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「ごめんなさい」その五十四_第五十二話_八月は夢気分

 こんばんは、三日月です。
 突然ですがまたまたクエスチョン。
 Q、どうして今回はこんなに早く更新したんですか?
 A、今書いているお話が全然煮詰まらないからです。まったく書けないので、じゃあたまってるし更新しようかと。それだけ。逆ですよ、今までがサボってたようなものなのです。
 Q、暇なの? ほかにすることがないの?
 A、うわーんそんなこと言うなよー。
 Q、ついでに聞くけど、作者は性描写を書くのが嫌なの?
 A、だってお話が進まないし……今回だってろくろく興奮もしない性描写が半分以上ですよ? いい加減にしろと。もっとエロく、萌えを追求するべき! なので性描写は大好きです。
 拍手コメント毎度ありがとうございます。元気が出ます。私のお話からみなさん元気になってくれればなとも思いますので、ぜひ読んでやってください。
 それでは第五十二話です、どうぞ。


















 五十二 八月は夢気分








 八月は出店飛び交う花火大会があり、盆踊りもありと、イベントは目白押しだった。亭主(暫定だけど)の
深町(ふかまち)憲邇(けんじ)は、今までは忙しくあまりそういったことに出かけることはできなかったと、なぜか嬉しそうにメイドの良子(りょうこ)さんが言ってくれた。かわいそうに、今年からは家族サービスもかねて行ってもらいますからね。まゆのためだから、空けてもらいますからね。


「なるべくは出たいと思うけれど、無理なこともあるから、覚えておいて欲しい」


「憲邇くんは精神科医でしょ、忙しくない忙しくない」


「何年も働いているのを見てきておいてよく言うよ……医者の数が足らないんだ、単純に。だから一人にかかる仕事量が増える。それだけだよ。それだけで医者は、全員忙しいんだ」


 あらら。最近じゃテレビにすらよくお医者様が出ているものだから割とお休みがあるのかと思いきや、そんなわけなかったみたい。大変ね、プライベートくらい、もうちょっと労ってやろうかしら。ううん。


「だからね、単純なことなんだ。医者の数が増えればいい。それだけだよ。それだけのことなんだ」


 なぜか同じことを繰り返していた。みんなが不思議がって見ているのを、なんでもないと笑ってくれる。それだけで大抵は安心するけれど……


 私と
柚香里(ゆかり)さんは目を合わせ、うんと、頷いておいた。


「それでご主人様、スケジュールをこの際です、きっちり決めましょう」


「え、ええっと……急に誰か来ることだってあるだろう、患者さんが来たら私は相手をするよ、すまないけど」


「それはもちろんです。でも、花火大会の日取りはもう決まっているのです。せめてその日の予定くらいは教えてくださいな」


「いつだっけ? 来月の……二十二日か。あ、土曜じゃないか。普通に空いてるよ」


「本当ですね? 後でやっぱり予定が入っていたとか、許しませんよ?」


「大丈夫、安心しなさい。よかった、これなら久しぶりに花火が見られる」


 思いのほか楽しそうなこの人を見ると、みんなの頬が緩んでしまう。よっぽどだったのね。思わず肩を預けようとしたけれど、抑えておく。ああまゆを膝に乗せてあげたいわ。


「盆踊りが十五日ですし、あれ、ちょうどいいですね。この日も?」


「そうだね、空いてるよ。今年は土曜日にしてくれているみたいだね、助かった」


「憲邇くん、それとキャンプよキャンプ。絶対行きましょうよ、旅行しなきゃ」


「ああ、行きたい。二十九日みんなの休みが合うんだっけ? 日帰りだけど行ってこようか」


 みんなで一斉に頷く。一日でも休みが合ったのは僥倖だわ。
(ともえ)さんもこの家へお勤めだし。


「キャンプ場のテントが不夜城になるのよ、うふふ、楽しみだわぁ」


「ならないよ」


 毎日なってるくせに、よく言うわ。と、多くの妾どもが見つめていた。……嬉しそうに。


「じゃあ憲邇くん、八月中はえっち強化月間でしょ? 毎日えっちなゲームやりましょうよ」


「……」


 隣の男を含め、多くの妾どもが頭を抱えているようだった。残り少ない妾どもは、非常に目を輝かせているけれど。


「例えばさ、今日は一日下着姿とか、裸エプロンとかさ、ゲームに負けたらえっちなお仕置きでしょ、SMプレイを強制とか」


「ストーップ。その辺にしておきなさい、
紗絵子(さえこ)


 
春花(はるか)さんたらまた耳を塞ぎ出していた。正直私も紗絵子さんの言うことをそのままやるには、うん、人が多すぎると思う。


「一応考えていることはあるんだ、それはやるよ」


「なになに?」


 まゆ、まゆ。やめときなさい、あなたまだ七歳なのよ。


「十七人いるから、毎日一人ずつ順番に野外露出。これなら慣れも各自には来ないし、いいかなと」


「……ご主人様天才です!」


「私も、憲邇様すごいと思う」すごくないわよ、
(めぐみ)さん。


「や、やだ憲邇くん、私そこまでは、でもどうしてもって言うなら、どうしましょ」


 一番やりたそうな顔してるくせに、なに言ってるんだか。


「やがいろしゅつ? なんだっけそれ?」


「憲邇さま相変わらずへんたいです。あ、あのね
奈々穂(ななほ)ちゃん……」


 こしょこしょみゆちゃんが隣の奈々穂ちゃんへ。わかったのかわかってないのか、それを聞いてもふぅんとだけ。最低よ、わけもわからぬままにやらせるだなんて。私だけにしとけば許したげるのに。


「せんせ、一番はあたしがいいです」
静香(しずか)ちゃんは本当積極的だわ。憎らしい。


「ダメだよ、順番は教えない。教えたら面白くないしね」


「やだやだ、憲邇先生ひどいこと」


 でも巴さんもまんざらでもないでしょ。あなたまだ未体験でしょ、覚悟しといたほうがいいわよ。めちゃくちゃ恥ずかしいんだから。


「それはやるけど、でもそれだけだよ。それ以外にやるだなんて」


「ダメよ憲邇くん、足りないわ。何年越しの人も大勢いるのよ、もっとやりなさい」


「……じゃあ、例えばなにがあるんだ?」


「野球拳」


「絶対に嫌だ。それだけは勘弁してくれ」


 あら。好きそうな顔して、男の人の趣味はわからないわ。


「仕方ないわねぇ。じゃあ定番の脱衣麻雀しましょ。負けたら一枚ずつ脱いでくの」


「え、でも紗絵子もルール知らないだろう? 大抵知らないんじゃないかな」


 こっちは乗り気なのね。わからないわ。


「だからやるの。知らないままやりたいの」


「紗絵子、それ意味ないよ」


「だって憲邇くん、お家にいる間はずっと裸とか言ってくれないじゃない」


「あのねぇ……」


「みんなやりたいわよねぇ?」


 紗絵子さんがぐるり見渡すと、ほぼ全員が目を伏せ、きらきらとさせた愛さん良子さん同級生と静香ちゃん、それになんと、まゆ。まゆ、まゆ、やめときなさい。あなたまだ七つなのよ。よく知りもしないくせに、負けたら脱ぐだけで反応しないの。


「ふぅん、へぇ、よしやろう。みんなあんまりやりたくないなら、やったほうがいいね」


 またあなたはわけのわからないことを言う。意地悪好きでもあるのね、もう。


「憲邇、それは酷よ。せめてルールくらい」


「ああ、それくらいは覚えてもらっていいよ。負けたら私が脱ぐよ、いいね?」


「ダメよ! 脱ぐのは私たちだけなの」


「いや、それじゃあやらないよ。博打の結果は世界がひっくり返っても平等だから」


「あ、ああ、そう。まあいいけど」


「うわぁ、せんせぇはだかにできるの? ししし、ななほがしてやろおっと」


 ほかにもまゆを筆頭に、彼を裸にできることに喜びを感じるダメな女がちらほらいた。単純にあの裸を見たいだけかもしれないけれど。


「たくさんいるから、全裸になった人から交代かな。そうしよう。私が裸はお終い」


「憲邇くん、脱いだ人はさ、その日一日そのままの格好がいいな。全裸になったらそのままご奉仕させるのもいいわ」


「ああ、前者はもちろんだね。後者はやりながら考えるよ。そうだね、やるなら私の休みに、早朝からやろうか。私を打ち負かした人は、チケット一枚ね」


「今の言葉、忘れないでね。一度みんなでルールのお勉強会を開きましょう!」


 おー、と急にらんらんと楽しそうになってしまった。忘れてないでしょうね、負けたら私たちが脱ぐのよ。


「あとは憲邇くんのお好みで、今日は一日この格好をしていなさいもいいわよ。好きな格好言ってちょうだいね。コスプレばんばんしてあげる」


「そうですせんせ、どんとこいですからばんばん言ってくださいね」


「そんなにして欲しい格好なんてないよ。精々大正時代の女給の格好かなぁ」


 あらまあ。渋いところつくのね。あれならいいかな、メイドとかいうものよりは。


「あらら。よかったじゃない柚香里さん、
岡山(おかやま)さんから貸してもらっときなさいな」


「えっ、あ、で、でもサイズが似合わないし、ばかな弟がどうしてもって言わない限りはあちらさんに悪いかなって」


「じゃあどうしてもだ」


「ううう……じゃあってなによ、じゃあって」


 でもあなた、絶対大好きな弟の言うとおりお勤め先の岡山さんに聞いてみるでしょ。ダメでしょ甘やかしちゃあ。


「ご主人様、それでしたらメイドの格好も似たようなものです」


「うん、もうできてるんだろう、みんな? 早く見たいな、みんなのメイド姿。特に巴」


「……ま、まだよ。完成してないもの。じ、自作だから手間がかかって」


「あー、巴さん、ほぼ私におんぶに抱っこじゃあないですか。もう完成してるんですよ? 嫌だってあなたがどうしても言うから」


「う、ごめんなさい。じゃ、じゃあ、明日から着ます」


「はい、よろしい」


 とうとう折れたわね。誤魔化すのも限界か、合掌。


「それとこの前のゲームはいいわ。トランプで勝負して負けたらえっちなお仕置きよ」


「さ、紗絵子様、もうお止めになりません?」


「ダメよ、まだまだ候補はいっぱいあるわ。テニスとかスポーツで勝負して一ゲーム落としたら脱いでくとか、もちろんぎりぎりのミニスカートね、それでボウリングなんかいいわね、それからお料理対決で勝ったらデート、負けたら全裸で後始末とか、王様ゲームでずっと憲邇くんが王様とか、カラオケの点数が一番低い人は罰ゲームでボディペイントされて海に泳ぎに行かせられるとか」


 次々発せられるよくわからないことに目を白黒させる女子の多いこと。しょうがないわねえ、あの人。


「たまに紗絵子の言うとおり、下着姿も面白いか」


 ぼそりと、隣にいる私ですら聞き逃しそうな声でとんでもないことを言う、旦那。しょうがない、わねぇ。黙っといてあげるわ。


 それくらいしないと、まゆが早くお姉さんになれないものね。仕方ないわ。新婚ほやほやだもの。仕方ないわよ。


 ご奉仕、したい。この人になら、いくらだって。そう、蜜月は言ってる。


「しかしまぁ、よくそういうことを思いつくもんだね」


 誤魔化すように言う、愛しい人へ。じっと視線は、逸らせなかった。


「憲邇くんがえっちなゲームに疎いだけよ。脱衣麻雀なんてゲームセンターとかボウリング場に大抵あるじゃない」


「そうだっけ。まあ、私がやりたいものだけやるよ」


「もちろんよ。こっちのわがままだものね」


「憲邇さんにいっぱいえっちなこと命令されたいの、わがままだもんね。奈々穂ちゃん、あんまし言っちゃダメだよ」


 よしよし、まゆはわかってるわ。


「うん、よくわからんないし言わないよ。でもごほうびにちゅうはほしいなぁ。ななほね、すかーとふんわりやりなさいって言われるのもだいすきなんだぁ」


 今にでもくるくる回転しそう。ちっちゃい子供ってそういうの好きなのかしら。「ななほもうすかーとしかはきたくないもん。くるくるーってだいすきだなぁ」


「あたしも大好き! ね、みゆちゃんも好きだよねー?」


「う、うん。憲邇さまに言われることやるの、大好き」


 ああもうあんな幼子にまで手篭めにしちゃって、最低だわ。私だけにしときなさいよ。


「勝手にやるなよ、なな? 私の見ているところでだけにしなさい」


「はぁい。えへへ、ななほもね、見てもらうのだいすきだからいいよ。せんせぇの目ね、だいすきなの」


 なんとみんながうんうんと頷いている。うん、まあ、わかるわよ、言いたいことはね。この人の瞳が吸い込まれるかと思うほど透き通っていて、いつまでも見つめていたくなることくらいみんなわかってるとは、思うわ。目と目で愛の語らいを、気がついたら無意識でしている子の多いこと。特にみゆちゃん。彼女はいつでもこの人を見ているような、そんな気がする。見つめられるだけで愛撫されているような、そんな気配すら見受けられる。どちらかというと親子ともども、のような気もするけれど、母親のほうはまだ分別があるのに、娘さんは幼さのあまりブレーキが利いていないように見えるわ。


