだろう。やはり盲目だ。もしくは、自分がそれぐらいどうにかできると思っているのだろうか。どちらにせよ、もう少し危機感を持ってもいいと思う。



 みゆたちは二人でどこかへ遊びに行くらしい。そのときに、それとなく昨日のことを訊いておいて欲しいと、みゆに頼んでおいた。



「いってらっしゃいませ、ご主人様」



 いってきますと、家を後にする。



 幸いなことに老人たちは何一つ手出しをしていない。やはり諦めてしまうのだろう。誰もがそうだった。圧倒的な実力差を認識すれば、争おうとする気は起きないものだ。



 飴も使っているので、それが効果をあげているのだろう。実質、私の手によって生活が改善された人もいるくらいだ。いくつになっても、精神的に弱い人はいる。あの悪事に、嫌気が差していた人もいるということだ。



 仕事はいつもどおりだった。あの不登校の男の子は、いまだに私と会話をしない。ただ、ゲームより漫画の話を向けたら少しだけ顔を上げてくれた。それがとっかかりかもしれない。今度、ある程度知識を入れておいたほうがいいだろう。



 対人恐怖症はもうある程度克服されつつある。彼女はしきりにお礼を言っていた。違う。彼女の力だ。



 静香ちゃんはこれからどうするのだろう……例え麻薬を克服して私と付き合ったとしても、私を嫌いになって、また麻薬に逃げる可能性が高い。いや、一度麻薬から脱却した人間はなにかきっかけがなければそうそう逃げたりはしない。が……なにかしなければ、と、今日の付き合いを終えると、家の前で彼女その人が待っていた。私が車から降りて、どうしたのと訊ねる前に体当たりをしてくる。



「……どうしたの、こんな時間に」



「すいません、会いたくなって。迷惑でした?」



「そんなことはないよ。中に入って待っていればよかったのに」



「少しでも早く会いたかったんです」



「……そう」



 この子も、みゆと同じだろうか。同じだとして、私は愛せるだろうか。彼女のように……いや、そもそもそれを彼女はよしとするだろうか。昨日訊いておけばよかった。……いや、わざとか。訊くのが怖かったんだ。どんな対応をされるにせよ……私はやはり、彼女を一番に考えているのかもしれない。



 この子は……どうなのだろう。



「夕食は食べた?」



「いえ、まだです」



「そう。じゃ葛西さんに作ってもらおうか。私は食べてきたから、お茶だけ一緒になるけど」



「いいです。会いたかっただけですから。泊めてもらえないんだったら、もう帰ります」



 泊めてもらえますか、とその瞳は語っていた。……明日は学校だ。ここから彼女の学校は遠いだろう。彼女は今日一人。自転車で来ている。泊まると不便だろう。……だが、その程度私が送れば済む話だ。大体、今から彼女が帰るとすると夜道になる。どちらにせよ送るのなら……小考して、いいよと頷いた。



 彼女は驚きに顔を歪めていた。「い、いいんですか」



「いいよ。だから、遅いけど夕食食べていきなさい」



「は、はい」



 さすがにみゆほど喜びを体で現したりはしないけれど、それでも表情は柔らかくなる。……ああ、こういうのだ。こういう笑顔が見たくて、私は働いているのだろう。葛西さんが用意した料理をおいしそうに平らげる彼女を見ながら、早くみゆも来ないかと、もう一度連絡しようか迷うのだった。



 



 



 



 



 まゆちゃんでも葛西さんでも、どっちにしろ憲邇さまのことを好きだと思う。だからショックかな。あんなところを見ちゃったら。もし見た人がいいのなら、みゆはその人も憲邇さまと関係を持ったって、いいと思ってる。別にたくさんの女の人が憲邇さまとつきあうのは、悪いことだって思わない。だって、あんなに素敵な人なんだから。



 あたしは深呼吸して、誰も来ない空き地でそっとまゆちゃんにささやく。



「あ、あのね、まゆちゃん、これ、誰にも言っちゃダメだよ? あの、この前、見たからわかると思うけど……みゆ、憲邇さんにえっちしてもらってるの。せっくすっていうんだって。愛して……もらってるの」



「……」



 それとなくって、どうしたらいいのかわかんない。もし違ってたらどうしようって考えたけど、まゆちゃんならこっちを知ってもいいと思ってた。



 まゆちゃんは今日ずっと調子が悪く、なにをしててもどこか遠くを見つめてた。みゆがこう言うと目の中の黒目をずらし、地面を見つめてた。



「ご、ごめんね。まゆちゃんも、憲邇さんのこと好きなのに」



「……れた」



「?」



 彼女は勢いよく顔を上げて、必死に言ってくれた。



「助けてくれた! あの人、毎日あたしにつきあって、仕事のない日も、一緒にお見舞いしてくれた! 勇気を出してって、やさしく……お父さんも、助けてくれた。あたしのお願い、全部聞いてくれた。だから、だから憲邇さん、きっとあたしのことも好きなのっ!」



「……そうかもしれないね。……まゆちゃんも、憲邇さんに、えっちしてほしい? みゆは、まゆちゃんならいいよ」



「……え?」



「一緒に、えっちしてもらう? それとも、まゆちゃんは一人でしてもらったほうがいい? みゆはいいよ。まゆちゃんなら」



 あの静香さんだって、葛西さんだって。



「……」



「憲邇さんくらいやさしくて、カッコよくて素敵な人は、たくさん女の子とえっちしててもいいと思うの。まゆちゃんが、ちゃんと告白したら、きっと憲邇さん、こたえてくれると思う。あ、でも、憲邇さんとえっちするの、すごく恥ずかしいよ。すごく恥ずかしいこと言わなくちゃいけないから」



