FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--/--/-- --:-- | スポンサー広告  TOP

「ごめんなさい」その五十九_第五十四話改訂版_ちょっぴりえっちな夏休み、八月 改訂版

 こんばんは、三日月です。
 ひっそりと更新なので、短めに。改訂版といっても、ちょっぴり足しただけなのであまり期待せずにお願いします。いつも拍手コメントメール、ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。
 それでは第五十四話、改訂版です。どうぞ。






































 五十四 ちょっぴりえっちな夏休み、八月








 
憲邇(けんじ)さまのひざの上……憲邇さまの香り……憲邇さまのかんしょく……ゆらゆら、いい気持ち……


 お風呂で憲邇さまと一緒。とってもしあわせ。で、でもちょっぴり早いです。まだ十時ですよ?


「みゆと朝に入りたかったのさ。昨日張り切ってね、せっかくだしと思って」


「そ、そうなんですか」


 そうだよねぇ。憲邇さまいーっぱいしたの、わかるから。えへ、みゆね、憲邇さまがえっちしたらなんとなくわかっちゃうの。い、言いませんけどね、ふふ。


「みゆはどこか行きたいところある? キャンプとか」


「え、えと、特にないです。け、憲邇さまおいそがしいですから、無理しないでください」


「うぅん、でも休みがあるのも本当だよ? 日帰りになっちゃうけども、どこか行きたいところはないかな?」


「えっと……うぅん……」


 憲邇さまと二人っきりなら。ま、またりょうていでお食事や、遊園地に行きたい。お母さんと三人でもいい、
詩音(ふみね)おね、詩音さんや紗絵子(さえこ)さん、奈々穂(ななほ)さんがいてもいいな。で、でもみんなと一緒だと、みなさんのほうが行きたいところ、あると思います。みゆの行きたいのはいいです。憲邇さまがいるなら。


「ごめんなさい。思いつかないです」


「そうか。いやいいんだ、ないならないで、私がいろんなところ連れてってあげるよ。ガラスの博物館みたいなところがあってね、ガラス細工がたくさんあって綺麗なんだ。一度行ってみよう」


「はい。行ってみたいです」


 いいな、すっごくいいな。憲邇さますごいな、いろんなこと知ってる。


「みゆとは久しくデートしてないから、みんなで旅行くらいみゆの行きたいところがよかったけれど、まあいいか。ちょっと前まではたくさんしてたのにね」


「そうですね。い、今考えるとやりすぎでした。みゆとなんかデートしなくたっていいのに」


「やらせろよ、デートくらい。みゆとしたいんだ、たくさん」


「は、はぃ。憲邇さまがやりたいって言うなら……で、でも、ほかの子にもしてあげてくださいね、みゆばっかりは、いいですから」


「そう言われるとみゆばっかりにしたくなるなぁ」


 ごろごろ、ぎゅう。「け、憲邇さまぁ」


「いいじゃないか、みゆとばっかりしても誰も文句なんて言わないよ、いや言わせない」


「ダメですぅ。みんな憲邇さまの奥さんですから、もんく言いますぅ」


「うぅんそうか、困ったなぁ。みゆとデートしたいのに」


「み、みゆは憲邇さまにいってきますも、おかえりなさいも、おやすみなさいもできてます。デートはもったいないです」


「いやする。絶対する。どこ行こうか、フェリーとか船にも乗ってみようよ」


「ううう……」


 またうれしいことばっかり言って、みゆをおかしくさせるんだ。みゆ、これ以上あげるものないです。体でしかおしはらいできませんから、おてやわらかにしてくださいね。


 あれ、今ピンポーンって、なった?


「ああ誰か来たね。言うの忘れてたけどみゆ、今誰もいないんだ。みゆ出てよ」


「えっ。で、でもみゆ着替えるのおそいです」


「私はまだお風呂に入っていたいなぁ。みゆ出てよ、お金は下駄箱の上に置いてあるからさ」


「え? どういう」


 またピンポーン。ど、どうしよう。急ぐ人かな、あせっちゃう。


「ピザを頼んだんだ、多分それだと思う。違ったらまた呼んでよ、私に用なら出るから」


「で、でもみゆ着替えるの」


「じゃあバスタオル一枚羽織ればいいじゃないか」


 あ。目が、やらしい、目だ。いやらしいこと、みゆに、させるんだ。


 じゃあ……しょ、しょうがないっか。憲邇さまのやさしい、命令なんだもんね。で、でも。


「い、言ってください。行ってこいって」


「早く行けよ」


「はぃ」


 わぁ、うれしい。えへへ……お風呂から上がって、憲邇さまにぺこり、してから、着替えるとこへ。軽く体をふいてっと。バスタオルを一枚、体に巻きつけて、よいしょっと。こ、これでいいよね、見えてないよね。これならぎりぎり、恥ずかしくないかな。ううう、憲邇さまひどいことやらせるんだ、えへへ。


 ドアを開けて、人さまの前へ。勇気を出して、歩いてくの。どき、どき、して、どっきどき、して、でも歩いてくの。またピンポン、言った。は、走ろうかな。で、でも走ったら、タオルが、ううう。ほんとにだれもいないのかな。ううう、いないなぁ。


 ろうかを歩くだけで、目が体中に、できたみたい。だれかいるような、みゆを見てるような、そんな気が、して。


 玄関についた。お金置いてある。と、届くかな、よいしょっと。よし。ピンポーン。はい、今出ます。


 がちゃ……開けちゃった。みゆ、どきどきしてる。


「どうもー……? あれ、いない」


 知らない男の人、だ。知らない男の人に、見られちゃう。で、でもみゆ、子供だからいいよね。別にやらしい目で、見ないもんね。


「こ、ここです。下にいます」


「ん、あ、どうもー。おるす、ええっと、お風呂入ってたのかな」


「は、はい。お風呂入ってました」


 やっぱりだ。全然やらしくない。普通に見られてるだけ……見られてる……バスタオル一枚の、みゆ……ごくん。


 憲邇さま。やっぱり、恥ずかしいです。みゆえっち、知ってるんですから。


「こ、これ、お父さんがお金置いてったんですけど、足りますか?」


「ありがとう。うん、足りるよ。ちょっと待って、お釣り渡すから」


「……」


 は、早くしてくれないかな。ちゃりんちゃりん、がさごその音してる間そわそわしちゃう。みゆバスタオル一枚なんです。い、いつずり落ちるか、ううう、人前でバスタオル整えるのも恥ずかしいなぁ……えっちっ。


「はい、お釣り」


「どうも」


 よし、お風呂戻ろうっと。


「ああちょっと! ピザ持ってかないと」


「あぅ、はい」


 急ブレーキ。また戻らなくっちゃ。また見られるんだ、ううう……あ、あんまりみゆ、見ないでくださいっ。みゆを見下ろしていいのは、憲邇さまだけですからねっ。


「はいどうも。熱いうちに食べてね、おいしいから。ありがとうございましたー」


「あ、ありがとうございました」


 にっこり笑った男の人が玄関を閉めた。ぷはぁ。ふぅ。終わった。みゆちゃんとできましたよ、憲邇さま。よし、これ置いて、早く戻らなくっちゃ。


 リビングに行くとなんだかまたがさごそ音がしたけど、なんなんだろ。いいかな、早く戻りたい。おつりも置いて、っと。


 お風呂に戻っていく。着替えるとこでタオル脱いで、お風呂場へ。


 にっこりした憲邇さまが、待ってるの。と、飛びこんじゃうの。


「お帰りみゆ。どうだった?」


「とっても恥ずかしかったですぅ」


「みゆなんて子供だから見てないよ。恥ずかしがるなんてみゆはおませさんだね?」


「憲邇さまがっ、憲邇さまがっ」


「あはは、ごめんごめん。相手がロリコンじゃなくてよかったね」


「ひどいです」


「あそこのピザ屋さんは確か男の店員しかいなかったはずなんだけど、男だった?」


「はいっ、男の人でしたっ」


「そうか、ならいいんだ。女だったら蔑む目でしか、ああえっと、嫌な目で見るかもしれないから避けたいんだ」


「男のほうがいやですぅ」


「あはは、みゆは子供だなぁ」


「憲邇さまひどい、ひどいです」


 それからもぶつぶつみゆはもんくばっかり。でもそっと「よくできたね」ってなでてもらって、にっこりになるの。


「憲邇さま、好き」


「私も好きだよ、みゆ」


 えへへ。ならいいの。


 それから二人、ゆっくりして。ふわふわになるまでお風呂にいました。憲邇さまと一緒。憲邇さまのにおい……


 しあわせ。








 お風呂から上がると、憲邇さまはまたごそごそ。こっち見ないでくださいね、まだ着替え中です。


「みゆ、はいこれ」


「えっ。も、もらえませんよっ」


 チケットだ。そ、そこまではしてません。


「私がやると言ってるんだ、いいから受け取れ」


「は、はぃ。ありがとう、ございます」


 うわぁ……


「いい子だ」


 ちゅっ。えへへ。


「みゆはとびきり恥ずかしかったようだから特別だよ? 他の子にもやらせる予定だけど、みゆの顔が真っ赤だったからねぇ」


「ううう、ひどいです、ひどかったです」


 で、でもやっぱり、ほかの人にもやらせるんだ。
良子(りょうこ)さんとか、大人にもやらせるんだ。ひどいです。えっちに見られます。


「まあ、八月ぐらいはね。たまにはやらしいことをしようと思うんだ。みゆ、覚悟してろよ?」


「は、はぃ。がんばります」


 どんないやらしいことでも、やりますから。憲邇さまがこうして、喜んでくれるから、ですよ? 決してみゆがえっちだからじゃあ、ないんですからね。


 すりすり。
















 わざわざ隠し撮りをするなんて意地の悪い。かわいいみゆちゃんがバスタオル一枚で人前に出るところをこっそり撮影しろ、とか、人道にもとるわ。それであとで苛め抜くのね、いえもうお風呂でやってるのかしら? 脱衣所へ行けば彼女のかわいらしい嬌声が聞こえてきそう、最低だわ。


 私なら、いいのに。それくらい、やるのに。あなたがあんなプロポーズしてくれたんだから、今くらい、するのに。撮られてたって許してあげるのに。しょうがない人ね。


 早く
深町(ふかまち)絵里(えり)に、なりたい。


「お母さん、みゆちゃん気づいたかな」


「大丈夫でしょ、みゆちゃんちょっと鈍いから」


「そだね。パティさんちゃんと撮れた?」


「う、うん。みゆちゃん色っぽいんだ、見て見て」


「おー。ちゃんととれてるや。ふんふん……だよねぇ。なんか色っぽいよねー」


 そうかしら。ひょいと覗き込んでみる……ま、まあねぇ。あの人にあれだけ女にされてたらなにかしら得るものはあるわよ。私だってそうだから、あの子も若くして色気を得たとしても不思議じゃあないわ。


「後ろから見るとお尻ふっくらだね。しし、あたしのが小さいかなー」


「こらこら」


「あ、ご主人様」


 上がってきたようね。隣にみゆちゃん連れて、まあさっぱりした顔。うぅん、私やっぱり、見てもどうだかよくわからないわ。


「け、憲邇さま? みんないます」


「そうだよ、みゆには嘘をついたんだ。ごめんね、どうしてもやりたかった」


「ううう……しょ、しょうがありませんねっ」


 いやらしいことだと、教えられるとそれに殉じてくれる。都合よく調教しやがって、まったくもう。まゆにはやめてよね。


「み、みなさんも覚悟しててくださいねっ。憲邇さま、みんなにやらせるって言ってますから」


 あらまたかわいらしい反撃ね。ふふ、いいわよ? 私はきちんとこなせます。


 ぐるり見渡すと……あらわかりやすい。まっかっかじゃない、ふふ。まだまだね。


「あんた、ぜ、全員やることないわよ。ほ、ほら良子さんとか、スタイルいい人だけにすれば」


「ダメ、
(ともえ)もやらせる」


「そうですよ、光栄じゃないですか」


 
(めぐみ)さん、愛さん。あなたね、なんでもかんでも喜んでやってたらダメよ。巴さんはちょっとぐずり過ぎね。


「大丈夫、八月だけにするつもりだから」


「えっ、憲邇くん? べ、別にいいじゃない、いつまででもやれば」


 ……やりたいのね。年考えてください。もう四十でしょ。


「え? いやぁでもねぇ」


「ご、ご主人様。毎年八月、というのはどうでしょう? 冬は寒いですしね」


「うぅん、考えておくよ。そうか、やりたいのか……」


 あなた、あなた。やりたいのは一部よ、ほら見渡しなさい。やりたいなんて……赤いくせに、顔は容認してるわね、しょうがない子らだわ。まあ、嫌だと言ったら言ったで、じゃあやろうなんてしょうがない人だからどっちにしろ、だと思うけど。