 幼すぎるのよ。まゆと同じ、七つだもの。七つで女にする外道がいけないのね。それしか見えなく、させているのよ、きっと。


 違うと、わかっていても。そう思わなければいけない、気がする。


 七つであの……美しさ。


「あ、あのさ、そんなに全員で見ないでくれるかな。さすがに恥ずかしいぞ」


「憲邇先生、見てて飽きないもの。いいじゃない」


「よく言いますわ。これほど妾をめとったのは深町さまでしょうに」


 楽しそうに、全員が主人を辟易させる。困ったように笑うこの人はでも、嫌ではなさそうだった。


「みんな。大好きだよ」


「私も」「あたしも」


「大好きです」


 全員、声を揃えて。にっこり笑うみんなの主人に、またケーキを口に運ばれ、太らされていってしまった。
















 絵里さんご婚約できなかった記念に、その日の午後にみんなでサッカーを見に行くことになった。前々からまゆちゃんが行きたがっていたし、せっかく憲邇先生も絵里さんもお休みの今、行くしかないということで。


 深町憲邇先生のメイド二号となる前に、そういえばスポーツ観戦のデートはなかったかも、と、行きたがっていたことを思い出していた。あいつときたらやれクラシック鑑賞だの、やれ科学館だのデート先のチョイスを任せるとめちゃくちゃにしてくれるものだから、普通のデートがしたかったあたしを何度怒らせたか知れない。しかし、ほかの女の子たちの話を聞くにつれ、普通のデートもよくやっているとの事実を知り、また怒ってしまいそう。よりによってあたしのときに普通でないチョイスだなんて、なんでなのよ、と。危うく叩くところだった。


 あちらさんからしてみれば、単なる巡り合わせだって言ってたけど、どうかしら。ムカつくわ、偶然だったとしても、ねぇ?


 映画が見たい。スポーツを二人で応援して、盛り上がりたい。なんて。ごほん。これからできるのなら許してあげましょう。たとえ何十人いようともね。


 今日は地元のチームと強豪との一戦だそうで、地元びいきのまゆちゃんははりきっていた。地元のチームはそこそこの順位で、球場にはそこそこ人が入っていた。


「わぁ……すごい広いねぇ」


 仕事でいない
(いずみ)広子(ひろこ)さん以外、ほぼ全員が揃って球場へと足を運ぶと、ここも初めての子の多いこと。サッカーのフィールドの広さに目を丸くして、驚きのため息を吐いていた。


「こんなとこでさっかーしたらまいごになんないの?」


「ならないわよ、奈々穂」


 紗絵子さんが笑いながらぽんと頭に手を置く。「みんな大人だからね」


「ふぅん、すごいなぁ。あ、あのしかくいのごーるでしょ? ななほしってる」


「そうそう。サッカーのルールなんてこれだけだよ、あそこにボールけって入れればいいだけなの」


「まあ、そんなに簡単でしたの? でしたら私も今度まゆちゃんと一緒にやりたいですわ、お母さま?」


「ええ、それはよいですわ。怪我にだけ気を付けて下さいね」


「はいお母さま」


 
花織(かおり)ちゃんはやっぱりわんぱくで、体を使った遊びをしたくてたまらないよう。けれど母親の育て方が淑やかなものだからうずうずしているのね。


「あとね、手を使っちゃダメなの。使っていいのはキーパーって言って、ゴール守る人だけ。そんくらいだよ、それだけわかればサッカー楽しめるから」


「へぇ、そんなに簡単なんだ」


 
千歳(ちとせ)ちゃんを始め、ほとんどの子が知らなかったようで感心している。見ていくうちにわかるようになりますよ。簡単なスポーツです。


 試合はすぐに始まった。ここからだとずいぶん小さく見える選手たちが、フィールド中を所狭しと動き回っていく。彼らより小さいボールの動きに合わせて全体がどんどん移動していくのは、まるで全体が一つの集合体のような、全員で一人、っていうのがしっくりくるような、そんな錯覚に陥らせてくれる。すごいすごいと、感嘆してしまう。


「いけー! おせー! うおおー!」


「いけーがんばれがんばれー」


 まゆちゃんと奈々穂ちゃんの二人の、うるさいこと。ただ球場の熱気に当てられてか、それもあまり気にはならなかった。


「わ、あ、わ」


「わぁ……すごいです、あんなに高く飛んでる」


 隣に座っている
詩音(ふみね)ちゃんとみゆちゃんは目を白黒させて驚きの声を上げている。ボールが高く蹴り上げられると、それに合わせて顔ごと動くから見ていて面白い。と思ったら、大抵の女の子たちもそうだった。なんでかしら。これがおっとりした女の子たちの集まりだからかしら。


「まあ、まあ、あ、まあ……めまぐるしいですわ」


 こっちの春花さんは目がくるくる回っているようだった。ほんとにもう、お嬢様。


「いっけー! シュート! ああっ、おしいっ!」


「おしいっ」


 二人とも身を乗り出して悔しがっている。今シュートしたのが応援してるほうだっけ。


「まゆ、暴れないの。座って見なさい」


「やーだー。憲邇さんの上ならいいよ?」


「しょうがないわねぇ。ちょっとあなた、お願いできるかしら。迷惑よ」


「あ、うん。どうぞ」


「えへへ……いけいけー!」


「いけー!」


 膝に乗ると本当におとなしく手を振るだけになった。現金なものだわ。というより、一連の流れがすごくそれらしく行われたせいで誰も気に留めなかったけれど、本当に家族のようで羨ましいわ。なんていうか、堂に入ってるというか。


「あんねー、今シュートした人うちの卒業生なんだよ」


「へぇ、それはすごいなぁ」


「あらそうなの? まゆの先輩に当たるのかしら」


「そーだよ。一回学校来たことあるんだって。また来てくんねーかなー。フォワードってかっくいーよねー」


「ふぉわーどってなぁに?」


「シュートする人だよ。ほら、あの人あの人」


「ほおー、へえー。かっこいいかも」


「あらあら、ふんふん。なかなかのイケメンね」


 よくここから顔までわかりますね、紗絵子さん。「でも奈々穂、フォワードはわがままばっかりよ。よしときなさい」


「はぁい。ななほはさっかーぼーるがいいなぁ。まっしろじゃなくてくろもあるからね」


「そうね、それくらいにしときなさい」


 なんだかよくわからない会話を親子間で交わしていて、なんだかよくわからない。正直同じ家に暮らしていて、五歳児という生きものは手に余ることが多かった。今日はおとなしいくらいで、よくうまく扱えるものだと思う。さすが親子は違うなぁ。


「憲邇、憲邇、喉が渇いたわ。お茶を買ってきなさい。ごめんねまゆちゃん」柚香里さんだ。なにかと憲邇先生を顎で使える、数少ない人。


「いいよ。あたしも行くから。ね、憲邇さん、あたしもジュースほしいなー」


「わかった、二人で買いに行こうか。みんなは欲しいものある?」


 これだけ大勢のリクエストを簡単に覚えてしまえる憲邇先生。まゆちゃんと手を繋いで一旦席を離れ、戻ってきたときにはきちんとリクエストどおりの品々を持ってきていた。ちっ、間違えていればいいのに。


「憲邇はこういうところだけ記憶力がいいのよねぇ、はい、みゆ」


「あ、ありがとう。はい、詩音さん」


「ぁ、ありがとう。はぃ、巴さん」


「はい、ありがとう」


 みんなの手にジュースが行き渡り、ちょうどハーフタイムにお喋りが進んでいった。


「だからね、やっぱり一番はフォワードなんだよ。点入れるし足速いしさー。あたし将来フォワードになりたいんだー」


「まゆの学校って、クラブ活動で女子もサッカーあったわよね?」


「うん。でもさー、クラブって三年生からじゃないと入れないんだよねー。ちぇっ、いなかだよねーここ」


 頼んだコーラを一気に飲み干し、足をぷらぷらさせる。


「いいじゃないか。まゆちゃんが強いのはわかってるんだから、今から二年くらいハンデでくれてやればいいんだよ」


 さすがというか、憲邇先生は口がうまかった。


「へっへっへー、そうだよね! あたしが今からずーっと活躍してたらかわいそうだかんね!」


「調子に乗らないの。まゆより強い子はいっぱいいるわよー? 甘く見てると痛い目に遭うからね」


「そーかなー。あたし憲邇さんとやっても勝てる気がするんだよね」


「はっはっは、一度やってみようか。まゆちゃんに大人の厳しさを教えてあげよう」


「えー? 憲邇さんへたれじゃん。サッカーは泳ぐのと違うんだよ、技術が大事だからね、技術」


「う、そうか。うぅん、でも勝負はやってみないとわからないからね」


「ふふふ、楽しみだね。憲邇さんに今度ピアノも教えてもらうしさ、夏休みっていいよなー」


 あれ、あの話は本当なんだ。泉が言っていたけれど、実際憲邇先生がピアノを弾けるなんて夢にも思っていないあたしはありえないと鼻にもかけていなかったのに。


「せんせぇぴあのほんとにひけるの? うそじゃなぁい?」


「弾けることは弾けるよ。ただ教えられるほどじゃあないと思うんだ。
八尋(やひろ)さんのほうがぴったりだって」


「あら、一緒に教えましょう? 一人より二人のほうが教えやすいですの。特に深町様の教え方は非常に丁寧でよいと思いますわ」


「うぅん、でもなぁ。自信はないよ。頑張ってみる」


「あ、始まるよー」


 ハーフタイムが終わり、一層の盛り上がりを見せる
00の試合が続いていく。


「あーんもうっ、惜しいっ」


「おしいっ」


「うっわあれ、大丈夫なの? あ、イエローカードかしら?」


「今交代した人、強そうだけどちょっと怖いね」


「すげー! 今の見た見た?」


「みたぁ、すごぉい」


「うわぁ、速い速いはやーい」


「あー入っちまったー、くっそー」


「くそー」


「憲邇さんもちゃんと応援してよー」


「あ、ごめんごめん。頑張れ、頑張るんだ」


「頑張れ、頑張れっ」


「そこよっ、シュート!」


「しゅーとぉ!」


 やっぱり熱気のためか、普段はおとなしい子たちもやかましかった。


 でも、楽しい。ふと憲邇先生を見ると、楽しそうにまゆちゃんの頭を撫でながら、みんなと同じようにサッカーを楽しんでいた。


 結局、まゆちゃん応援のチームは一点差で負けてしまい、順位を落とすことになってしまった。ものすごく悔しそうなまゆちゃんに免じてか、今日は絵里さんと憲邇先生と手を繋いで帰宅することに。間に挟まって若干機嫌を直してくれたまゆちゃんはぷらぷら、楽しそうだった。


「ちぇー、おしいなー。あとちょっとだったのに」


「惜しかったね。次は勝てるさ」


「うん。あー楽しかった」


「たのしかったねぇ。さえこお母さんもたのしかった?」


「ええ、それはもう。久しぶりにはしゃいじゃったわ」


 私も、あたしもと、みんな言ってる。あたしも楽しかった。


「また来ましょうよ、憲邇?」


「ああ」


 名残惜しげに球場をあとにする。煌々と輝く明かりが、先の興奮をまだ伝えてくれるよう。今日は星空だし、なおさらだった。


 また、来ようね。憲邇先生。できたら二人でね、ふふ。
















「あはははは! あっはははは!」


 人がせっかく話してやったというのに、
夏野(なつの)のアホはバカ笑いで返してくれた。まったくありがたい限りなので、飲んでいるお酒をぶちまけてやろうかと思ったけれど、なんとか思いとどまっておく。


 夏野の狭いお店の中、さすがにそんなことをすれば、もう一人いるお客さんに同じゲイ仲間の店員さんにも見られてしまうのだから、仕方ないわね。これで夏野の家だったら間違いなくぶちまけているわ。


「そんなにおかしいかしら」


「おかしいわよ、あはっ。絵里チャン意外と抜けてるのねー」


 先日の彼との婚約ならずを報告すると、さも面白そうに笑われてしまったのだ。


「そうかそうか、あのときはまだ子供のための嘘だったのねー」


「そうよ、学校にも根回ししてたんだから」


「はいはい、大変でしたねー。おかわりどうぞ」


「ありがとう」そんなに飲めるわけじゃないけど、今日はお酒が進みそう。なにせ、んん。おいしい。


「そりゃまあ残念だったわねー。あーあもったいない。半年も間を空けちゃあ、あんないい人取られちゃうわよ?」


「うるさいわね、ちゃんと見張っておきます。首輪くくりつけてやるんだから」


「おお怖い。すんごく面白い話で楽しかったわ、ありがとう。またそういう絵里チャンの不幸話があったら持ってきてちょうだいね」


「蹴り飛ばすわよ、そのいかつい顎を」


「あははは」


 くそう、笑われてる。心なしか後ろの席でも笑われている気がする。くそう。こんなにお酒はおいしいのに。


「なーに、それで今日は一人でどうしたの? 娘さんは?」


「お泊まりよ。あの人も遅いし、帰ってくるまで飲んでやろうと思ったの」


 帰りが遅いのは本当だけれど、きっと今頃うちの人はまゆ(と春花さん)を泣かせているのだから出ても構わないだけなのよ。そろそろあんなにかわいいまゆを泣かせて楽しんでるんだわ、きっとそうよ。