 なんて、みゆも恥ずかしいことはわかってないけど。



「……」



「それに、憲邇さんいっぱい条件出してくるから、それ守るのも大変。守らなかったら、すぐ別れるって言ってたし……でも、恥ずかしいけど、すごくやさしいの。全然痛くないし、すごく気持ちいいよ。ね? どうする?」



 あのキスの味を覚えてしまってからは、えっちが待ち遠しくなるときもあった。でもいんらんはきらわれちゃうから、そういうのは忘れるようにしてる。



「……あ、え、えっちなことって、なにするの? 痛いの? 気持ちいいの? この前言ったとおりなの?」



「誰にも、言っちゃダメだよ? はしたない子だって思われちゃうから。憲邇さん、はしたない子あんまり好きじゃないから。……あってるよ。女の子のあそこに、男の子のあそこを挿れるの。男の子のあそこは、えっちなことをするとせいしっていうのが出るの。女の子も、あいえきが出るんだけど。それで、いれてから、動かして、女の子の膣内にせいしを出してもらうの。これが普通のせっくす。他にもいっぱいあるよ」



 まだまだみゆには早いからって、あんまり多くはやってもらってないけど。それでも、お母さんに聞かれちゃうかもしれなかったのはとっても恥ずかしかった。お母さんだってお父さんとやってるんだから、知られたって大丈夫だとはわかってたけど。



 まゆちゃんはじっと、なにかを考えてた。



「……あたし、あの女の人、静香さんだっけ? がつきあうことになってもいいって思ってたの。それでも、あたしがどこかに入れればって……まさか、みゆちゃんまでそうだなんて、思わなくて……あたしも、してくれるかなぁ? ちょっとでも、好きかなぁ?」



「じゃあ、憲邇さんに訊こうよ。きっと、一緒にしてくれるよ。何番でもいいんだったら、きっと愛してくれる」



 みゆにだって。



「……うん。じゃあ、告白してみる。……みゆちゃんは、いいの? あの人が一緒でも」



 あのスタイルを思い出して、あんな風になれたらと思う。あの人を一番に思ってしまうのも、無理はないって気がする。でも、だけど。



「何番目でもいいから、傍にいさせてくれるだけでいいの。もちろん、えっちしてほしいし、デートもしてほしいけど……憲邇さんもてるから、たくさんの女の子相手にしなくちゃいけないの、わかるし……お嫁さんになれなくても、いいの。なれたらなりたいけど……」



 愛してるよって言ってくれた。もう何回もしてくれた。その思い出だけでもう、充分な気がする。



「……あたしも。おんなじだね」



 二人して、こっそり笑いあう。あたしたちはこれで、とても大切な秘密を共有した、親友になれた気がする。



 家に帰る道も、暗くても、二人ならずっと楽しかった。



 



 



 



 



「遅かったね。あれ、まゆちゃんも来たの? 明日は学校だよ。準備とかいいのかい?」



 隣にいる静香ちゃんに、二人は黙ってしまっていた。



「ああ、えーっと……彼女も会いたかったんだって。まあ、とりあえずあがって」



 みゆは嫉妬深い性質だろうか。いつもの場所を違う人が占領していて、不快に思わないだろうか。その顔からはちょっと窺い知れない。



 みゆたちも夕食を食べていないようなので、みんなで食卓を囲んでみた。彼女たち二人だけで食べるのを見ているのも微笑ましい。みゆが私に、どうぞと言って少し赤くなりながら持ってきた肉じゃがは、なんだか……ああ、私はおかしいのだろう。



 今日も葛西さんは泊まりで、みゆたちはどうするのだろうとは思ったものの、それよりもしなければならないことがあり、遊んでなさいと言いつけておいてパソコンの画面に向かう。新薬が更新されていたが、どうしようか。誰に使うべきか、それとも大丈夫なのか、なるべく慎重に……



 と思っていたところで二人から話があると部屋を訪ねられたときは少し驚いた。二人は部屋に入ってきて、鍵をかける……? どうしてだろう。



「あのね、大切なお話があるの」



「うん。なんだい」



「……」



 それはどうやらまゆちゃんのほうからで、みゆが彼女を急かしていた。なんだろう。



「……あ、えっと……あたし、実は……」



 少しだけよぎった、嫌な予感。それは多分、的中するんだと思う。



「あたしも、憲邇さんの、こと、す……好き、です。だから、だから……どれいにして、ください」



「…………」



 みゆは特別だと思っていた。あんなことをされ、ああいう瞳になって。だけど、どうして私の周りには、こういう女の子がこんなにも集まるのだろう。



「……君は、昨日私とみゆちゃんがなにをしていたか見たんだろう?」



 こくりと頷く。「それでも? 他に同じ人がいるのに、それでも私を好きだと?」



「うん」



 あまりにもはっきりと言うので、これが現実かどうか疑ってしまう。まだ七歳なのに、こんなことを……



「私は七歳の相手にセックスをする変態だよ。それでも」



「それでも、いいです。……どれいにして、愛人にして、くれませんか。あたしも、なんでもします」



「……みゆは、いいのかい」



「はい」



 ……ああ、私たちは、どこまでも異常者なんだな。狂っているんだな。確かに、まゆちゃんにだって欲情できるだろう。そばかすにかわいらしい顔つきをしている。きっと……これが……



