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「ごめんなさい」その五十三_五十一話_溶けないお砂糖

 こんばんは、三日月です。
 生きています。僻地に住んでいるので影響はほぼありませんでした。被災地の皆様にはお見舞い申し上げます。
 Q、作者にできることは?
 A、文章を書くこと。それだけ。なので私はずっとお話を書いていました。それしかできないので。
 というわけで第五十一話です、どうぞ。
 拍手、コメントいつもありがとうございます。心の底から、励みになりました。




















 五十一 溶けないお砂糖








 海でのこと以来、ご主人様はめっきりいやらしいご命令をくださりません。下着を脱ぎなさいだとか、あれだけ連日させたくせに。……やりたいわけではないのです、そんな淫らなメイドではないのです。ただご主人様の命令を遂行したい、その喜びに浸りたいと、それだけなのです。


 晴れて
深町(ふかまち)の女房になれたのなら。毎日裸エプロンをして出迎えてもなんら不自然ではないというのに、はぁ。絵里(えり)さんにとられてしまいました。残念。


 でもご主人様は変態のろくでなしですから、妾女房全員に妻を味わわせてくれるのです。変態です変態。私もなんと、あの方の妻である自覚が芽生えつつありました。ええお勤めの半ばから既に、でしたけれど。


 きっと大勢の女房がいないとダメなのです。情けのない亭主ですから。


 というわけで今夜も亭主を喜ばせてあげないといけません。目に隈を作らなくてはいけないのです。でないと三人の子宝に恵まれるのはずいぶん先となるでしょうからね。


 うちの家族に、子作りをしていますと、不倫に近く大量の女と一緒に囲われていますと、すべて真っ正直に(ご主人様のように)告白できるほど私は勇気がありません。納得させるには少々の嘘も必要でした。幸い、母も経験があったのか不倫の恋をなぜか応援してもらい、なんだか不思議な気分(途中までいけないと言っていたのに、不倫と言った途端でした)。三人、相手の人に気づかれないうちにこっそり産みたいなぁと言うとなぜか今度は父も祖母も一緒に応援してもらいました。こっちは恐らく、孫が見たいだけなのだと思いますけれど、でも一応不倫だというのに相変わらず家族もおかしなものです。出て行った兄は電話の向こうで大爆笑していました。頑張れよと、適当に言われたのです。しばらく帰ってくる気もなさそうでした。


 正々堂々、産むのです。この家の人と不倫(ええ不倫ですね)をして、何人も孕むのです。さて今夜は、前日のお誕生日の埋め合わせということでなにをご命令くださるのでしょうか。わくわくです。なんでも聞きますから、どうぞメイドへのご命令が、たくさん欲しいなぁ。


 ご主人様のベッドの上で、妄想はとどまることを知りませんでした。嫌ですご主人様、そんなことできません……


 ふと気付くと。また誰かと仲良しになってきたご主人様が戻ってきていました。面倒くさいとパンツ一丁の、もうっ、だらしない。


「ご主人様、せめて今日はきちんとした格好がよかったです。お誕生日の代わりだというのに」


「あ、ああ、そうか? すまん、よくわからんが」


 よくもまあそんな格好でうろうろできますね、神経を疑います。男の人ってどうしてこう、そうだ無神経だ無神経。


「ところでご主人様」こほんと一つ咳払い。「最近どうして以前のように、その、ああいったご命令がないのでしょう?」


「ああ、あれね。七月いっぱいはよそうかなってさ」


 隣に座ってきます。一汗かいたのかすっきりさっぱりのご主人様の匂いに少々の残念感。ご主人様の汗の匂いなら、夜限定ではありますけれど大好きなのになぁ。


 私は
春花(はるか)さんから教えていただいたお店より、クリーム色のネグリジェを着て準備万端です。夏用の涼しい一枚に身を包み、いつもどおりの白レースに刺繍たっぷりでご奉仕なのです。


「私はメイドです。いくらでも行住坐臥、覚悟はできておりますのに」


「いや、そうはいってもね。この前はやりすぎたし、露出行為に慣れて欲しくもないんだよ、なるべくは。八月になったらね」


「では別の形で結構ですので」


「ふぅん? そんなにいやらしいことを命令されたいんだ?」


 顔が近くへ寄ってきました。思わず目線だけ逸らし、でもお願いしたい思いがそっと手を寄せに行きます。


「なにかご要望があるんだろう? 言ってご覧、命令だよ」


 ひどいです、ご主人様……「わ、私も、さ、
紗絵子(さえこ)様と、同じこと、を」


「へぇ、ホームページを共同制作したいんだ?」


 頷いてしまう。そう、なのです。妄想好きの私にとって、不特定多数の男性に裸体を、いやらしい姿を見られるという妄想はまさにうってつけなのです。考えるだけで身体中が火照り、疼いてくるのです。ひどいご主人様ですと、本来ならご命令が先なのですが……


 所詮私は、卑しいメイドですから。


「ご、ご主人様のコレクションは多数ありますでしょう? そ、それを公開するだけでも、充分かと」


「まあそうだろうね。ふぅん、そうか。じゃあ紗絵子と一緒にやるんだね、紗絵子に頼んで一緒に作らせてくださいって言えばいいよ」


「は、はい」


「その際私の名を出さないことが条件だけれど」


「はい、喜んで」


 自分から願い出たと、そうさせてくださるのですね、やっぱりご主人様優しいなぁ。


「まあ頑張りなさい。もう紗絵子の分はできているんだっけ? よくわからないから、君たちで相談してくれ」


「はい」


「今日の分も加えておけよ? 絶対に」


 言うと同時に、どこから取り出したのか手錠がにょっきり、顔を出しました。


 はしたない私は、ぞくぞくしてしまうのです。








 妙に質のいい、黒光りする手錠でした。手にすっぽりと嵌まる二つのわっかを繋ぐのは、鎖。がっしりとしていて、とても女の力じゃちぎったり外したりなんて不可能な、鎖。


 いつもどおりカメラも回っております。録画されるのです。いい加減その出費だけでもかさんでいるのでそろそろ抑えてもらいたいのですが、今日ばかりはなしです。


 記録してもらいたい。はしたないメイドの淫らな姿を。


「お前は次に自分が言うべき言葉をわかっている」


「……その手錠で、私を繋いでください」


「よろしい」


 どこをどう見ても新品の手錠を、驚くべき手際のよさで(練習しましたね)私に嵌めていくご主人様。ここでてこずっても別に雰囲気冷めたりしませんのに。


 どっきどき、しています。ああこれでなにをされるのでしょう。放置プレイ? お得意の放置プレイですか? 手錠で繋いで半裸で廊下に放置? い、いいですよご主人様、私はやらしいメイドです。


 かちりと鳴った、金属の音。


「遅れたけれど誕生日おめでとう、プレゼントと思ってくれ」


「はい、ありがとうございます」


「へぇ、嬉しいんだ?」


「はい、嬉しいです」


 自分が下だと、わかりますので。両手を不自由にされ、悦んでいるのです。


「私はご主人様のものです。下に下にひどく扱っていただけると、ひどく悦ぶどうしようもないメイドなのです。ああすみません勝手に嬉しがって」


「いや、いいよ。喜んでもらえたようでなによりだ」


 さわりと撫でていただきました。相変わらずご主人様の撫で方は異常ともいえるくらい、心地のよいものでした。


「すまないね、きっと私はこれを上手に使えないだろう、ご希望には副えないよ、ただ、抵抗はするな? いいかい、そのための手錠だと思うんだ」


「はい、もちろんです」


「よし、いい子だ。じゃあいつものようにめくりなさい、回りなさい。そのままでもできるだろう」


「はい」


 カメラを手に取ったご主人様の前へ立ち上がり、手錠をしたままでネグリジェの裾を握り、たくし上げていきました。動かせる範囲が少なく、どうにかショーツが見える程度までしか上げられません。私のいつもどおりの白を撮っていただきました。


 続いて一回転をします。やはり手錠がかちゃかちゃと音を鳴らし、いつものようにはさせてくれません。不自由な加速で一度回ると、ふんわりとスカートを翻してはくれませんでした。


「もう一回」


 回ります。しかし手錠がある以上、ネグリジェをふんわりとさせることはできません。


「もう一回やりなさい、へたくそめ」


「は、はい」


 ご主人様の楽しそうな声に、できぬ己が情けなくなってきました。何度回ってもご満足いただけずにしゅんとしてしまいます。殿方はやはりのチラリズムが大好きですのに。呆れたご主人様がとうとうカメラを置きました。


 そしてがしっと、手錠ごと私の両手をつかもうとしてきました。


「こんな程度もできないのか、ぐず」


「も、申しわけありません」


「面白いな、手錠一つで簡単なこともできなくなるってのは」


 ジャラ、と鎖をつままれました。


「セックスもまともにできなくなるのかな?」


「それはできますっ」


「本当かな?」


 押し倒されました。柔らかいベッドに上に倒れ込み、上からご主人様がのしかかってきます。


 ようやくと香る、男の匂い。くらくらして、きました。ぞくぞくが駆け足を始めたよう。


「試してみようか、両手は邪魔だし、と」


 さらになにかを取り出し、ああ紐です、縄でしょうか。それと鎖を繋げ、外れぬよう何度も試した後、短い縄をベッドのへりにくくりつけます。私は両手を上げるような格好で固定されてしまいました。これでは身体を隠すことも、ご主人様をつかむこともできません。


「脚は暴れていいぞ、押さえつけてやるから」


「……はい」


 いいと言われると、ぞくぞくと従ってしまいます。暴れる気が失せるのです。どうしてでしょう。


「うまくできなかった仕置きな、覚えておけ」


「はい」


 私の太ももの間に腰を下ろしたご主人様は脚を広げるより先にまず、胸を味わいにきてくれました。自慢の
Eカップをネグリジェの上から揉んでもらいます。


「あ……あ、あ……ん」


 手錠で拘束されている以上、感度は増しているでしょう。布越しでもなんて気持ちいい。


 なんて気持ちいい、口づけ。ご主人様のキスは、とろけそうなほど甘い味しかしません。両頬を持つことができないのがこんなにももどかしいなんて、ん。


「ご主人様……」


良子(りょうこ)……繋がれたお前も、綺麗だよ」


「ああ、もったいないお言葉……ん、んっ」


 しばらくキスの海に沈んでいきました。目を開けると一心不乱に唇を味わいにきてくださるご主人様を見ることができ、うっとりです。密やかな楽しみでした。


 やがて、胸も味わいたくなったご主人様がネグリジェを肩までめくり上げ、ショーツを露にし、それからブラを上へずらし、顔を突っ込んできました、っ。薄く重なった素材のネグリジェでよかったと思います、ご主人様を見ることができるのですから、っ。


 舌先を、乳首を、乳房を、転がされ、舐めとられ、潰されて。暴れる気のなかった脚が、くねくねと膝を立てようとしてしまいます。するとご主人様は宣言どおり手と足を器用に使い、揉みしだきながら押さえつけてくれました。両手が塞がっているのでこれ以上抵抗はできず、じれったく身体をずらすだけ。じれったいのです、胸ばかり執拗に責められるのは。嬉しいのですけれど、気持ちいいのですけれど……