 話し合いの翌日、七月二十九日。本日よりあの人のやらしい野外露出が始まるんだから。今日からならぴったり二回ずつとか、八月からでしょ、もう。私だけに、んん。


「不貞腐れなくったっていいじゃない。あの相手ならそれまで待っててくれー、くらい言ったんでしょ?」


「言った、でも信じない。あの人は浮気性よ、誰彼構わず美人だかわいい、連発しっぱなしなんだから」


 なんだか不平不満がこんなところでぽろりぽろりと。出てしまうわ、お酒のせいよ。


「ああー言いそうねー。そんな相手を選んだ絵里チャンが悪い」


「悪くないっ」


「悪いわよ、ちゃんと躾けなくっちゃ」


「どうするのよ」


 顔を近づけるとでかい顔も寄ってきた。


「まずはね、こっちに惚れさせるのよ、これ以上ないくらい」


「ふんふん」


「今だけ媚びなさいよ、いっそね。今だけかわいらしい女を演じればいいのよ。それで徐々に徐々に、あんなこと言ってほしくないなー、してほしくないなー、それよりこれ言ってよ、こうしましょう、こうしてー? ほら、簡単じゃない。できなかったらつーんとしとけばいいだけよ」


「……嫌、よ。あの人にだけは、媚びたくないわ」


「うっわ、惚気やがった。
(けい)チャン、塩持ってきて、塩!」


「う、うるさいわね、しょうがないでしょ。私が、私が底抜けに惚れてるのよ、どうしたらいいの?」


「え、えーっとねぇ、うぅん。難しいわねー。それこそ惚れた弱みだから」


 さすがの夏野でもわからないのか、苦笑いされてしまった。ふんだ、ふんだ。どうせ好きになってしまいましたよ、あんなろくでなし。十七人囲ってるろくでなしと、婚約できなかったからってへこんでるバカ女よ、私は。


「まあ難しく考えなさんな、飲みなさい飲みなさい」


「もうお腹いっぱいよ。夏野は、それこそ学生時代みたいな、恋、どうしてた?」


「ええー? その話は前金でリシャールをいただくけど、いい?」


「高いわねぇ、じゃあいいわ」


「ふふふ、酔って乱れた絵里チャンもなかなか見てて面白いわね」


「見世物じゃありません」


「じゃあ言うけど、うちもラブホじゃないのよ、プレイの一環で使われたらたまったものじゃないわ」


 ぴたりと、グラスにかけた指が止まる。「な、なんのことかしら」


「あんた、この前まゆちゃん連れて母親も一緒のとき、こっそりやったでしょ、寝静まったあとにさ、うちで」


「な、なんのことかしら」


「アタシらはともかく、母親やまゆちゃんが起きてたらどうするつもりだったの、まったくもう」


 幸いにも、あの人がまゆを犯したとは思っていないようだった(当たり前か)。


「アナタ本当にやらしいプレイしてたのね、ノーパンでもしてたの?」


 酔った勢いで体が動く。「あらヤダ、もう。あの紳士な人も夜はケダモノか」


「そうよ、そうなの! 私も何度危ない目に遭ったか!」


「知らないわよ、そっちの事情でしょ。だから、アタシのうちでそういうことはやらないでちょうだい」


「う、はい」


 急にお酒がおいしくなくなった気がする。熱くないお酒っておいしくないわよね。


「まあ、今だけだから楽しみなさいな。いいわねぇ、相手がいるっていうの」


「夏野はどうなの、久しく聞かないけど」


「いたら惚気に怒ってないわよ。絶賛募集中です」


「夏野だって気配り上手なんだから、顔が平気な人探せばいるでしょ、いくらでも」


「アタシみたいな人じゃなきゃダメだって人はね、そりゃあ、いるわよ。でもねー、その匂いを探すのって大変なのよ。レアはレアだからさー、見つけてもお手つきだったり、アタシらはアタシらで大変なの」


「あ、そ、そう」どうして匂いを探すのか、聞かないほうがよさそうね。


「ていうかいい男がいないのよー。絵里チャン知らない? 相手の人お医者様でしょ? 同僚でさ、同性愛者とか多そうじゃないの」


「知らないわよ。えーっと、確か同期の人は最近恋人が見つかったって言ってたから、ほかはさっぱり」


「あーんもうっ、最低っ。アタシだって恋がしたいわ、それこそこの年で青春時代を再現したいっ」


 無理に決まってるでしょ、と、酔いの醒めた自分は黙しておく。


「アンタ見てるとむかむかするのよ、幸せそうでねっ」


「ええ幸せでございます、ほほ。この年のバツ一でも貰い手があるのよ、いいでしょう?」


「くーっ、ムカつくわ! 圭チャン、塩持ってきて、塩!」


「やめてよ。そんなに言うならお店に張り紙でも出せばいいじゃない。恋人募集中、そっちの気の人、ってね」


 なぜか合点のいった顔をされてしまう。そのままの勢いで古臭く両手をぽんと打たれてしまった。


「圭チャン、紙よ紙! そうよ、久しぶりに募集しましょう!」


「久しぶりって、やってた時期あるんだ?」


「言わなかったっけ? これが効果あるのよー、へへへ」


 どこか薄気味悪い笑みを浮かべた夏野が、同類の圭さんより紙を受け取り、舌なめずりをして狂気を書き記していく様は見ていてぞっとした。とても、その、怖かった。


「できたわ、張っといてちょうだい」


 本当に表に張ってくるよう。南無三ね。


「有象無象が寄ってきたらどうするの?」


「悲しいかな腕っ節だけは自信あるのよねー」


「それもそうか。いい男見つけたら報告しなさいよ、勝手に誰かとくっついてると対処に困るわ」


「はいはい。圭チャン、ご苦労様。絵里チャンも飲みすぎてなーい? もう帰らなくて平気かしら」


「平気よ、まだまだ飲めるわ」


 確実にもう終わってる、という時刻になるまでは飲んでいたい。最中に出くわしたりなんて(あいつはやりそうだわ)絶対に嫌だわ。前回声を聞くだけでもきつかったのよ、実際見たりとか、ねえ?


「そう? 迎えの人呼ばなくて平気? なんならアタシが」


「いいわよ。そうだ、迎えで思い出したけどせっかくだからもう一人くらい呼んでいい?」


「ああー、そうね、いいわよ。もう一人くらいいたほうがよさそうだわ」


「ありがとう」


 携帯で呼び出しておく。実はお酒大好きという広子さんは、今日はお休みなのだ。いつか一緒に飲みましょうと話してはあるので、いい機会だわ。飲みましょう、飲まなきゃやってられないわ。


 あっという間に彼女がやってきた。カウンターから手を振るとすぐに駆け寄ってくれる。あらかじめここがこういうお店だと言ってあるので、ドレス姿の男たちにも仰天はされなかった。


「こんばんは」


「はいこんばんは。残念、男の人じゃないのね」


「すいません女で。広子です。そちらは?」


「さやかよ。よろしくね」


 そういえばそんな名前を騙っていたような気もする。面倒だから夏野とだけ呼んでいたっけ。


「私こういうところって初めてなんですよー。うわーいかつーい」


 もう既に飲んででもいるのか、広子さんはいつもよりはしゃいでいるようだった。


「いかつくないわよ、いい体してるって言って」


「はーい。お酒ください、お勧めとか適当に。なんでもいけるんで。同性愛者さんなんですか?」


「男にしか興味ないわね。アナタかわいいけど、微塵もそそられないわ」


「あはは、残念です。私最近同性愛ってわかる気がしてきたんですよー。どんな男の人がいいんですか?」


 本当になんでもいける口なのか、夏野の濃い目のウイスキーを本当においしそうに飲み始めていった。


「やっぱり筋肉ね。筋肉質な人がいいわ。ジャニーさんは大体アウトね」


「えー私と反対です。絵里さんはジャニーさんが好みでしょ?」


「そうねぇ、どちらかといえばって程度よ。そんなに好きってわけでも」


「絵里チャンは面食いよ、顔だけだわ」


「なにをっ」


「まあまあ。絵里さんの前のご主人はそんなにイケメンってわけじゃなかったですよ」


「そうよ、男は顔じゃないわ」


「いいえ! 男は顔よ! ねぇ圭チャン、アナタもそう思うでしょ?」


 言ってることが変わってるけど。向こうさんも頷いてるけど。


「筋肉も大事で、顔とセットなの、それがすべて! いい? 性格とか稼ぎとかどうでもいいわ、顔、体! それがすべての真実よ」


「そ、そうかしら……この年になると性格も稼ぎも気になるわ、ある程度はないと、って、考えちゃう」


「それは私もありますよ、普通です。お金がなくて自分は苦労してもいいけど、その人とくっついて子供が苦労するのは避けたいですよね」


「なによ甲斐性なしどもね。そんなの相手をその気にさせて働かせれば済むだけの話じゃない。女のくせに男一つコントロールもできないわけ?」


「言ったなー、この怪力お化けっ。あんたどうせ力ずくで言うこと聞かせるんでしょうがっ」


「お生憎様、アタシはこう見えても勝手に向こうから動くよう仕向けるタイプですー。相手が言うこと聞くんじゃないの、勝手になんでもしてくれるのよー?」


「嘘ばっかり! 信じられないわね!」


「まあまあ、どうどう」


 お酒のせいか今日は妙に攻撃的な私だった。


「でもねぇ、好きになった人なんだからどうだっていいじゃないって、思わない? 顔と体さえよければ、あとはどうとでも改造できるでしょ?」


「まだ言うか、あのね、そんな簡単に人が変わったら苦労ないわよ」


「そうですよ、それには賛同できませんね」


「あらそう? アタシからすると、男の人って女に比べたら、ずいぶん変わりやすいわよ。プライドがあるからかしら」


 自分でしょ、それ。男から簡単に女装しちゃって。


「え、でもあるから変われないんじゃないですか?」


「ああどうなのかしらねぇ。そう言われるとよくわからないわ。でも、ここいらで休憩しましょ。絵里チャン顔真っ赤」


 言われるまでもなく、グラスに映る自分からでさえ赤くなってしまった顔がよくわかる。この辺でよしときましょう、もう帰ろうかしら。さすがにもう、まゆといちゃつくのも終わってるはずよね……


「あらあら。しょうがないわね。しばらくこうしときましょ。もっと飲む? いける口ね」


「はい。もうちょっと辛いお酒もいけますよ、神楽山ありません?」


「神楽山? アナタ相当ね。まあいいわ──」


 なにやら水がこぽこぽ流れる音が耳ざわりよく、私はうとうととそのまま眠りこけてしまった。


 久しぶりの飲みは、結構、楽しかった。
















 あたしこの前みゆちゃんがしてたろーたーとか使ってみたいんだけどなー。自分で言うとやっぱへんたいかなー。


 お母さんはお酒を飲みに夏野お姉さんのとこへ、お父さん、じゃないや憲邇さんはまだ帰ってきていません。おそいなぁ。待つのもうつかれちゃったよ。


 春花さんとあたし以外、みんな寝ちゃった。今日は二人でやるからって、おそくなるから寝てていいよってさ。ほんとにおそいからしょうがなく寝ちゃったけど、残念だなぁ。あたしは一緒に寝られるけど。


 今日は春花さんが主役なんだってさ。あたしはおまけなんだって。ちゃんと春花さんを見る人が必要とか、よくわかんなかった。あたしはいいの。へへ、おまけでもいいの。憲邇さんにえっちなこと、されたいだけなんだから。おしおきとか、されたいなぁ。へへ。


 かち、こち。時計の音ばっかり。春花さんなに話してもうわのそらってやつだかんね。そんなに待つのがつらいかなぁ。わくわくしない? なにしてもらえるか、楽しみじゃない? あたしもやらなくちゃってさ。


 花織ちゃんと違って、春花さんと花雪さんはちょっぴしへんだ。恥ずかしがり屋さんだよね。みゆちゃんも相当だけどさ、もっとひどいよね。大変だよ、だからさ、覚悟決めちゃいなよって。


「……はぁ……」


 大人のため息はなんだか、じんわりひんやりだった。


「あの、まゆさん」


「なーに?」さんって呼ばれるの、いつまでたってもなれらんないや。


「本日はご迷惑をお掛けすることと思いますが、よろしくお願いしますわ」


「え? 迷惑なんかじゃないよ、どしたの?」


「……」


 なんかよくわかんない。うつむいてじっとしてる。よくわかんないからぷらぷら、足ばっか動いちゃった。


 車の音がした。憲邇さんだ。椅子から飛び降りて玄関までひとっ走り。


「ただいま」


「おかえんなさい」


「……お帰りなさいませ、深町様」


 へんな声。「遅くなってごめん、すぐ出よう。実はなにも食べてなくてね」


「そう? あっためれば夜ご飯残ってると思うけど」


「いや、外で食べたい。行くよ、準備して」


「うん。春花さん?」


「……はい……」


 手鏡出してちょっとだけ見つめたけど、ため息ついてすぐついてきた。なんなんだろ。


「じゃあ行こうか」


 すぐに車は走ってった。


 憲邇さんは最近お仕事以外にもなにかやってるみたいで、ちょっと遊ぶ時間が減っちゃってる。あんまりみんなと一緒にいられなくって、もうちょっとで一段落だって言ってたけどほんとかなぁ。これだけたくさん自分の女にしてんだから、もうちょっとあたしたちにかまってほしいよね、春花さん?