「私は君を、好きではないかもしれないよ。君がそうして欲しいというから、つけこんで、欲望で、めちゃくちゃにするだけかもしれない」



「それでいいです。そっちのほうがいいです」



「……」



 子供だから。ではない瞳だ。知って尚、それでもいいと思う、悲しい瞳だ。そう、私はそういうふうにとる。……ならば。



 私はみゆに言ったことをそのまままゆちゃんにも告げた。彼女は神妙にそれを聞いて、今のパンツルックを気にしていた。



「守れるかい?」



「はい。きっと守ります。憲邇さま」



 同じなんだな。君もまゆも。だったら、私の言えることは一つだけだ。



「……わかった。君たちがいいって言うんだったら、私は二人とも愛するよ」



「はい。ありがとうございます」



「ありがとうございます、憲邇さま。よかったね、まゆちゃん」



 ……これで、静香ちゃんは私から離れてくれると助かる。さすがに、誰も彼もが彼女たちと同じだというわけじゃないだろう。例え、みゆと同じようなことを言ったとしても。



「今日は一緒に寝てくれますか?」



「いや、今日は一人で寝なさい。私はやることがあるから」



「はい、わかりました」



「あ、あの、あたし、いつでもいいですから」



「うん、ありがとう。おやすみ」



「おやすみなさい」



 二人、手を繋いで部屋を出て行った。……嘆息する。そうとも。私は好色家だ。何人だって囲って……



 静香ちゃんの様子を見に行くと、彼女はじっと壁を見つめていた。眠れないんですと言い、少し傍にいてくださいと頼まれたので座っていると、壁を見つめていた両目を私に向けてくる。……「大分安定しているね。PBの一過集中的な諸症状が見受けられない。……よかった」



 彼女はなにも言わず、ただかすかに頷いた。そっと布団から手を出し、すぐに引っこめる。「手ぐらい、握っているよ。君が眠るまで」



「いえ……」



 なぜか寂しそうな笑みを浮かべ、静かに瞼を閉じる。



 安らかな、麻薬の匂いを感じさせない寝顔だった。



 大悟君は部活動で忙しい、か。仕方ない、少し夜が遅くなるが、平日に訪ねよう。早いほうがいい。明日だな。



 問題はこちら。老人たちのお誘いだが……一度、行ってはおいたほうがいいか。一応彼女たちに連絡もしておこうか。今なら、やはりメールで充分だろう。送っておいて、前回の電話だが、やはり直に会っておく必要が……



 明日の仕事もすべて片をつけてから、みゆに力を使ってもらってでも抱きたい気分だな、と自分の異常さを顧みる。肩でも揉んで欲しい、と思った矢先に、ノックの音がする。



「ご主人様? お時間よろしいでしょうか?」



「はい、どうぞ」



 扉を開けた彼女は仕事着からパジャマに着替えていた。



「こんな時間までお疲れ様です。おやすみの挨拶だけでもと思ったんですけど、タイプ音が聞こえて」



「明日の分です。もう終わりました」



「はい、待ってましたから」



「そんな、いいですよ」



「肩、疲れたでしょう? 揉んであげます」



「……」



 なんだか、自分がして欲しいことをしてくれる人というのは、本当に女中さんに向いていると思う。



「お願いします」



「はい」



 リズムよくマッサージされていると、このまま眠りこけてしまいたいと瞼が落ちたがるのを感じる。もう少しの我慢、と目を開いていると、そっと彼女が声をかけてきた。



「有休、使ったほうがいいですよ」



「貧乏性なので。とっておきたいんです」



 医者の誰もが、有休はあまりとっていない。とれる状況ではないからだ。が、そんなことは言うことではない。



「もう、またそんなことばっかり……心配、かけないでください。ご主人様がふらふらだと、私ははらはらしてお仕事にならないんですから」



「すみません。大丈夫です。自分の体は、自分がよくわかっていますから」



 医者が自己管理をできないのは実はよくある話なのだが、私は違う。……と、思いたい。



 彼女はため息混じりに「わかりました。お食事のメニューをもっと考えます。それに、明日からはお弁当にしますから」と少し強くしてくれた。



「いえ、そんな」



「ダメですっ。どうせ今も昼食をたびたび抜いているんでしょう? お医者様が倒れると患者さん全員が困るんですよ? ご主人様一人の体じゃないんです」



「……耳に痛いです」



 そうだ。その通り。私一人の体ではない。私が倒れれば、みゆを守れるかどうか。まゆちゃんも加わって、ますます責任は増すばかりだ。そうでなくとも、彼女たちがいる。私はしっかりせねばならない。



「はい、終わりました」



「ありがとうございます。随分楽になりました」



「……ご主人様、もっとフランクに話しかけてくださいよ。ご主人様なのに、ちょっと他人行儀すぎます」



「え……これは口癖みたいなもので、えっと……ごめん。またよろしくね」



 葛西さんはぱぁっとすみれのように笑顔を作り、「はい、任せてください。おやすみなさいませ、ご主人様」と勢いよくお辞儀をした。



「おやすみ」



 そう、嬉しそうなのに去り際、少し寂しげに表情を曇らせたのはなんだったのだろう。



 でも、本当にかなり楽になった。時々してもらうけれど、本当に彼女は上手だと思う。これからは毎日してもらおうか……などと思いながら、寝床についた。



 



 



 



 