「まあいいや、ピザ食べよう、せっかくだ」


「憲邇好きだったものね」


「あー! どうして教えてくれなかったんですか、ずるです!」


「ええ? だ、だって良子さん長いから知ってるかと、あ、ご、ごめんなさい、いたっ」


 ぺしぺしとメイド一号が
柚香里(ゆかり)さんを叩きつつ、食堂へ。ほかほかのピザをみんなでいただくことに。


「せっかくご主人様に腕を振舞う好機を、どうしてくれるんですか」


「いいじゃないですか別に……ああ痛かった」


「でもゆかりさんおねえちゃんだからせんせぇのすきなのいーっぱいしってるんでしょお?」


「え、あ、いや、まあまあ、ピザ食べましょうよ」


 あ、あれは隠したい顔だわ。奈々穂ちゃんの無邪気な問いにまでひた隠しにしたいのね。


「柚香里さん、黙ってるとチーズ顔にぶちまけるわよ?」


「さ、紗絵子さんこそいっぱい知ってるじゃあないですか」


「別に私の好みくらい言えばいいじゃないか、なんで隠したがるんだ?」


 不思議そうな顔でチーズを伸ばす弟だけがわかってなさそう。これは私たち妾女房全員の問題ね。


「ばか憲邇、黙って食べなさい。みゆも食べなきゃ、ほらほら」


「い、いいよ。それよりみゆも知りたいな、憲邇さまの好み」


「う……」


 子供には敵わない様子。仕方なくぼそぼそと、聞こえないですと良子さんが怒り何度も繰り返すことになった。


「だから……ピザのマルガリータと……お刺身全般……」


「それから?」良子さんは許さないみたい。


「……憲邇は好き嫌いないから、本当に好きなのはそれくらい……あ、あと……ちらし寿司と、たまご焼きかしら」


「えっ、そ、そうなんですか?」


 みゆちゃんが驚くとまた不思議そうな顔であの人は頷いた。「そうだよ、だからみゆにご馳走したんだ。おいしかったね」


「……そ、そうなんですか」


 なぜかとても嬉しそうなみゆちゃん。こっちも不思議だけど、とりあえず今の言葉を覚えとかないとね。ピザのマルガリータ? とお刺身に、ちらし寿司とたまご焼き、か。最後だけ簡単ねぇ。あとは面倒なものばっかりだわ。困ったものねぇ。


 だけれど。妾女房全員の目が輝いているのは、見逃せなかった。


「あれ、みんなに教えてなかったっけ」


「教えてないよ。憲邇さんとおつきあい短い人もいるじゃん。そっかぁ、たまご焼き好きっての、うれしいな。たっくさん作ったげるね!」


「うん、ありがとう」


 かわいいまゆに微笑んでくれるかわいい旦那(予定)。そうよそうよ、子供の手作りはお腹いっぱいでも食べるべきだわ。


「あ、あの。せんせは甘いものは苦手ですか」


「いいや。食べられるよ」


「そ、そうですか。よかった」


静香(しずか)さんクリスマスとバレンタイン今から張り切ってるんですよ」


千歳(ちとせ)さんっ。言わないでくださいって何度も、バカッ」


「あ、ごめんなさい、つい」


「あはははは」


 笑いの渦に巻き込まれ、私もくすりと。ふふ、微笑ましいわ。


「憲邇くん、これだけ大勢のバレンタインデー、チョコ全部食べなさいよね」


「そーだぞ、せんせぇ食べなきゃだからねっ」


「わかってるよ、楽しみだ」


 ここで楽しみだと言う、なんともバカな男。しょうがないわ、ほんと、しょうがない。


 私も久しぶりに、手作り決定ね。


「ごちそうさま。さてと。じゃあ次、せっかく八月ということで」


 なぜかつかつか、こちらまで。ぽんと肩が、叩かれる。


「絵里、あれ、着てよ」


「……え」


 にっこり。「あれだよあれ」


「ええっ? な、なんで今よ? よ、夜なら喜んで、じゃないけど、着るわ。い、今からなんて変態じゃ」


「いいからいいから」


 背中を押され、ぐいぐいと。ちょ、ちょっと。ごめんよ? いくらなんでも、こんな真っ昼間。


「とりあえず絵里が着てさ、みんなに見てもらって、着たいって言う人がいたら募りたいなぁと」


「嫌よ、みんなになんて見せられるわけ、恥ずかしい」


 言っている間にもずかずか歩が進む。気がつけばあれよあれよという間に、彼の部屋へ。


「まあまあ、いいじゃないか。着てくれよ」


「い、や、よ。夜になれば着ます」


 頑として譲らない姿勢を見せると、困った顔で頭をかいた。


「できたら撮影会もしたかったんだけど」


「そればっかりはやめて! よ、夜でも嫌よ!」


「うぅん、でも見たいなぁ、絵里のチャイナドレス姿」


「ダメよ、いくら言っても、日光さんが輝いているうちは着ません」


「ちょうどいいから夕食に中華料理を作ってさ、振舞うといいじゃないか」


「どこが、どう、ちょうどいいのよ」


「見たいなぁ、すごく。絵里のチャイナドレス姿。似合うだろうなぁ」


 く、そういう戦法でくるのね。新婚ほやほやの今だけ通用するという、ごね倒しという戦法を。く、くそう、負けそうだわ。


「じゃ、じゃあ、代価をちょうだい。チケットはいらないから、一回、そういう、やらしいことを回避できるチケットを」


「それは絶対無理だ」


 どうしてそういうところだけ締めるのよっ。


「悪いけどやらしいことだけは君たちに回避はさせないよ、絶対に」


「……じゃあ、まゆと三人で出かけましょう? 仕事帰りでいいわ、短い時間でもいい、三人でどこか、出かけたい」


「……ああ、わかった。そうだね、そういう時間が足りないよね。わかった、明日にでも」


「うん、絶対よ」


「約束する」


 小指を、切って。軽く微笑みあった。


 さあ、覚悟を決めましょう。しょ、しょうがないわよ、この人がどうしてもって、うるさいんだから。


「サイズ合ってなかったら着れないからね」


「大丈夫、だと思う」


 がさごそ、探し回り。彼ときたらまたどこにしまったのかわからなくなったという。


「あなた? しょうがないわね、なにに入ってるの?」


「紙袋、こういう、四角い普通の、白い紙袋なんだけど」


「あれ掃除のとき邪魔だったからあっちやったわよ」


 ていうか、チャイナドレスだったのね。道理で軽いと思った。


「ええ? 困るなぁ、勝手に。じゃあそっち行こうか」


「はいはい、ごめんなさいね。それならここ置いといてって先に言っておくものよ」


「そうだった、すまない。でも勝手に持っていくのはやめてくれよ」


「あなたが掃除できないっていうからしてあげてるのよ、その言い草はなにかしら」


「なんだとっ」


「なによ」


 ぐぬぬ……とにらめっこしあい、途中で詰まった息を吐き出し、お互い笑いあった。


「やめようか」


「そうね。私が悪かったわ」


「いや、私が悪かったよ。今度からちゃんと言うから」


 このとおり、うちの人とはなかなかケンカをしようと思ってもできず困っている。なんだか途中でバカらしくなるのよ、ケンカしてもしょうがない、と。まだまだ意識に余裕があるのかもしれない。もう少し過ごしたら、ケンカばっかりになるのかも。ああ今がただ、蜜月なだけかもしれないわね。


 はてさて。ここにあるチャイナドレスを着れるかどうかが、その証明になるのかもしれない。ごくん。唾を飲み込み、どう見回してもコスプレの意味しかない、チャイナドレスに。袖を、通していく。悪いけれど旦那には部屋を出てってもらって(着替えるところなんて恥ずかしくて見られたくないわ)、着替えるのを待ってもらう。その間まゆたちになんて言いわけをしようか、眺めながら考え……やがて決心がまとまる。サイズ、合ってるんでしょうね、違ってたらぶつわよ、まったく……


 ぴたり、だった。なんだかあの人が空恐ろしくなるけれど、それはそれ。紺に金色の梅がある着心地は普段の服装とは段違い、コスプレのそれでしかなく(コスプレがどうなのかよく知らないけど)、あまりよろしくなかった。なんだかそわそわする。ほ、ほんとにスリット、深すぎよ……こ、これじゃあ、下着見えないかしら? 平気? 一回転でもして、確かめてみたけれど、わからなかった。仕方ないわね、まったくもう。あの人がパンスト嫌い(とも言ってなかったかもしれないけれど)で助かったわ。普段からパンストなしで勝負できる脚になれたんだから。そこだけは助かってる。で、でも……うわあ……


 鏡の前の自分。年甲斐のない自分。まだまだいけるわね、の自分。全部が全部、恥ずかしい。彼の前だけなら、まだ、と思うでしょうに。


 勇気を出して、扉を開けた。


「着てやったわよ、バカ」


「お母さん……」


 まゆが目の前に立っていた。


 なんて、いうか。固まってしまう。体中しげしげと観察され、口も開けられない。


「ほえー……お母さんやるじゃん」


「ま、ま、まゆ? ど、どうして、ここに?」


「憲邇さんが代わってくれって。急に電話かかってきたんだって」


 まったく気づかなかった。着替えに夢中で。


「ふーん、お母さんそういうの好きなんだ」


「ちち、違うわっ! こ、これはあの人が着ろ着ろうるさいからっ」


「ししし、わかってるよ。お母さんじゅうぶんきれいだよっ、胸張ってさっ」


 また背中を押される。ちょっと、やめてよ、まだ心の準備が……


 がちゃっと。近くの扉から、彼が顔を出し。すごくにっこり、してくれる。


 まゆは笑顔に、骨抜きなの。


「ごめん、ちょっと電話が。すごくよく似合っているよ、絵里」


「あ、あり、ありがとう」


 照れくさくて髪をかき上げてしまう。予想通りのことしか言わないつまらない亭主が嫌いだわ。大好き。


「おりょ、お母さんこれだいたんだよー。ほら、これぺろーんってめくったらぱん」


「まゆ! よしなさい、バカ」


 めくろうとしたバカ娘をぽかりとしてやり、睨み下ろしてやる。


「でもさ、見えそうだよそれ」


「見えませんっ」


「おかしいな、見えないのか」


 うーんと唸るバカ野郎。「ちょっとあなた!」


「冗談だよ、ちゃんとしてるって。それにねぇ、見えるのは高くてねぇ」


「あなた!」


「はは、ごめんごめん。さ、あっち行こうか」


「う、ね、ねえあなた。やっぱり人前は、無理よ。まゆとあなたならともかく、紗絵子さんになに言われるか」


「紗絵子なんて一番私も着るって言いそうじゃないか」


「あなた全員に着せる気?」


「いやぁ、まあ着たい人だけ。ただそうだな、絵里一人にするのもありかな」


 そう、してよ。私だけのものが、あると嬉しいわ。


「えー? せっかくお母さんおしゃれしたんだからさ、見せようよ。ねーいいじゃーん」


「まゆ、まゆ。引っ張らないで。やっぱり無理よ、恥ずかしいわ」


「まあまあ、いいじゃないか」


 またいいじゃないか作戦ね。そうやって背中をぐいぐい、押されるだけだと思ってるの?


「あなた、やめてよ。嫌よ、今度こそ嫌」


「このままリビングに戻るのと下着を脱いでリビングに戻るのと、どちらがいい?」


「……」


 ずるい、わ。こういうときだけ、そんな風に……危うく、危ないほうを選びそうに、なるわ。


 仕方なく、私は。自分の足で、歩いた。


 リビングに着くと全員の目が、自分に集中する。


 恥ずかしい……


「あらあらまあまあ、絵里さん? 年甲斐もなく張り切ったものね?」


「まあでも、支那の衣装でしょう、素敵ですわ」


 
花雪(かゆき)ちゃん、ありがとね。あなたの言葉に勇気づけられます。


「いいえ絵里さん、年を考えるのね。いくら披露したかったからって、その年でチャイナはないわ」


「こっ、これはこの人が着ろって」


「え? いやいや、絵里がどうしても着たいって言ったんじゃないか」


「あっ、あなた!」


「でも似合ってますよ」


 千歳ちゃん本当、こういうときに天然っぽさを発揮しないでくれるかしら!