「はぁ、はぁ、んっ……ご主人様ぁ」


「良子……お前の胸はおいしいよ、柔らかいし、メロンと同じだね、大きさも甘さも」


「嫌、もう、ご主人様のバカ……っ」


「どうだい、なにかしようと思ってもできないのは」


「……じれったい、です……んっ、あ、あ……ご主人様、じれったい、です、あっ」


「じれったい? なにかして欲しいことでもあるのかな?」


 何度言わせられても、恥ずかしいことを。毎回毎回、女の口から言わせてくれる、お優しいご主人様。大好き。


「辱めて、くださいませ……お願いします」


「ふぅん? そんなわかりにくい言葉を使うってことは、どうとられてもいいってことだ?」


 頷きました。し、仕方ありません。今の自分の正直な気持ちです。


「じゃあ」大きな男性がぬっと立ち上がります。「咥えろよ」


 裸体からのぞく男性器が、私の目の前に。両手を固定されている以上顔を逸らすこともできず、ただじっと、硬く、そそりたつご主人様が接近するに任せます。咥えやすいよう、髪をかき分けていただきました。


 一つ頷く、大好きなご主人様。私も一つ頷き、そして不自由な体勢で、咥えました。


 脳天を貫く、メイドの快感。服従し、奉仕する悦びに満たされ、うまく動かせない首をできるだけ激しく動かし、舌を這わせ、舐め上げていきました。


「ん、んっ、ふぁ……ん、んん……っ、ん、ん、ん……っ」


「いい格好だな、拘束されて嬉しそうに男のものをしゃぶって」


 びくっとなる、心地いい責め。「お前は自分が今どんな格好でどんなことをしているか、もうちょっと考えたらどうだ、ん?」もっと言ってくださいませ、もっともっと、辱めてくださいませ、ご主人様ぁ。


「撮ってるぞ、綺麗な良子」


「……ひん、はまぁ」


「これをホームページに載せたらどんな反応がくるかな? 楽しみだな、かわいい私の良子」


「んっ、ん、へぅ、はぁ、んっ、んっ……へへ、はまぁ」


「いいよ、上手だ。二回目にしてはずいぶんうまくなったな、よしよし」


 ああなでなで……なでなで地獄は陶酔します、おかしくなりますご主人様……


 ご奉仕の最中に撫でていただく、それ以上の悦びはありませんでした。


 私は感じて、いました。


「良子? お前濡れてるぞ?」


 はい、濡れています。ショーツにシミがあると思います。気持ちいいんです。


 触っていただきました。すぐにわかります。


「どうしてだ? 拘束されて咥え込んで、どうして感じるんだ? お前はマゾか?」


「ふぁい、ふぁろえふぅ」


「なに言ってるかわからないよ、もういい」


 しゃぶるのを終えました。ご主人様は悦んでくださったのでしょうか、猛々しい男性器の硬さが増したでしょうか。


「もう一度聞くよ、お前はマゾか?」


「はい、マゾです」


「私のメイドで、奴隷か?」


「はい、ご主人様のメイドで、奴隷です」


「奴隷はこんなに濡らして、どうして感じたんだ?」


 いやらしくショーツの上からぐりぐりと押さえつけられました。


「ご主人様に、っ、撫でていただいたからです」


「嘘だな、しゃぶってだろう?」


 見ろよとばかりに、ずらされます。ああっ、恥ずかしい、濡れてる様が……っ。


「い、いえ、それもありますけれど」


「しゃぶってだろう?」


 指が入ってきました。指が入ってきたのです。


「……ち、違います」迷ったけれど、ここは譲りません。「ご主人様に撫でていただくのが本当に嬉しかったのです」


「それなら毎日濡れていることになるじゃあないか」


「はい、私は毎日ご主人様より感じて、濡らしているやらしいメイドです……!」


 ああ私ったら、なにを口走って……! やだ、やだもう! 恥ずかしい……! 手錠で顔が覆えない、もうっ。ご、ご主人様のせいですよっ。


 さっきのフェラチオより、格段に硬くするからっ。


「そうかそうか、それはいいことを聞いたな。ありがとう良子。お前はいいメイドだよ」


「あっ、いえ、今のは」


「ご褒美に
膣内射精(なかだし)してやる、いいな?」


「えっ、はいぜひっ」


「遠慮はいらないよ、って、良子」


 苦笑いされちゃった。だ、だって、嬉しくって、思わず。髪をかき分けられ、


「お前はかわいいよ」


 ちゅっ……



 ますます濡れた私に、挿入は容易でした。一気に根元まで深くご主人様が刺さり、快感へと踊りだしていきます。


「あーっ、ごしゅ、じん、さまぁっ、あーっ」


 手錠をしてもらえたおかげで、いつもより嬌声が高鳴ります。当たり前なのです、こうして拘束していただけるのですから、感じもしましょう。ぞくぞくしっぱなしなのです。


 うまく身体を動かせぬために、ご主人様に両足を広げさせてもらい、私はせめてと、その脚をかじりつけさせました。離さないように、抵抗する素振りなんて微塵も感じさせないように。きちんと孕むように。


「あ、あ、ああっ、ご主人様っ、好きっ、大好きっ、んっ」


 ずんずんされて気持ちいいと一緒に、鎖がかちゃかちゃ鳴り拘束を味わわせてくれます。なんていい道具なのでしょう。こんな素敵なプレゼントを誕生日の夜くださるなんて、素敵なご主人様を持って私は幸せものです。


「私も好きだよ、良子っ、お前気持ちいいぞっ。どうした? 今日はいつもとはまた別だな?」


「だっ、だって、あーっ! ん、はぁ、はぁ、手錠で繋がれていますも、のっ、ああっ」


「締めつけ、すごいぞ、良子?」


「だって、あーっ、あーっ! かっ、んぅ、感じて、えぇ、います、うぅ、気持ちいいんです、気持ちいいのです、ご主人様ぁ」


「自分から言って、はしたない女中だなっ」


「あーっ! あーっ! あっ! あっ!」


 思わず感じるあまり身体を動かそうとしますが、両手が動きません。がちゃがちゃとうるさいだけでした。そのままされるがままに激しく突かれ、突かれ、突かれっ、壊されると本気で思うほど強く、っ、っ、何度も動かされ、ましたっ。胸が絶対潰れたと思うほど揉まれ、崩され、唇をキスで焼かれました。


 抵抗でき、ません。楽な体勢をとることすらできずに、ただただ蹂躙されていきました。ずぷっ、ずぷ、ずぷずぷぅ……と、あそこが擦れる音と主人の吐息に塗れ、眼前の広がる海に惚れ惚れと涙をこぼし、快感に喘ぎ、咽び、踊り、ました、っ……っ! ずぷぅ、と、ごつんっ、と、ご主人様の硬いものに犯されるたびにはしたないメイドが声を上げます。うるさいからと口を塞がれても気持ちよく、焼けつく温度に身体中がショートしてしまいます。脚が固定され、がっしりつかんだまま動かす気も起きませんでした。より力を込めて動かしてくださいませとする以外ありません。お尻をずらしてもっと入るよう導き、舌で舐め合い他は、ただただ、あそこに集中して……ご主人様が容赦なく突き上げるのを、感じ続けていきました。


 感じ続けて、イきました



「あーっ! ああーっ! あ、あっ、あっ、ああっ、あっ! ご主人様ぁ、私、もう」


「ああわかった、膣内射精してやるよっ、良子、良子っ」


「あーっ
 あーっ あっ ああっ はっ、はぁっ……っ あーっ ああーっ ああーっ


 射精して、いただきました
 ナカダシ……ナカダシ……ナカダシ……ナカダシ……ナカダシ……されちゃった、ナカダシされちゃっ、あん たあ…… 生ナカダシ 生ナカダシ 生ナカダシです 容赦ないなぁ、ご主人様 あっ はっ、あーっ 「ああーっ ご主人様っ ご主人様ぁっ 好きっ はぁ、好きぃっ あっ ま、まだ やだもう、バカ バカ、バカバカあんっ ……はぁ、はぁ


 きっと……ご主人様もメイドを、っ、拘束して、昂ったの、でしょう……最近、めっきり射精のお時間が長くねちっこくなりましたが(録画を見直すと普通なのは壊れているだけなのです)、今日は特別、でした……お、お誕生日ですからね、これぐらいが、いいのかも、ですね……はぁ
 あーあ、後ちょっとで全部飲み込めたのに、溢れたのは手錠のせいです。


 たっぷりとナカダシの後、キスはレモン味なのです♪ 不思議ですね、ふふふ。仲良ししたからですねぇ、うふふ。


 ご主人様が隣へ来てくれ、二人で横になりました。けれどもちろん、手錠は外しません。ふふふ。ちゅっ、ちゅう……


「よくできたね、ありがとう。私も大好きだよ、良子」


「いえ、とんでもありません。ご主人様」


「これは仕置きはなしだな、残念だ」


「もう、やめてください」


 して欲しかったですけれど。


「外して欲しかったら外すけど?」


「……」


「どうもそのままがいいみたいだからね、このまま寝ようか」


 なんだかご主人様だけに後始末をしていただくのは気が引けますが、手錠が悪いのです。こんなものをしていたらなにをされても、文句は言えませんもの。


「……と、思ったけど、さすがにないな。ちょっとあまりにも良子がかわいかったからどうかしてるようだ、寝れないだろう」


「いえ、眠れます」


「そうだよね、眠れないよね……良子?」


 恥ずかしいのに、恥ずかしいこと言っちゃう。ご主人様が嬉しいこと言って、あんまりにもカッコよくて優しいから。


「このまま……繋いだまま、寝かせてくださいませ」


「寝苦しいぞ? それでもいいのなら」


 こくりと頷き、微笑みます。手を動かせず抵抗できぬままに、眠りにつきたいのです。淫乱メイドですから。


「そうか、ありがとう」


 キス一つで、いい子守唄です。


「これを使っての放置プレイは、また今度ね」


「……はい



 声のままに、一生付き従います。傍に置いてくださいませ、ご主人様。大好き。


 そっと乱れた髪を直してもらいながら、それでも手錠で両手を上げたままの寝つきは、非常によいものとなっていきました。ご主人様の腕の中、抱かれたままで、心底心地のよい眠りに落ちていきました。


 八月が楽しみです。
















 よくよく考えるまでもなく、デートに着ていく服がないことはわかってた。でも、まだ自分のつたない絵を売るなんて思えずにいる。もちろん普段のまっしろなワンピースにサマーカーディガンを羽織って麦わら帽子の、お決まりのセットでもいいって、思う。憲先生は気にしない、ちょっとは残念がってくれるとうれしいけど、わたしが着飾らなくても別に気にしない。……はず。


 今日はわたしの、誕生日。わたしももう、十四になる。恋人のご主人さまは、深町
憲邇(けんじ)先生。わたしは憲先生って呼んでる。わたしだけの呼び名。


 彼氏さんのものになってから、初めてのお誕生日。特別なものにしたい。できるなら。


 
柚香里(ゆかり)お母さんは誕生日は彼氏と彼女にとって特別なものだって、教えてくれたから。高校時代に憲先生と恋人同士だったときのことを教えてくれた。聞くにつれ、わたしもわたしもって、ずいぶんわがままを感じる。でもやりたい。デートして、お話して、夜まで一緒。やりたい。やりたい。やりたい。


 残念だけど憲先生は今日はお仕事だった。帰りにデートしてくれるって言ってたけど、本当はお仕事の日に無理はしてほしくなかった。でも年に一回くらい、今日だけ、わがままになろう。なっていいのよって、お母さんも言ってくれた。