 ダメ、吐きそ……



「静香? 大丈夫?」



 手で制して、トイレに向かう。ダメ。やっぱり無理に食べたって、吐くだけ。汚い声をあげながら、今さっき食べたものを吐いて、その醜さにいやになる。



 あたし、そのものに見えて。



 思わず手を振り上げて、でも先生の顔を思い出して、なんとか震える右手を、左手で自制する。このくらいで根をあげてちゃ、いけない。



 視界も頭も歪むのを抑えようとして、ママのおいしかった料理を食べたって、意味ないんだ。



「はーっ、はーっ、はーっ」



 これくらい、なんでもない。担当が先生から替わるとか、会うたびにいやな顔されるとか最悪の想像ならいくらでもできる。それに比べたら、これくらい……



 会いたい。会いたくてたまらない。けど、今は会えない。これが抜けて、落ち着いてから。今会って、先生にきらわれるのだけはやだ。



 いつもあたしを気づかってくれるママを押しのけて、自分の部屋にこもる。鍵をかけてぐらぐらしながらベッドの上に倒れこんだ。……ここにいれば、誰にも見られない。あたしの、汚いところは誰にも見せたくなかった。でも、



「……先生にだけは、見てもらいたいな」



 もう、よくわかんない。慰めて欲しい。やさしくされたい。でも罵って欲しい。甘えるなって、突き放されてもいい。あ、なんでもいいんだ。繋がりが欲しいんだ。



 絆にしたいんだ。



「……はぅっ、あ、うう……ぅえ……ええっ」



 体があたしの体じゃない。あたし、こんなに腰細かったっけ? こんなに、足むくんでたっけ。こんなに、肌が、ぶよぶよして気持ち悪かった?



 劇団のポスターが、同じ人がたくさんいるようにしか見えない。教科書が丸い。天井が百メートルくらい上にありそう。



 それでも、それだけは確かにそこにある。ゆっくりと、震えながらそれを手にとって、静かに抱きしめる。こうして、あの日の思い出を抱きしめてるだけで、少しずつ自分が安らいでいくのを感じる。このどうしようもない気持ちも、一緒に過ごしたあの熱い感覚に変えれば、なんとかやり過ごせる。がたがたになる指先も、先生に気づかれないようにそっと触った、観てるときの感じを再現すればどうにでもなる。どろどろに溶けてしまった体も、むりやり抱きついたあの日に戻れば、元に還ってくれる。



 また一緒に、あたしの好きな劇団を見に行きたい。一緒に楽しんで欲しい。先生の趣味に誘って欲しい。男の人の趣味だって、少しかじるくらいなら……



 デートして、デートして、休日は毎週デートして、きれいな景色を見て、おいしいご飯を食べて、いろんな、普通のことを話して、夜まで一緒で、抱いてもらうんだ。



 抱いて、もら……



「……ぁ」



 そんなわけ、ない。麻薬なんかした女を、誰が抱きたがってくれる? 抱きたいと思う? そんな女。そんな女っ。



 なんであたし、麻薬なんかやっちゃったんだろう。なんで、なんで、なんで……



 こんこん、とノック音。先生かと思って扉までばたばたと転びそうになりながら駆け寄り、「誰?」と期待に声が裏返る。



「俺だよ」



「……なんだ、大悟か……」



 がっくりして、ずるずると床に滑り落ちて、背を向けて、扉に寄りかかった。



「なんだで悪かったな」



「せっかく休みなんだから、彼女とデートしてれば」



「っさいなぁ。毎週デートできるわけねぇだろ」



「あたしなら、付き合う人には絶対毎週してもらう」



「無茶言うよ」



 座る音。なにかを扉に押しつける感じ。「ちょっと、そこに居座られたら出られないじゃない」



「そんときは言ってくれ」



「いや。めんどくさい」



「こうやって、顔を会わせないで話してれば、少しは気が紛れるだろ?」



「……あんたじゃ、ダメなのよ」



 あんただって大人に近づいて、『大口静香』じゃなく、『かわいそうなバカ女』を見る目に、なったんだから。



「医者に入れ込んだっていいことないぞ? 向こうは家庭より仕事を優先する」



「それでいい」



「今だけだよ、そういうの」



「わかったような口利かないで」



「わからないから、いろいろ言うんだ。……お前治ったら、引っ越そうかっていう話、あるの知ってるか」



「……」



 はじめて聞いた。



「学校じゃ、誰も言わないけど、みんな噂は知ってる。お前が病院通ってるのも、全部。治ったら、誰も知らないところでやり直さないかって」



「……」



「親父たち、お前の親父たち無駄な気遣わせやがって、俺が進学予定のところに行こうって言ってやんの。はは。バカだよな。俺たち、もうそんなんじゃねぇってのに」



「行かない」



「ん?」



「絶対、行かない。引っ越すならあたし以外でやって」



「んだよ、そんな邪険にすんなって」



「うっさい!」



 ああ、ダメ、またぐらぐらする。ぼやけてくる。扉と一緒に、溶け込んでいるみたい……



「あん、たたちには、わかんない、のよ。足が動かない人が、車椅子なしで生活、でき、る?」



「……お前、まだ出会って何ヶ月だと思ってんだ」



「十一ヶ月と二十二日。短くなんてない」



「十四年ずっと連れ添った人が車椅子だろが」



「動かなかったのよ、その椅子が」



「お前が動かしてねぇだけだよ」



「動かなかったの。車椅子じゃなかったの。乗ってみて気づいた。あの人たちは、がんばってって声をかけるだけ。どうがんばればいいかわかんなかった。それじゃ、ダメだったの」