「……はぁ……」


 じっとりため息、大好きビーム。二つ一緒に春花さんは使って、憲邇さんからなでなでをもらってた。ずるい。ため息ばっかつくと、なんだっけ、なんかダメなんだぞ。


 着いたとこは一日中やってる牛丼屋さんだった。夜も夜だからだれもいないや。あたしもせっかくだしおみそしるくらい飲もうかな。


 三人で席に着く。となりの憲邇さんはお仕事終わりなのに(あんな大変なのに)元気いっぱいで、正面の春花さんはなんだかぼんやりしてる。毎回えっちのときこうなのかな、へんなの。


 憲邇さんは大盛りのセットにもいっこ追加で大盛り頼んでた。最近よく食うよね。成長期? あたしはおみそしるだけ、春花さんはなんにものどを通らないって、大丈夫?


 夜のお店はとっても静かだった。あたしなんだか、静かすぎるとそわそわしてくるなぁ。走り出したくなっちゃう。憲邇さんがパソコンかたかたやってる音とか大好きでさ、そういうのあればいいのに、ほんと静かだった。


「外は怖い?」


 憲邇さんのもっと静かな声。「春花には言ったよね、今日は外だって」


「……こ、こ、怖いですわ。そういう、夜は、その、できれば宅がよろしいかと」


「そうだね、普通はそうするよ。でも、たまにはいいんだ、試しにでも体験してみよう」


「……はい……」


 しょんぼりだ。そだよね、憲邇さんのベッドみんな大好きだもんね。あっちのがいいよねー。


 ふって憲邇さんの体が浮いた。春花さんまで身を乗り出してぼそぼそ、なにか言ってる。


「私はこういうことをやらせるんだ。春花は海に来られなかったからね、順にでもやらせないと」


 あ、やがいろしゅつだ。へんたい。


「……い、い、今、ですか? こ、このような、ところで?」


 すっごい上ずった声。でもね、絶対許してくんないよ。


 ほら、にっこり頷いてる。


「わかり……ました……」


 まっかっかになっちゃった春花さん。なんかごそごそやってるぞ。ぱんつでも脱いだかな?


「まゆ、見てお挙げ」


「え?」


「テーブルの下、潜ってご覧」


 憲邇さんが見ればいいのに、って思いながらもぐってみると、長いスカートがぜんぜん見えなくて、大人のごーじゃすなくつしたと太ももが見えた。あ、ふーん。これがこの前言ってたがーたーってわっかかー。なんか前のめりで、ぱんつ見えるくらいまでスカートたくし上げてた。また大人のごーじゃすなぱんつだ。いいなー。


 ごそごそ戻って、ちゃんと見たよって言った。きちんとできてたよって言うと、憲邇さんとっても満足そう。


「も、もうよろしくて?」


「ダメだよ、食事が終わるまでやってなさい」


「で、ですけれど」


「お待たせしました」


 かっちんこっちん、春花さん固まっちゃった。テーブルの上に頼んだどんぶりが並んでくのを、ものすごい目開けて見てる。ぴくりとも動かないや。あ、おみそしるおいしそう。


「ごゆっくりどうぞ」


「いただきます」


「いただきまーす」


 あつ、あっつ! ふー、ふー。うん、おいしいね。こういうお店のおみそしるもおいしいよね。おうちのってこういう味になんないもんね。


「……様……ゆる……て……おねが……」


「次はもっとひどいよ」


 またびくってなった。大変だね。


「今やめるならね。どうする?」


「……わ、わたく、し、べ、ベッドの上なら、なんでもします、わ。こ、公共の、場は」


「そう、か。ごめんね、春花にはこれでもきついのか。いいよ、やめて」


 さっと戻してる。大変だね。


「うぅんでも、どこかでショック療法じゃないけど、やらないとこれからが大変そうだなぁ。今の春花もかわいいけど、このままだと一向に開発が進まない」


 ご飯あっという間に進んでるけどね。早いね。


「じゅ、十二分ですわ。あ、貴方様のお陰で、私、とんでもない卑猥に染められておりますの」


「そ、そうかな? そんなことないよ。まゆはもっとすごいことやったよね?」


「うん。春花さんあんくらいで泣きそうになるなんて甘いよ」


「ですけれど、先のことをこなすのでしたら、あのような一瞬でなくて、ずっと口付けを頂きませんと、とてもじゃありませんが」


「え? なに、あたしが下にいる間にちゅうしたの?」


「えっ、あ、今のは聞かなかったことに」


 めずらしいなー、春花さんこんなにあたふたしてるの。見てて面白いや。


「大人ってずるいよね。子供が見てない間にそういうことやってんだからさ」


「ごめんごめん。まゆちゃんが見てると恥ずかしいのさ」


「店員さんも見てたよ、きっと」


「あっ、そ、それもそうですわ……うう……」


 うっわ、ほんとに恥ずかしいんだ。大変だね。これから苦労するよ。


「大丈夫だよ、こっそりやったから。ごちそう様でした」


「でした」


 しょんぼり春花さんを引っ張るようにして、お店を出てった。まっくらお星様が見えるや。お店の明かりも点々とあるね。風がまた少しびゅう、びゅうって吹いて、春花さんの長いスカートがひらひら揺れてる(のを押さえてた)。


 憲邇さんの髪が、なびくのって。みとれちゃうよね。カッコいいもん。


「次行こうか。ちょっと走るよ」


「うん」


「……」


 助手席に座った春花さんが、すごーくものほしそうな顔で憲邇さん見てたら、憲邇さんがぐいって春花さんの右手を取って、ここに置いときなさいってひざの上に乗せちゃった。つなげばいいのに、憲邇さんけちだね。でも春花さんってへんだから、それでとってもうれしそうにほほそめるんだ。へんなの。


 しばらくぶーん、車が走ります。窓の外から明るいのがどんどん減っていって、夜の怖い中に飛びこんでいってるよう。なんにも見えないようなとこまで行くんじゃないかって、不安になるくらい車は走ってった。ずっとなんにも話さなくって、ときどき憲邇さんが春花さんと手を重ねたくらい。静かな夜、やっぱりそわそわする。


 着いたところはどっかのマンションだった。もうおそいから明かりも全然見えない。こんなとこでなにするんだろ、って思いながら車を降りてく。


「ここにどなたかお知り合いでも?」


「いないよ。知らないところ。ここで野外露出します」


 またびくびくしだした。「覚悟を決めなさい。さわりだけだからきっとできる。できたら家に帰ってベッドの上で睦まじくしようか、三人でだけど」


「……お、お手柔らかに……」


「ああ。行こう。あ、まゆは今日はなしだよ。言ったと思うけど、今日は春花なんだ」


「うん、わかってるよ。あたしはラッキーだね」


 ほんとは、ちょっぴりだけだけど、やりたいけどさ。あたしが主役がいいよね。


 三人で手をつないで、ゆっくりマンションへ入っていった。どこ行くんだろ、階段上がってってるけど、屋上かな?


 階段と階段の間、確か踊り場っていうところで止まっちゃった。こんなとこでなにすんだろ。あ、憲邇さんの車発見。


「ここからだと外から見えるだろう? 春花、自分でスカートをめくって、外に見せるんだ」


「……」


 わなわなしてる。かわいそー。あたしらくしょーなのに。


「それから自分の下着がどんなものか、声に出して言うんだ。私に聞こえるようにね」


「だ、誰か来たら」


「隠してあげる」


「……そ、それが終われば、帰宅して下さいますか」


 しっかりうんうん。


「わかり……ました……」


 ふらふら体を外に向けて、じりじり、スカートのすそつまんでる。いくじなしだねー。


「まゆ、ちゃんと見てあげなさい。それから、一枚撮って」


「はーい」


 わたされたデジカメの使い方なんて知ってるもんね。みゆちゃん機械に弱すぎなんだよ。えっと、うし、これでとれるぞ。


 となり行くと、春花さんはなんか悪者でも見てるみたいな目して、ばって一気にスカートめくり上げた。さっき見た大人の下着、大人のくつした、がーたーのわっかのまっしろがいっぱいでてくる。あ、足細いね、いいなー。


「ほ、本日の私の下着は、え、エンジェル・カインドの白レース、です。し、白い薔薇模様で、私大好き、ですの。えっと、さ、サイズは、
60Fのほうが合いますの。と、特注ですけれど、えっと、それから、靴下は」


「春花、もういいよ。よくできました」


 ぽんと憲邇さんが頭に手を置いた。うし、んじゃとるよー? えいっ。春花さんが自分でスカートまくってるとこ、とったよ。なーに? そんな目で見ないでよね。


 ほーら、憲邇さんがちゅうしてくれんだから、いいでしょ?


「ん……様……」


「偉いよ、春花。よし、じゃあ帰ろうか」


「うん。いやーでも春花さんさすがせくしーだね」


「ま、まゆさんっ」


 だれも来ないって。平気だよ。「すんげーやらしかったよ、ししし」


「っ……ひ、ひどいですわ」


「そうだぞ、その辺にしときなさい」


 また三人で車に戻って、今度はおうちまで。ちぇっ。いいじゃん。あたしだって助手席がいいもん。


 また車が長いこと走る間、あたしはちょっぴりうとうと眠っちゃった。ぜってーちゅうしてんだぜ、そのすきに。ずるだぞ、あたしも、ふあ……
















 旦那様は意地悪く、マンションであれ程苛め抜いたというのに、宅へ帰ってすぐ私とまゆさんを寝室へと運んでは下さりませんでした。


「ねえー、憲邇さんまだー?」


「ごめんね、明日の準備があるんだ」


「……」


「ちぇー、んだよ、帰ってすぐ外行ったじゃん」


 かわいい足をぷらぷら、旦那様が机に向かうのを眺めるだけ。お預けを食わされるのはなにも今に始まったことではありませんが、まゆさんはじれったい様子。いつもなら彼女も床についている時刻、早くしないと睡魔に負けそうになるのでしょう。私もでした。


 ただ……。先にしでかしたことを、頭の中で繰り返し繰り返し流し続け、どうしてか止まってくれぬ反復に何度も目を覆う始末。身を焦がすような羞恥を味わわされ、勝手に自ら泥沼へと足を踏み出しているのです。あれ程の恥ずかしい真似をどうしてか思い起こしてしまうのです。旦那様の悪い魔法に唆されたのでしょうか。でしたら旦那様、早く解いて下さいませ……