 美術館に行くの。デートするの。どうにか憲先生の仕事帰りでも、一時間はいられることができる。それで充分だった。


 夜だけどどこかで、わ、わたしの手作りのお弁当を二人で食べるの。まずくってもいい、わたしが食べるから。


 それから……帰宅して、押し倒してもらうの。今日はわたしだけに、してもらうの。良子さんは別に気にしてないみたいだけど、今日くらいわたしだけに、してもらうの。憲先生
OKしてくれたから、良子さんも言えばよかったのに、へへ。


 その代わり……あああ、変態だなぁ。で、でも、そろそろ、そろそろ……できないかなぁ。無理だよね、ま、まだ誰も、だし。でも、でもでも……


 できるなら一晩中、やるの。ね、寝かせないの。憲先生は一回でくたくたにするけど、でも今日くらい、がんばるの。


 お弁当も完成して、あとはお洋服だけ。いつものにしようか、それとも色違いの水色にしようか、どうしようか……迷ってる。


 下着は決まってる。この前買ったやつ。ショーツとブラが違うの、やだから、しょうがないけどろりこんさんに合わせて、上はスリップだけにしよう。ろりこんさんがじろじろ、見てくれたら、ほ、ほんのちょっとのふくらみ、じろじろ、見てくれたら、うれしいな。


 あの人の前だけは、包帯を巻かなくていい。楽ちんだった。


詩音(ふみね)ちゃん、そろそろ憲邇帰ってくるけど……まだ決まらない?」


「柚香里さん。ぁ、あの、お洋服が」


「そう? 憲邇はいつものワンピースとっても気に入ってるわよ?」


「でも、でも、やっぱり」


「そっか。ふむ、ならわたしの着てく?」


「えっ、で、でも」


「いいからいいから」


 すぐに隣のいっぱいかかってるクローゼットを開いてくれる。中には柚香里お母さんの持ってきたお洋服がたくさんしまってあった。


「詩音ちゃん麦藁帽子がよく似合うから、それに合わせたのがいいわね、これなんかどう?」


「ダメです、それは柚香里さんの」


「お下がりで悪いけど、もらってくれる? 小さくて着れなくなったやつだから」


「でも」


「あ、こっちのほうがいい? それともこれ?」


 次々と提示される胸が躍りだしそうなお洋服の数々に圧倒されて、わたしは一歩後ろへ下がっちゃった。


 こんなに輝いてる美しい人なのに、どうして憲先生と籍を入れられないんだろう。絵里さんが一番お似合いなのはわかるけど、柚香里お母さんだってぴったりの人だと思うのに。


「あ、ごめんね、いきなりだったかな。でも詩音は──」


 どきりとする、呼び方。「詩音、は、わたしと体型が似てるから着れるかなって。ごめんね、じゃあそっちから」


「これっ、いい?」


 お母さん、って喉まで出かかって、出なかった。戻そうとした一着を、すごく綺麗な一着を指差した。少しだけ、震えながら。


「こ、これなら、わたしも、着れそうだし、よかったら」


「……ええ、いいわよ。じゃあ試着してみましょうっか」


 微笑みながら手渡してくれた。お母さん。お母さん。親子ならやりそうな、お洋服の貸し借り。お母さん。


 なりたい。こんなに綺麗な女性に。


 お母さんの前でも、包帯はいらないから。


 試着したその長い長いワンピースは足首までありそうな丈で、完全に足を隠してくれる、ピンクを基調にした四角いチェック柄。上に腕を覆う白のカーディガンも一緒に。ほんの少し首から下の胸元にかけて見せてしまうのが恥ずかしいけど、でもとってもふわふわで、麦わら帽子にぴったりで、わたしもすぐに好きになった。


「よかった、よく似合うわ」


「ぁ、ぁ、ありがとう……ぁさん」


 言えない、言いたい言葉。それなのに柚香里お母さんは、こんなにも微笑んでくれる。まるでわたしが言えたみたいによしよし、してくれる。なで方が憲先生そっくり。包む空気が穏やかで、安心する。


 お母さん。お母さん、大好き。


「わたしも大好きよ」


 どうして……ほんとに憲先生みたい。わたしの言いたいこと、心の声、全部聞こえてる。


 このワンピース姿で、憲先生より先に、抱きしめあった。母親の温もりが体中に染み渡っていく。


 この世で二番目に、温かい。


 しばらく柔らかいものに包まれてから、名残惜しいけど離れていった。わたしの頭がぴったり肩に乗せられそうな、一番の身長差。


「もらってくれる?」


「……うん」


 広がるスカートは、わたしの心みたい。


 向こう側から聞こえてきた憲先生の車の音に、わたしは慌てて麦わら帽子を被り直して、お母さんの手を引っ張った。


「もう、急ぐと転ぶわよ」


 だって見せたいの。今のわたしと、お母さん。








 ん……は、う……っ、っ、はっ、はっ、ふぅ……ぁ、ぁの、憲先生? 長いです、キス……キス、キス、キス……


「ぷはっ、はぁ、はぁ」


「……ただいま、詩音」


「お、おかえりなさい、はぁ」


 どうしてか憲先生は帰ってから、わたしを見るや否や飛び掛るように抱きしめてくれて、そのまま唇を奪いにきた。それも長く、ながぁくっ。息、できずに、死んじゃうかと思った。


「憲邇さん? どうしたの?」


「ごめんまゆ、みんな。これから詩音とデートだからすぐ出るね」


「えー? 憲邇くんおかえりなさいの」


「なしだ。詩音、すぐ出るぞ、準備してあるんだろう?」


「は、はぃ。あ、お弁当、持ってこなきゃ」


「どこにある? ふぅちゃん私が持ってくるから」


 また急に変にさせるぅ。「ゎ、わたしの部屋」聞いたかどうかわかんないくらいで走ってった。な、なんなんだろ。憲先生、ちょっとおかしいな。


「……詩音さん、はい、帽子落ちましたわ」


「あ、ありがと」


 
花雪(かゆき)さんに拾ってもらっちゃった。


「本日は楽しんでくださいな」


「ぅ、うん」


「行くぞ詩音」


 もう取ってきた憲先生がわたしを引っ張っていく。ぽかんとしてるみんなに手を振って、こんなに急いじゃお弁当の中身が大変なことになってるかも、崩れてませんようにって祈りながら、助手席に座り込んだ。


「憲先生、着替えなくていいんですか?」


「いらないよ、それより……早く二人きりになりたかった」


 シートベルトを締めるより先に……見つめ合い、磁石みたいに、近づいて……


 思いっきりぎゅう、ってされた。痛いくらい強くぎゅうぎゅうしてもらって、心地いい。わたしも広い背中に手を伸ばして、すりすり、ぎゅう、ぎゅうう……


 ちゅっ。「綺麗だよ、詩音」


「……ありがとう、ございます。憲先生も、なんだか、綺麗」


「そうか? そんなことないよ、詩音が綺麗だ」


「言いすぎですっ」


「今日は誕生日だろう、おめでとう。言わせてくれ」


「あっ、ううう……ありがとう、ご」


 言わせてくれなかった。もう、ろりこんさんのバカッ。


 もっといちゃいちゃ、しましょうね。








 髪が言うことを聞いてくれて助かった。またろりこんさんは変態すぎて、美術館に着くまでに髪ばっかり触って、さわさわしてわたしをいじめてくれた。おかしくなりそうなくらい触ってもらえて、とってもうれしい。


 二人で閉館間近の美術館へ。一番近くの美術館はかなり多くの名画を展示していて、わたしは大好きになった。前に来たけど、デートは違う。全然違う。


 二人で手をつないでくぐるゲートは、とっても大切な記念日の、色鮮やかな思い出への招待のよう。係員みんなが、まるで祝福してくれているよう。おめでとうと、言ってくれている気がする。勇気を出して握った指からも、同じのが伝わってくる。


 しあわせ……


 わたしたちはがらがらの美術館を、貸しきり気分で満喫していった。おどろおどろしい絵を切なそうな瞳でのぞいていく憲先生にはぴったり寄り添って。輝かしい栄光を描いた絵の前ではぐっと胸を握り締め、今の自分に近しいものを感じていく。荒涼とした情景に一筋の希望が描かれた絵の前では、思わず力の限り憲先生を抱きしめてしまった。


 そして、人のいないのをいいことに、そっと口づけ。公共の場でのキスは、格別のお誕生日の味がした。


 感動を与える偉大さの前には、くずおれそうになって。手で口を押さえ、溢れそうになる涙を必死に堪え、でも動かなかった。


 生きていることは素晴らしい。ああ! なんて! そう、そう言って、いた。


「すごいですね」


「ああ……綺麗な絵だ」


「もう、憲先生そればっかり」


「いや、うん、そうだな。感受性が豊かじゃないのか、詩音ほど心揺さぶられるものは感じないんだ」


「そうですか? かんじゅせい……関係ないと思いますけど」


 わずか一時間。あっという間に閉館へと追い込まれる。もっと見ていたいなぁ、名残惜しいけど。館内に響くアナウンスが間違いじゃないかなぁと思いつつ、やむなく美術館を出た。