「やっぱり憲邇くんね。憲邇くん、女にそういう衣装を勧めるのはダメよ、恥かかせちゃダメ」


「紗絵子は別のがいいのかい?」


「そういうことじゃあなくってね、あのね憲邇くん、誤魔化しちゃダメよ。女の子にね、衣装は無理なものと無理じゃないものがあるの。そこんとこよく考えないとダメよ」


「絵里には似合うと思ったんだけど……嫌だった?」


「そりゃあっ。あ……」しょんぼりしてる。「い、言ったでしょ、夜なら喜んで着たわよ、あなたの前だけなら。こ、こんな昼間からこんな格好は恥ずかしいって、そ、そこまで嫌じゃあ、ありません」


「本当?」


「本当よ」


「よかった」


 どうにか笑顔を取り戻してくれたわ。よかったよかった。ほ、本当に嫌じゃあ、ないものね。嘘をつくのも、ね。


「むー。憲邇くん、私にもきちんと用意なさいよね。私ね、コスプレなら婦警さんがいいわ。それかスチュワーデスさん、今なんて言うか知らないけどね」


 
CAとかじゃなかったかしら。私もよく覚えてないけど。


「わかったよ、じゃあ紗絵子はウェイトレスの格好がいいかな。いろんなとこで売っててね」


「けっ、憲邇くん! ぶつわよどら息子!」


「はっはっは」


「笑って誤魔化すな! このお、変態っ!」


「似合うと思うよ、紗絵子だって若いんだ」


「くうう……そう言われるとなんにも言えないじゃない、バカ」


 紗絵子さんも息子には弱いですね、南無三。


「ねぇ、憲邇さんー。あたしもなんか着たいな、かわいいのがいい」


「そう? じゃあお母さんとお揃いにしようか? それとも熊の格好してみる?」


「おにいちゃんせんせぇななほも、ななほもー」


「くまかー。ぬいぐるみみたいなのはやだよ、お母さんみたいなせくしーなのがいい」


「ななほね、おうまさんになってみたいの。それかね、いるかさんがいいなぁ」


「うぅん、難しいなぁ。探してみるけど、なかったら良子に作ってもらおうかな」


「はい、お任せください。巴さん、練習を兼ねて一緒に作りましょうね。裁縫の一つ二つできないとメイドは務まりませんよ」


 かわいいメイド姿をちょっと前から披露してくれたメイド二号巴さん。姿形とは裏腹に、まだまだ家政婦としての腕は足らないよう。


「う、はい。愛さん上手ですよね、教えてください。良子さんは厳しくって」


「はい、いいですよ。良子ちゃんはスパルタだものね」


「スパルタじゃありません、ちょっと厳しいだけです」


「良子さんは少々激しいところがありますものね。もう少々、お手柔らかにしてあげて下さいな」


「う、そうですか? 
春花(はるか)さんが言うなら、仕方ないですね」


 と、一段楽したところへ。


「よしパティ。それじゃあ撮影をしよう。絵里を撮るんだ」


「あなたっ。いや、パティちゃんやめてっ、お願いだからっ」


「あははは、覚悟を決めろー」


「きめろー」


 まゆと奈々穂ちゃんの二人が取り押さえにかかる。それを紙一重でかわし、詩音ちゃんを盾にした。手を出せないでいる二人、カメラを構えるパティちゃん。


「嫌だって言ってるでしょ、こんな恥ずかしい姿残せません」


「で、でもマスターのご命令ですから」


「それならあなたが撮りなさいよ」


「私ならいいの?」


「当たり前でしょ」あ。しまった。


「なんだ、じゃあパティ、借りるよ」


「……」前へ出ろのサイン。


「ししし、お母さんぼけつほってやんの」


「しししー」


 うるさいわね、黙ってなさい。しょう、しょうがないわね。詩音ちゃんの前へ、出る。カメラの前へ。


 好きになってしまった人を、見る。一枚、写真を、撮られた。


 恥ずかしい。


「次、斜め撮るよ、はい……うん、いいよ」


「バカ」


「ちゃんと似合ってるって。スリットも深くてちょうどいい」


「バカッ」


 ぱしゃっ。何枚も撮られ、羞恥に火がついたみたい。ひどい人。最低だわ。


 最後にしか笑顔を、とれずに。ひどい写真集になることでしょう。それでいいわ、すごく恥ずかしかったもの。もう二度と、夜以外は嫌よ。


「ありがとう。とってもいいものが撮れたよ」


「バカ」


「まだ怒ってるのか? 悪かったって、どうしても見たくなったんだ、夜まで待てなくなった」


「バカ」


「絵里……参ったな。夜まで待てなくなったんだ、今を夜にしよう。私の部屋へ来い」


「え、あ、はい」


 じゃあ、ついていきます。真っ昼間から、ごめんね。でも旦那が、夜と言うの。仕方ないわ。


 ついていきます。どこまでも。







 彼の寝室はかぐわしい香りがする。古書の匂いかしら、ふふ。古書が好きなのか物持ちがいいのか、古い本が並ぶ室内。彼の匂いもきっと多分に混ざってる、なんだかかぐわしい匂いが、いつも感じられた。


 そんな匂いの、中で。夫婦の営みが始まる。


「は、はい。どうぞ……なんでも、やらせたがるのね、変態……」


 主人はめくらせたがるのが三度の飯より好きみたい。仕方なく、応じてあげてる。紺地に金の梅模様の、チャイナドレスを。そっとめくってあげた。


 主人の好みの、真っ白ふりふりレースが。しっかりとチャイナの下から、のぞく。逆三角形に主人も、ご満悦なのよ、うふふ。


「いいねぇ。お尻も見たいな」


「お尻も? いいけど、バカ」


 くるり振り返り、お尻もぺろんとめくっちゃう。主人の言うことには逆らえないわ、逆らいたくないわ、うふふ。


「いいねぇ、綺麗なお尻だ」


 じっと、見られる。下ろしていいと言われるまで下ろせない、見せ続けなければならない。なんだか恥ずかしいわ、じっと見られるだけというのも。


「ね、ねぇ、そんなにじろじろ、見ないでよ。穴が開くわ」


「開くまで見させてよ」


「バカ……」


 いいわ。開くまで見て、ください。


 ほ、本当にじっと穴が開くかと思うほど見られて、しまう。お尻の形をはっきり瞼に焼き付けられて、しまった。も、もう。そんなにお尻好きなの? あなたはスカートフェチだと思ってたわ。


「そ、そういえばあなた、パンストは嫌いだったわよね? チャイナにパンストって変だし、え、そうでもない?」首を振られる。


「ふぅん、意外。生足以外認めないような人だと思ってた」


 だって泉さんや広子さん、紗絵子さんまで、ねぇ? 絶対穿かせてないものだと。


「失礼だぞ。絵里こそ、自慢の美脚を披露するのにわざとパンスト穿かないんじゃあないのか?」


「う、うるさいわね」そういうことは黙っておくものよ。あなたが見とれるから見せてあげてるんじゃない、忘れたの?


「ふむ、そのせっかくの生足だ、ちょっと片方だけ上げてみようか」


「え? なんで片足上げなくちゃいけないのよ」


「いいから」


「ええ? わ、わかった」


 もう下ろしてはいいそうで、くるりまた振り返り、そっと左足を斜めに上げる。スリットから私の太ももが、ばっちりのぞいていた。


「はい……」


 ぱしゃり。なぜかその瞬間を写真に撮られた。もう、先に言ってよ。先に言われれば拒否なんてしないわ。


「カメラ小僧」


「うるさいなぁ」


「カメラ小僧よ、あなたなんて」


「いいじゃないか、好きなんだから」


「うるさいわね、じゃあ夜だけにしてよっ。昼間からは嫌だわ、本当」


「わかった、なるべく夜だけにするよ」


「絶対よ? もう」


 カメラは脇に置き、するすると近づいてきた。そうして謝罪の意味を込めて、口づけを迫るの。


 受けるの。私はこの人のせいで、キス好きになったわ。


「ん……キス魔」


「うん、私はキス魔だよ。キスが大好きなんだ。絵里はどう?」


「うん、好き。あなたとは別格だもの」


 そっと唇をなぞりたくなるほど。うっとりするわ、あなたの曲線。男の人の唇、舌は、どれも硬くって好き。


「あなたの唇、好きよ。あなたの中で一番かもしれない」


「本当? なんだか嬉しいね」


「ふふ、本当よ。いい唇だわ」


 今度は私から。そっと背伸びをし、唇をねだった。ねっとりと絡みつく男の舌、ざらつき。官能の、味。


「んっ……は、ん……」


 男の指も、するするとチャイナの隙間から縫うように入ってきた。愛撫が、始まる。


「ねぇ、汚れるわ。せっかくの衣装じゃない、汚したくないわ」


「なに言ってるんだ、逆だろう。せっかく着たんだ、このままする」


「……わかったわよ。汚しなさいもう、バカ。洗うのはあたしなんですからね?」


「え、クリーニングとか」


「クリーニングなんて出せるわけないでしょ、恥ずかしい」


 あなたはもう少し世間体ってものを考えることね。


 そのまま、少し。彼の指が私を襲うがままに、任せる。ああ、どうして、どう……指が這う、胸が別物。感度が、上がってる。嬉しい、わ。感じる、わ。気持ちいい。わ


「きゃっ。もう、バカ。猿みたい、お猿さんっ」


 すぐに我慢できないと脱ぎだす、猛々しい人に。押し倒される。目を逸らし、そろそろと閉じようかしら。


「絵里はどんな体位がいい?」


「ええ? 選ばせないでよ、あ、あなたの好きなのでいいわ。女からなんて、言えるわけないでしょ」


「言ってくれよ」


 言うまで許さぬ、響き。仕方なしに私は、おずおずと宣言、した。


「……じゃあ……せ、正常位」


「ふぅん、どうして?」


「あ、あたしの顔も見られるけど、恥ずかしいけど、あなたの顔も、よく、見えるから」


 なんて、方便だけど。ほんとは別の理由があるけど、言ってあげない。なにしろ私は、最中になんて目を開けてやらないんだから。


「ふぅん、見たいんだ?」


「ええ、そうよ。見上げたいの。あなたの顔、とっても素敵だもの」


「ありがとう」ちゅっ。


 ベッドの上、のしかかる男性。上から降る、キスの雨に。濡れていく。


「んっ……あなた……あなた……」


 呼び方は飴のよう。ころころと転がり、長く口の中に残る。あなたと、呼ぶたびに。また一つ、この人のものになっていく、実感が。溢れるのね。


 だから、簡単に身体が、感じる。胸が隆起し、大切なところが、濡れるの。


「どうして目を閉じるんだ? 見てればいいじゃないか、今私の顔も見れると言ったばかりじゃないか」


「だ、だからよ。ちょっとでいいの。最中は閉じるわ、見てると、う、んっ、いいじゃない」


「見て欲しいな、目を開けたまま臨んで欲しい」


「無理よ、無理無理。見たくないわ」


「じゃあ、私が言ったときだけでいいから」


「……わかったわよ、じゃあ、そのときだけ」


 この人のほうが、ねだり方は上手だわ。どうしてか聞きたくなっちゃうの。蜜月ね、それでしかないわ。


「ぁっ、ん……うっ、うぁっ、う……」


 まさぐる指、顔。頬が身体に擦りつけられ、そのままチャイナドレスの上から、私の身体を滑っていく。なんだか鼻息荒いわ、興奮しているのがありありとわかる。いつもとちょっと、違うわね。これは紗絵子さんの言う、男の人のコスプレ好き、かも。


「そんなに興奮、するの?」


「ああ、する」


「ほ、本当? いつもより、やだ、もう」


 下着を脱がされた。下だけ。上はずらされるだけ、やらしい。触り方もやらしい。乳首をころころ転がして、もう。もう立ってるでしょ、やめてよ。


「お前の魅力三割増しだよ、綺麗だ」


「嬉しい……んっ、ぁっ、うっ、うう」


 愛撫がまた弾力を増す。強く強く、私を求められる。私も返したい。ぎゅっと手のひら握り、頬擦り寄せて。キスを自分から、彼の頬を舐めてあげた。おいし。


「あなたは忘れてるかもしれないけど、あたしは三十三のおばさんよ? あなたに比べたら」


「なに言ってるんだ。ただの年上のお姉さんだよ」


「……バカ……ふふ、そうね、紗絵子さん春花さんに失礼ね。ごめんなさい」


「絵里……綺麗だよ」


 急に耳の傍から降る、流星雨。それはびくびくと私の肌を跳ねつかせ、振動を与えていった。


「あっ、やだっ、やだあっ。もうやめて、どうしてそんな、あっ」


 どこに逃げても、流れ星は私を逃がさなかった。耳元で声が、声がずっと続く。絵里、絵里と。綺麗だよ、なんて。楽しいよ、とか。興奮してきた、なんて。繰り返し。言いながら触る、やらしい手先。隆起した乳首をころころ、し、ぐしゃりと潰し、こね、苛め。あそこは蜜を求めてまさぐり、指が入り刺激を強める。男性は尖ったもの、それで突き刺すように刺激し。蜜を、溢れさせていく。キスも忘れない、キス魔。キスして頬擦りし、涙ぐむ私の涙を拭く、一連の流れが流れるようにとても綺麗にされる。嬉しくて声が、上がる。


「ん……あ、ううっ、う……ぅぁ」


 散々愛撫した、あと。彼の呼吸が、挿入に至りたいと、告げていた。


「挿れるよ?」


「……どうぞ」


 めくれたチャイナの先、広げた脚の真ん中へ。誘うまでもなく、彼が挿入って、きた……


「ぁっ、やだ、本当興奮、してるのね……っ」


 なんだかいつもと違う、違う感じ、するわ。硬くって太くって逞しいのは、いつものことだけど、なんだか違う。彼も濡れてるのかしら、だ、だったら、なんだか嬉しいわ。汗かも、しれないけど。


「うっ、あっ、うあっ、ううっ、んっ」


 ゆっくりと、ぐっきりと侵入が進んでいく。私の膣内を進む、彼のモノ。ずぷずぷと突き進むたびにぴくぴくと蠢く、声が出る。うぁ、気持ちいい。気持ちいいわ、とっても。声に出して教えたい、くらい。


「あなた……あなた……」


 でも呼べるのは、あなただけ。あなただけなの。それ以外を女が言うのははしたないわ、ありえません。でも気持ちいい……あなたとのセックス……擦れるあそこ、気持ちいいの……


「うあっ、あ、ぁ……ん……んぅ」


 ゆったりが段々リズムをとって、小突いてきた。ぐちゃ、ぐちゃ、と、いやらしい音が響き渡る。あとは彼の吐く息ね。彼の荒々しい吐息、聞きたいわ。興奮した男性の声、聞きたいわ。あなたも話すべきよ、だんまりは面白くないじゃない、っ、ねぇ?