「ダメだよ、春花になにをしてきたか、自分のほうから教えなきゃ」


 体が揺れ、ました。正に今の私を知らしめるのです。なんと意地の悪い……


「春花がきちんと噛み締めるまではね、やめとこうかなぁと。明日があるのも本当だし」


「ちぇっ。じゃーさ、くわえさせてよ、ね? また飲みたいなー、なー」


 まあ、まあっ。まゆさんときたら、なんてはしたのない! 私知りましたの、教えて貰いましたのっ。く、く、咥える……意味を。


 殿方を悦ばせるための、その、床での技なのでしょう? まゆさんは何度も経験があるとはいえ、自ら願い出るなど、もってのほかですの。


「嫌だよ、まゆにはお腹に飲ませたい」


「いいじゃん、両方ちょうだい? 最近憲邇さんへんたいすぎじゃん、上と下両方で飲みたいなー、なー」


「い、いい加減になさって! 暗にとはいえ、流石に目に余りますわ」


「えー? こんくらいふつうに言うよー、春花さんやっぱへんだよー」


「そ、そんなことありませんわ」


「春花もさっきあんなことしたのにね」


「深町様!」


 そんなことは百も承知ですのに。女を辱めて楽しんでいるのですわ、ああ趣味の悪い。


「そーだよ、みんな一緒だよ。気にすることないって。ねー憲邇さーん?」


「わかったよ、私の負けだ。じゃあ、ちっちゃいスカート、めくってご覧? 私と、春花にようく見えるように」


 同時に私は目を閉じました。他の女性をまじまじと眺めるなど許されません。私はただ向こうが焦れて根負けするのを待つ他ありませんでした。


「はーい。えへへ、あたしもねぇ、へんたいなんだぁ。憲邇さんにぱんつ見せんのさ、楽しくってうれしくって」


「お尻も」


「はーい。……どう? せくしー?」


「うん、セクシーだ。春花にも見せてお挙げ」


「はーい。春花さん、目開けて? ねー、ねーってば」


 プリーツの裾を引っ張られます。しかし私は負けるわけにはいかないのです。頑として譲らずに、小さな手を振り切りました。


「あっ、もー。いいもん、じゃあ今日はあたしだけにしてもらうよ?」


「そうだぞ春花、見てあげなさい」


「……はい」


 渋々旦那様の言葉に従います。目を開ければ、にっこりと誇らしそうな顔のまゆさんが、小さなスカートをたくし上げておりました。


 女の、美しい。


「お尻も見てあげなさい」


 言葉と同時にくるりと回転する、女性。かわいらしく丸いお尻を、命令のままに突き出して、います。


 旦那様が誘う性の世界は、いつも、目眩がします。


 ……どくん、どくんと、胸が高鳴って、きました。彼を見れば、よしよしとまゆさんを撫でております。……私、も……


「春花もめくりたければどうぞ、まゆに見えるようにね」


 そうすれば撫でてあげる。そう、言っております。


 私は、殿方によく見えるように、しました。何度こうして自らやらされたか、知れません。けれど……どうしてでしょう、私は何度も、同じことをしてしまうのです。


「あーっ、憲邇さん、あたしー」


「はいはい。ありがとう春花」


 私はこの甘い果実を食しに、ずっと背伸びをし続けることでしょう。学ばされたのです。あっという間に。


 向こうではまゆさんが万歳をして衣類を脱がしてもらっております。私はそっと腕を下ろし、瞼を閉じました。


 くい、くい、と。またプリーツが引っ張られます。


「ねー、春花さん。あたしちゃんと見てほしいな、えっちしてるとこ」


「え、で、ですけれど」


「見て、お願い」


 子供の声でした。切なる、願いの、よう。


「まゆ? どうして見て欲しいんだ?」


「だって、見てほしいよ、ちゃんとしてるとこさ、見てほしい。あたしだってできてるんだからさ、見てほしいな。あとね、こうしたらいいよって教えてほしいの」


「恥ずかしくない?」


「ううん、おんなじ人には。ね、春花さん、いいでしょ?」


「……」


 子供には敵いません。私もいけないとわかっていても、何度花織の懇願に負けたことでしょう。頷いて、仕方なく、目を開けました。


 ずんどうの幼子が、裸で、笑っていました。本来微笑ましいもののはずの、幼児の体。けれど、それは……


 男を、欲しがるのです。目つきはもう、女のそれでしかありませんでした。


 ベッドに腰掛け、自分でやりなさいと仰る殿方を受け、自ずからベルトを脱がせにいっております。出てきっ……み、見なければ。見ないと、まゆさんを……ああ旦那様、旦那様……いやらしい……興奮なさる、旦那様の顔は、とても、とても、いやらしく、けれどどこか、妖艶で、淫らなのに、凛々しゅう、ございますのね……


「ん、へへ……ちゅっ
 んっ、んっ」


 まゆさんは一度、深町様の屈強なものに口付けをしてから、その小さな舌をそそり立つがままに這わせてゆきました。とっ、とても口内に入りきるとは思えないほど、屹立している男性におののきもせず、どこか嬉しそうにさえ奉仕をしております。色っぽい目で見上げ続けるまゆさんを、深町様は撫で続けておりました。


「あん、憲邇さんなですぎー」


「ちょうどいいところに撫でやすい頭があるからね」


「もう、うまくなめらんないよー、あっ、ん、えへへ」


「……」


 いつぞやのみゆさんを覗き見てしまったときのように、見てしまうと、最早目を逸らすことができませんでした。丁寧にあちこちを舐め終えたまゆさんがえいと、頬張ります。収まりきらない男性が暴れているのが、ここからでもわかりました。膨らむまゆさんの頬が、なんだかいやらしく見えてきます。


 でも……


 まゆさんはそれから、上手に顔を動かして深町様を満足させにいっているようでした。正直なところ、なにをどうしているのか私にはさっぱりわからないのですが、それでもまゆさんが上手だと、やり慣れているのだと、深町様に教えて頂いたのだというのはわかりました。なによりも色っぽい彼女の声が、すべてを物語っているのです。


「あっ、んっ、ふぅ、へへ、どう? 気持ちいい? あん、やだ、そんなにかたくしなくてもわかってるよー、えへへ、んっ、んっ」


「……」


 裸で奉仕をするまゆさんは、私には性の教科書でした。綺麗な見本を見せて頂いているのです。じっと旦那様を見て、旦那様に気持ちよくなって頂くよう、誠心誠意顔と口、と舌、を動かすのですね。ど、どうしたらよいかは、本人より聞きましょう。ああ私の髪は少々、鬱陶しいかもしれませんわね。ですけれど切るわけには、ああっ。


 深町様とまゆさんが、目と目で頷き合いました。まゆさんが一気に早く動きます。一心不乱に咥えられるだけ咥え、喉の奥まで飲み込むかのようなああいやらしい! あっ、あっ、早い、旦那様が、男性が、ここからでも変わっている、あっ。


「んっ
 うっ、んん…… んふ や、多い…… はぁ


「……」


 釘付けでした。とろんとしたまゆさんの顔が、汚されました。射精したのです。性交を交わしたわけでもないのに。まゆさんの小さな口から、すぐに溢れてゆきました。鎮座した男性から口を離すと、飲み込めきれなかったのかまたどろどろと出て、き……! 互いの満足げな顔! なんと淫猥な! ああまゆさん、お願いですから口を開けないで下さい! 見せ、見せないで、お願い……!


「全部飲める?」


 こくりと頷き、一斉のでこくん、こくんと飲み込んでゆきました。まゆさんたちのお話どおり、これは飲むと殿方は悦ぶのだそうです。少々の苦さなら、私も飲めるでしょう。卑猥なことにさえ、耐えられるのなら。


「ん……こーんな出して、ダメだよ、あと二回あるんだから、とっといてよね」


「大丈夫だよ。それよりあーんしてご覧? ちゃんと飲めた?」


「あーん」


 じっくりと旦那様はまゆさんを見回し、満足そうにこちらを向かせます。


「春花も、ちゃんとまゆが飲めたか見てやりなさい」


「……」


 こちらに駆けてきたまゆさんが、そのかわいらしい口を開き、ます。下唇から、先ほどなにかが垂れていった跡を流しながら。綺麗に白いもののない口内は、きちんとすべて飲み込んだのだと教えてくれました。私はしっかと頷いて、くるりと深町様を向かせました。


 深町様はもう、準備が整っておりました。


 裸で立つ深町様は、やはり凛々しゅうございました。引き締まった体はどこか神々しくさえ思えます。硬そうな肩……私、深町様の肩が好きかもしれません……丸いのに、硬そうで……綺麗な楕円形をしていると思いますの。借りたくてたまらない、素敵な肩ですわ。


「おいで、まゆ。しっかり春花に見てもらおうね」


「うん。さっき春花さんちゃんと見てたかんね、次もちゃんと見てもらわないと」


 言われずとも見てしまう気がします。二人の営みは、やはり私にはいいお手本なのです。見て勉強しませんと、旦那様に飽きられてしまいますわ。


「ねー、上乗っかりたーい。いいでしょ?」


「座ってってこと? いいよ、もちろんだ」


 深町様がベッドの中央に座り込みその上にそろそろと楽しげにまゆさんが座りました。本当に親子にしか見えないほどの身長差なのに、性を愉しむ。やはり深町様の技なのでしょう。いえ、思いもありますわね。


 好きだから、できるのです。年齢など関係ないのですわ。わ、私だってっ。


「ねぇ、もう……いれて? あたし準備ばんたんだよ?」


 なんと魅惑的な、声。わ、私にもあそこまでが、できるでしょうか。


「まだまだ無理だよ。ちゃんと濡らさなきゃ」


「えー? おっかしいなー、あたしもうおもらししたくらいぬれちゃってる気がしたんだけど、あっ」


 触り、ました。まだ七つの女の子の、秘められた部分を。深町様の整うまではやらない優しさに、触れています。


「興奮したんだ?」


「あっ、うんっ、すっごくこうふんしたっ。あっ、あっ、えっちだったでしょっ? あっ」


 まゆさんはその、すごく、声の出る方でした。その、すごく、喘ぐ方、でした。私とは真逆で、恥ずかしくなります。


「ああ、いやらしかったよ。そうだね、いつもと具合、違うな」


「でしょっ。あっ、んっ、はっ、へへ、えへへっ、あっ」


「まゆは咥えて、興奮するんだ?」


「……っ」


 急に動きが止まり、じっと見つめ合います。認めるまで許してくれぬのがありありとわかる、深町様の瞳。海の中は息が辛く、まゆさんはすぐに息を上げました。


「う、うん。あ、あたしねっ、へんたいなの。け、憲邇さんのくわえるとねっ、き、気持ちいいのっ、あむっ」


 言い終えると同時に唇が塞がります。面白そうに深町様が唇で唇を塞ぎ、嬉しいよとでも言っているかのような口付けを交わしてゆきました。


「ん、ん、ふぁぅ、はぁ……」


「まゆは変態だね、なぁ春花?」


「えっ、ええと、ええっと、そ、そうでしょうか。ほ、奉仕に感慨を得るのは悪いこととは思えませんわ」


「男のモノを咥えて悦ぶやつは変態でいいんだよ、なぁまゆ?」


「う、うん。へんたいでいいの。ありがとね、春花さん」


「まあ……」


 まゆさんはやはり私よりよほど、大人でした。性の先輩がなんだか愛おしく見えてきます。


「変態だからほら、ちょっと触ってなじったぐらいで濡れてくるんだ」


「うん、ぬれちゃった。憲邇さんに触ってもらうといっつもすぐだね」


「今日はそれにしたって感じすぎだよ、春花に見てもらうのがそんなに嬉しかった?」


「うん、うれしい。ちゃんと見てもらいたいの。この前みゆちゃんだったでしょ? あのときもうれしかったんだから」


「そうか、じゃあまゆはなるべくいろんな人に見てもらおうね。ほかの女の子たちみんなにも」


「うん、いいよ。あたしがちゃんとえっちできるってとこ、見てもらいたいの」


「やらしいな、お前」


「あっ……
 んん、あっ、あっ、ああっ」


 まゆさんの表情が豹変しました。先ほどのようにとろんとした色っぽい顔に変わり、うっとりと深町様に沈んでゆきます。


 深町様はもう、獣でした。逞しい肉体に力が込められ、筋肉が隆起していく様は正に獣でした。ゆっくりと、力を込めて動いてゆきます。ああ、お腹も、いいですわ……


「入った、よう……んっ、あっ、ねえ、春花さん、あっ、ああっ……今、憲邇さんとつながってんだ、えへへ、はっ、うう……こ、ここ、見ちゃっ、ダメだかんね、あん、憲邇さん……ん……」