「面白かったですね」


「ああ、何度か来てるけど、不思議なものだ」


「ほんとです、どうしてかなぁ」


「ふぅちゃんの絵を何度でも見たいと、思うのと同じかな?」


「もうっ、言いすぎですってば」


 でも、いい気分。今日くらい調子に乗っていいよね、ふふふ。なんとなくスカートをつまみ、ふるふるふわふわ、くるくるってさせる。踊りたい気分だなぁ。


「あはは、そんなにはしゃいだ詩音は初めてだなぁ」


「ふふふ、だって楽しいです。憲先生と一緒のデートですから」


 憲先生の前でふんわり、一回転。どうですか? って、花雪さんの真似をしてみる。


「……綺麗だよ、本当に」


「……ありがとうございます」


「それにかわいいし、可憐だ」


「そ、そこまでは言いすぎです」


「かわいいし、可憐だ」


「……」


 まだ美術館を出たばかりの通り。そんなところでわたしたちは見つめ合っちゃうものだから、通りがかる人から不審に思われてた。


 でも、しばらく。見つめ合うだけで、お話ができそう。わたしたちは黙ったまま会話を続け、お互いにほめちぎりあった。


 好きです、大好きって。何回言ったかわかんないくらい。


 車に戻ってから、じゃあお腹空いたしお弁当どこにしようかの相談になる。


「夜だからね、どこでもというわけにはいかないよ」


「公園は」


「一番
NG。夜の公園は危険だよ、怖いしね。なにより」


 耳もとでこしょこしょ。途端にまっかになるわたしは、信じられないことを聞いて目を丸くする。


「いつかやろうか」


「……はぃ」


 思わず、頷いちゃった。


「じゃあどこがいいかなぁ」


「あ、じゃぁ、あの、浜辺はどうですか? 夜の海を見ながら、お弁当」


「ああそうか、それいいね。よし、そうと決まれば出発だ、早く詩音の手作りが食べたい」


「ぁ、あんまり期待しないで」


 ろりこんさんは聞く耳持たず。ひどいなぁ。あっ、たくさん作っとけばよかった。最近憲先生食欲いっぱいだからなぁ、ううう。


 海に着くまでの短い間すら、我慢のできない憲先生。またさわさわ、髪なでなで。わたしうっとり、えへへ。


 そうして少し前に見たときとまるで違う様子を見せる、海へ。まっくろよりさらに暗い、恐怖すら感じそうになる海の、遠くに点々と光があった。


「漁かな、船だよ」


「……」


 人間はちっちゃい。そんな感じがした。


 防波堤の上にシートを広げ、その上でお弁当も広げる。唯一辺りを照らしてくれる電灯の下で、わたしたちは夕食を食べていった。


「はい、あーん」


「うん、おいしい」


「ゎ、わたしにも……えへ、おいしいです」


「そうか、よかった」


 我ながらまずまずの出来かな。これならなんとか食べられる。静かなさざなみの音を聞きながら、揺られるように食事を食べさせあいっこ、していった。


 隣り合う人肌に、夜風が気持ちいい。抜けていく風心地は最高だった。……ちょっと、べとつくかな。そっか、潮風だった。


「汗流したいな」


 食べ終えた憲先生がゆっくり、言う。


「詩音も流したいだろう?」


「……はぃ。憲先生と、たくさん」


「うん、じゃあ帰ろうか」


 夜の海より、憲先生の瞳のほうが、何倍も妖しいかも。へへへ。どんとこいっ。


 帰宅途中ですら、憲先生はなでまくり。おかしくなるまで、全然かからなそう。








 帰宅して今度は一直線、憲先生のお部屋へ。汗流すって言ったのに、どうしてお風呂じゃ。


「いいじゃないか、どうせ汗をかくんだ、風呂は後にしよう」


「……はぁい」


 ばたん、かちゃり。鍵が閉まり、心の準備も締め上げる。覚悟を決めて、今夜はわたしだけを存分に味わってもらおう。


 キスをまずは、何分も。


「ん……ふぁ、ん……っ、んぁ……ん、ん……ふふ、んー……」


 唇は、キャラメル味。


 もどかしそうに着ていたものをあっという間に脱いでいく憲先生。わぁ、裸、わぁ……


「はい、一回転」


「はい」


 うふふ、憲先生好きなんだからぁ。くるっ、ふわぁっ。とびきりのワンピースがとびきりのふんわりを奏で、ゆっくりと落ち着く。憲先生はでれでれだ。


「いいよ、よくできた」


「ふふふ」


「じゃあ詩音、そうだな、私を誘惑してみてよ」


「え、ゆ、誘惑ですか」


「そうだよ、誘ってご覧」


「え、えと、ええっ、えっと、えっと」


 ど、どうしよう。どうすれば憲先生、襲い掛かってくれるかなぁ。えっと、えっと、チラリズム、だっけ。どういうのかなぁ。勝負下着、だけど、それをチラリズム、四つんばいはえっちしてる感じ、えっと、えっと……


 わからないままに泣きそうになって、スカートをめくるので精一杯。長いスカートをゆっくり上げていって、勝負下着をちょっとだけ見せてみた。ピンクでちっちゃい、ハスの花。よ、横のところがちょっとだけ透けてる、透けてるの。見えてるかなぁ。


 シャッターの音より、憲先生の股間が、すごい。一昨日もしたけど、やっぱりおっきいなぁ。うれしいなぁ。あれ痛いのがじんじん強くって、き、気持ちいいの。


 気持ちいいの。憲先生との、セックス。痛くって、気持ちいいの。


「ありがとう。録画もしておいて、と。ふぅちゃん、それだけじゃあ足りないなぁ」


 そんなにとがらせてるくせにぃ。「ほら、誘いには言葉が有効だよ、たまには自分で考えてみようか」


「……はぃ……ゃ、やがぃろしゅつ……します、今からでもします、わたしなんでもします、今日はわたしだけにする代わりに、わたしなんでも、します。えっちしてください」


「よく言えたね、偉いよ」


 言葉と同時に、わたしはどんと押し倒された。尻餅をついて、上から覆い被さらんばかりに襲い掛かってくれる憲先生が大きくて、「好き」って言っちゃう。


「私も好きだよ、なんでもするね?」頷く。「じゃあ四つんばいになれ、後ろからしてやる」


「はぃ……お好きなように、犯してくださいね」


 言われたとおりに四つんばいになり、憲先生を見上げると、向きを変えるよう言われる。そ、そっか。慌ててお尻を憲先生に向けた。


「自分でスカートめくって」


 言われるままにめくって、お尻を見せたげる。じい……っと、舐めるように見つめられるのを感じて、おかしくなっていった。


 憲先生に見られるの、わたし……っ。


「汚すよ」びくりとなる、急な耳もと。「ずらして」


「……はぃ」後ろを見ると憲先生はグロテスクが信じられないくらいおっきく、太く……なってて、わたしの勝負下着が成功したのかな、だから汚したいのかなって、思うとうれしくなる。


 ずらして、わたしの女の子を、見せた。憲先生は、ぱいぱん好きなの。だからまだ大人じゃなくても、いいの。


「ひゃっ」


 べろり舐められる。ううう、急ですぅ。


「詩音のここ、綺麗だよ」


「ばかぁ」


「綺麗なピンク色だね」


 ぐいって、広げちゃダメですぅ、あっ。舌が、広げたところ、舐め回してった。するする魔物の舌が、わたしのあそこを進んでいく。


 わたしは舐めてもらうと、準備が早い。多分、憲先生の舌が大好きだから。


「ピンク、ピンク……あれ、なんていうんだっけ。なんとかピンク……この前覚えたはずなのに、うお、ど忘れしたぞ」


「……っ……っ」


 ちゅく、ちゅく、指でしてもらうのより、舌でぺろぺろ、されたほうがいい。そっちのがなんか、いい。理由はわかんない。でも、舌がいいの。


「なに、その顔。舐められるほうがいい?」


「……」


 頷かせたがる、ろりこさん大好き、っ。


 そのすぐあと、舐めずに指でずぼって強くしてくるろりこんさん、大好きっ。


「憲先生……っ」


「そんなに舐められたい? ちょっと待って、詩音の色なにピンクか思い出したらね」


「ば、ばか、ばかぁ……っ、ん、はっ、んっ」


「舐めて欲しかったらもっとよく見えるように尻突き出して見せろよ」


「っ……ううう……」


 おかしくされちゃったぁ。ちょっと、乱暴に言われるの、ううう……


 お尻をちょっと、高く突き、上げる。よく見えるように、あそこがよく見えるように、指からも逃げるように。


 かぶりつくようにろりこんさんのお口が、またわたしのあそこを食べにきてくれた。ああやっぱり、こっちのがなんだか、いいなぁ。わたし憲先生の指も大好きだけど、舌のほうが、夜だけ、好きかも。


 ぺちゃ、ぺっちゃ、くっちゅ、ちゅっ、ちゅ……わざと音、聞こえる。どきどきする。胸がぞわわぁって、興奮してくる。舌がはいまわりあそこを巡っていく。一緒に指もショーツをもっとずらして、それから、また、またなにか、上のほうのぷっくり豆、出すの。


 そこに舌を伸ばされると、身体が飛びあって逃げようとするの。でも、内股でそれを押さえ込むの。


 すると、気持ちいいの。気持ちいいの。これはきっと、気持ちいいの。ぶる、ぶるっ、震えて、我慢は……


 ほら、ぬれて、くるもの。


「おいしいね、ふぅちゃんのえっちな汁」


 びくり、びっくびく、舐められる。出てきたえっちな液体を出る端から舐めとられて、それが滑るようにあそこを動き回るから、またお股が、くねくね、する。ナカを動き回られ押されてくのもいい、けど、ぺろんって、されるのも、いい。


「……ね、ねぇ、けん、っ、せんせぃ……」


「なに? 今忙しいんだけど」


 わかってるくせに、知らんぷりする憲先生、大好き。


「……ださぃ」


「なに?」


「くださいぃ、ナカダシ、今すぐ、ください、お願い、ぃ、い、いれ、て……っ」


 お誕生日くらい、自分から言って、いいよね? け、憲先生ちょっとでも、興奮、させなくっちゃ。


 今の気持ちに変わりは、ないんだから。


 ほら、なでてくる。ありがとうって、また髪さらぁって。


 髪に指を混ぜてもらうの、気持ちいいなぁ。


「ありがとう、言ってくれて。大好きだよ、詩音」


「ゎたしも、大好きぃ」


 腰をしっかり持ってもらい、それからずぶ、ずぶ……っ、入って、きた……もう何度目かで、幾分、入り、やすい……なっ、ん、はっ、はーっ、はーっ! きょ、今日っ、憲先生っ、おかし、おっき、ふと……っ! かたぁい、あっ、ああ……


「ふぅちゃんが悪いんだぞ、そんな下着でっ、私を誘ってっ」


「ぁっ、ご、ごめんなさっ、ぁっ、あっ」


 やっぱり変態さんだぁ、っ、ん、はぁ。みちみち、きた、行き止まりっ、ぶつかったぁ。やっぱり入りきらない、いつものことだけどっ、悔しいっ。


 チェックの隙間から手を伸ばされ、スリップの上から胸をわしづかみされる、っ。


「しかもこんな薄布一枚で、ブラもシャツもないね、どういうつもりだ? いつの間にこんなやらしくなったんだい?」


「だっ、てっ……んっ! はっ、はーっ、はー、はー……あなたにっ、いっぱい、えっちされたくってっ、がんばり、まし、たぁっ」


 言うと強く、揺らされる。ずぶずぶずぶっ、される。されるっ、お腹の奥にぶつけられっ、身体は揺れ、憲先生のアレがぐりぐり、えぐるようにナカを、いじめる……っ、はぁっ。


「ありがとう、嬉しいよ。とっても興奮する。気持ちいいぞ、詩音っ」


 後ろから襲い掛かってくる言葉に、うれし涙がいっぱい。ベッドをぎしぎしさせるくらい襲い掛かってもらって、シーツを力の限りつかんで、離れないようにする。憲先生が、っ、ずんずんしてく中で、ずぶずぶ入ったあと、ぬるぅって戻すときに、抜けちゃわないように。お腹は乱暴もので、こんなにひどいモノに侵入されてるから帰れって力を込めるけど、でも、それを逃がさないためになんとか、するの。


 跳ね上がるほど強く、突かれ、衝撃で抜けない、ようにも。ううう、小さいのはやだなぁ。早くお母さんみたいになりたい、胸も、腰も、くびれ、っ、はぁっ、はー、はー、っ。


「お尻もいい感じに育ってきたね」


「そ、そうですか? ぇへへ、っ、はっ、はっ、ん、だったらうれしいなぁ、ぁぅっ」


 お尻にぶつけるように、押され、たっ。ずれた下着越しに憲先生が届いて、貫かれる感触に歯を噛み締める。キス、ほしいな、これ、憲先生の顔も見られないし、ぎゅうって抱き合うのもないし、あんまりかも……


 でも、犯されてる感じは。今までで一番、強い。少し乱暴にされている感じがあって、これはこれで、えっちだった。


「本当だよ。最近の詩音の急成長はすごい。第二次性徴の最中かもしれないね」


「はぁ……はっ! はっ、はぁ、はっ、はっ」


 知らない言葉。なんだろうそれ。そんなのより、ふくらんだお腹のことのほうが大変。きっとカメラ、すごいどてどてしいお腹に映ってるだろうなぁ。違うんだよ、憲先生がえっちなだけなんだから。指が通るたびにびくびくってなるのも、憲先生がえっちなだけなの。憲先生ひっきりなしに触って、くるの、えっちのとき。しょうがないんだからぁ。