「んでだよ。それでいいじゃねぇか」



「あの人は、車椅子な上に、倒れたら起き上がらせてくれる。声もかけてくれる。リハビリも手伝ってくれる。それに……」



 これは言ってもわかんないか。



「自分で立てるようにならないと意味ないと思うけどな」



「あんたさ、立て立てって言うだけって、無責任だとは思わないの?」



「しかし、自分に責任は持ったほうがいい」



「わかってる。わかってるけど……戻った普通の、ママとパパとの暮らしが、あたしには……」



「……確かに、戻った先に待っているのが魅力的でなければ、達成感がなければ、辛いものかもしれない。だとしても、両親が間違ってるわけじゃない」



「うん。わかってる。あたしが、弱くて、甘えてるだけ」



「甘えも弱さもうまく変換するよう導いてくれる、か。さすが医者だな」



「どうかな。ほんとに甘やかしてくれてるだけかも」



「一人の人間だけに頼ると辛いぞ」



「誰も頼れないほうがよっぽど辛いわよ」



「……なんでお前のおふくろさんじゃダメなんだ」



「……あの人、言ってくれたの。舞台を見て、わからないところを訊いてくれて、あたしが答えると、『すごいね』って」



「? それが?」



「わかんなかったら、わかるまで精進しなさい」



「女ってなんで意味不明なことばっかり言うんだ……」



 精一杯、おめかしをして待ち合わせ場所に行ったあたしに、先生は……多分、心から。



「それと、きれいって言ってくれたし」



「お前、結構人気あったんだぞ」



「そう? でも、その人たちはあたしの今を見ても同じじゃないんでしょ? 『あった』んだし」



 医者だから。っていうのもわかる。それでもいい。それでいいから、一人の人間なのはうれしかった。



「俺も悪くないと思うぜ」



「今の顔見て、言える?」



「じゃあ開けろよ」



「やーよ。どれだけ会わなかったと思ってるの」



「今更、どんな顔見たって驚かねぇよ」



「本気?」



「本気」



「……どいて」



 彼が立ち上がった後に、そっと鍵を、開けた。



「……」



「……」



 ああ、ほら、そうやってかわいそうな顔をする。ショックなのを抑えて、殊更普通に振舞おうとする。きっと次に言う台詞は、『ちょっと悪いかもしんねぇけど、でもきれいだ』なんて。



「……前よか、ちょびっとだけ悪いかもしれない。けど、きれいだ」



「……」



 あたし結構、見る目あるかも。



 彼は目を逸らす。「わりぃ。少し、ショックだ」



「やっぱね、あんたじゃ、ダメなのよ」



 その道のプロじゃないと、ダメ。女として見られてなくてもいい。欲情の対象であれば、いいから。



「はい、おしまい」



 もう一度扉を閉めた。まだまだ落ち着かない風景の中、ずるずるともう一度床にお尻をついて、やっぱり、大悟もああなんだってわかるとちょっとだけ、悲しかった。



 服の中に入れておいた思い出を取り出す。どうしてこれだけが、こんなにも揺れるなにもかもの中で確かなんだろ。



「そうだ、今夜うちのおふくろが晩飯一緒にどうか、って言ってた」



「……無理よ。今は食欲ない」



「そうか。じゃあまた今度な。クリスマスにさ、ようやく休みができたからパーティーやらないかって、親父たちが言ってる」



「……そうね。できたら、それもいいかも」



 その頃までに、治っているかしら。



 いつまでも終わらない現実の中、あたしはただ、次の会える日のことを考えて時間を待っていた。



「……もう寝た?」



「……なんであんた、まだいんのよ」



「家に帰っても、おふくろが勉強しろってうるさいからな」



「どっか、行ってよ。あたし、今荒れてんだから」



「……ここに、いさせてくれよ」



「……」



 あたしたちはそのまま、しばらく同じ時間を過ごした。二人の間に流れるものがなんなのか、信頼なのか、友情なのか、いたわりなのか、嫉妬なのか、それとも……うん、わかってる。



「あ、大悟くんじゃない。どうしたのそんなとこで」



「こんばんは(あね)さん。妹のお見舞いですよ」



「そう? ありがと。静香、調子どう?」



「……」



「悪いですよ、すごく」



「そう。静香、今度もう一回お姉ちゃんと行きましょうね」



「……うん」



「はい、よろしい。静香、先生に惚れちゃってるんだって?」



「そうみたいッスね」



「ふふふ。しょうがないっか。あれだけ麗しの王子様は、女の子として憧れるかも」



「そんなにいい男には見えねぇけど」



「女だけに響くフェロモンがあるの。それとオーラね。あれは相当な女ったらし」



「あ、それはそう思った」



「でもね、男らしさもありそうな気がする。いざとなったらどうなるか、見てみたいわ。あ、もちろん、大悟くんのもね」



「そういうのはいいです」



「そう? ふふ」



「今日は泊まってくんですか?」



「ええ、仕事も一段落したし……」



 大悟とお姉ちゃんの声を聞いてると、なんだか眠くなって……うとうとと、舟を漕ぐ。



 夢の中で先生に会えたら、なんて。ほんとに夢見る少女……



「……!」



 またあの感覚が急に襲いかかってきて、目が覚めた。この感覚……やっぱり一朝一夕じゃ抜けない。先生も、しばらくは地獄が続くって言ってた。それだけのことをした。単なるツケ。



 あたしは虚空を睨みつけ、負けるもんかと思い出を抱きしめ続けた。



 



 



 



 