 夜の声は色魔の囁きでした。昼間のまゆさんの元気なはしゃぎ声とは似ても似つかぬ、魔性の響きでした。殿方を興奮させるための、女の声。


 私に足りぬもの。


「あたし、重くなあい? だいじょぶ?」


「軽い軽い、大丈夫だって」


「だって、あっ、太っちゃったもん。この前ケーキ、食べすぎちゃって」


「気にしないでいいよ、大きくなってるだけだから」


「そう? でもなー、太りたくないよ。憲邇さん細いの大好きだからさ」


「そんなことないさ。まゆくらいはちょっとばかしふくよかなほうがかわいいんだよ」


「そーお? どーかなー、憲邇さん嘘つきだかんなー」


 まゆさんは胸板に頬擦りをしながら、深町様はあちこち愛撫をしながら、腰の動きを一旦止めて、二人は語らいをしております。親密な空気に少し、場違いな思いを感じました。


「春花だって、まゆはもうちょっとふっくらしたほうがかわいいと思うだろう?」


「えっ、ええと、ええっと、そうですわね。もうちょっとふっくらしたほうが健康的でかわいいかと」


「えー? 二人してあたしを太らせようったってそうはいかないよ、あん、くすぐったーい、へへ。憲邇さん、キス、ちゅう、ん……」


 ほとんど真上を向き、二人は口付けを交わします。かわいらしいものではない、唾のやり取り。こちらまで音が聞こえるかと思うほど、二人は激しく唇を貪っていました。


 体が、揺れます。ゆっくりと動きを再開してゆきました。まゆさんはしっかりとつかまり、離れぬよう小さな脚を絡めていました。


「あっ、あっ! ねぇ、憲邇さんぶつかってるよっ! 気持ちいいよ憲邇さんっ。あたし、ぶつかるの好きい」


「まゆは小さいからね。あそこもおっぱいも。だから気持ちいいのかな?」


 まあ、まあ。や、やはり大きいだけでしょうか。あれほど、さ、触って、ぺったんこ……


「やだー、触りすぎ、あん、いやん♪ おっぱい大好きだね? へんたいっ」


「言ったなっ、このバカまゆっ」


「あっ
 やーだー、揺らさないでっ 憲邇さん感じちゃうっ、バカ


 いちゃいちゃです。いちゃいちゃですの。ずるいですの。羨ましいですの。わ、私もあのようにして旦那様を胸へお誘いしたいですの。覚えておきましょう、切に。


「あっ、おしり持っちゃやーだー、恥ずかしいよ」


「ええ? 今さらなにが恥ずかしいんだ」


「だ、だって、おしりの、あ、穴広がっちゃうの、なんかへんだよ、恥ずかしい」


 ……それは、その、恥ずかしいですわね。ええ恥ずかしいですわ。ま、まゆさんは小さいから調整が難しいのでしょうか。


「あそこ広がってるよ? これ以上ないくらい」


「言わないでよっ、バカッ。おしりはやなの、触るのいいけど、広げちゃやっ」


「無茶言うなぁ。持ちやすいお尻なんだけどなぁ。春花も見えるだろう? まゆがどれだけいいお尻しているか」


「やだ、見ないでよ」


 そうはいっても、真横から二人を見ているとどうしても目に入ってしまいますわ。その、まゆさんも、深町様も。


「ここ持ったほうが」


「あん



 ずんぐり、揺れました。「やりやすいんだ。まゆにもいいと思うけど?」


「……や、やだー。あんまり気持ちいいのも、やだっ」


「ええ? なんでだい? どうしろと」


「もうっ、憲邇さんのバカバカ、知らないっ。いやなの、やなのっ。バカッ」


「わかった、ごめん、やめとくよ」


「ほっぺすりすり」


「はいはい」


 まあ、まあ。なんと仲のよい。そのまままた口付けですの。やりすぎですの。


「バーカ。憲邇さんきらいっ」


「ええっ、そ、そんな……ごめんよ、私は大好きなんだ。機嫌直してくれ」


「じゃあもう、出しちゃいなさい。あんね、あたしもうそろそろ、限界なんだ。憲邇さんのは子供のあたしにはでかすぎんの。もう、んん、無理だよ、はちきれちゃう」


「いいの? 短くなかった?」


「またそういうこと言うっ。あんね、最近憲邇さん長いのっ。なんべん言ったらわかんだよ、バカッ」


「う、はい、すいません」


 そうですわ、深町様は温泉旅行からこっち、ずいぶんと長くなった気がします。


「じゃあ、いくよ?」


「うん、どうぞ」


 ゆったりと、でも力強く動きが始まりました。目を閉じて背中でしっかり深町様をつかむまゆさんが、ふと我慢をしているように思えて、ここへきて私は目を逸らしてしまいました。ここから先だけは見ないほうがいいような、そんな気がしたのです。


「あっ、春花さん、見てないでしょっ。見てっ、見てよっ。あっ、ああっ」


「み、見ておりますわ、きちんと」


 つい嘘が、口を出ます。


「見てよおっ。ああっ! 憲邇さんのが、あたしいじめてんだからっ! あとでしからなきゃいけないんだから、見といてよっ、ああっ!」


「春花、見るんだ、まゆを見るんだ」


「……はい……」


 揺れるベッドの上では、男女二人の交わりが行われていました。男性の上に乗り、女性が目を閉じて喘いでおります。泣いておりました。悦びのあまり。


 美しく、ありました。


 ちらりと男性を見上げれば、息を荒げて女性を苛めているのが確かにわかりました。背中も筋肉が発達しており、甘美な肉体に思えます。見れば見るほど、惚れる要素しかありませんでした。


 最中を見ることはこんなにも官能の餌食でした。やはり、どこどこまでも恥ずかしいものでした。私は閉じていたく思います。


 射精の瞬間を見る、くらいなら。


 びくっ、びく、と、まゆさんの体がほんの少し、跳ねるようにして動き回りました。なにが起こったのか、深町様の顔を見るよりも彼女の肉体の反応のほうがわかりやすかったのです。悦びに湧く体が全身全霊で男性を求めにいっているのですから。


「……
 んん ……んー…… ん


 今度は口を閉じて、はぁと艶やかなため息をつくまで黙って味わっている、まゆさん。満足そうに愛おしげにまゆさんを撫でる深町様。どちらも事後の、満ち足りた空気でした。


「どう? 気持ちよかった?」


「ああ、とっても。まゆの相手をするのは毎度楽しいね」


「ふふ、あんがとっ。えへへ。ちゃんと見てくれた?」


「え、ええ、見てしまいましたわ」


「どう? 憲邇さんかっくいーでしょ?」


「ええ、それはもう」


 あれほど寄り添いたい体はそうはありませんわ。


「まゆだって綺麗だったろう?」


「ええ、それはもう」


 あれほど手本にしたい体もそうはありませんわ。


「やだ、もう。そういうのいいってば」


「まゆは綺麗だよ」


「……そう? アイドルよりきれい?」


「うぅん、アイドルはほとんど知らないからなぁ」


「もうっ、そこは知らなくてもきれいって言ってよっ、バカッ」


「いた、痛い、わかった、ごめんって」


「……ふふ」


 なんだかおかしくありました。じゃれあうように叩くまゆさんが急にかわいらしく戻っており、深町様も獣から普段の姿へとお戻りになられた様子。ふっと弛緩した空気が流れ、ほっと一息でした。


「もっかいきれいって言いなさい」


「綺麗なまゆが大好きだよ」


「よっし。あたしも好きだよ、憲邇さんだーいすき!」


 ぎゅうと抱きしめにいきました。二人してころころとじゃれ合い、本当にかわいらしい。まあ、その、二人とも裸ですけれど。


「あー、終わるとあっついね。汗だくだ」


 まあ。気付きませんでしたの。その、性に夢中でしたわ。


「そうかな、火照って気持ちいいくらいだよ」


「次春花さんだもんね」


 よいしょ、とまゆさんがどきました。……み、見て、おりませんの。そ、そこだけは、見て、おり……! ああっ!


 ……深町様はとても、逞しかったですの。


「あたしもう、ふぁ、眠いけどさ、きっちり春花さんの見ておかなきゃ」


「み、見なくとも構いませんわ。も、もうご就寝なさったほうがよろしいかと」


「ダメだよ、あたしの見たんだから、あたしも見る」


 ごろりとベッドに横になり、楽しそうにこちらを見やる、今度は子供。ひ、卑怯ですわ、時によって顔を変えるなど。


「今さら遅いぞ、覚悟しなさい」


「……はい」


 旦那様の言葉に、渋々頷きます。確かに彼女を見ておいて、自分だけ見るなは通りませんわね。


「よし、回って」


「は、はい」


 実を申しますと、深町様のこの申し出もずいぶんと恥ずかしゅうございますの。プリーツは翻さぬようにするのが女として義務だと教えられてきましたもの。


 けれど。えいと、一回転、しました。ふわりと私のプリーツが揺れ、危うくガーターまで見せてしまうところでした。うう、ここまでしませんと、旦那様は許して下さりませんものね……


 よろしいと。満足げに笑う、貴方様に。わずかばかりの、頬染めて。


「じゃあ、脱いで。春花のペースでいいよ、じっくりやりたいし、眺めたい」


「は、はい……」


 助かりますわ、私のペースでよいなどと。ほんの少し、脱がせて頂きたいとわがままが顔を出しましたが、これはこれで嬉しく思います。じ、じっと見られるのは恥ずかしいのですが……


 私も、じっと見ますもの。


 一枚一枚、ゆっくりと。踏ん切りがつくまで待って頂きました。本日の薄い緑のワンピースに手をかけ、ゆっくりと床へ。薄いスリップを下ろすのにも相当の勇気が要りました。深町様ときたら、お隣のまゆさんと一緒に心底楽しそうにこちらを眺めるんですもの。は、恥ずかしいですの。い、色っぽいですか? 脱ぎっぷりは。わ、私そういう、術がわかりませんの。


「色っぽいよ」


 見抜くように言う、旦那様のお声。真夏なのに震えそうになります。身がかあっと熱くなりました。嬉しくなり、脱ぐスピードが一気に早まってしまいます。


 ブラジャーに、手をかけ。そっと腕で隠したまま、胸から外しました。旦那様はにこにこです。わ、私は躊躇しながら、ショーツに手を伸ばし、ゆっくりと、本当にゆっくりとしか指を動かせず、じりじりと下ろして、いきました。そっちをしっかり隠そうとすると、胸がちらりと覗いてしまいますが、なんとか隠そうとします。けれど、どうしても……胸はこぼれて、しまいました。


 結局、女を見せました。大好きな殿方へ。それからかわいらしい、女の子へ。恥ずかしいのに、できてしまう。殿方の魔法でした。


 なかなか片手で靴下を脱ぐのは難しく手間取っていると、深町様が焦れたのか「いいよ、こっちおいで」と仰ります。け、けれど下着はすべて脱いだほうがよいのでなくて? そ、それが普通の、その、えっちなのでしょう?


「いいから来いよ、そっちのほうが興奮しそうだ」


「は、はい」


 そう言われると行きたくなってしまいます。両方をしっかり両手で隠したまま、ガーターと靴下を残したままで深町様の隣に腰掛けました。


「へー、春花さんそんなに隠そうとするんだ」


「あ、当たり前ですわ。まゆさんは少々はしたないですの」


「春花はこうして焦らしてるのさ。まゆも隠そうとしてご覧よ。私がもっと興奮するかも」


「あり、そう? そっかー、うん、やってみる。みゆちゃんみたくだね」


「まあ、みゆさんはやはりきちんとしているのですね」


「そうだな、みゆはすごいよ。私と混浴しても絶対隠して見せてくれないからね」


 それは当たり前ですの。例え深町様でも、その、恥ずかしいですわ。


「そうなんだよね、あたしたちとこんよくしても絶対見せてくんないんだ」


「みゆの裸はやらしいからね。見せたくないんだろうな」


「まあ」


「ああいや、みゆの裸は私だけのものだって言いつけてあるからかもしれないなぁ。まあ、しょうがないね」


 私の裸も貴方様だけのものですの。とは、言えませんでした。め、目でしか。


「みゆちゃんほんと憲邇さんにじゅうじゅんだかんね。人一倍だよ」


「うぅん、そうかもしれないね。みゆはもう少し、私の言う冗談をわかって欲しいものだけど」


「ああ、みゆさんは少々生真面目に過ぎますものね」


「二人からも言ってくれるかな。もうちょっと肩の力を抜いていいんだよって」


「うん」「はい」


 二人でにっこり、裸で頷き合いました。


「じゃあ」そろりと、旦那様が。「そろそろいいかな?」


「……はい。どうぞかわいがって下さいませ」


 覚悟も決まりました。まゆさんに見られようとも、平気です。


「見せてくれよ、春花の身体」


 見たいと仰るのなら、どうぞ……腕をどかし、私の女性を、露にしました。


「わぁ……きれい」


 まゆさんの声に胸が熱くなります。じっとりと見つめ、同じく「綺麗だ」と呟く王子様の声がアマリリスのようにしか聞こえません。ああどうしましょう。あっという間に火照ってしまいますわ。夏ですものね。


「そんな顔するなよ。恥ずかしいのはわかる。でも見せてくれ」


「……はい」


 嬉しい、言の葉でした。身を晒け出すことにも少し、誇らしくさえ思えるほどに。


「いいなぁ、おっぱいたぷたぷやーらかそー」


「実際柔らかいよ。触ってみる?」


「い、いけませんわ。こ、これは、深町様だけのものですの」


「ししし、わかってるよ。あたしはいいから、憲邇さんもんだげなよ」


「そう? 遠慮することないぞ、起きてるなら一緒に参加したっていい。今日は大変だったね、春花」


 ちゅっ。まずは一つの口付け。ふんわりとムースの口解けが心地よく、それだけで恥ずかしいのが飛んでいくようでした。


「いえ、深町様の求めならできるだけ頑張ってこなしますわ。な、なんでも仰って下さい」


「いやぁ、春花にいきなりやらせても面白くなさそうだ。また十七日後、じっくり野外露出を教えるよ」


「は、はい。どうぞよしなに、お願い致しますわ」


「じゃあ今日は復習だ。この前教えたことを言ってご覧」


「え、はい。えっと、ヴァギナは、その、えっと、お、おま○こ、で、その、子を授かることは、その、なかだし、です」


 未だにいやらしさをそれほど感じぬ言葉の羅列。そう呼ぶ、ということはとてもいやらしいはずなのに、まだ実感が湧かぬのです。


 でも、王子様は楽しげに私の頭を撫でてくれました。


「よくできました。よく覚えていたね」


「ししし、やーらしーの」


「ああ、やはりいやらしい言葉なのですね? ま、まったく、ひどいお方」


 まゆさんのように他の方から聞くと実感が湧きます。言わせようとする殿方がどれだけ卑猥なのかも。


「大丈夫、もうそんなにいやらしい言葉はないよ。なにかあるかな……多分ないから、それだけ覚えていなさい」


「は、はい」


「じゃあ、組み合わせて使ってみようか」


 ぼそぼそと囁かれるままに、私は反復してみました。


「わ、私のおま○こに、なかだしして、下さい」


 性は普通のことが、非常にいやらしく、恥ずかしいもの、でした。口に出すとなんと、まあ! お、女になんということを言わせるのでしょう! あまりにもひどい仕打ちに涙しそうになります。