「そっか、知らないか。残念。胸が膨らんできたと思わないかい? 腰周りがすっきりしてきた感じは?」


「え……っ、んっ、はぁ、はーっ、はっ、はっ……わかりません」


 小休止の合間に髪を梳いてもらい、振り向いてキスをようやくする。おいしい……気づけば汗だくで、お互い息の荒いこと。うっすら目を開けると、憲先生は滝のような汗の量。


 うっとりするほどの、男性。引き締まった身体が、運動で火照ってる。むせるほど香ってくる男の匂いが、わたしを初めて、ぞくぞくさせた。


 初めて感じる、えっちな感覚。髪を梳かしてもらうのとはまた別の、気持ちよさ。熱くなってきた。あそこがなんだか動くのを感じる。全部埋められた憲先生のモノに、なにかしてるのを感じる。身体が勝手に体勢を整えて、入りやすいように角度を調整していた。


「どうした詩音?」


 甘く低い、彼氏さんの声。耳がほかのなにより、大きくしてくれる。


「そんなに私の姿が興奮するのかい?」


「はぃ」


 即答だった。ずっと見ていたい。このえっちのやり方はもどかしい。でもこうしているから、犯されてるえっちな感じで、ああどうしたらいいんだろう。


「憲先生、やらしぃ」


「お前のほうがやらしいよっ」


「ああっ! はっ、はぁっ!」


 下唇を噛む。奥へと侵入が一気に行われ、駆け巡るじんじんとした心地よい痛みに、噛まないと耐えられなかった。シーツのしわが一際大きくなる。涙がぼろぼろ、後ろの激しさに流されていく。


「腰振って誘っといてよく言うよっ」


「振ってません誘ってませんっ、はっ、はっ」


「じゃあさっき私を見て締め付けたのはなんだ?」


「だって、あっ、んっ、あなたがやらしいからっ、えっちだからっ、あっ、ぁっ、ぁぁ、んぁっ」


 ぐちゅぐちゅ、激しくっ、行ったり来たり。こんなにわたしからお水が出るのかっていうくらい、あそこの音がうるさくって、憲先生のほうがきっとたくさんなんだって、それくらい興奮してるんだ。わたしとおんなじっ、ああっ。ダメです、腰ちゃんと持ってください、片方、あそこの上、ぷっくりちょこんを、いじっちゃ、ダメ、胸ももんじゃ、ダメ、お腹さすっちゃ、ダメなの……っ。


「ありがとう、悪いねやらしくて、大好きだよふぅちゃん」


「はぃ、わたしもっ、大好きですぅ、ぁんっ、はーっ、ふーっ、はーっ」


 頭が落ちてきた。結構、きつい、体力、限界かも、ぁっ、ん……はぁ、はっ、はっ。憲先生、下のほうへって、斜めから突き下ろすように強く、するから、身体がぺしゃんこにつぶれそう。でもその前に、これだけは言わなくっちゃ。自分からこい願うの。わたしだってやれること、あるんだから。


「はーっ、はっ、さぃ、く、はーっ、ふぁ、くださ、ぁっ、ん、ぁん、ぁ、あ、あい、さ、け、はーっ、きっ、す、はぁっ」


 やっぱり言えない。一昨日も今日も、言いたい頃にはくたくただぁ。憲先生激しいのっ。


「わかったっ、あげるよ詩音っ、私も好きだっ、かわいいぞっ」


「あぁっ……



 わかってくれる憲先生に、大切なお誕生日のナカダシを、もらう……っ、熱い、熱い! 多いよぅ、どくどくがぁ……あっ、ぁっ、ぁぁ……ん、あ、ん……精液があっという間にわたしのナカを満タンにして、注ぎ込む勢いがよすぎてすぐに溢れてった。びくびく、軽く痙攣してる、わたし……だって、ナカダシしてもらったもん……たっくさん、入ってくるもん……あ、ぁ、ぁぁ……まだ、だね、最近、長いねぇ、うふふ、ぁっ、ん……えへへ……ショーツ、汚れちゃったなぁ、憲先生の精液で……ぁっ、ぁっ、ぁぁっ……ぁん、もう憲先生? まだですか? まだびくびく動いて、ぁっ、ぁ、ぁぁ、ぁん、もう……っ、長すぎぃ!


「うるさいなぁ、それだけ気持ちよくさせといてよく言うよ。長くもないぞ、録画したやつ観ようか?」


「ぃ、いいですよ、チェックしましょう。絶対何分も何分もっ、ナカダシ続いてましたっ」


「続いてないね、続くはずない。例えこれだけたくさんふぅちゃんに気持ちよくなってもね」


「続きますっ、憲先生でわたしはこんなに気持ちよくなったんですっ、続いてますっ」


 軽く睨めっこ。でもすぐわたしは倒れるようにうつぶせになり、抜きたくないのが抜けてごぽぉ、って、溢れるナカダシの音が身体の奥から聞こえてきた。満足。


「あ、ごめん。大丈夫? 疲れたかな?」


「いいえ。へとへとですけど、平気です」


「そっか、よかった。またやりすぎたかと」


「うふふ、もう大丈夫です、熱なんて出しません。憲先生が隣で寝てくれたら平気です」


 横を向いて、少しずれて変態さんのスペースを作る。どうぞって見つめると困ったように笑うろりこんさんが隣に。腕枕まで。


 キス。軽く抱きしめ、にっこり。


「本当は今日、詩音だけにするのはかなり大変なんだ。私は」


「一回なら、できます」


 先に言った。この調子ならあと一回はできる。絶対できる。誰かの扉の前なんか、ちょうどいいくらい。


「本当は一晩中、お応えしたいと思ってたんですけど、一回で多分、無理かなぁって」


「そっか、充分だよ。あと一回、これほど魅力的な詩音を抱けたらね」


「もう、言いすぎですぅ」


「いやいや、そんなことないさ。あ、服も汚れちゃったね」


 あ、そうだ。ナカダシされたままに倒れ込んじゃったから、べっとりついちゃった。


「脱いでおこうか」


 憲先生に脱がしてもらう。お洗濯、自分でしとかなきゃ。これだけは絶対。スリップとショーツも汚れちゃったし、汗でべっとりだから脱いじゃった。丸裸で男の人にくるまり、髪をすらすら梳かしてもらう。ああ、気持ちいい……かたぁい胸板にぐりぐり、頭を押しつけて、ふんわぁってする匂いをかいで……キスをして、笑い合った。


 しばらくそうして、いつもみたいにいちゃいちゃをした。とってもしあわせぇ。ふふ。


 平気だなぁ。傷痕を見られるのも、そこを触られるのも。お腹も胸も、腕も……


 不意に憲先生が起き上がり、向こうに置いてあったカメラを取る。


「ああ、まだまだ録画はできるね。さて、その前に」


「……絶対、続いてます」


 こっちまで持ってきた映像の中で、憲先生のナカダシ時間は……わたしの感じた何分もより、はるかに短かった。わ、わたしが、長く感じてただけ、なんだ……わたし、やらしい……っ。


「ほらね。確かに最初に比べたら長いけど、詩音の言うほど長くはないよ」


「ううう……長く感じたのになぁ、長くって、うれしかったのになぁ」


 こんなに白いの、溢れてる……あああ、やらしいですっ。


「さて、じゃあ詩音の負けだね、もう一回今からするよ?」


「……はぃ」


「なんでもするな? 今から言うことできるな?」


「は、はぃ」


 なんだろう、そう思ってどきどきしてた。


「身体中、舐めさせてくれ」


「え」


「全身くまなく、だ。変態で悪い、まずお腹を舐めたくなったんだ、次に髪、はさすがに変かな、でも試しに、いいだろう?」


「は、はぃ」


 強引に迫ってくる憲先生に、また思わず、頷いちゃった。


「小指の爪の先もだぞ? 足の指もだぞ?」


「はぃ、はぃ」


 ぎしっと、ベッドが沈む。


「尻も胸も腕も肩も腿も股も、頬も唇も全部」


「平気です、だってあそこ、舐められました」


 それ以上のものは、ないです。ざらざらする傷のところだって平気です。


「ふぅん……」カメラを脇へ、録画を続ける。


「じゃあその前に私の気持ちを味わってもらおう。舐めて、綺麗にしろ」


「……はぃ」


 なにを言おうとしているのか、わかる。あっという間に元通りになったところについた、汗とか、白いのとかを、舐めとらせたいの。


 やりたかった。まゆちゃんが自慢げで、
(めぐみ)さんも喜んでくれたって言うから。どれだけ苦かろうとも、やりたかった。い、今はもう、ほとんど残ってないし……


 膝を立てた憲先生に、また四つんばいで、迫っていく。髪を何度もかき上げて、心の準備ができたところで、くわえに、いった。


 熱くたぎるモノは、わたしの口には大きすぎる。でもと、変態さんのやるように舌を、ぺろ、ぺろ、はわせていく。……頭が焼けるような、味がする。ちょっとだけしょっぱく、有り余るほど、苦い。男の人の味、ビターチョコレートとは比べものにならないほど、喉の奥に残り続ける味。


 ふんわり、なでなでが、きた……見上げると憲先生がいやらしく微笑んでいて、でも手つきは柔らかく……おかげで味が、変わっていく。わずかに残った白い濁点が、まろやかなスイートチョコレートと混ざったような、苦い、芯にくる味が柔らかくなったよう。アレ中に舌を巡らせ、点々とした液体を口に集めて、これなら、と飲み込もうとする。


 喉に絡む、男の精子。これだけの量でこんなに、飲むのが、んっ、たい、へん……んっ。


 ……入ってった……あったかいの……わたし、飲んじゃったんだ……


「……けほっ」


「どうした? まだ綺麗になってないぞ?」


「は、い……っ」


 今だけは邪魔な髪をどかしてもらいながら、わたしはなおもびくびくとうごめくモノを口に含んでいった。


 妙な感覚に縛られる。見上げる先の海は夜の海で、舌先から波の鼓動が聞こえてくる。どく、どく、驚くほど熱いそれは、思い切って途中の区切りまでを頬張ると余計、鼓動を早くしてくれる。それでもう口はいっぱいだけど、もうちょっと奥まで、飲み込もうとすると、口のほうが広がっていった。こ、ここまで、開くんだ。もうちょっと、もうちょっと……ぐい、ぐいと飲んでいく……半分、入るかな……ああ、硬い、先に穴、かな……これ、ここから、そうだ……ああもう、いっぱい……舐めなくちゃ、綺麗に、んぅ……


「ぷはっ、はーっ、はーっ」


「よしよし、よくできた。私が舐めるときの気持ちがわかったかな?」


「……少し……」


 どちらかというと、これはご奉仕だったかも。なでてもらえるから、ご奉仕のご褒美みたいで。


「じゃあ、舐めるぞ。まずは舌から」


「んっ」


 キス、された。わたしあんなとこ、舐めた直後に……どうかしてる変態さんだ。わたしは首に腕を回して、しばらくしたいって意思表示をした。


 口の中を、舐められる。歯の表裏、舌同士、舌の裏、上あご……舌と舌を交差させ、くっつけたまま口を離し……「開けなさい」とささやく甘い声色に、舌を出してくっつけてる、舐めあってるところを見させられてしまう。口の外で格闘する舌を見なくちゃいけないのはかなり恥ずかしい……でも、舌、おいしいな……硬い舌、おいしいなぁ……