 中学校に通っていたのは何年前になるのだっけ……十四年前から十二年前。半生に比べればなんと密度の薄いことか。



 なのに……



「ね、ね、お兄さん誰待ってるの?」



 興味本位の女生徒数人が、やはり声をかけてきた。



「こんな校門の前で堂々と援交だったら、向こうのお店行ったほうがいいよ」



「違うよ。小暮(こぐれ)大悟君を待っているんだ」



 これも仕事と、今日は定時と少しで終わらせることができた。少々、疲れたけれど。



「小暮? なんで?」



「話があってね」



「へぇー。ね、どうせあいつ三年だから最後まで部やってっからさ、あたしたちとお喋りしようよ」



 横の二人も頷いている。



「君たちこそ、援助交際だって噂が立つと大変だろう」



「この辺でそんな噂ぜんっぜん聞かないし、大丈夫だって」



 強引に腕を引っ張ろうとする彼女たちのアクティブな面は少し、羨ましい。



「お兄さん大学生でしょ? それともちょっと老けた高校生?」



「……ここでならいいよ。お店に入ると会えなくなるから」



「もー、しょうがないっか。ね、いくつ? 彼女いる?」



「十五の中学生。隣の付属のね。同い年のかわいいのが彼女でいるよ。部活は幽霊部員でバスケ部、ときどき助っ人で色々借り出されるんだ」



 適当にあしらっていると人を疑うことを知らないのか勝手に落胆したり盛り上がったり、話していて飽きなかった。



 結局彼女たちは彼の部活が終わるまであれもこれもと訊きまくり、大悟君とどんな話をするのかまで気になるのか帰る気配を見せなかった。



「大悟君」



 疲れた顔で家路に着こうとする彼を呼び止めた。



「……誰ッスか」



「静香ちゃんが付き合いたいやつ、と言ったらわかるかな」



「……」



「え、静香? うちの学校にも静香っているよ?」



 ざわめきだす彼女たちを尻目に、彼は一言で飲み込めたようだ。



「君に話があるんだ」



「……どこか二人だけで、ってことッスよね」



「うん、すぐ傍に相談にはうってつけのお店がある。行こう」



「うわ、うわ、三角関係? やだ、あたしたちもいちゃダメ?」



「やめとけ。そんなんじゃねぇよ。……俺はあんたと話すことなんかなにもねぇけどな」



「彼女があるんだ。代わりにって」



「……わかったよ」



 二人歩き出しても、彼女たちは普通についてきた。



「帰りなさい。もういい時間だよ」



「ちょっと、上から目線やめてくれる? あたしたちだって同い年でしょ」



「私はこう見えて今年二十七になるおじさんなんだ」



「あはっ、おもしろーい」



「そうだよね、大悟君」



「そうだよ。帰れ」



「嘘、マジ? うわー、見えねぇ……」



「こいつは中学生に手を出す変態なんだ。逃げたほうがいいぞ」



「マジ? え、援交っての、マジだったの?」



「みだりに人の言うことを鵜呑みにすると、大変だよ。でもね、そういう君たちは好ましいと思う。さようなら」



 そこで彼女たちも足を止めてくれた。



 私はホットコーヒー、彼はなにも頼まなかった。



「で、あいつなんて?」



「ああ、ごめんそれは嘘」



「帰る」



 彼は躊躇なく、下ろしかけた腰を上げて背を向けた。



「彼女のために、君と話をしておきたいんだ」



「……ためにって、その後やりたいからなだけじゃねぇのかよ」



「そのときは刺してくれ」



「……」



「彼女が望んでいないのに私が犯したと君が感じたのなら、私をどうしてくれても構わない」



「嘘つけ。そんな気ねぇくせに」



「君の携帯、音声録れるだろう? いくらでも誓文代わりにしてくれて結構だ」



「……わかった。ちょっと待ってくれ」



 何度か録音を試し、彼は満足したのかようやく腰を落ち着けてくれた。



「彼女は、私と付き合いたいと言っている」



「知ってるよ」



「私は、治療が終わった後ならそれは自由だと思う」



「年考えろよ」



「もちろん、治ったとしても私がそうするかどうかはわからないとも言った。それでも、と言うほど、彼女は弱っている」



「見りゃわかる」



「もしも、私と付き合ったとしても、うまくいくとは思えない。彼女が私に失望して、別れる可能性が高いと思う。そして、私が断った場合。彼女は麻薬をやめる目標として、私と付き合うことをおいている。だから」



「失敗したら俺にフォローしろ、とでも?」



「君がいる、ということがわかるだけでも違うんだ」



「それだけであいつが救われるとは思わない」



「だが最悪は免れる」



「あんたがやれよ」



「私が最悪になるんだ」



「だからあんたがちゃんとやりゃいいだけの話じゃねぇか」



「しかし私は、目標があるのならそれを無理に変更する必要はないと思う」



「知るか。俺は変えたほうがいいと思うぜ」



「見つからないんだ。君なら、うまくやれる」



「初対面の人間に言う台詞じゃねぇよ。大体、俺がなにも見つからなかったからあいつはああなって、あんたっていう浅い穴に落ちたんだ」



「だから、今からでも引き上げて欲しい」



「無理だね。あいつ、自分を足の動かない人間で、あんたは車椅子だって言ってたぜ」



「……そう、か」



 思い込みは、人を狭めてしまう。やはり、私は間違えているのだろう。



「……俺は、別にそれでも構わないと思っている。あんたから、言い寄られて迷惑だっていうの、聞いてないしな」



「私は医者だ。その上、ロリータコンプレックスなんだよ」



「あいつらああやってあしらっておいて、そうは見えねぇよ。医者がどうのって言うやつがおかしいんだ。……今は車椅子で、いつかは一人で歩けるようにあんたがサポートしてあげていけると、思っている。その頃には、きっとあいつだってあんた以外の誰かを好きになっているさ」