 けれど、王子様が笑顔なので許してしまうのです。ああ、情けない女。


「よく言えました。偉いよ、春花」


 頭に手を置かれるだけでもう、よいのです。ダメな女ですわ。


「あーあ、憲邇さんよく知らない人になに言わせてんだよ、サイテー」


「まゆだってこうだったじゃないか。教えたら真っ赤になってかわいかったぞ?」


「う、うっさいよっ。ほら、今春花さんでしょっ、バカ」


 まあ、まあ、まあ! だ、誰にでもこうなのですね。ひどいですわ、卑怯ですわ。


「一緒にやらないのか、残念。じゃあ春花、横になって」


 促され、ベッドに仰向けになりました。見上げる私の王子様がとても大きく見え、嬉しいですわ。


「まゆによく見えるようにね」


「……え、えっと」


 横を向くだけで、目が合います。両肘をついて両手の上に顔を置き、私の上から下まで全部を眺めようとする、子供の女。急に恥ずかしくなり目を逸らし、いえ閉じようとしました。


「春花、試しに私を見ながらセックスはどう?」


「い、嫌ですわ。本来なら私のだらしのない顔を見られるのも恥ずかしいのです」


 それを考えるとこの前の座ってはよかったかもしれません。そ、そこだけを見れば獣の格好も悪くないのかもしれませんけれど。でも、これが本来の性、なのですよね? は、初めてがこれでしたからそう思っているのですが。


「そうか、目は開けられないか。まゆに見られてる、というのを意識できていいかと思ったんだけど」


「よくありませんわ! そ、それより、その」


「ごめんごめん」


 すぐに顔が傍に。彼の吐息が私のそれと重なります。同時に手がお腹を滑り、胸を滑りました。


「うっわ、すご」


 どこかから小鳥のような声が聞こえますけれど、気にしません。王子様の口付けを味わう姫気分で、口をこじ開けられました。


「ん……ふぅ、ん……」


 王子様の舌は魔物でした。私を溶かしつくす、いけない酸のようなものが、きっと出ています。いつまでも吸い付くよう、ずるい液体が混ざっているのです。


「はぁ……はぁ……」


 すぐに息は切れました。王子様の吐息もかかります。その間に、あれほど胸をこね上げていたはずの手が、下腹部を伝って太ももを滑っていました。


「……こうして見て、触ってみると、いいね、春花。私は、この下着好きかもしれない」


「まあ、嬉しいですわ。わ、私と花雪はいつもこれですの。花織はなかなか着てくれなくて」


 誤魔化すように話を逸らします。お、王子様の手があらぬところに来ぬように、祈りながら。


「なんて言うんだろうか、フェティシズムをそそるというのか、うぅん。脱がせたくないっていうのは珍しいな」


 先ほどから王子様の左手が何往復も太ももを行ったりきたり、なんだかそれも恥ずかしく思えてきました。みっ、右手は、うう、胸を揉んでばかり、たまに頬に来てくれますけれど……


 重ねたい。手と手は。重ねたまま、臨みたい。


「ほえー。春花さん、そんなにおっぱいもまれると感じちゃうでしょ?」


「ま、まゆさん! し、静かに」


 見られているのでした。わ、忘れるところでしたわ、うう。


「えー? 感じないの? 気持ちよくない?」


「私も聞きたいな。これだけ形が変わるほど揉んだんだ、少しは気持ちよくないかい?」


「……」


 感じぬはず、ありませんでした。毎度毎度王子様がなさる行為に、四十手前とはいえ身体が反応しないわけありません。これだけ年増の胸を揉んで頂いて、変わらぬはずないのです。


 で、でも、それを口に出すのはまた、別問題ですわ。わ、私まだ深町様とは夜は数度と言ってよい程度ですの。その程度で変わったと、感じるようになったのだと言うのは少々、恥ずかしいですわ。淫乱な娼婦のようだと少しでも思われたくありませんの。


 ……沈黙が急かします。言って欲しいと、王子様のお達しです。し、仕方ありませんわね、そこまで言うのでしたら。


「すっ、少し、だけ」


 それでもう、瞼の向こうが崩れるのがわかります。胸をいじる手つきも柔らかくなりました。


「えー? ちょっと? ちょっとだけ気持ちいいの?」


「まゆ、もういいじゃないか。ちょっとでも感じるんだ、あとは私の頑張りだよ」


「も、もう頑張らなくともよいですわ。ふ、深町様にこれ以上頑張られますと、その、持ちませんの」


「ええ? 悪いけどまだまだ頑張るよ、耐えてもらわないと困る」


「まあっ、ひ、ひどいお人、ぁっ」


 嫌っ、こ、声が、漏れてしまいました。せっかく我慢していたのに、ま、まゆさんに聞かれてしまいました。


「うわっ、かーいー声、ふふふ」


 先輩の声が耳に届き、恥ずかしさにどこまでも赤くなるのがわかります。も、もう少し柔らかく、責めて、頂きたく、あっ、ああ、ああ……


「春花、大きいね」


 びっくり、します。「大きいと楽しいね、胸だけ触っていられる」


「……様……よして……」


 気がつけば太ももをなぞっていたはずの手まで動員されて、両の胸を揉み倒されているのでした。胸の先をいやらしくつまんでは、広げるようにこねあげたあとに、わしづかみにするのです。き、鬼畜でした。そこまでされると、顔が歪まざるを得ません。ああ、今の顔だけは見せたくない……


「春花、綺麗だよ」


 びっくりしますっ。「お前の胸、気持ちいいぞ」びっくりしますうっ。


「……ぁ、ありがとう、っ、ございます、わっ」


 嬉しくて、嬉しくて。泣きそうになりました。その瞼に、口付けがかかるのです。魔法がかかるのです。不思議でした。自ら口をそちらに近づける、妾にあるまじき暴挙に出るのです。それも、叶えて下さる王子様だからこそ……


「……様も……れい、ですわ」


「ん? そう? ありがとう。春花のほうが綺麗だよ」


 髪を梳かされました。王子様の指がするすると滑るのは心地よく、ええもう、胸などをいじってもらうよりよっぽど、心置きなく気持ちいいと言えるのですわ。


 それからゆっくりと、とうとういけないところへ指が侵入してきました。で、でも、脚を閉じてはならぬのです。妾たるもの、これくらいは、うう、我慢をしなければ。


 王子様の愛撫を受けました。傍でまゆさんに見られながら、大切なところを触って頂きました。くちゅ、ちゅ、と嫌な、いやらしい音が体内から聞こえてきます。王子様が指であちこちを練り歩き、私の女性を懲らしめているのです。


「……ぁ、ぁ……ん……んっ……っ」


 指がいけない中を突き進んでいくと、身体がびくつき、暴れだしそうになります。でもそれを、王子様はうまく口付けでコントロールしてくれるのです。そこは嫌ですも、そんなところまではダメですも、全部口付けで解決でした。私は弱い女です。


 でも、至福でした。男性に蹂躙して頂くのが、とても。女にされることは喜びでしかありません。女としての、これは悦びなのです。


 やがて……王子様の我慢の限界と、私の準備が整うのが同時にきます。「挿れるよ」と低く、私も低く頷き、勇気を持って脚を広げました。


「……ぁっ……ぁ……ぁ……ぁ……」


 ゆっくり、感触を確かめるように、先ほどのまゆさんとのように、王子様の男性が私の女性に、入ってきました。入ってきました。ああ、嬉しい……女の悦びですわ……うふふ。きちんと王子様と手と手を重ね、重力を感じます。まゆさんのように背中に回すのも素敵ですけれど、と思っていると、


「いーなー。そんなに入るんだ」


 びっくりします。まゆさんの無邪気な声が、私の身体中を揺らしました。


「まゆが見てるよ、忘れるな」


「っ……ひ、どい、ですわ……どい……ひどい……っ」


 子供が見てるというのに、動くのです。営みを見せるのです。ひどいお人、あ、性に関してこの方は、悪魔のようです、っ。


 惑わして、あ、どんな淫猥なこともやらせるのです、っ。やりたくさせるのです。自ら進んで、っ。ひどいお人、ぁっ。


「もっと声出してまゆに聞かせてやりなよ」


 嫌ですわ、と大声を上げる代わりに、首をぶんぶんと振りました。泣いていたのか、涙が飛んでゆきました。


「ダメだよ憲邇さん、泣かせちゃダメ」


「うぅん、そう? ごめんね、見られるのは嫌?」


 当たり前ですわ、と大声を出す代わりにしっかりと首を縦に振りました。


「そう、もう遅いよ。春花の顔も、腕も、胸も、お腹も、太ももも、脚のつま先も、それから繋がってるところも。全部見られてる」


「嫌……! ひどい、ひどいですわ! 言わないで下さい!」


「ほんとだよ、そこまで見てないよ」


「じゃあ見るんだ」


「深町様!」


「覚悟は決まってるんだろう? ダメだよ、前回おまけしたんだ、今日は全部見られておきなさい」


「うう、ひどい、ひどいですわ。ひどいですの。まゆさん、どうかお願いですから、あんまり見ないで下さいまし」


「だいじょぶ、あたし見てるのほとんど憲邇さんだからさ。平気平気」


「なんだ、つまらないなぁ。春花も見ていいんだぞ? 胸がこんな揺れてるんだから」


「ぁっ、ひど、ぁ、ぁ……っ……ま、まだ話は、おわっ、っ、様……どい、ひど、ひ……ふぁっ」


 動いてゆきました。もう王子様も許してくれぬのか、確かに私の胸が揺れるほど強く、押され、突かれて、ゆきます。大好きな王子様の男性が、私の女性を苛めにくるのです。とても嬉しく、思いました。女性の中を逞しい男性が擦れて進んでいくのは、例えようもなく悦びでした。貫かれることは、女としてやはり至福なのです。ええもう、こ、こ、決して口には出しませんけれど、こ、心地よく、あるのです。ほ、ほんのわずかですけれど。ま、まだ私は、です。もう何度か交われば、きっと互いにとても心地よくなれるはずなのです。私はまだ、少しなのです。少しなのですわ。ええ深町様。だからそんなに、苛めないで下さいな、ぁぁ……っ。


「はぁ……様……はぁ、はぁ……んっ……き……き……」


「私も好きだよ、春花」


「えっ、なに? うわ、憲邇さんよく聞こえるね」


 お、おかしいですわね。きちんと言っているはずが、まゆさんの耳には届いていない様子。おかしいですわね、ええおかしいです。


 ムースの先はきちんと私を受け止めて下さるよう。私の息が上がると、しっかり待って下さるのです。緩急をつけて襲い掛かってくれて本当に助かっております。みっともないところを見せずに済むのですから。で、でも、あんまりもう、胸は揉まないで下さいな、ああ、もう……えっち。


「気持ちいいぞ、春花」


「まあ、もう」


「かわいいぞ、春花」


「まあ、っ」


「いやらしいぞ、春花」


「嫌っ、やです、わ、深町、っ、様っ」


「……やっぱりダメか。誤魔化せると思ったのに」


 そんなわけありませんの。許されませんの。いやらしいのは殿方だけで十分ですの。お、女で淫らなのは許されませんわ、決して。


「お前いやらしい身体してるけどな。あそこがどんな具合か、言って欲しい?」


「嫌ぁ! やです、嫌ですわ、よして、ひどいっ、ぁっ」


 こんな具合だよ、と、教える風に苛められました。上のほうはこうだよ、下のほうはこうだよ、と。わかるように突かれました。涙が出ます。


「……どい……い……たくし……らしく……な……っ」


「あーあ、なーかしたー」


「ごめん、言いすぎたよ。許してくれ。ただ男にとってこれだけ魅力的な身体はね、セックスの際はいやらしいもんなのさ」


「やです、やですっ。私はちっともいやらしくありませんのっ」


「わかった、悪かったよ」


 ちゅっ。ころころ。ふふふ。あっ、またするする、好きですわね。


 しばらくあやしてもらい、なんとか涙も拭けました。ああそれにしても、みっともないところを見せてしまいましたわね。うう、恥ずかしい。


 またじっくり、動きが再開します。もう一度しっかり手と手を繋ぎ、大いなる重力に包まれたまま。そろそろ、王子様の男性を満足させてあげたいのですけれど。


 ぬっちゅ……ぬっちゅ……ああ、嬉しい、うふふ……ごり、ごり……段々、先ほどよりは……ごりごりっ、ぁっ、強く……うふ、嬉しい……はぁ……はぁ、はぁ……ふぅ。


 王子様の男性が擦れるのはとても、嬉しい。擦れる振動音に身を任せるのは、とても。ええ擦れる、か、感触も。


 嬉しい。えっち。


「なあ、もう一回、脚絡めてこいよ。お前を感じられる」


「は、はい」


 もう妾として冥利に尽きました。喜んで自ら、はしたなくも両脚を旦那様へ絡めました。なんだか身体全体の具合もこうしたほうがいい様子。あ、あそこも具合が、いい、ああっ。