 次は頬をべろりと舐められる。ぞわぞわしい感覚にふと、汗がたくさんに気づいて青くなるけど、変態さんは拭き取るくらい執拗に右、左を舐め回し、舐めるたびにわたしと目を合わせようとする。わたしはその都度目を伏せるのに、そっちからまた舐めに、かかってくるから……どうしても目が、合ってしまう。


 恐ろしいほど、気持ちがいいと、教えにきていた。わたしは舌が頬から顔中になり、首に回るとがくがくと膝が笑い出してしまう。憲先生と同じ膝を立てていられなくなり、座り込んでしまった。


 追うように首を丸々一週、される。どうしてか後ろに回ったときは変な感じでいっぱいで、喉よりも深くお腹にくる。首が終わったとまた視線を合わせようとするので、今度は上を向いた。


 肩から右腕、肘、手先……変態の変態さんは執拗に傷だらけの腕を舐めていった。溶かされるんじゃないかって本気で思えるほど、傷痕を舐められた。鈍い異物感を感じる。なにか腕にできたしこりを舐められて、いるような……わたしは……その感覚……き……


 五本指全部制覇される。びくりとする指先は敏感で、あまり舐められたくないかも。本当に爪まで舐め尽くしていた。


 ぼうっとしてきた。わたしの身体をあちこち動き回る憲先生を見ながら、なんだかちょっとリラックスしてきた気がする。


 左腕は傷が少なくて残念だった。やっぱり指先は少な目がいい。


 胸を……来た。ほんのわずかふくらんでるだけの胸を、これでもかというくらい舐めてもらう。色が変わるんじゃないか、縮むんじゃないか心配になるくらい、憲先生は両のふくらみを、舌でもんでくれた。わずかある、こっちの傷は。格別のいやらしさ。


「ひゃあっ」


 お腹にくるとどうしても声が漏れちゃった。舌が舐めようとするとびくんびくん動いちゃって、憲先生をしっかりつかんでった。それでも何度も悲鳴のような声が漏れて、恥ずかしくって、びくびくで……でも、ぼうっとしてるから、いいなぁ。気持ち悪くなんてないし、もっとしてほしいかも。


 ばさぁっと背中の髪をずらして、背中も一直線に舐めてもらった。あんまり背中は興味ないのかすぐ終わる。


 そのまま、お尻へ下りていく。また四つんばいになって、恥ずかしいとこが丸見えだなぁってぼんやり思いながら、汗でいっぱいの恥ずかしいお尻をまんべんなく、舌で襲われちゃった。お尻に円を描くように舐められると、変だなぁ。今度は憲先生見たくなっちゃうなぁ。


 近いから、次、あそこ。まただから早いよね、って思ったわたしは浅はかで、ショーツがないあそこを、ナカダシしてもらったあそこを、丹念に舐め回されちゃった。うれしい。あ、あの苦いのもうないよね? 憲先生には味わってほしくないなぁ。わたし黒くなくてぱいぱんだから、すぐどっか行っちゃったよね? その割れたとこに舌が入ってきて、ぐねぐね動き回ってるけど、ううう、そこはさすがに、残ってる気がする……憲先生のあったかいの、精液……はぁ、えっちぃ……


 今度は目が合うと、そっぽ向くの。えっちなろりこんさんなんか見たくないの。


 太ももからはまた座り込んで、足を持ち上げてもらいながら舐めるのを続けた。上から順にって、あそこのすぐ近くまで顔を寄せて太ももを舐められるのは、なんか、変……変な感じ……憲先生見下ろしちゃってる……太もも、さぁって、やっぱり溶けてる……溶かされちゃったなぁ、暑いもんねぇ。


 ぼうっとしたまま、思ったより早く太ももからふくらはぎは終わった。つま先もぴくぴくしちゃったけど、なんかすぐだった。指も爪も、指の間もぺろぺろさん。


 最後に。髪が大好きな変態さんは、やっぱり髪を一口、食べちゃった。はむはむ、おいしい? 舐めると変な味でしょ、ふふふ、バカだなぁ。


「おいしいよ、ふぅちゃんの髪」


「珊瑚礁の味?」


「ああ」


「えへへ……ありがとう」


 自分から抱きついてごろごろぉって甘えちゃった。うれしいなぁ。食べてもらえて。


「全身どこも、甘い味がしたよ、詩音」


「ふふ、ありがとぉ」


「……やっぱりか。だが悪い、我慢できようもないんだ、すぐ終わるからもう一回」


「いいって言ってるでしょぉ、うふふ。憲先生、だぁいすきっ」


「ああ私も大好きだっ」


「きゃあっ」


 押し倒されちゃった。ベッドに押し倒されて、強引に足を広げられるの。かあって赤くなるけど、ぼうっとしたままのわたしは恥ずかしい思い裏腹、抵抗しなかった。


「またナカダシ、するの?」


 真正面に見つめる。憲先生、瞳、綺麗。


「ああ、させてくれ。ほかのはまたの機会に教えよう」


「わぁ、楽しみです、えっちなろりこんさん」


 わたしはにっこり両手で、憲先生を招いた。


「して、くーださいっ」


「ああ詩音っ、詩音っ」


「あっ! あっ、はーっ、あーっ!」


 さっきナカダシされたばっかりのあそこに、またかたぁいのが入ってきたぁ、えへへ、っ、うれしいよぅ……っ。わたしはがくがく震えてる両脚を、がんばって憲先生に巻きつけていく。しっかり、つかまなきゃ。背中を腕で、つかんで、抜けたくない、もんね。またお腹、いっぱいにしてもらわなきゃ……ぁっ、ぁっ、ぁん、もう憲先生、大好きぃ。


 上から憲先生が襲ってくれてる。キスが何回もできておいしい。こっそり目を開けると動いてる憲先生にほれぼれしちゃう。胸とお腹をまた噛むように舐めてもらえてうれしい。耳にかかる荒い息遣いが心地いい。甘い声、低い声、大好きな声……大好きな舌。


 じんじんとした痛みがお腹の奥に何度も到達していた。ぎっ、ぎっ……激しい動きにまたベッドがうるさく、声が聞こえない。揺れて足が外れそうになるのを必死で何度も戻して、背中をすりすりしていった。


 ふわっと腰が浮く。憲先生が腰に手を回して持ち上げてくれていた。そのまま、ああさっきとなんだか違う感じのぐっちゅぐちゅが、ナカをひっかいていく。アレの入り方が違う、いじめられるとこ、違うなぁ、じんじん、気持ちいい痛みだなぁ。ぐいって押されるところ、違う。激しく突きやすいのかなぁ。段々、すごい強くっ、され、てる、あっ。


「詩音っ、詩音っ」


「うっ、はーっ、あっ、はっ、はっ、ん、はーっ、ふうっ、はっ、はっ、あ、ああっ、あーっ、ふぁ、ぃ、け、はーっ、ん、ぁんっ」


 ごいんっ、ぶつけられてっ、浮かんじゃったぁ。好きって言えない、名前呼べない、呼ばれる声だけ、あそこにぶつかる、男の声だけ……


 きっと二、三十分、そうしていじめられてた。じんじんずきずきが強くなってるからきっとそう。頭の中が焼けてるからそう。ぼうっとしてる、でもなんだか、うふふ、快感……



「詩音っ」


 突然、ぶつり。








 空を泳いでる。ふわふわ、楽しい……あれ、なんだろこれ。わたし裸だぁ、はしたない。隣憲先生いないの? あれ? じゃあお母さん、柚香里お母さんはどこ? みゆちゃん、
奈々穂(ななほ)さん、紗絵子さん? あれ、あれぇ……ふわふわ、楽しい。どこまででも泳いでいけそう。空ってこんな広いんだ……海みたい……ああそっか、ここ憲先生なんだねぇ……


 目が覚めたときに、男の人が傍にいるのってすごくうれしい。贅沢だなぁ。えへへ。


「……あれ」


「目が覚めた?」


 わたしたちは薄いシーツをかけていた。憲先生裸、わたしも裸。あれ、あれ? さっきまでわたし、憲先生とえっちの最中……


 ばつの悪そうな顔で、憲先生が両手を合わせた。


「ごめん、途中で失神したんだ、ふぅちゃん」


「……え」


 ガーン……そ、それじゃあ、憲先生にナカダシしてもらうあのしあわせな感覚、味わわずじまい?


「やりすぎたと思ってる。本当にすまない、ふぅちゃんにはちょっと早かったんだ」


「……そんなこと……ないです」


「早かったんじゃないかなぁ。射精したぐらいで失神してね、びくびく痙攣が止まらないから大丈夫かと心配したよ」


「……け、憲先生っ、二回目なのに量減らさないからですっ」


 いっつもだ、最近っ。今気づいたけど、お腹に憲先生のあったかい感覚、すごくいっぱいある……ああ、あったかい……


 お腹……たまってる……ぇへ……


「それがさぁ、減らせないんだ。というか、普通やってくとその、射精って変わってくんだけど、変わらないんだ。多分、そういう病気に近いんだと思う」


「そうですよっ、そうに決まってますっ」


「おかしいよなぁ、うぅん、なんでだろう。本当にね、毎日セックスしないと体調が逆に悪くなるんだ、知ってるだろう?」


「あ、はぃ」


 海での翌日、やらないって言った憲先生はその日は朝に春花さんと花雪さんとしたけど、翌日までやめとこうって無理したら、その次の日体調崩しちゃったんだよね。変態さん。


「その辺を集中的に、今度診てもらってもいいな」


「べ、別にいいじゃないですか。こーんなにたくさんいるんですから、ちょうどいいくらいです」


「そうかなぁ? うぅん、みんなと相談だね」


「はぃ、うふふ……」


 わたし二回も、やっちゃった。ふふふ。二回もナカダシ、してもらっちゃった。えへへ。そ、それに、あの白いの、飲んじゃった。うふふ。そ、その上、失神、させてもらっちゃったぁ、どうしよう。


 お母さんも何回もされたって、言ってた。気をつけなさいって。憲先生はお猿さんだから、たくさんやってこっちを気絶させてくれるって。でもうれしいからいいよねって言うと、お母さんそっぽ向いちゃったよね、ふふ。照れ屋さんだなぁ。ゎ、わたしもちょっぴり、それだけ激しくやったってことだから、恥ずかしいかも。


 うわぁ、そうだった。憲先生にあちこち、全身舐められたんだったぁ。ううう、恥ずかしいなぁ、変態さんが悪いの、わたし、悪くないもん。


「気持ちよかったよ、詩音」


「……はぃ。わ、わたしも……気持ちよかったです」


 あそこがものすごくじんじん、する。この痛み、大好き。


 キスのまま、わたしはもう一度空を泳ぎに行った。


 忘れられない、お誕生日だった。


 あ、ケーキ……明日、食べよう。
















 どうやらまた陰性の様子。うーん、そろそろのはず、前回のお風呂から。まあ、気長に行きましょう。週一か月に二、三度くらいで調べておけば、いつかわかるでしょう。


 なにせ……んん、んん。あの人と愛し合うのはとても、感じる。確かオーガズムに達したほうがより妊娠しやすい、と、どこかで聞いた覚えがある。どちらにせよこれだけやりたい放題やってるんだからどうせすぐできちゃうでしょ、まったくもう。


 十七人、囲っておいて。私に週三ペースで子作りに励んでるんだから、全員にそう。つまりは絶倫のバカ野郎ってことよ、まったくもう、まったく。


 本日はそんな変態と、婚姻してきます。正式に深町の人間になってきます、ね、お父さん? 一言いいって、ありがとうね。認める代わりに会いたくないっていうの、なんとなくわかるわ。でも、正式に深町の人間になったら、会いに行くからね? まゆがいいって言うのよ、しょうがないじゃない、ねぇ?