「はぁ……はぁ……っ……はぁ……っ」


 お互い、息が切れた。互いの、息の音。それだけを聞く。……互いの、興奮が、昂ぶりが、そこから感じられた。私の身体、どんどん濡れてる、って。教えてる。あなたを濡らしてるって、教えてる。あなたも感じてるって、教えてくれている。


「あなた……好きよ……あなたが好き……」


「絵里、好きだよ。お前が好きだ」


「うん、ありがとう。あなたはいつも返事を返してくれるのね、ふふ。言わせてくれるだけでも、っ、いいのに」


「自然と答えが出るんだよ、お前のせいだ」


「やだ……
 そうやって甘いことばっかり、もう。言うなら夜だけにしなさい、これは忠告よ? でないと効果薄いんだから」


「ええ? そう?」


「ええ、絶対。んっ、はぁ、絶対よ、夜だけにしたほうが、みんな喜ぶわ」


「わかった、そうする」


「そうなさい、っ、んっ、う、うう、うぁ」


 ぐちゃあ……また腰が、動き出す。男性の動きに、合わせるように。私も呼吸を整えた。


「絵里、気持ちいいぞ」


「あなた……ありがとう」


「絵里はどうだい?」


「ええ? あ、あたしは言わないわよ、女が言えるわけ」


「言え」ずんっ。はぁっ。


「はい……気持ちいい、です……あなたとのセックスは、とっても、気持ちいい……あっ! あなたあ!」


 言い終わるととってもぐっきり、硬くなって、興奮したと膣内を擦っていった。踊るようにえぐられ、その激しさに私は、一層の痺れを感じていた。


「やだ、はげし、あなたっ、あなたあ!」


「絵里っ、絵里っ」


 腰を打ちつけ、られる。そのたびに、よがる、女。大きな子供もいるくせに、こんなにも感じて、濡らしている。ああ淫らだわ、やらしい。私ったら、最低。でも、でも……ん……この人との、愛のあるえっち。大好き。


 快感、だもの。


「うぅ、うあっ! あっ、んっ、あっ、はぁっ、うーっ」


「絵里、言えっ。言うんだっ、くださいと」


「え? あ、はい、言います、言うから絶対、ちょうだいよ? ください、あなたの赤ちゃん、くださあいっ!」


「どこに? ちゃんと言えっ」


「どこって、お腹、チャイナドレスの中に」


「違う、誤魔化すなっ。ようし、今だな、目も開けろ」


「ええ? うー、ひどい、ひどいわ……」


「いいから開けろ、言えっ」


「はい、言います……お、おま○こ……に……くださいっ、お願いっ、ちょうだいよっ、あなたあっ



 ちらりとだけ、目を開けると。私のあそこを入ったり出たり、している、汁まみれの尖ったモノ、が。ちょうど視線の先に、あった。彼は汗だくで、それを目視すると匂いが香ってくる。古書のような、かぐわしい匂い……そうくらくらしていると、なぜか目線の先にある尖ったモノが、動くの。ずんって、ずんってっ、動いたの。


 私は飛び上がる、快感を得た。


「もっとちゃんと見ろ、絵里っ」


「み、見てるじゃないっ、うーっ、あ、うーっ、ひどいわ。あたし、頑張って見たのに、あなたの屈強なモノ、見たのに、ううーっ!」


 ひどい羞恥だわ、なんて恥ずかしい。でも、でも感じる、感じちゃう。なんて淫乱な女なのかしら。見せつけられて興奮する、バカな女。ろくでなしよ。ああ、でも、ん……気持ちよかった……そろそろ、ほしいなぁ、あなた……ねぇ? こんなに見ても、ダメ?


「よしいいだろう、あげるよ絵里っ」


「あっ、あり……
 あなた あなた、あなたぁ…… うう、うあ ……あっ、ああ……


 どくどくって。どくどくってっ。ナカダシを、される。私はあっという間に絶頂に、達し……オーガズムに揺れ、た。びくん、びくん。打ちつけられる多量の精子を受け止める。こぼしたくないと必死で膣は収縮し、見事長い射精の間、収めきっていた。長い……射精。この人は病気、だわ。相手するの、大変で、嬉しい。うふ。ああ、できちゃったかも。こんなに感じたんだから、きっとできてるわ。


「絵里、とっても気持ちよかったよ。よく頑張ったね」


 終わるとすぐなでなで。くれるあなた、天才よ。


「……うふふ。そう? 頑張るわよ、あなたにこんなにも長く愛してもらったんだもの。逃したくないわ」


「ふぅん、ほんとだ。全然溢れてないね」


「う、うるさいわね、そんなこと言わないでいいのよ」


 チャイナを汚したくないのよ、こぼすわけないじゃない。と、とはいえ、今日はどうしてかしら。自分でもわからない。


「どう? こぼれてる感じ、する? するなら、撮影させてよ」


「えっ、うー……ちょ、ちょっとだけよ? うん……ほ、ほんのちょっとだけ、こぼれてる、かな。そんな感じ、する」


 だから撮っても面白くないわ、とは。言わない。撮りたければ撮ればいいの。あなたになら、どんなやらしい写真でもノープロブレムなんだから。ていうか、あなたが見ればわかるでしょうに。


「絵里が見なよ、自分で見てどうか、さ」


「あなたは本当、見せようとしすぎよ、ほかの子に嫌われても知りませんからね」


「あれ、絵里は?」


「あたし? あたしが嫌うわけないじゃない。あなたのこと大好きなのよ、世界で二番目に」


「ふふ、ありがとう。私も大好きだよ、愛してる」


「ええ、愛してるわ」


 心の底から、ね。


「絵里……すまん、一生世話になるぞ。これからも頼む」


「もう、あなたったら
 よしなさい、終わったあとよ。もうあげるものないわ、ふふ」


 それから事後のふんわり感。抱き合い撫で合い、キスし合いくすぐり合い。ふふふと笑い合い、楽しみ合った。


「あなた……本当、香ってくるわね、あなたの酔いそうな、いい匂い……ふふ」


 肌をこすりつけると特に感じるわ。古書の匂いは酔いそうになるのね。また一つ勉強だわ。酔わされてもいい。へべれけになったところを、襲われても、いい。


「今度は抱っこ、してね? またよ、必ずよ。毎回、しないとすねるんだから」


「忘れてた、じゃあ」


 ひょいとお姫様抱っこされる。


「きゃあっ! ば、バカ、急に持ち上げないでよ、もう」


 首根っこにかじりつき、頭をすりすりと擦りつけた。


「ごめんごめん。これでどう?」


「バカ……」


「バカでいいよ。大好きだ、絵里」


「うん、ありがとう。大好きよ、あなた」


 しっとりと最高の夜が、終わる。
















 マスター朝に開口一番、リボン似合ってるねって言ってくれてもう満足。束ねといてよかったぁ。これ以上望むものないって、いっつも思っちゃうなぁ。それなのにこの前なんてまたほんとのえっちやっちゃっていいのかなぁ。私なんか。


 つ、妻だなんて。いつまでたっても、思えない。パティ、あなたは奴隷なのよ。勘違いしちゃ、ダメ。


「さて、みんないることだし、ピアノ教室を開催します」


 マスターは本当にピアノを教えてくれるみたい。う、うれしいな。私なんかの申し出、受けてくれてうれしいな。ようし、頑張ろう。失敗したっていいの、一生懸命やればマスターにっこりほめてくれるし。


「先生は春花だよ、よろしくね」


「まあ、逃げようとしても無駄ですわ、ちゃんと深町様にもお手伝い頂きますの」


「うぅん、でも教え方がわからないよ」


「見本をするだけでも充分ですの。ええと、この宅にピアノは?」


「あるわよ、私の部屋を物置代わりに置いてあるんだから」


「紗絵子弾けなかったっけ?」


 ええ? さ、紗絵子様も弾けるんだ?


「な、なに言ってるのよ、そんなわけ」


「というか、私が紗絵子から習ったんだよ、柚香里もだけど」


「……」


「貧乏だけどピアノだけが自慢で、紗絵子の祖母から教えてもらったんだよね?」


「け、憲邇くんっ。言わなくていいのよ、そんなこと」


 やっぱり紗絵子様はちょっと、秘め事が多いみたい。恥ずかしがり屋さんなのかな。


「はぁ……紗絵子様意外です。長年勤めてきましたけど、そんなことができるなんて」


「う、うるさいわね。弾けるだけよ。私教えないから」


「まあ紗絵子様、ご一緒しましょう? 多いほうがよいですわ、ね?」


「う……わかったわよっ。あーあ、知らんぷりして憲邇くんにお仕置きされたかったのに」


 みんなちょっと頬が紅潮してる。そうなの。うまくできなかったら、えっちなお仕置き、してもらうの。


「大したことは思いついてないんだ、期待しないでくれ」


「憲邇は嘘つきだからね、みんな、ちゃんと覚悟しときましょう」


「はーい」


「そ、そうかな。そんなことないよ。じゃあ紗絵子の部屋に」


 みんなで二階の紗絵子様のお部屋へ詰めかけます。入りきらないのでふすまを開けて、隣の空き部屋にまで。なんとか入りきりました。


「ではまず指先からですわね。深町様」


「ああ」


 マスターがピアノの前に座る。へへ、やっぱりピアノを弾くマスター、カッコいい。


「このようにアーチ型にするとよいですわ。アーチ、橋のようでしょう?」


「こう?」


「そうそう、まゆさんはお利巧さんですわね。背筋はもちろんピンと伸ばして下さい。それから、このように指を鍵盤に置いたとき肘が鍵盤と同じ高さになるよう椅子を調整しましょう。まゆさんみゆさんはもう一つ座るものが必要かもしれませんわね」


「そうですね、持ってきます」


 ささっと良子さんが。とたとた巴さんもついていった。


「それとタッチ、実際の押し方ですけれど──」


 春花さんの説明はとてもわかりやすかった。実際にマスターの演奏を聞いて惚れ惚れしつつ、なんとかやり方を把握する。


「はい、説明は以上ですわ。習うより慣れろ、ともいいますの。実際にやってみましょう」


「はいはいはい、ななほやるぅ!」


「じゃんけん、あたし先ー」


 じゃんけんをして奈々穂さんが勝ち、へへへと先にピアノの前へ。すっと腕を伸ばし、細い指を鍵盤へ滑らせた。


 ガシャーン! ドンガン、ジャバーン!