「ありがとう。ただ、失敗したときは頼みたい」



「……ふん。最初から失敗したときのことを考えているんじゃ、あいつがかわいそうだ」



「なにも手を打たないでいることは、医者としてできない」



「わからんでもないが……まあ、確かに一時的な目標とするのなら、あんたを手に入れるのだって悪くねぇ、か。ただなんの目標もなしに麻薬やめようとするのは辛いだろうしな。……今まで、そうだったから」



「しかし、普通はやめるということそのものが目標になる。真っ当に生きたい、ただそれだけがね」



「もう一つ目標があったほうが、頑張れるんじゃないスか? それも、終わりのない目標が」



「そうかな……」



「それに、多分あいつは、麻薬をやめたいっていう気持ちは薄れてんじゃねぇかな?」



「……え?」



「あんたと付き合えるから、麻薬をやめる。振り向いて欲しいから、やめる。目的ではなく、ただの手段になってる感じがする」



「そう、か……」



「今の目的がふいになっても、手段が目的に戻るとは思えない。むしろ、気づいてないだけ目的を見失うんじゃねぇかな」



「いや、それはまた別問題だよ。そうだね、だったら手段を目的だとはっきり自覚させないとね」



「頑張ってくれ。俺は予備として頑張る」



「……ああ、お願いするよ」



 例え哀れみだったとしても、気にかけてくれる人が家族以外でいるのはいいことだ。承諾してくれて本当に助かる。



「そういや、あいつ、ずいぶん前だけど、あんたがなんか質問してそれに答えると、『すごいね』って言われたらしいんだ。それがあんたを好きな理由みたいなんだが、どういう意味がわからないか?」



「……よくはわからない。恐らく、あまり褒められたことがないのじゃないかな」



「それだけで? 好きになるとは思えねぇな」



「恋に理由はないらしい。彼女はそう言っていたよ」



「そうだけどさ……じゃ、俺はこれで」



「ああ、送ってくよ」



「いいって。ガキでも、運動部だ」



「そう。よろしく頼む」



「……なぁ、抱いてやるときは、優しくしてやれよ」



「そんなことにはならないよ」



「泣かせたら許さねぇからな。じゃ」



 軽く手を上げ、彼は早足で去っていった。



 やはり静香ちゃんのフィルターはかなり親しいということが現れており、話とは違うところが多々見受けられた。口は少し悪いが、芯のしっかりとした、こちらをきちんと理解できるできた人間だ。彼がどうして彼女を癒してあげられないのか、わからないが……誰の目にも優しい、よい人間が、救いの手を差し伸べても拒絶する人もいる。好みの違いだろうか。対等と扱わなかったのだろうか。



 私とて、そうなのに。



 



 



 



 



 正直あたしもおしゃれはさっぱりだった。なにを着てなにが似合うのか、ちゃんとしてるみゆちゃんはすごいと思う。



 スカートが好きだからワンピースも好きだって言ってたっけ。ようするに憲邇さんはめくって下着が見えるのが好きなんだ。意外とえっち。男子たちにめくられちゃうかもしれないのに、ハーフパンツをはけないのはちょっと恥ずかしい。でも、かわいくないっていうのはよくわかるから、我慢しよう。



 よくわかんないからピンクのうさぎが描かれてる白いシャツに、薄い同じピンク色のプリーツスカートをはいて、下着も……ピンク色にした。お母さんは、急に増えたあたしの下着に驚いてたっけ。あたしもそういう年頃なの、って言ったら、うれしそうに笑ってた。ませちゃって、って。



 その子が、二十も年の違う人に、お父さんの命の恩人に、本気で恋してるって気づいたら、なんて言うかな。



 早く、みゆちゃんにしたことを、あたしにもしてほしいって思ってるってわかったら、なんて言うかな。



 久しぶりにはいたスカートは思ってたよりずっとひらひらでふわふわで、なんだかこそばゆかった。



「どうして新垣(あらがき)、急にスカートなんかはいてんだ? 似合わねーの」



「いいじゃない。別に」



 好きな人のためにがんばるなんて、男の、それもそんな年のあんたたちになんか、わかんないって。



 女の子は何歳だって、女の子なんですから。



 あ。そっか。あの日から、急にみゆちゃんが女の子らしくなったのは、憲邇さんにえっちしてもらったからなんだ。だから、あんなにかわいくなったんだ。……じゃあ、あたしもそうなれるかな。



 周りの女の子たちから、嫉妬されちゃうくらいに。



 人気がある女の子っていうのは、いつの時代でも、いつの場所でも、やっかみの対象だって、お母さんは言ってた。みゆちゃんはそうなった日から、ずっと同じクラスの男子のあこがれの的になっている。それが気にくわない、と言わない女子は少ない。やっぱり、女の子はいくつだって女の子なんだから。



 だから、あたしが一緒にいることにした。あたしはみゆちゃんと違って運動ができる。そういうことをしたやつらには、手痛い仕返しをしてあげるのだ。もちろん先生にも言う。それで問題はだいたい解決された。やっぱりまだまだ、みんな幼いから、ってまたまたお母さんも。……みゆちゃんは、そういうことを冷静になんとかしていたけど。そう、憲邇さんに教えられたとおり。