 ごりっ、ごりっ、されました。されました、ああっ。ひどいです、苛められておりますの。ぐちゅぐちゅ、うるさく、ありました。早くも、なりました。段々、っ、段々、王子様が、勢いよく、私の女性を突いて、戻って、突いて、戻って、ゆきます。若く漲る男性のものが、おばさんを女に戻してくれます。わ、私も必死で殿方を満足させようと、精一杯つかんで、引き寄せようとしてはいるのですが、ああ、なかなか力も入らず、突かれるたびに嬌声を上げそうになるを我慢するに手一杯で、困りっ、ものでした。


 女の悦びでいっぱいで、大好きな王子様に返すことができずじまい。なんとか、なんとか好きと、言いたいのですが、口も開かず。ただただ、女にされてゆきました。口付けをされ、胸を恥ずかしくも舐められ、す、吸われ……あそこ、ああ思い出してしまいました、お、おま○こを、貫かれ、ぶつけられ。女の悦びでいっぱいでした。今度の涙は、確実に嬉し涙でした。


 感じて、いるのです。


「……様……っぱい、ぁ……っぱい、き……き……」


「私も好きだよ、春花」


「ふふ」


 王子様の滾りが、感じます。だ、男性が、その、とてつもない変容ですの。ようやくご満足頂けたのか、私には非常に長い時間でした。長く長く、嬉しい時間を過ごしてきた気がします。最後もきっと、嬉しく、子を授かれるのですわ。


「春花っ」


「ぁ、ぁ……様……様、ふぁ、ぁ……」


「春花っ、気持ちいいぞっ。ほらもう一回、さっき教えたこと、言ってみろっ」


「えっ……ぁ、ぁ、ぁぁ……ふぁっ、はぁ、はぁ……い、えません」


 あんなに淫らな台詞は、二度と、っ、言える気が、しませんわ、っ。


「まゆの前で言えよ、いいから」


「で、でも、ぁぁ、う」


「欲しくないのか、残念、じゃあまたまゆにしようかな。まゆ、おいで」


 あまりにも残酷な言葉に身体中が硬直しました。い、言えぬのなら私など妾たる資格がないと仰るのです。ど、どうしましょう、どうしましょう、ああ、ああ、ああっ。


「……わ……私のおま○こに……な、な……なかだし、して、下さい……お、お願いします深町様、私、えっちがしたいです」


「あー、ほら憲邇さんいじわるするから泣いちゃったじゃない。ひどいぞ」


「ごめん、よく言えました。冗談だよ、ちょっと試しただけだ。こう言えば春花が言ってくれると思って」


「ひどい、ひどいですわ、ひどいっ。えっちしてくれないと許しませんのっ」


 きんと頭が鳴っている私は、どうかしていることを発してしまいました。けれど。


「わかったよ、春花っ」


「ぁぁっ、様っ、深町様っ」


 最高潮に迸った王子様が、私を壊すほど貫きにぶつかりにきました。ベッドが揺れて倒れるのではないかと思うほど、強く突かれて、私は必死で繋いだ指先を強く握り締め、襲い掛かってくる獣に耐えました。ごりっ、ごりっ、ぁぁっ、壊れます、壊れてしまいます、私などおばさんは、すぐ、ぁっ、んっ、ふぁっ、やめて、つよ、強い、ですわっ、っ、んっ、んっ、やめ、やめ、はぁっ、や、やです、や、や、ぁっ、ぁっ、ぁっ……


「春花、いくぞっ」


「はいっ……んんっ
 はぁ、ふぁぁ ぁぁ、ぁ、ぁ ぁ ん……


 射精して、頂きました。私の膣へ、大量の精子が流れ込んできます
 どくどくと、どく、どく、と……どくどく……うふふ、どくどく……どくどく……どくどく……あ、やっぱり どくどくどくっ うふふ、ああ……どく……どく……どくどく……ながぁい うふふ、どくっ……っ、ふぅ、もうちょっと長いかとどくぅ ぁ、ぁ、ぁ、ん……どく、どく、どく……どく……どく……うふふ、どく……ああ、こんなに、たくさん、どくっ……どく……っ、ほ、本当長い、っ、ああ、っ、ああ、っ……長い、長い、長い……っ、ま、まだ流れ込んで、きます……ああ、壊れてしまいます、膣が、っ、ああ、ああ、嬉しい……妾冥利ですわ……っ。


 十分は続いたかと思う射精が、ようやく終わりました。なんと実際はほんの一瞬の出来事だったと、あとで聞かされ驚愕の一言ですの。長い射精に力の抜けた私は、すぐ脚が崩れてしまったというのに。


 うっすらと目を開けていくと今日は比較的白くない様子。よかったですわ、きっと慣れですの。慣れで旦那様をなるべく受け止められるようになっているのですわ。ああ、でもがくがくしますの。やりすぎですわ、旦那様?


 まゆさんと目が合います。慌てて耳まで真っ赤になった私はシーツを首まで被ろうとしてしまいました。


「あっ、春花さん? ちゃんと見てたよ? 今から隠れてもおそいかんね」


「そうだぞ、全部見られてた」


 私は今さらいやいやをするように身体中を揺らして、駄々っ子の有様でした。そう、意識するだけで恥ずかしくてたまりません。写真やビデオに撮られることより、よっぽど恥ずかしくありました。


「気持ちよかったよ、春花」


「あ、ありがとうございますわ。わ、私も大好きですの、深町様」


 言葉とともに、ひょっこり顔を出します。ああ恥ずかしかった。


「うん、私も大好きだ」


「えっへっへー。憲邇さんほんとかっくいーね。あたし憲邇さんしか見らんなかったよ」


「本当? まゆを選んだのは失敗だったかなぁ」


「誰を選んでもいけませんの。え、えっちは、二人だけがよいですの」


「いやぁ、今さら遅いぞ。お前は私の大勢いる妻の一人なんだ。許さないからな?」


「は、はい。わかりました」


 なぜでしょう。事後だからでしょうか。少々強く言われると逆らう気も起きませんでした。あ、妻と言われたからです。うふふ。えっちなお方。


 大好きですの。本当に心から、大好きですの。だから、いいですの。大勢でえっちも、いいですの。外にまで淫らを持ち込むのも、いいですの。貴方様だから、いいですの。ふふ。


 ころころとじゃれ合いました。私事後にこうして撫でて頂くのが本当に気持ちよくありますわ。髪を梳かれるのも頬擦りも、口付けも、うふふ。それはまゆさんも同じですわね。ぎゅうと抱きしめられるともう、女としてこれ以上ない喜びですわ。


 それからきちんと後始末をし(これも恥ずかしいものです、靴下も少々汚れてしまいましたし)、三人で横になりました。もちろん真ん中は深町様です。まゆさんは小さい頭を旦那様の胸板を枕に寝、羨ましい限りでした。私にできることは精々、腕を寄り添えることだけでした。それ以上はまだ難しくあります。


 しかし……しみじみと私は、思わず呟いておりました。


「やはりまゆさんはとても娘のようには思えませんわ……女性と意識してしまいますの」


 子供ではとても、ないのですね。


「えへへ、そう? そっかー、えへへ。うれしいなー」


「そうだな、まゆもれっきとした女だ。かわいい私の女だな」


「えへへへへー。うりうり」


 頭をぐりぐりとさせましたの。ここを見てもやはり、女性が男性に甘えるだけにしか見えませんの。


「あたしさー、なんだかえっちのたんびにさ、赤ちゃんできちゃった気がするの」


「そう? そうか、それは大変だ」


 すっとまゆさんのお腹をさする旦那様。「うん、これならまだ妊娠してないと思うよ」


「えー、そう? 絶対おなかふくらむしさ、できちゃったと思うんだけど」


「まだまだまゆには早いよ。もう少し待ちなさい。そうだなぁ、春花ぐらいおっぱいが膨らんだらきっと妊娠できるようになってるさ」


 またなんてこと言いますの。思わず平手を打とうとも思ってしまいました。


「えー、やだやだ、あたしすぐ憲邇さんの赤ちゃん産むー」


「まあ、わ、私も産みますわ、旦那様の赤ん坊」


「あたし先だよ、春花さん我慢しなよ。あんだけやさしくしてもらってんだからさ、いいじゃん」


「まゆさんこそとても優しくしてもらっていますわ、ご遠慮なさいまし」


「やーだー」


「まあまあ。別にいいじゃないか、どっちが先だって。お前たち二人にすることを変えるつもりもないよ」


「むー、ならいいけどさ」


「なら安心ですわ」


 この方なら言葉のとおり、私がいくつになっても変わることのないようですわ。あ、ま、まあ、それだとずいぶんお盛んになりますけれど……だ、男性ですもの、仕方ありませんわよね。


「今日は本当によく頑張ったね、春花。外であんなことして」


「あ、ありがとうございます。で、ですけれど、思い出させないで下さいな」


「本当はいじりたかったんだけど、ずいぶん泣かせてしまったしね、控えたんだが。もうちょっと春花にはやり方を変えたほうがいいかな?」


「こ、このままでよいですわ。私にはぴったりですの」


 ええ、それはもう。


「そうか? それならいいんだが」


「ね、明日あたしにやがいろしゅつさせてよ。あたしどこでも脱いじゃうよ?」


「言ったろ、教えちゃ面白くないんだ。心の準備が整ってしまうからね」


「えー、あたしいつでもおっけーだよ? いつでも言ってね? 毎日でもいいよ?」


「毎日も嫌なんだよ。悪いけど絶対に譲らないからね。まゆが忘れた頃にするさ」


「ひっどーい。じゃあさ、じゃあさ、もっといっぱいごほうししたいな。デートも二人っきりか、お母さんと三人でさ、今度野球も見たいな」


「わかった。いっぺんには無理だからちょっと待っててくれ」


「むー。憲邇さん嘘つきだかんね、信用なんないなー。ねっ、春花さん?」


「いいえ、深町様はよい嘘しかつきませんの。まゆさんを野球に連れて行くといったら連れて行って下さりますわ、ご安心を」


「むー。じゃあ、ちかいのちゅうちょうだい?」


 ちゅっ。ふふふ。


「もっとー」


 ちゅっ、ちゅっ。ちゅう……な、なんだかずるく思えてきましたの。旦那様が裸でなければ、引っ張る裾がありますのに。


 思うと同時に、ムースがやってきました。旦那様はほんに、大勢の女を囲うために生まれてきたかと思うほど配慮の足る方です。ぐずな妻のわがままを叶えて下さりまして本当にありがとうございますわ。


「あーん、もっとあたしー」


「だ、ダメです、もう寝ましょう、夜も遅いですわ」


「そうだよ、もう寝ようか」


 ベッドのすぐ傍の明かりが消え、真っ暗となります。それでも満足いかないのか、小さく唸るまゆさんになにやら旦那様がごそごそと。すぐにえへへとなるまゆさんになにをしたのか、わかりませんけれど。きっとよいことですわ。


 外でのことを忘れるほどよいことを、私もして頂いたのですから。


「憲邇さん、大好き」


「好きですわ、深町様」


「私も大好きだよ、まゆ、春花」


 おやすみのキスに酔いながら。心地よい眠りへと誘われてゆきました。
















































































 第五十二話あとがき敵戯言




 こんばんは、
三日月(みかづき)です。さあ始まりました八月の酒池肉林の宴です。嘘です。始まっているのかいないのか、微妙なところですがまあ始まったのです。これからようやく官能小説らしい狂気の沙汰を描きます。ふふふ、腕が鳴りますね。


 すみません、調子に乗りました。頑張りますので、どうぞ見捨てないで下さい。本当に作中での八月ははっちゃけるので、お楽しみに。


 ということでここいらでなにか書いて欲しいプレイといいますかシチュエーションといいますかキャラクターといいますか、ちょっぴり募集します。電車露出だけは確実に書きますのでなるべくそれ以外で、例えばコンビニ露出とか、メイド服でコスプレえっちとか、学校の先生と生徒のイメージプレイとか、良子と愛のご奉仕大作戦とか、みんなのえっちな声でピアノ教室とか、カラオケで脱衣歌合戦とか。あ、これは本編で似たようなことを言いましたね。いろいろ考えられると思ったら予想外に作者のレパートリーといいますか、引き出しが少なかったので割と切実に募集します。嘘です。やりたいことはいっぱいあるので、適当にどうぞ。


 あ、そうそう。神楽山は適当につけたお酒の名前です。実在しておりません。実在していたらすみません、ごめんなさい。お酒にはとんと無知なもので。


 ここまでお読みくださりありがとうございました。また次回もよろしくお願いします。




 
20101228 三日月まるる




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テーマ : 官能小説 - ジャンル : アダルト

2011/03/24 19:57 | 小説COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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