「こ、こら奈々穂、めちゃくちゃ弾かないの」


「えー? ひきかたちがう?」


「そういうことじゃなくて、さっき憲邇くんのしたみたいに、ゆっくり弾いてご覧なさい。力みすぎよ」


「はぁい。えっと、こう?」


 打って変わって、奈々穂さんは柔らかな音階を奏でていった。五歳の精神年齢とは裏腹、適当に鍵盤を押しているのに綺麗な音だった。


「こんな感じ?」


「そうですわ、奈々穂さんは筋がよいですの。すぐに上達しますわ」


「えへへ……せんせぇ、ななほうまい?」


「ああ、上手だよ。曲を知ればすぐ弾けるようになるだろうね」


「えっへっへぇ」


「次あたし、あたしー」


「まあまあ、もうちょっとしてから順番ね」


「よおし、いくぞー!」


 奈々穂さんは本当に筋がよく、上手だった。軽い練習曲をさらりと弾き、紗絵子様を喜ばせていた。幼児になる以前、高校生までのときに習っていたのかもしれない。


 ひとしきり弾き終えて満足した彼女の次にまゆちゃんの番。良子さんたちの持ってきた座布団の上に座り小さな両腕をまっすぐ伸ばして、おっかなびっくり、鍵盤を叩いていく。


「ド、レ、ミ。ミ、レ、ド」


「へぇ、もう習ったの?」


「へへ、これくらい知ってるよ。押し方いい? しせいとか」


「はい、その調子ですわ。まずはお好きに奏でてみて下さい」


「はーい」


 まゆちゃんはかなり激しい音が好きみたいで、高い音がキンキン鳴るのが楽しそうだった。逆に低い音を出すと舌を出して「げろげろ、へんなの」と言っていた。


「うぅん、やっぱり思ったとこたたけないや。むずかしいね」


「まゆは体動かすほうが好きだものね。まだやり始めよ、気にしないの」


「うん。もういいよ。次だれ?」


 それから一人ずつ順番でピアノを叩いていった。みなさん失敗したらえっちなお仕置きだって途中からきっと忘れてて、初めてピアノを触ることに夢中になっているようだった。わ、私一人緊張しててバカみたい。だ、だけど、失敗したら……


「次パティ、どう? ママが優しく教えてあげる」


「あ、うう、うん」


 どきどきしながら座る。う、うまく弾けるかな……アーチ、ピンと、同じ……


 ポロン、ポロン。ピアノの音は、とてもやさしい。マスターの声には及ばないけど、なんていうんだろう、落ち着く、おっとりした音だな。


「うん、上手上手。パティもよくできてるわ」


「あ、ありがとう、ママ」


 ちょっぴり、残念。


 ピアノを弾くのは楽しかった。頼んでよかったって思える。


「本当、上手だね、パティ」


「ひゃあっ」


 ま、ますたぁ急に後ろから抱きついたぁ。う、うわっ、どどどどうしよう。振り返りたいなぁ。


「まあ深町様、ふふ、邪魔をしてはいけません」


「ちょっとだけ、パティが上手にできてるからね」


「でで、でもひゃんっ」ほっぺ……「こんなの叩いてるだけでうっ」


「さっき紗絵子の手本をきちんとこなせたじゃないか。パティは上手だよ」


 ちゅっ……


 のぼせ上がって、それ以上ピアノを弾くことはできなかった。でもとっても、とってもっ、楽しかった。へへ。


 お仕置きもご褒美も全部、大好き。


 順番変わって、みなさんの演奏を聴いていく。千歳さんは本当におっとりした音を出して、愛さんはとんちんかん、かと思ったらまさかの巴さんみたいな人が、ものすごく下手だった。わ、私よりは上手だけど、その、なんていうか、変な音ばっかり出て困ってた。


「巴さん、緊張しすぎですの。もっとリラックスして下さいな」


「え、そ、そう? うぅん、あたしやっぱりこういうのは向いてないわ」


「そう狭く思うことはないよ。もうちょっとやってみるといい」


「そ、そう? あんたが言うなら……」


 マスターにぽんと肩に手を置かれた巴さんは、それでもぎこちない演奏(だと思う)になってしまっていた。ふうとため息、「やっぱりね」って。


「苦手だわ、あんまり好きじゃない」


「そうですか。残念です」


 春花さんが珍しく落ち込んでた。慌てて「ピアノが悪いんじゃない、あたしが、ほら相性ってあるじゃない」


「ええ、わかっております。残念ですわ」


「ふむ、なら仕方ない。これはピアノ教室だから、巴は苦手を克服しようか」


「……ものは相談よ。克服できたら?」


「君の望むものをあげる」


「……な、なら、やるわ。憲邇先生、男に二言はないのよ?」


「うん。考えといてくれ。じゃあ次、誰がやる?」


 今からわくわくの止まらない巴さんは、なににしようか、頭の中で舌なめずりしてるのがわかっちゃう。いいよね、マスター太っ腹。


 次の静香さんは思いのほか静かな音を出してて、詩音さんも消え入りそうな静かな音を出してた。わ、私、二人の音好きだな。いいと思うな。良子さんはおしとやか、みゆちゃんは一生懸命、最後の絵里さんは(いやいやとやりたくないって最後だった)顔に似合わず、愛さんとどっこいのとんちんかんだった。でも、すぐに落ち着いて、緊張がなくなると綺麗な音……だった。ふ、ふんだ。


「ふふふ、皆様本当にお上手でしたわ。教え甲斐もあろうものです。ありがとうございました」


「ありがとうございましたー」


「さて憲邇くん、お仕置き云々はどういうこと?」


「うん、というわけでだ。一番下手だった人にしようかな」


 さあっと、みんなの顔が赤くなる。先にピアノを習ってた花雪さんや柚香里さんたちはほっと胸をなで下ろしてた。


「正直うまい下手はよくわからないから、春花に教えてもらおうかな」


「えっ。えっと、ええっと、そ、それはその、皆様お上手でしたわ」


「憲邇くん、春花さんに決めさせるといつまで経っても言わないわよ。それより憲邇くんが決めなさいよ、男らしく。憲邇くんが、一番変な音だと思った人でいいの。それでこそお仕置きよ」


「あ、ああ、そう。そうかぁ、じゃあやっぱり巴だよなぁ」


 言われたメイドさん二号は、しゅんとうな垂れてた。わかってたみたい。


「わ、わかったわよ。で? どうすればいいの?」


「反抗的だね、いい子だ」


 さわりと髪をなでるマスター。えっちだ。


「とりあえず巴には用意していたものがあるんだ、というか、まだメイド服に慣れてないだろう? 慣れてもらおうか」


「えっ……ええーっ!」


 にっこりマスター、許してあげません。


「今日から三日、いや一週間ずっとメイド服で過ごしてもらおうか。この家だけでなく、外出もね。わかってると思うが」


「そんなの無理よっ、変態じゃないっ」


「無理かどうかは聞いてないよ、やれって言ってるんだ」


「うう……ど、どうしても?」


「どうしても」


「……わ、わかったわよ」


「せっかくだからその間にデートしようか」


「お願いだからやめてっ」


「あはははは!」


 紗絵子様大笑いだ。つられて奈々穂さんも。


「えーごほうびじゃん。なにがおしおきなの?」


「まゆが大きくなったらわかるわよ。あれはね、巴さんにはお仕置きなの」


「ふーん。へんなの」


「わかったよ、デートはよしとこう。でも今日中華を食べに行く予定なんだ、言ったよね?」


「言った。でも着替えるわよ、明日からでしょ?」


「せっかくのお仕置きだ、着ていこうか。ちょうどいい、今から行こう」


「ええっ? そ、そんなぁ。せっかくよそいき、用意したのにぃ」


「はっはっは、残念だね。ああ、やらしくないな。せっかくだし気分を高めて行こう」


「あっ、ちょ、ちょっとっ、みんな見てる、あっ」


 わっ、わっ、ますたぁえっちしだした。巴さんのメイド服の中に手を入れて、服の上からでも胸を揉んでるの、わかる。スカートら辺もごそごそしてるから、お尻かあそこいじってるんだ。あれ、みなさん見ないんですね、ふぅん。不思議だなぁ。


「やだっ、やだっ、もうっ、ん、んっ」


「帰ったら続きをしてやる」


「……バッカじゃない、っ」


「わかった、みんなの前がいいんだね」


「あっ、ご、ごめ、ごめんなさい。許して、それだけは」


「中華がおいしくなかったらそうしようか、うんそうしよう」


「外道……っ」


 するっ、離れた。巴さん息荒いの、色っぽいなぁ。さすが大人のお姉さん。身だしなみを整えて、照れてるのか髪かき上げて、ふんっ、だって。


「準備するから待ってなさい、ドスケベ!」


「ああ、待ってるよ」


 どたどた怒った音を出しながら巴さんが自分の部屋へ走ってった。


「さすが憲邇くんね、やぁらしいことこの上ないわ」


「そうかな、そんなことないよ」


「これからピアノ教室ですと私の配下もさぞ苦労することでしょうねぇ」良子さんときどき、よくわからないこと言いますよね。


「はいかってなーに?」


「あ、えっと、社員のようなものです。私がメイド長ですから社長で、巴さんが部下です」


「ふーん。じゃあ憲邇さんは?」


「お客様ですかね、そうすると」


「あはは、面白い例えだね。そうだ、さっきも言ったけど私と巴は夕食に中華を食べてくるから、みんなはみんなで食べててくれ」


「はいご主人様」


「あー、深町のお兄さま、私と一緒にケーキを食べてくれませんの?」


 そうだ、今日は
花織(かおり)ちゃんのお誕生日。マスター、一緒してあげてください。


「帰ってから食べるよ、一緒にね。ごめん、待っててくれ」


「しょうがありませんわね。おいそがしいお父さまですわ」


 しょうがないよね、マスターだもん。


「そうだ、巴が準備の間に。みゆ、おいで」


「は、はい」


 みゆちゃん連れて行っちゃった。な、なんだろう。良子さんついてったけど。またみゆちゃん、えっちなことされるのかな、いいなぁ。


 八月はとっても、楽しいな。ふふふ。
















 な、なんだろ。憲邇さま、もうみゆ、えっちしましたよ? もうえっち、ううう、できるかわかりませんよ?


 がちゃり。憲邇さまのお部屋。やっぱりいいにおい、する。


「さあ、服を脱ぐんだ、みゆ」


「えぅ……」


 や、やっぱりするんだ、みゆばっかり。もうえっち、できるかなぁ。憲邇さまを満足させられるかなぁ。ううう。


「首輪持ってるよね? 出しなさい」


「は、はぃ」


 ごそごそ。どうぞ。あっ。かちゃり。みゆの首に、着いた。


 どきどきする。


「早く脱ぎなさい」


「は、はい」


 よいしょっと。はい、全部脱ぎました。みゆはだかです。はだかで、首輪着けてます……


「よし、紐もつけて、っと」


 ひもの先がベッドにくくりつけられてる。やっぱりするんだ、ううう、できるかなぁ。


「ふう。みゆ、もうわかるね。今からみゆを、ここで飼ってあげる」


「ふわぁ……」


 ぞくぞく、した。


 そ、そっか。そうだった。みゆ、八月からかってもらうんだった。わ、忘れそうだった。ピアノ、楽しくって。


「今から三日だけだけどね。それ以上はみゆのお家の関係もあるし難しいかな。今から、三日、ここでずっと、裸で、首輪を着けて、暮らすんだ。いいね」


「はぃ、憲邇さま」


 ずっとはだかんぼでいます。うれしいです、憲邇さま。


「餌はね、白いのだけにするのはさすがに難しいから、良子に頼んでキャットフードを用意してもらったよ。みゆは今から、私のペットの猫だからね」


「はぃ、憲邇さま」


 猫さんになります。うれしいです、憲邇さま。


「トイレだけは行っていいよ、ここでされても困る。良子に頼んで、外してもらいなさい。ただし、紐で引っ張ってもらうんだ。私がいたら私がしてあげる」


「はぃ、憲邇さま」


 引っ張られます。うれしいです、憲邇さま。


「一日一回、お散歩にも連れてってあげるよ。夜だけどね」


「はぃ、憲邇さま」


 夜にお外へお散歩、します。うれしいです、憲邇さま。


「……いい顔だ、そそるよ。もちろん、私が襲い掛かったら拒否はできないぞ? いつでも、何回でも、付き合ってもらうからね?」


「はぃ、憲邇さま」


 いつでも、何回でもえっち、します。うれしいです、憲邇さま。えへ。


「よし、ひとまずはそれくらいかな。ああそう、掃除はこの間はいいよ、無理だろう。良子が夕食を運んでくれるから、待ってなさい。というか、この部屋から出さないよ、みゆ。いいね?」


「はぃ、憲邇さま」


 ずっとこの部屋で、かってもらいます。うれしいです、憲邇さま。


「よしよし。かわいい子だ。良子以外にはまだ言ってないんだ、誰かが来たら自分で説明しなさい。いいね?」


「はぃ、憲邇さま」


 自分でかってもらってますって、ちゃんと言います。うれしいです、憲邇さま。


「じゃあ行ってくる。いい子にしてお留守番してるんだよ」


「はぃ、憲邇さま。いってらっしゃい、にゃあーん」


「み、みゆ……」


 ああうう、つ、つい、猫さんになりきっちゃった……へ、へんですよね、ごめんなさい。


「あぅっ」


 ぎゅうう……「かわいいよ、みゆ。帰ったらもう一回、えっちしようか」


「はぃ、憲邇さま」


 やります。こたえます。ふじんの、つとめですね、えへへ。


 いってらっしゃいませ、憲邇さま。大好き。にゃ、にゃあん。
















 うう恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい、どうしてメイド服姿で中華料理屋さんに入らなくちゃいけないのよ、拷問だわ。け、憲邇先生が一緒じゃなかったら絶対に無理。ほ、ほら、視線いっぱい、刺さってる……


「罰ゲームなんだから仕方ないだろう」


「わ、わかってるわよ」


 束ねた髪をかき上げる。せっかくいいお洋服見つけたのにさ、ひどい人だわ。いいけど、次のデートは普通よ、いいわね?