 その日は学校が急に早く終わり、じゃあ先生のお仕事を見にいってみよっかって、そんなことできるわけないのにそのときはわからなくて、つい自転車に乗って憲邇さんのいる病院まで走ってった。



 受付で名前を出すと、当人は二階の神経科精神科っていうところにいるって聞いた。お礼を言って、階段を上ってく。



 こんな時間だからか、あまり人がいなくって、あたしたちはじろじろと見られてた。それを気にすることなく、憲邇さんを探す。すると、廊下を曲がってくるのが見えた。あたしが声をかけようとして、すぐにみゆちゃんに引き止められる。そしてそのまま物陰に姿を隠してしまった。どうしたの、と訊くと、みゆちゃんは黙って指差した。



 高校生くらいの、すごくきれいな女の人と一緒にいた。あたしなんか、すぐかすんでっちゃいそうな……美人。着ている服もすごくおしゃれで、彼女の美しさを引き立ててた。細い体によく似合う、薄いピンクっぽくてお花がプリントされたワンピース、腰のところに濃めのグリーンのリボンがあって、スカート部分の裾は透明なブラックだった。それに白のカーディガンを着てる。多分、顔はお化粧で飾ってるんだ。目はパッチリしてて、肌はツヤがあって、唇はきれいな桜色。髪もきれいな亜麻色のストレート。あたしたちとは違う、



 女の、姿だった。



 うれしそうに憲邇さんの隣を歩いてるから、ああ、きっとこの人も好きなんだって、そんな気がした。



「まだまだ私は時間を取れないよ。外で待っていればよかったのに」



「少しでも早く先生に会いたかったから」



 それでも。それでも、一緒にいられれば、それでいいと思う。



 ああ、あたしは、確かなものなんてないのに、ゆがんでいるみたい……



 腕を組もうと、左手をそわそわさせている彼女を見ていると、まだまだだなって、笑えるけど。



「外で待ってなさい。ここにいると、他の人に迷惑だから」



「はい。ごめんなさい」



 そうして、憲邇さんはどこかへ消えていった。手を振る彼女は、それでもしあわせそうだった。



 ……あたしたちは、帰ろっかと、どちらからともなく言いだして病院を後にした。



 近くにあった公園にはいって、二人でブランコに乗った。キィ、キィときしむ。あの人もいつかあたしたちと同じようになったりするのかな。それとも、憲邇さんのことをもっと知って、はなれてくのかな。……なんだか、さっき見たばかりなのに、今すぐに会ってほしくなったのは、あたしだけじゃないと思う。



 自分だけを見てほしい。そう、少しでも思わずにいられるには、あたしはまだ小さすぎた。



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 第三話あとがき的戯言



 



 三日月(みかづき)まるる(以下、作者)「やっぱり前戯が甘すぎるような……これは絶対無理矢理だよ。みゆさんがかわいそうだ……」



 大口静香(以下、静香)「誰ですか、みゆって」



 作者「こんばんは、三日月まるるです」



 静香「はじめまして、大口静香です」



 作者「このたびは「ごめんなさい」第三話を読了くださりましてありがとうございます。今回は新キャラクター、大口静香さんにゲストとしてきて頂きました」



 静香「テレビみたいな言い方するんだ」



 作者「本題に入る前に。ルビを振ったりフォントを変えたのはそうしたかったからです。ごめんなさい。他にも色々変えました。ごめんなさい」



 静香「あたし今回初登場だからわかんないけど」



 作者「さて、PBってなんですか?」



 静香「その前にみゆって人を教えてください」



 作者「嫌です。後々わかりますので、お待ちください」



 静香「徹底的に秘密主義ですね……」



 作者「PBってなんですか?」



 静香「よくはわかりません。でも、現実には存在しない麻薬です」



 作者「深く知りもしないで手を出すのは本当に危険ですよ」



 静香「わかってます」



 作者「それはそうとして、大悟君とはどこまでいっていたのですか?」



 静香「……」



 作者「あ、はい、ごめんなさい。二度と言いません。えーっと、次は……」



 静香「キスまでよ。それもほっぺ」



 作者「そうなんですか」



 静香「あいつ奥手だから」



 作者「もしかしたら」



 静香「さあ、どうでしょう?」



 作者「では、次はやはりスリーサイズを」



 静香「……いいけど、せんせ以外に教えないでよ? 815879、アンダー66C



 作者「身長体重はわかりません」



 静香「あんたさぁ、決めてないことが多すぎんじゃない?」



 作者「どうしてそんなにスタイルがいいのですか?」



 静香「聞きなさいよ……よくないわ。もっと胸ある子はたくさんいるし、お尻も小さいし」



 作者「なにか秘訣でも?」



 静香「このくらいの年の女子は、よっぽどのことがなければこういう風になります」



 作者「今全国の中学生女子を敵に回しましたね」



 静香「ほんとだって。平均と変わんないわよ」



 作者「平均が一番多いという訳ではありませんよ?」



 静香「あ、そっか。ごめんなさい、生意気言いました」



 作者「しかし人は平均を気にしますから。気にしないでください。憲邇さんの好み的にはどちらなのでしょうね」



 静香「教えてよ」



 作者「はい、それでは今回はこの辺で。次回更新もなるべくいつもどおりにしたいと思います。それではまた」



 静香「あんたいつか後ろから刺されるわよ……あ、うん、さよなら」



 



 20081208 三日月まるる



 




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テーマ : 官能小説 - ジャンル : アダルト

2008/12/17 21:18 | 小説COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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