 いいえ、もう言いわけに子供を使うのはよしましょうっか。この家に住むようになって、いえあの人と知り合ってすら、まだほんの数ヶ月程度だというのに。まだまだなんにも知らないのに早くも籍を入れるだなんて、どうかしてるわね。


 ……別にこの結婚が、失敗してもいい。あの人なら……そう、思えるもの。結婚は失敗できない、って考えるんじゃないわ、発想を変えるのよ。


 この人となら、いくら失敗してもいい。だから、結婚するの。


 あーあ、それにしてもプロポーズもないままに結婚かぁ。ちょっと残念ねぇ。婚約指輪もまだなのよねぇ、もう。


「お母さん? また調べてんの? どうだった?」


「残念でした。まゆがお姉さんになるのはずいぶん先ね」


 そばかすをくいくいと擦る。「そっかぁ、残念だね。今日できてたらおめでたいのがいっぺんだったのに」


「あはは、そうねぇ」


 二人で食堂に入る。今日の朝もいつもどおり騒がしく、女だらけの食卓だわね。どいつもこいつも、やあれやれ。


「あら絵里さん、今日はあなたの晴れ舞台だっていうのに遅れてくるなんてどういうつもり?」


 紗絵子さんはいつもどおりやかましい。この人が姑か、悪くないわね。


「晴れ舞台って、別に式を挙げるでもなし、そんなに大げさなことじゃ」


「まあ、失礼ですわ、せっかく深町の姓をいただけるというのに」


 花雪ちゃんはぶつぶつと文句を、堂々と言う。母親と違いよく喋り、自己主張の激しい子だこと。


 当の亭主は、昨晩のお相手である詩音ちゃんと一緒に、まだここにはいなかった。なにやってんのかしらね。


「そろそろかなって思ったのよ、ごめんなさいね」


「そろそろ?」


「ああ、絵里さんもやるんですね。あたしもまだだったんですよ、ちぇっ」


 
静香(しずか)ちゃんもずいぶん棘が抜け、ふんわり丸まった体になったとはいえ、まだ十五にならない子供は、なかなかでしょう。


「あの、なんのことでしょう?」


「ああ、単に妊娠していないか調べただけなんです。春花さんはしないんですか?」


「? 調べる……? そのような、お腹が膨らめば自然とわかりましょう」


 この女は齢三十九になろうかというのに、まったくお嬢様にも程があった。


「ええっとねぇ、今は売ってるんですよ、妊娠しているかどうかを調べる道具を。それを使って調べただけなんです」


「まあ……初耳ですわ、必要ありませんでしょうに」


「そんなことありませんわお母さま。絵里さん、今度ご案内してくれません?」


「え、ああ、そうねえ、まあ、いっか」


 その中学二年生と言ったほうが驚かれる幼い顔(と体)で、そんなもの買いに行った日にはひそひそ囁かれるわねえ。私のってことにしたほうがよさそうだわ。


「それで絵里さんはおめでただったんですか?」


 メイドの良子さんは興味津々で訊ねてきた。どうでもいいけど、あなたそうして身を乗り出すのやめたほうがいいわよ、デカチチ。


「残念ながらできてなかったのよ。はぁ、なんでかなぁ」


「なんでかなぁ」


 複数名の声が上がる。こういうことを調べそうな静香ちゃん、良子さん、それからパティちゃん(できたっけ?)に
(ともえ)さんまで。ふんふん、それ以外はお腹が大きくなるかつわり待ちね、よく辛抱できるわ。


「んー絵里さん、まゆちゃんのときはどうだったの?」


 紗絵子さんの言葉に隣のつぶらな瞳を見下ろして思い返す。


「ああ、そういえば普通のペースで一年はかかりましたね」


「だったら今も週三で同じくらいの憲邇くんは同じくらいかかるわよ」


「……どうして同じくらいってわかるんですか」


「私も週に三回だもの。ねぇパティ?」


「はは、はい。わた、私、週に三回は、その、まま、まだっ、そんなにですけど」


 ハーフの青い瞳が動揺を隠せずに言ってくれた。……あら、そう。みんな目を逸らしてるわね。やっぱり全員、か。変態。


「まあまだこれだけ大勢になって二週間程度しか経ってないけど、ちょっと異常よねぇ、憲邇くん。どうかしてるわぁ、全員一人残らず同じペースでしょ? 信じられないわねぇ、すごいわぁ」


「……まゆも?」


「ん? どうだっけ、ちょっと待って……一回、二回、あ、ほんとだ三回くらいしてる」


 指折り数える愛しい娘も、しっかり予想を裏付けてくれた。ありがとうまゆ。よくできたわね。


「どうなのよみんな、隠さないで教えなさいな」


 紗絵子さんの言葉に目を伏せるほぼ全員。羞恥心の強い女の集まりである以上、堂々と赤裸々告白ができるのは紗絵子さんやまゆ、そして純真なパティちゃんぐらいのものかしら。


「私もそれくらいです、良子ちゃんは?」


 ああ、あと愛さんがいたっけ。羞恥心なんて欠片もないドM奴隷ちゃん。


「ごほん、ご主人様遅いですねぇ」


「そうねぇ、憲邇も詩音ちゃんも遅いわねぇみゆ」


「う、うん。遅いなぁ憲邇さま」


 なんとかお茶を濁そうとするメイド野郎と柚香里さんみゆちゃん親子。至極わかりやすいみゆちゃんの顔色は、なによりも雄弁に事実を語っていた。


「ちっ、しょうがないわねぇ。でも憲邇くんがこのペースだと本当にしばらくかかるわ、どうしようかしら?」


「別にいいじゃないですか、ゆっくりいきましょうよ。あ、あたしも一応検査しましたけど、憲邇先生とどうせみんな添い遂げるんだし」


 巴さんはモトカノ経験からか、一緒になってからは余裕たっぷりだった。この家にお勤めしていて本当に楽しそう。


「そーそー。大体ずりーんだよ、あたしやみゆちゃんとかさ、パティさんまだ無理なんだぞ? 奈々穂ちゃんだってずりーんだかんねっ」


「そお? ななほそれより早くごはん食べたいなぁ」


 うずうずとお箸に手を出しそうな奈々穂ちゃん、五歳。体は十七歳できちんと妊娠できるためか、同じ年頃のまゆはずるいずるいとよく言っている。


「あ、そうだ。じゃあこうしましょう、せんせもずいぶんえっちで変態な今のうちに、たくさんえっちするんです。ほら、ちょうど来月は八月の夏休みじゃないですか、ぴったり一月です」


 静香ちゃんの申し出に若干目の色を変えだした女連中のところへ、しっとりと手を繋いだ深町憲邇先生と詩音ちゃんがやってきた。


「おはよう、みんな」


「おはよぅ、ございます」


 名残惜しそうな詩音ちゃんがゆっくりと手を離すと、本日は柚香里さんと食べさせあいっこの隣へ座る。


「いただきます」


 全員で手を合わせ、朝食に。すぐにさっきの話を咀嚼した紗絵子さんが口を開いた。


「憲邇くん、あなた今、セックスしないといけない体になってるんでしょ?」


「ああ、うん。多分ね」


 柚香里さんのお姉ちゃんは昔にずいぶんとしたのか、せっかくのあーんをあんまりしようとしない。ただ隣で食事をするだけでもう、幸せそう。


「じゃあちょうどいいわ、来月はえっち強化月間にしましょう」


「え……?」


「私たちも夏休みがあるし、学生さんは丸々休みでしょ? ちょうどいいから、憲邇くんに目いっぱいかわいがってもらうのよ」


「……冗談だろ? なんでそんな」


「それは子作りに決まってます、ご主人様? 私とどれだけ励むか、忘れたんですか?」


「いや、でも……悪いけどね、私は一人一人じっくりやりたいんだ。何人かで一緒にしても、やっぱりなるべくじっくりとは。悪いけど全員に頻繁にやるのは難しいよ」


「そうですよ、先生に悪いです。先生の夏休みは短いですから、無理を言っちゃあ」


 千歳ちゃんは毎回冷静だわ、と思ったとき。


「いや、でも八月に君たちの休みが多い、というのは事実だろう。確かにこの機会を活かしてなにかをやりたいね。その、夜のことは置いておいてさ」


「あんた、夏祭りは行きましょうよ、花火大会もできたら」


「そうそう、巴の言うようなことはやりたいね。そういった意味で八月がいい月だというのは間違いない。みんなで話し合おうか、今日絵里とのことが終わったら」


「はぁい! うれしいなぁ、ななほ花火だいすきだよ! ねっ、さえこお母さん?」


「うぅんそうねぇ、そっちもいいけど、お母さんはやっぱり夜の花も咲かせたいわぁ。えっちなゲームなら一つ二つ思いついたのがあるんだけど」


「い、いけませんわ紗絵子様。こ、この前のような、その、神経衰弱のようなことは、その」


「お母さま、汗がすごいですの、大丈夫ですか?」


 唯一主人に襲われていない
花織(かおり)ちゃんが、ハンカチで母親の汗を拭ってあげている。先ほどからの会話でもう恥ずかしいだなんて、やっぱりの箱入りだわ。


「でもねぇ、なんやかんやでホームページをどうこうするのに手間取ってまだなのよ? 足りないわ、この前海であんなに」


「まあまあ、話し合おうよ。今日はゆっくりね」


「はーい」


 にっこり全員が、夏の思い出作りにわくわくしてるみたいだった。


 夏はいいわねぇ、ふふふ。まゆと三人でプールに連れてってあげたいわ、この前は大勢だったから。それからキャンプねやっぱり、男の人の腕の見せどころよ。


 私も年がいなく久しぶりに、これからの夏に思いを馳せていった。


 食後に挨拶をまだ継続させ、詩音ちゃんとまゆのお子ちゃまぱんつを説明させ、まっしろ同士に笑みを浮かべる変態のことは見なかったことにしよう。朝に挨拶すると高確率で夜這いされることなんて最近だから、これからなくなるかもしれないわ、ねえ? ああもうせっかくの楽しい頭の中が、まあまゆが笑顔でくるくる回ってるからよしとしましょう。


 もう一度夏に気を戻す間に、まゆとバカ亭主は何度も何度も唇を重ねていた。ああ羨ましい、ふふ。








 婚姻届を出しに行くというのに、旦那はどこか寄るところがあると言って活気あるところへ車を走らせていった。せっかくの休日、静かな市役所へ一直線してからゆっくりしたいと思っていたのに。


 着いた先はなにやら宝石店。また誰かにプレゼントかと、この人のプレゼントしたがりっぷりは大したものだわと感心する。お金をプレゼントばかりにつぎ込むのはどうなのかしら、と扉を開いて。