「うぅん、時間がなぁ。デートはしたいよ、でも」


「仕事帰りでいいわよ、それくらいの短い時間で。あたしは住み込みよ、それで充分だわ」


「そう? ありがとう。じゃあ明日は予定があるから、明後日にしようか」


「ば、バカ、一週間これでしょ、もう忘れたの?」


「関係ないだろ、いいじゃないか」


「嫌よ、普通の格好でいさせて」


「うぅん、そうか? かわいいと思うけど」


「バッカじゃない」


 ずずず。おいしいお茶ね。


「巴はなんでも似合うじゃないか。この前のワンピースだってすごく似合っていたよ」


「そ、そう? あれは無理したのよ、あんな格好、なかなかできないから」


「ふぅん、そうなのか。巴はやっぱりカッコいい服装のほうが好きなのかい?」


「うぅん、そうねぇ。慣れかなぁ。かわいらしい、アイドルみたいな格好はね、慣れてないのよ。着てみると案外、ワンピースは楽しかったわ。だから慣れよ、今はそういう、あんたの言うカッコいい服装のほうが慣れてるだけ」


「なるほど」


「……こ、コスプレしろって言うなら、やっぱりっ、慣れよ。慣れれば、きっと、できるわ」


 ずずず、にっこり。「じゃあ慣れさせない」


「あんたねぇ、外道よ、非道な外道だわ」


「はっはっは」


「笑って誤魔化さないで!」


「一応言っておくけど、君の仕事柄その格好はコスプレじゃあないからね、メイド長も怒るだろうし」


「そ、そうね、これは早く慣れないと」


 でも視線、尽きないのよ。恥ずかしいわ、バーカ。


 ひらひら、ふわふわして。危なっかしい。あたしも。


「お待たせしました」


 注文が届いた。目の前の大食漢は三種前菜の盛り合わせに、牛肉とピーマン炒め、鳥のから揚げに八宝菜、それからかにたま、野菜スープと、あたしは食べたかったエビチリだけでもお腹いっぱいになりそうなのに、並ぶ食材たちでもう、満腹になりそう。


「あ、あんたこんなに食べれるの?」


「うん。巴もつまみなよ、おいしいよ」


 さっそくもぐもぐしだすバカ。ま、まあ、あれだけ働いてるとお腹も空くのかもしれない。最近ずっとの食欲に若干呆れつつ、あたしも箸を伸ばした。


「あ、おいしい」


「だろう。よかった」


 なんていうか、しっかりした味わいのある料理だわ。どう言ったらいいのか、香り高くておいしい、とにかく。


 ……幸いにも、この人が大量に注文したものだから、ちょいちょいとつまむには最適だった。かにたまもおいしい、から揚げもまあ、おいしかった。


「……ね、ねぇ、ご、ご、ご、ご主人っ、様っ、ど、どど、どうぞっ、あ、あ、あ、あー……んっ」


 ほかの女の子たちはあんなにもあっさりする、あーん、が。あたしはどうも苦手だった。やりたいのに、やりたくてたまらないのに、なかなかうまくできない。雰囲気を出そうとご主人様と言うのさえままならぬ、情けないあたし。


 それなのに、ご主人様はにっこり、嬉しそうに頬張るの。


 嬉しい。楽しい。……大好き。


「おいしいよ、かわいい私の、メイドさん」


「あ、あ、あり、ありがと」


 また照れくさくて髪をかき上げてしまう。そういえば中華料理屋さんの中じゃない、うわ、恥ずかしい……見られることには慣れてるはずなのに、注目を集めることがなぜか、この格好のせいで恥ずかしい。前の席の人が目をたらんとさせてなかったら帰ってるわ、もう。


 呆れることに、この人はこれだけ多くをぺろりと平らげてしまう。早くもなく遅くもなく一定のペースでずっともぐもぐしているものだから、なんだかおかしくなった。


「あんた、なんだかかわいい」


「えっ? な、どこが?」


「なんとなく、よ。食べてるとこ、かわいいわ」


「ええっ……なんかショックだ」


 そう? かわいいわよ、とっても。ふふ。


 ずいぶんとおいしそうに食べ続け、見事完食。ここ本場じゃないから、食べきっていいのよね? お店だし。


 満腹そうな彼を連れてお店を出ると、ようやくの空が夜に変わっていた。星、この辺繁華街だから見えないわね。向こうの家まで戻ると結構見えるんだけど。


「ちょっと食べ過ぎたかも、少し歩こうか」


「ええ、構わないわよ」


 夏の風に当たるのも悪くないわね。いい? 腕組んで。


 メイド姿で腕組んだ。それでもやっぱり、嬉しい。


「巴はご両親はどうしてる?」


「住み込みで働くーって言っても頑張りなさいってそれだけ。あたしがモデルになるときも応援ばっかりしてくれてさ、反対してくれないの」


「いいじゃないか」


「でもね、いっつもいいよいいよで、二つ返事なのよ。なんか変じゃない?」


「ちょっと放任主義なのかもしれないね。巴のことを信頼してるのさ」


「そうかな……」


「じゃなきゃ十五でモデルの世界へ足を踏み入れるのを許してはくれないさ。巴なら大丈夫だってわかっているから、いいって言ったんだろう。辛かったらいつでも帰って来いって、言われなかった?」


「そういえば、言ってた気がする」


「そういうものだよ。いつでも帰ってこられる場所を用意して、あとは応援してる。娘なら大丈夫だ、ってね。一人娘だっけ?」


「下に弟がいるわ。来年受験できりきりしてる。そっか、そうかもね……」


 不思議な音程で言われるとひどく納得してしまう。ああ首っ丈なのかも。今一緒になるのは危険ね、ふふ。


「鼻高々だろう、立派なモデルになれたんだから」


「今は違うわ、引退したのよ。でも、そうね、ありがとう。嬉しいわ、ちょっとすっきりした」


 あんた、父親、いないのよね。紗絵子さんから聞いたわ。あんたも苦労、したんでしょ? ふふ、言わないのは母親譲りなのね、すごいわ……


「ねぇ、キス、しよ?」


 ちゅっ……


 ねだるとほぼ同時に、キスをされる。思わず抱きつき、しばらくやってと、巻きつけた。


 公衆の往来で、ひとときの。噛み締める、幸せ。


「……所構わずね、バーカ」


「大丈夫、ちょうど木の陰だった」


 嘘つき、と思うと、本当に街路に木が点々と植えてあり、うまいことこいつがそこへ隠してくれたんだと気づく。まったく、お上手だこと。


「この辺は大体こうして隠れられるし、人通りは多いけど」


「よくしてるんだ?」


「……まあ、ね」


 でしょうね。ふふ。やっぱりのキス魔だわ。


「完璧じゃないから、たまにどつかれるけど」


「当たり前よ、外でキスなんていけないわ」


「うん、帰ってからたくさんしようか」


「……うん」


 ここからは手を繋いで、二人、家路に着いた。


 帰ったら優しくなさい、このドスケベ。ふふ。
















 カツン、コツン。マンションの階段を登っていく音。なんだかそれが、露出への階段と同じに感じられる。


 せんせと一緒の、野外露出。二人っきりで初めての。真夏の夜はとても、暑い。暑いですね、せんせ。


「ここでいいかな」


 振り返る、背の高いせんせ。月光に照らされてなんだか神秘的な雰囲気が出てる。


 なに言われても、やれる。自信、満々です。


「そこに立って」


「はい」階段の踊り場、柵のすぐ傍まで。見下ろせば下のマンション玄関口が見える。外はすぐそこに公園がある。風は少し、明かりは強め。


 人気は、ない。マンションに明かりは、まだあるけど。


「誰が来ても声、上げるなよ」


「はい」


「じゃあ、めくって」


「はいせんせ」


 デニムのスカートをめくる。今日の下着はピンクのふりふりソングです。初めてのときと似てますよね。野外露出も初めてですから(初めてなんです)、同じようなのを選びました。


 特別な日なんです。えっちは、特別です。


 かしゃ。写真、撮られた。マンションで下着見せてる中三、撮られちゃった。


「お尻も」


 くるり、かしゃ。ふふ、お尻よく見えるでしょ? せんせお尻大好きだもの。てぃ、
Tバッグとか、将来的には履きますからね。


「いいね、綺麗なお尻だ」


「ありがと、せんせ、ぁっ」


 思わず声が。小さくしようとしても、せんせがお尻を撫でるからつい、上がっちゃう。


「ダメですせんせ、こんなところで」


「ちょっとくらいいいだろう」


「ぁっ、せんせ……っ」


 いやらしい。ふふ。中学生にわいせつ行為ですね、刑務所行きです。


 あたしをせんせっていう牢屋に、入れてください。


「いいよ、上も見せてくれたらね」


「はいせんせ。どうぞ」


 上のTシャツもめくり上げて、ブラジャーを見せる。ピンクのふりふりかわいい下着ですよ、どうですか? あたしまだ子供だからこういうので許してくださいね、セクシーなのはもうちょっと年齢を重ねてからにしますから。


 どんなのでも、あなたは受け入れてくれるから。好きなのにしますね、せんせっ。


 光ると、写真に撮られると。なんだか、うれしい。こんなところなのに。やっぱり撮ってもらうっていいな。


「触っていい?」


「ダメです、こんなところで」


「触らせてもらうまで帰らない」


「えー……じゃあ、はいっ」


 サービスでちょっとだけ胸をのぞかせて、すぐにブラを元に戻した。


「これで許してください、せんせ?」触られると声、我慢できないかもしれないんです。


「うぅん、仕方ないな。いいもの見れたし許してあげるよ」


 ちゅ。ふふ、キース魔ー
 ふふふ。


「次、柵に手を置いて、お尻突き出してよ」


「はいせんせ」


 言われたとおり、柵の上に体重を乗せ、お尻をぐいと突き出してから、戻ってしまったスカートをめくり上げる。かしゃ、かしゃ、一段とフラッシュが焚かれ、誰かに見つかるかもしれない撮影会が続いていく。お尻、好きなんですね。あたしのお尻、そんなにいいですか?


「いいよ、すごくいい」


「ありがとうございますせんせ、ふふ」


「最後に軽く録画しようか、そのままで、はい。そうだな……今どんな気分?」


「高揚、してます。外で下着見せて……せんせに撮ってもらって。お尻、ちゃんと撮れてますか? 残しといてくださいね、あたしはせんせの奴隷の
大口(おおぐち)静香、中学三年生です」


「ああ、しっかり撮れてるよ、ありがとう。もうちょっと斜めになれるかな、そうしたら胸も撮れそうだ」


「はいせんせ」


 体をずらす。じぃーっと録画の音が静かな夜に聞こえ、あたしを少しずつ焦がしてくれる。せんせの目が、焦点がカメラと重なり、あたしのやらしい部分に突き刺さる。階段の踊り場、誰か来るかもしれないところ。あたしは……恥ずかしいという思いを……味わっていた。


 恥、だ。外で辱め、られてる。


 うれしい。


 下着だけでこうだもん。まだ見つかっても平気だけど、恥ずかしいとこ丸出しにしたら……ああ、考えないどこう。


「いいよ、ありがとう。じゃあ帰ろうか、人が来る前に」


「はいせんせ」


 すぐに服を着直し、せんせと腕組み、車へ。帰宅する車内で、あたしは胸の高鳴りを抑えられなかった。


 何度もキスを──








 案内された場所はせんせの寝室ではなく、あたしと千歳さんの部屋だった。


「せんせの部屋がいい。え、ダメなんですか?」


「今はね。どうしてかは自分で確かめてくれ」


「はぁ、じゃああとで見てみますね。千歳さんに悪いな」


 そうはいっても、鍵はかける。二人きりになり、ぐっと近寄った。


 まずはキス、するの。せんせに背伸びして、キス。


「ん……んー、んー……」


「キスは好きかい」


「はい、キス、好きです。せんせとならいつまででもできる気がします」


 だってこんなにおいしいんだもの。うふふ。


「んー
 んーっ、せーんせっ」


 自分からせがんでいった。せんせもそれに応えてくれる。ちゅっ、ちゅっ、キス三昧。はぁと息を吐き、つつとせんせに身を寄せる。


「野外露出、どうだった? 楽しかったろう」


「はい、楽しかったです。せんせに撮ってもらうのって、楽しいです」


「ふぅん、撮られるのが好きだなんて、やらしい女だね」


「あっ……はい、やらしい女です。で、でもせんせに撮ってもらえるのってほんとにうれしくって、最近毎回じゃなくなったから」


 きた。せんせはよくなじってくれるの。あたしは
Mだから、それがうれしいの。


「野外露出は毎回撮影だよ、絶対だ。いいね」


「……楽しみです……」


 撮られることは、喜びだから。あなたに撮影されるのは、うれしいから。いくらでもそれを望むの。


「あ、あの、せんせ……あ、あたし、きゃっ」


 裸のせんせ、もう、も、もう、びっくりするぐらいおっきくなってた。見ると恥ずかしい。男の人のって、グロテスクだよねぇ。


「急に見せないでください、びっくり……します」


 脱ぐの早すぎです。


「そ、それでですね、せんせ。あの、まゆちゃんが」


「まゆが? ああ、ふぅん。咥えたいんだ?」


 きらりと光る、目。せんせのえっちの雰囲気、大好き。


「はい……やりたい、です……やらせて、ください……」


 自らかがんで、せんせのいきり立つものに顔を近づけた。見上げるとやれ、と海が妖しく光るから、そっと手を伸ばし、口を……


「んっ、んー……んっ、んっ、んーっ……ぷぁっ、ふぅ、んー……ん、ん……」


 ちゅく、ちゅく、ちゅぱ、ちゅぱ。えっちな音がする。舐めると変な味、なんだろう、せんせの味、かな? 唇のおいしい感じと、少しだけ似てる気がする。やっぱりえっちな香り、するからかな。


「どうですか? 気持ちいいですか? あの、撫でてばっかりいないで、言ってください」


「気持ちいいよ、初めてにしては上出来だ」


「ほんとですか? ふふ、うれしい」


 せんせになでなでしてもらえるし、ご奉仕って最高だなぁ。ふふ、ちゅっ、ちゅく、ちゅぱ、ちゅぱ……おいしい、かも……やらしいな、あたし……


「ん、んっ……んく、ぷはっ、ふぅ、んっ……んー、んー……んー……」


「そろそろ射精そうだ、飲んでくれる?」


「の、飲めますよ。あたしはせんせの、愛奴隷です、きゃっ」


 飲めると言ったのに、押し倒された。見上げるせんせがとても大きく、ぽーっとなる。


「じゃあ飲んでくれ、下のお口でね」


「……わかりました。下のお口で、飲みます……中学三年生を、孕ませてください……」


 ぐぐって、なったぁ。や、やった、恥ずかしいけど言ったかい、ある。


「へぇ、いいこと言うね、よく言えるな?」


「が、がんばったんですよっ、こういうこと言うとせんせ、喜んでくれるかなってっ。せんせ、こうやって辱めるじゃないですかっ」


「自分からそういうことを言うんだ、ふぅん。恥ずかしい奴隷だな」


「は、はい。あたしは恥ずかしい奴隷です。すみません自分からなんて」


「そうだな、私がおねだりしろと言ったらするんだ」


「はい、おねだりしろと言われたらします」


「自分からもやるんだ、ときどき、やらしく」


「えっ、はい、自分からもちゃんと、します。おねだり、やらしく、します。生意気言ってすみませんでした」


 ぐっとせんせが近寄り、ベッドがぎし、と鳴る。さぁと撫でてもらい、くすりと微笑みが。


「生意気じゃないよ、私にはとっても嬉しい言葉だった」


「そ、そんないいです。あたしって生意気ですから、学校でも言われてますし」


「生意気じゃないよ、自分を卑下するな」


「あ……せんせ……ありがとう、ございます……ありがとう……」


 やっぱりせんせだ。とびきりだ。やさしくやさしく、よしよししてくれる。撫でられると心地いい。ふんわり柔らか、最高だな。


「大好き、せんせ」


「私も大好きだよ」ちゅっ。


 身体で返しますね。身体は望む限り、いくらでもどこでも、あげますからね。


「あたし、なんでもしますよ。せんせが望むなら、なーんでもします。びしばし叩いてもいいですよ、
SMチックに」


「うぅん、それはないかなぁ。詳しくもないし」


「そうですか? せんせ、詳しそうですけど、あ、ごめんなさい」


「よく性を知らないほうが過激かもしれないよ?」


「……はい、そうかもしれません。どうぞお好きに、辱めてくださいませ」


 淫らなあたしは、自分からスカートをまくった。男の人に見せつけてる。ピンクのショーツ、丸出し。やらしいの。あたしはもう、絶頂になっちゃう女の子だから、やらしいの。


「ふぅん、そうだね。じゃあ一人えっちしてご覧。見ててあげる」


「一人えっち、ですか。はい、やります。せんせのこと考えてやりますね、へへ」


 シャツの下に、ショーツの中に手を入れて。指で少し、触っていった。一人えっちなんて初めてだけど、きちんとやりますからね。


「ん……せんせ、えっち……中学生のそんなとこ、触っちゃダメですよ、あ、っ……ん」


 せんせったら、あそこ滑らせてこすって、それから指入れてきた。えっち。ああ、入ってくる、ふふ、せんせの指だと、思えば。うれしいな、うれしいの。


「んっ、んっ、あっ……っ、せんせっ、せんせ……せんせが、ほしいです……せんせっ」


 でもやっぱり、いじってくうちにもどかしい思いがいっぱい。せんせがいい、せんせのやさしいのがいい、って。わがままになる。あんまり濡れず、気持ちよくもない。胸の先もちょんて、ならなかった。


 目で自分の身体を見よう、と思ったら。せんせと目が、合う。……かああ……真っ赤になる、恥ずかしい……そうだ、一人えっち、見られてるんだ……


「ああ、一人えっちしてるとこ、せんせに見られてる……恥ずかしいです……っ」


 でも口に出すの。出せばきっと、せんせなら止めてくれるって思うから。でも、でも、ダメだった。無言。もじ、もじ。あたしはじれったい愛撫を、続けるしかなかった。


「はぁ、はぁ……ん、まだ、ですか? やっぱり、せんせにいじってもらうほうがずっとずっと気持ちいいです」


 涙ながらの懇願は、男の人の更なるいじわるを引き出した。


「ここでおねだりしろよ、なぁ? できるだろう?」


 言葉は、えっちな官能だった。迫られると感じる、気持ちいい……あたしはもう、そこまでせんせにされてる……


「はい……犯して、ください。今脱ぎますから、あたしを犯して、ください」


 スカート好きなせんせのためにショーツだけ脱ぎ、上半身は裸にして、お尻を向けた。めくったスカートからあたしのお尻が丸見えになる。見られてるの、ふふふ。せんせはあたしのお尻大好き、四つんばいにさせるのも大好きなんだから。


 じっとその体勢でせんせを見てたら、ぐいっと近寄ってまた、キス……ふふ……


「ん……せんせのキス魔、うれしいです。ふふふ。どうしてせんせはキス好きなんですか?」


「さぁ、どうしてだろう。わからないんだ」


「あ、そうですか。そうですよね、好きって、わからないですよね。んっ……」


「どうしてかわからないけど、でもたまらなくお前のことが好きだよ」


「せんせ
 ありがとう、ございます。あたしもたまらなく、好きっ」


 こんなにうれしいこと言ってもらえる。あたしはしあわせな奴隷だ。鼻がくっつくくらいの距離で言われるとじんときちゃう。あ、あそこが……動いちゃう。


 そこをせんせが、なぞった。あたしはびくっ、と跳ね上がる。ああ、あたしのやらしいの、バレちゃわないかなぁ。バレませんように。あたしはいやらしいけど、せんせには貞淑な女だって思われたいの。


「あんっ。やったっ、せんせに触って、っ、もらえたっ」


「ん? なに、嬉しいの?」ぐりぐり、へへ。


「そうですよ、毎回、っ、うれしいんですっ。もっと触ってって、やらしくてごめんなさい」


「やらしくないよ、大丈夫。もっと触ってあげるね」


「あっ、うれしいっ。せんせ、やさしいですっ」


 今日はほんと、どうしてかな。やさしく、愛撫してくれてる。野外露出したから? そうなら、今度は丸裸にだってなれるなぁ。ちゅく、ちゅく、ふふ、くちゅっ……


「お尻も触りたいなぁ、触って欲しいって静香言わないかなぁ」


 もう、お上手さん、うふふ。


「……はい、言います……お、お尻も、触って……っ」


 すぐに手がお尻をなぞり始めた。すりすりさすり、揉み揉みする。揉まれると形が崩れ、あたしはうれしい嬌声が喉にできるの。だから、ちょっぴり我慢するの。でも、出ちゃうの。


「んっ、せんっ、ぁ……っ」


 そこを、キスされる。塞がれてしあわせ、舌はミルク味だ。次にお尻さわさわ、なでなで、してから、ん、手が伸びて今度は胸を揉んできた。ぐにぐに、揉まれ、またえっちな声、出そうになり、すると今度はあそこに指が、入って、く……ん……もうっ。


「ひどいですせんせっ。キスして、お尻触って、胸触って、あそこも触ってっ。順繰りはひどいですっ」


 もっとしていいですよ、の抗議。するとせんせは、あろうことか今度は全部、一緒に……っ。


「同時はもっとひどいですっ、っ!」


 胸とお尻を同時に揉まれながらあそこもこすられる。あたしはそのやり方があんまりにも上手で、やさしくて濡れ、出すの。大人の黒く茂ったところを何度も指が往復すると、えっちな声でお返事するの。うれしいですもっとしてください、えっち、って。お尻はもうちょっとやさしく揉んでください、えっち、って。喘ぐとせんせはそれにちゃんと応えてくれるの。お尻を今度は叩いてくれて、うれしくてびりびりに涙し、ありがとうとえっちな声出すの。へへへ。せんせ、もっとして、いいですよ。


「……ん、ぁ……ぁ、ん……あん、せんせ……はぁ……はぁ……っ」


 せんせの愛撫に、涙しながら準備が整う。そういう、えっちの目でせんせを見ると。挿れるよって、顔、してた。


「はい、どうぞ。ぁっ……っ! はぁ、せんせ、
挿入(はい)ってきた……っ、へへ、生でえっち、してる……っ」


 すぐに挿入される。せんせのおっきいのがあたしを攻撃する。太いおち○ちんがなんの不都合もなくあたしに沈んで、ぐいっと押してくれる。その圧力であたしははぁっと喘ぎ、前に押されるから後ろへ腰を、ずらそうとするの。腰がもう、動くの。振っちゃうの。教えてもらったから。あたしは、やらしいの。


「嬉しいんだ? 生でえっち」


「そうですよ、うれしいです。っ、せんせとほんとの、えっち……パティちゃんもうれしがってました。あたし、っ、あの子に結構共感あるんです。せんせの、奴隷として」


 なにもかもせんせの言うとおりしたい。従順な性奴隷でいたい、それだけがいい。って。わかる気がするから。


「ふぅん、そうなんだ。じゃあ今度、三人でやろうね」


「……はい。今度はあの子と、三人でやります。彼女のこと、いっぱい愛してあげてくださいね」


「おいおい、静香じゃなくていいのか?」


「そりゃあ、あたしもだとうれしいですけど。年下は大事にしなきゃ。せんせ、ちっちゃい子好きでしょ?」


「いやぁ、そんなことないよ」


「ふふ、嘘つき。あたしだって子供ですよ、ちっちゃい子が好きなんです」


「なにをっ、生意気言うなっ」


 ぐちゅっ、ぐちゅう……はっ、せんせ、怒っちゃった。思いっきり突かれちゃった、うれしい。気持ちいい。


「あっ、ごめんなさいっ、やっぱりあたし、っ、生意気でしょっ? もっといじめて、いいですよ、っ」


「なんだ、お前は
Mだったのか?」


「……はい、だってせんせの、奴隷ですよ……
Mに決まってるじゃないですか。で、でも、いじめてほしいってわけじゃあ、なくてですね、なんでもするってだけなんです。そこんとこよろしくっ、お願いしますねっ」


「ああ、わかったよ」


 せんせのおち○ちんがまた侵攻する……あたしのあそこを、ぐいぐい進んで、ぶつかって、戻って、そのときでっぱりが引っかいて、あたしをくらくら気持ちよくしてくれるの。押されるときが気持ちいい、硬くて。ふふ、生えっちだ。あ、胸も揉み揉み、してきた。うふふ。どうですかぁ? せんせにいじられるためだけのおっぱいです。好きにされてうれしがってますよ? あ、お尻もだぁ。うふふ。あちこち、好きにされてる。しあわせだなぁ。


「あ、せんせ……んっ、んん……おっぱい、好きですね、張ってきたのわかりますか? お尻も、揉みすぎです……感じちゃう……せんせに教えてもらったこと……っ、感じるってこと……」


「揉まれると感じるんだ?」


「はい……胸を揉まれると、感じます。挿入もしてるから余計です」


「あそこは? どう?」


「あ、あそこはっ、もちろんです、言うまでも、ないです、っ」


 ぐちゅっ、ぐちゅっ。動きは止まらない。せんせの熱い感じが、あそこから身体の奥に届いてく。そのたび快感が伝わってきて、濡らしていくの。うれしい、って。


「言うまでもない? ふぅん、そんな女だったのか」


「だって、せんせが挿入ってくると、っ、いっつも感じます、感じますっ」


「気持ちいいならいいって言えよ」


「はい、気持ちいいです、とっても気持ちいいです、ぐちゅぐちゅでぇ」


 濡れたあそこがこすれるの、とってもです。とっても気持ちよくて、せんせに合わせて腰を振っちゃうんです。


「尻は? どうだ?」


 するっと指が、軽く入ろうとする。一本なら、覚悟はもうあるから、すぐに受け入れるけど。で、でも、ここにせんせのあそこ、挿れるとなると……恐怖が少し。今の指なら、ん、ちょっと痛い、だけ。


「お、お尻はまだ、ちょっと……痛みは、減りました。せんせが慣らしてくれましたから、はい。か、開発してもらえて、うれしいです。もっとあなた好みに、なりたいな、あっ」