 私たちは新婚よ。腕を組んで、中に入るわ。


 平日の午前は人もいなく、堂々としていられる。まあ、人が多くても離れないように腕を組むけれど、それはそれ。二人並んで、店内を物色していった。


 あれやこれやと、私はつい並んだ宝石群を指差しては、「あれなんかまゆにぴったりね」とか、「あれなんかまゆにあげなさいよ、きっと喜ぶわ」とか、繰り返してしまった。しきりに頷く隣の男は、なるほどと感心すらしている様子。女の趣味が(それも自分の女のくせに)わからない、とうへんぼくね。まゆの好みくらい把握しておきなさいよ、まったく。


 既にあるという、まゆが滅多に見せない、指輪は。気に入っているとは、思うけど。


 できたら私は、その辺の小さなダイヤモンドが、むしろほしいかな。小さな夜の星のようにきらめく、ささやかな色合いは、すごく好みだわ。これが婚約指輪ならいいな、と思っていると。


「すいません、これ、ください」


 愛している亭主は、それを指差して、買うと、宣言した。


 ずきりと胸が、痛む。ほんの少し、自分がほしいものが娘に奪われたと、思ってしまった。危ない危ない、情けない母親だわ。それくらいいいじゃない、なに自分のことばかり、


「あ、箱はいりません。嵌めて帰りますから」


 考えて、いるのよ。


 あなたは考えが、危ないわ。私を貶める、深い深い、穴の底へ。


 この人の考えている意図がわからず、つい腕を引っ張った。


 わかってる、くせに。


「どう、いう、つもり? なに、嵌めて帰るって」


「結婚しよう、絵里」


 小さな夜の星が、昼間に顔を、出した。思わず、その輝きに目を奪われ……言葉の意味が、じんわりとそこから届いてくるようだった。


 組んだ腕の先の指が繋がり、どうしてか左手の薬指が、きらめきだした。目の前の男がなにをしているのか、なにをしてくれているのか、私はよくわからないまま、ただ喉が熱く、続いて目も熱くなり、急速に形をとって現れる結婚という言葉が、ただただ胸に染み渡っていくのみだった。


 私はもう一度自分を揺らしてほしくて、わざと喘いだ。


「別の女の子にプレゼントじゃあ、なかったの?」


「今日という日にここへ来るのに、これ以外の目的があるのか? 絵里は鈍いぞ」


「い、いいの? ほんとに私で、私、あなたと結婚なんかしようものなら、絶対別れてやらないわよ? しがみつくわよ? 私は、子持ちのバツイチで、あなたより六つも年上なのよ? これが、最後のチャンスだから、絶対逃さない、わよ?」


「うるさいなぁ、いいから結婚してくれ。まゆはいいって言ったぞ」


「卑怯よ、子供をだしに」


「子供が認めないままに結婚できないだろう? どうしたんだ絵里、おかしいよ?」


「だって急よっ、いくらなんでもっ、こ、心の準備がっ」そこだけは本心だった。


「……やっぱり、私にサプライズは無理だよなぁ、はぁ……絵里、絵里?」


「でも、だって、まだ真っ昼間、家族にだってやっぱり、お互いの」


「絵里っ!」


「は、はいっ」


 がしっと肩をつかまれた。


「私を君の夫に、まゆの父にならせてくれ」


「……」


「頼む、絵里とまゆと、家族になりたいんだ」


「……はい……喜んで……!」


 心地よい揺れに、私は自ら彼の胸元へ飛び込んだ。


 温かく、愛おしい。








 鈍くないわ、この人がひっきりなしに誰も彼もにプレゼントだからいけないのよ。私はいっつも後回しで、気づくわけないじゃない、ねえ?


「いや、鈍いと思う」


「う」


 ひとしきり彼の胸板を味わったあと、文句を言ってやるときっちり反論をされた。プロポーズに近いことばっかり繰り返すあなたがいけないのよ、は、飲み込んでおく。


「あのー、おめでとうございます」


「あ、どうも」


 いけない、お店の中だった。恥ずかしい。


「それでそのー、箱のほうは本当にいりませんか?」


 すすと差し出される深い群青の箱を、受け取ろうとするとこの人はいいですと突き放した。


「いりません。このまま嵌めて帰り」


「嫌よ、なに言ってるの、箱がないとダメでしょう、バカ」


 亭主押しのけ、さっとかっぱらうように受け取った。


「あなた婚約指輪と結婚指輪を混同してない? 違うのよ」


「……違うの?」


「違います。こんな大層なもの普段からひけらかすのは趣味が悪いでしょ、まったくもう」


 今日だけは、ええ、許してもらおうかしら。


「そうかなぁ。似合うと思うけど」


 しげしげと観察され、また恥ずかしいと思わせる。最低だわ、まったく、まったくもう。


「うるさいわね、もう出るわよ、ほら」


「あ、ちょっと、じゃあ結婚指輪は」


「いいから!」そんなの後回しよ、恥ずかしい!


「ええ? あ、どうもありがとうございました」


「ありがとうございましたー」


 紅潮をこれ以上人に見られたくなく、私はさっさと彼の手を引っ張ってしまった。


 空調の利いた店内から出ると、なんとまあ暑い空模様だこと。ああこれは腕を組むしかないわ、くっつかないと暑くてしょうがないわ。


「……ありがとう」


 消え入るような声が、突然出た。騒がしい雑踏の群れにあって、聞こえなかったと安心する私に。


「私こそありがとう」


 聞こえるほど大声を上げる、バカな男。組んだ腕から伝わる熱にほだされてしまうほど、バカな男のバカな言葉が、バカな私を揺らしていく。震えるほど、深く。


 ……いい。もう、なにがあっても。私は今日の思い出を一生の持ちものにするわ。絶対に忘れない。なにがあっても、笑顔でいられる。


 あなたを、愛しています。


 世界で二番目に、だけどね。








 その足でそのまま市役所へ。あとは婚姻届を受理してもらっておしまい。晴れて私は深町の女、になるはずだった。


「あーこちら前回の結婚から六ヶ月経ってないので受理できませんねー」


「……え?」


 二人して、目を瞬かせる。間延びした声の受付けの女性は淡々と説明してくれた。


「女性のほうは前回の離婚から再婚に最低でも六ヶ月は間を空けないといけないんですよー。男性はいいんですけどねー。ほらー、あたし女だからわかるんですよー、女のほうはすぐ再婚できちゃうといろいろ問題があるってー」


 離婚したのはついこの前、一月も経っていないはず。とするとなんとなんと、今年中に再婚できるかどうかも危ういというのだ、どうしよう。


 結局先ほどプロポーズを終えた二人は、すごすごと帰宅をする羽目に。さっきの盛り上がりはなんだったのか、こっちはむしろおまけみたいなはず、だったのに。


「……知ってた?」


「いいえ。そんな制度だったなんて、全然」


 知るはずもない。これが初めての再婚なのだから。


「いやぁ、参ったね。とすると今年中にできるかどうかも怪しいのか」


 指折り数えるこの人の言うとおり。私はこの信号待ちをしている間に半年経ってしまえと、乱暴な考えを持ってしまっていた。


「……浮気してほかの女と先に結婚したら許さないわよ」


「するわけないだろう、待っててくれ」


「よろしい」


 ふんとそっぽを向いて、若干不貞腐れ気味の私と落ち込んでる彼を乗せた車は、すいすいと自宅へと帰っていった。


 まあいいわ。どうせ生涯この人に仕えるんだから、関係ないわよ。


 問題があるとするなら。帰宅したあと、みんなになんて言われるか、だわ。ああ今から頭が痛い。なんて言おうかしら。


 ふらふらと説明文を作成していると、自宅へたどり着いてしまっていた。もう、開き直ろうかしら。浴びせられる嬉しそうな「残念でしたね!」を、素直に受け取ろうかしら。うん、そうしよう。


 でも私たちは、新婚なのよ。腕を組んで、家へ入るわ。


 いつもどおり騒がしい家の中を歩いていくと、食堂にみんな集まっているようだった。なにしてるのかしら、と覗き込むと、そこにはとてもビッグサイズのケーキがあった。……なに、これ。隣の小さめのサイズは昨日の詩音ちゃんの分だけど。


「あれ、お母さん早いじゃん。どしたの?」


 ものすごく食べたそうにそわそわ我慢しているまゆがきょとんと訊ねてきた。


「なにこれ。今日は誰かの誕生日?」


「なに言ってんの、お母さんのお祝いだよ。あと、昨日の詩音さんのやつも食べちゃおうって。憲邇さんのつまになったでしょ? あたしも深町まゆかぁ、えへへ」


「……」ものすごく心が痛い。ああどうしよう。説明が、ううん。


「いやぁそれがねぇ──」


 亭主(になれなかった人)が説明している間、これでもかと飾り付けられ盛り付けられた大きなケーキを見ながら、申しわけない気持ちでまゆを撫でていた。


「それは残念でしたね!」


 何人かが一斉に叫ぶように言ってくれた。すごすごと受け止める。


「だから婚約だけの形になるよ。指輪も送ったから、時期が来たらまたすぐ届け出を出しに行こうか」


「はーい」ああ残念そうな輩たちだこと。


「ちぇー、あたし楽しみにしてたのになー。じゃあケーキも食べないの?」


 うずうずとフォークを握ったまゆが地団駄でも踏んでいそう。


「食べましょうっか。残念だけど、記念ってことで。憲邇くん、あなたの大好きな苺たっぷりよ、残さず食べなさいよね」


「子供の頃だろう、まったく」


 この人は私の手を引いて、隣に座らせてくれた。今日くらいは、と思いつつ甘えさせてもらう。


 甘いケーキを、男の人に食べさせる。甘い時間。この人が苦手でなくてよかった。


「ななほねぇ、このへん作ったんだよ、こう、このへん」


「ふんふん」


 ぐるりと指し示される辺りを切って差し出される。すぐにぺろりと、まあおいしそうに平らげていた。


「えっへっへぇ。どお? おいしいでしょ?」


「うん、おいしい」


「あんね、あたし多分この辺なんだよ。そいでね、みゆちゃんがここら辺で、仕上げはパティさんにしてもらったんだ」


「なんだ、子供たちだけで作ったの? へぇ、いつにも増して甘いけど、うまくできたね」


 確かに甘い。閉口しそうなほどお砂糖満載のようで、カロリーを考えるとそろそろよしておきたいわ。けれどこの人は食べさせよう食べさせようと必死なものだから、仕方なく太らせてもらうの。


 こんなにおいしく、綺麗にできているんだもの。しょうがないわ。


 私の左手よりも輝かしいものを、みんなで微笑みながらいただいていく。


 おいしい蜜月はどこまでも続いてく。


 どこまでも、どこまでも。


 はい、あーん?
















































































 第五十一話あとがき的戯言




 こんばんは、
三日月(みかづき)です。このたびは「ごめんなさい」第五十一話を読了くださりましてありがとうございます。


 忘れられないお誕生日は、とてもいいものですよね。特別な日に特別なことがあると、なんだか特別な気がして。


 甘い日々が続いておりますが、一体いつまで続くのでしょうか。私にもよくわかりません。嫌になるまで続けばいいですね。


 あ、詩音さんの胸は成長中ですが、数値ではまだ現れておりません。悔しいですね。作中でもう一月二月ほど日付が進めば、あっという間に
Dカップでしょう。


 ここまでお読みくださりありがとうございました。また次回もよろしくお願いします。




 
20101203 三日月まるる




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テーマ : 官能小説 - ジャンル : アダルト

2011/03/23 20:33 | 小説COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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