「静香っ、好きだっ」


「せんせ……っ、好き、せんせ、好きっ」


 強く突かれる。愛情に満ちた腰つきがあたしをよじらせ、くねらせる。あそこから届く快感に泳ぎ、疲れ。はぁとため息が漏れた。


「綺麗だよ、静香」


「うれしい……っ」


 言葉は魔法だ、びりびりくる。低い声を聞くと、なんでか。こんなにおいしいごちそう、いいのかなぁ。あたし毎回、こんなだよ。いいのかなぁ。


 ぐっちゅ、ちゅっ、ぐっちゅぐちゅ、はぁ。せんせのあそこがねじ込まれ、気持ちよく、お尻も軽く撫でられ、すっと指が入り、少しならされ、進められ。徐々に徐々に、お尻も開発されていった。段々、強く、入ってる。段々、穴、広げられてるんだ。


 せんせが、挿入るように。


「ぁ、せんせ……っ、んっ、せんっ、ぁっ、せんっ、んっ、あ、ん……」


「静香……かわいいぞ……」


「ダメですせんせっ、耳の裏でなにか、言うのずるですっ、あ、ん、ダメ……やだ……」


 気持ちいいよと。言われると心地いい。恍惚と見つめ合っちゃう。だって心底、気持ちいいもの。


 そうして見つめ合うと、自然二人はキスに走るの。キス魔のせんせ、大好き。


「せんせ……んー……んー……」


 舌がちゅぱちゅぱ、やらしく、糸を引く。ぽーっとしたあたし、見つめ、にっこりせんせ。


「好き」


 思わず、口が動くの。言っちゃうの。


 イッちゃう、の。


「あっ! せんっ、あ、せんっ、あ、す、だいす、せんせっ、だいす、んっ……」


「ダメだよ、誤魔化されない。ちゃんと言え。欲しいんだろう?」


「……ダメですか? っ、はぁ、わかり、ました……っ、あ、ん、ぁ、おま○こ……に、お願いします……」


「よしわかった、静香っ」


 ぐいぐい、最後に押される。せんせが言葉と一緒に硬くなったのがわかる。興奮してくれた、うれしい、と。あたしも濡れて応戦した。せんせがぱんぱんお尻を鳴らせて、卑猥極まりない中ぐぐっ、て、おっき、かた、気持ち……!


「あんっ
 せんっ はぁ…… ん…… あっ…… せんっ…… ん


 ナカダシして、もらっちゃった。生ナカダシ、なの。うふふ。まだ中三なのになぁ。うふふ。うれしいなぁ。孕んじゃう一番危険な年齢に、してもらえた。あ、ああ、まだ入ってくる……こんなに、いっぱい……ま、まだ入ってくる……せんせの、精子……


 生ナカダシで、イッちゃいました。せんせにそんな中学生にされました。絶頂です、うふ。


「……せんせのでお腹いっぱいです。へへへ」


 言うとまた、不思議なせんせは抜いたばっかりなのにぐぐって、なった。


「やめろよ、そういうこと言うのは」


「う、うわ、ほんと、どうして大きくなるんですか? あ、あたしもう、無理です、すごくイッちゃったし、もう無理ですよ」


 くたくたぁ。大変だよ。柚香里さんはすごいなぁ。


「わかった、もう一回襲うのはやめておくよ」


「我慢してくださいねっ、もう」


 すぐ隣に来てくれるせんせ。うふふ。隣で見るとますます男前だな。すごくカッコいい。


「せんせ……お願いします、いつもの……ふふ……ありがとうございます……あたし、こうして寝るの大好きです」


 せんせの手が、あたしの胸に埋まる。こうして寝るのが好き。落ち着くの。


「うぅん、でもこんなことすると大変なんだ。我慢するの」


「が、我慢してくださいっ、もう」


 お盛んなんだから。性奴隷としてもっとがんばりますから、今は許してください。


「せんせ……好き……」


「私も好きだよ」


「この前は添い寝、ありがとうございました。せんせが隣ってだけでやっぱり、安眠できます。悲しいのも苦しいのも全部、飛んできます」


「それはよかった。いくらでもするよ、またいつでも来なさい」


「ふふ、隣にもう一人いましたけど。せんせ、二言は許しませんよ?」


「ああ、二言はない」


「はい、ありがとうございます。せんせ、大好き」


「私も大好きだ、ふふふ」


 楽しげにあたしを撫でるせんせ。ふふ。くすぐったい思いであたしたちはいちゃつき、事後のふんわりとした気分を味わっていった。


「……コスプレも……野外露出も……しますから……なんでも……します……せんせ……せんせ……」


「ありがとう。おやすみ」


 胸の辺りから温かみを感じる。そのまま、あたしは幸福な眠りへと落ちていった。
















「ね、ねぇみゆちゃん。どうやってご主人様にその、それ、を、頼んだの?」


「え? え、えっと、憲邇さまのほうから言ってくれました」


「そっか。ちぇっ。やっぱりロリコンですね」


 そ、そんなことないですよ。きっとみなさんにもすぐやります。


 良子さんのキャットフードはおいしかった。手でつかんで食べようとすると、良子さんは猫さんだからそのまま口で食べるんですよって、憲邇さまの言ってたことを教えてくれる。……お口だけで食べると、口の周りが汚れて、ほんとに憲邇さまのペットみたい。えへへ。憲邇さま喜んでくれるかなぁ。


「良子さんもやっぱりかってもらいたいんですか?」


「えっ。え、えと、そ、それは秘密です」


「そうですか。でも恥ずかしいですよ、ずっとはだかでいなくちゃ」


「そ、そうですねぇ、あはは。く、首輪も着けなくちゃですし」


 やりたそう。憲邇さま言ってあげればいいのに。


「か、風邪だけ気をつけてくださいね。寒かったら毛布はあげてもいいと仰せつかっていますから」


「はい、ありがとうございます」


「……みゆちゃん、すごいね。よくこんなことできるなぁ」


「そうですか? 憲邇さまのご命令です。きちんとこなさないと」


「そ、そうよね。はぁ。すごいなぁ」


「あ、あんまりじろじろ見ないでください」


 あそことおっぱいはずっと隠してるけど、見られると恥ずかしいです。く、首輪も。


「ごめんごめん。みゆちゃん、綺麗よ、すごく」


「そ、そんなことないです。良子さんのめいどさんのほうがきれいです」


「うぅん、みゆちゃん綺麗よ、とっても」


「ううう、良子さんも言うんだ、そんなことばっかり。や、やめてくださいっ」


「そう? ふふふ。ご主人様が入れ込むのもわかる気がするなぁ。あーあ、私も七歳でご主人様に見初められたかったなぁ」


「みそめ?」


「奴隷にして欲しかったなぁってこと。ふふ、じゃあもう行くね。頑張ってね、みゆちゃん」


「はい」


 良子さんが出て行った。そうかなぁ。大人で憲邇さまのどれいのほうがいいと思うけどなぁ。みゆ、えっちしたときしか赤ちゃんいる気しないし。


 帰ってきたら、えっち。するのかなぁ。で、できるかなぁ。ふじんのつとめって、大変だよね。


 部屋中から香る、本と憲邇さまのにおいに。くらくらしてるけど。体中からにおい、吸収できそう。なんだか憲邇さまにずっと見られてる気も、するの。憲邇さま、そんなに見ないでください、みゆはいんらんじゃありません……はぅ……


「憲邇さま……」


 がちゃり、ドアが開いてく。


 だれかなぁ。憲邇さまかなぁ。


 あそことおっぱいは隠したままで、みゆはじっと、入ってくるのを待つの。


 首輪でつながれて、動けないんだから。
















 みゆも憲邇のいないときは気を抜くことを覚えればいいのに。憲邇がえっちをしない日は慣れてくると大体わかるから、その日ぐらい楽な格好すればいいのに。せめて、そう、下着くらい。まあまだ子供だけれど、気を抜かずずーっとじゃあ、いつか憲邇みたいになっちゃうわ。今日はわたしじゃないから、お母さんこっそり楽してるのよ、みゆ。あなたもそれくらいしていいのよ。


 と。教えようと思ってもみゆがいない。花織ちゃんのお誕生会も終わり(憲邇は相変わらずだらしなかった)、もうそろそろ寝ないと夜も遅いのに、どこにもいない。あとは憲邇の部屋だけだけど、多分憲邇はえっちの最中だろうし、今日はみゆはもう終わったし、と。一応来てみたけど。いるのかしら。耳を澄ます……えっちの音はしないわね。憲邇のやつうるさいから。


「ちょっといい? 憲邇、みゆいる?」


「……」


 息を呑む音。誰かいるわ。憲邇がいないならいいわよね、と。「入るわよ」扉を開けると。


 ベッドに紐で繋がれた、裸のみゆがいた。『みゆ』と名前の刻まれた首輪を、着けて。


「……み、みゆ?」


「お、お母さん早く閉めてっ」


 慌てて扉を閉める。駆け寄ると本当に裸で、本物の首輪を首に、ああなんてこと!


「みゆ、今すぐ外してあげる、ちょっと待ってて」


「い、いいの。お母さん、忘れた?」


 幼い小さな、ああ小さな手がそっと、首輪をなぞる。


「これ、憲邇さまがプレゼントしてくれたの。みゆ、ここでかってもらってるの」


「み、みゆ? 正気? あなた、だって、こんな」


 赤くなりながら必死で幼い肢体を隠そうとしている、かわいいわたしのみゆ。恥じらいながらも続ける声色は震えているようで、今すぐにでも止めてやりたかった。


「お、おしおきなの。こういう、えっちなの。やらなくちゃいけないの。だからいいよ、外さなくって」


「でも……」


 鎖でなく紐なのがまだ救いか、これが鎖だったら本当に奴隷のように見えてしまうことでしょう。ああ……恐ろしい。


 みゆが、こんなに、誇らしい、顔だなんて。


「いいの。ありがとうお母さん。三日だけだから、安心して」


「……た、体調は大丈夫? みゆは病気がちだって、聞いたわ」


「平気。寒くないよ、ベッドの近くだし。毛布くらいは出してもらえるんだって」


「そ、そう。……みゆ、本当にいいの? これじゃあまるで」


「ペットだよ」


 がくりとする、笑顔。「みゆ、憲邇さまのペットなの。猫さんにしてもらったの。にゃ、にゃあ」


「みゆっ。やっぱりやめましょうっ、そんなのやらなくていいわっ」


「どうして?」


「……」答えられない。なぜなら……


 わたしもやれと言われたら、やるからだ。絶対に断らない。喜んで裸にすら、なる。


 憲邇になら。


「……みゆ。憲邇と一緒に寝なさい。いいわね? 絶対、猫さんなんだから懐で寝させてもらいなさい、いいわね?」


「い、いいよ。ここでいい。みゆはペットだから、床でいいの」


 わたしと同じだわ……どこどこまでも……しょうがない、わね。もう女、だもの。立派な……色気たっぷり。


「辛くなったら、いつでもお母さんに言うのよ? 憲邇に言ってやめさせてあげる」


「大丈夫だよ、平気。三日だけだもん。絶対やれる。やらなくっちゃ」


「……偉いわね、みゆ」


「あぅ、お母さんも、なですぎっ。憲邇さまそっくりだよ、もう」


「ごめんごめん。撫でたくなるのよ、母親だもの」


 それからそうっと、抱き寄せた。裸の我が子はあっという間に大きくなっていて、いつも驚かされる。


「頑張りなさい。応援してるわ」


 これ以上ないほど、変な言葉だけれど。これ以上ないほど、似つかわしい言葉だと、思う。


「うん、がんばる。終わったらお母さんの手料理食べたいな」


「ええ、ご馳走してあげるわ。じゃあ、お休みなさい、みゆ」


「おやすみ」


 無邪気に手を振る、七つの娘。片方は必死に大切なところをいつまでも隠し続ける、いじましい娘。涙が出そう、あんなことまでさせて。わたしくらい大人なら構いやしないのに、あんな子に、ああっ。


 ばたん。……わかってる。憲邇がみんなを、女とみなしていることくらい。全員に公平な平等を与えているのだから、みゆだからと甘やかすことはしない。それくらいわかってる。


 でも……やっぱり、泣きそうっ。憲邇のばかっ。変態っ。


 終わったら思いっきり抱きしめなくちゃ! とびきりおいしいご飯、作らなくっちゃ! 一緒にあったかいお風呂も入って、どこか連れてったげよう!


 憲邇と一緒に!
















































































 第五十四話あとがき的戯言




 こんばんは、
三日月(みかづき)です。と、いうことで改訂版です。あそことあそこを削り、その代わり絵里さんと静香さんのえっちシーンを加筆修正しました。削ったのでふと、あ、もうこの際だからあそこもあとで足そう、と思いましたが、ひとまずこの状態で公開したいと思います。もう少し加筆、するかもしれませんし、しないかもしれません。気が向いたらなので、期待せずお待ちいただければと。


 それではここまでお読みくださり、ありがとうございました。また次回もよろしくお願いします。




 
20110114 20110421改訂 三日月まるる





 第五十三話へ    目次へ    第五十五話へ    一応第五十四話へ

テーマ : 官能小説 - ジャンル : アダルト

2011/04/10 22:45 | 小説COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

 | BLOG TOP | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。