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「ごめんなさい」その七十六_第七十三話_目覚め

 こんばんは、三日月です。
 たまにはこういうイベントのときに更新したいと思いまして(単に土曜日なだけだったり)。みなさんは短冊にどんな願い事をかけましたか? きっと憲邇さんは世界人類の平和を……そんなわけないですね。ハーレムのヒロインたちはご主人様とずっと一緒にいられますように、だと思います(母親たちはそこに愛娘も入ってます)。七夕……最後にしたのいつだろう(笑)。
 Q、今回のお話といい今までといい、作者はよっぽどおめでたが好きなの?
 A、子供が好きなんです……ジャンルとして「孕ませ」とかが官能小説であるのなら、確かにそれは好きかもしれませんが(ただしらぶらぶに限る)。
 拍手コメントメール、ありがとうございます。元気百倍です。
 なんだか恒例になりつつある次回予告のコーナー! 次回のタイトルは「今夜はベビードール」です。Beat Itはよく歌っています。なのでこんなタイトルに。なお、実際の本編と予告は異なります(笑)。……多分。
 それでは第七十三話です。どうぞ。


















 七十三 目覚め








 ご主人様が絶対しろっていうから、一回転の練習をしておく。まゆちゃん本当上手みたいで、よく練習してるの見るけど、うまいわねぇ。ちょうどよくスカートひらひら、パンチラの具合も本当にちらり、男心をくすぐってるから、すごいわ。あたしも見習わなくっちゃ。


 本日は八月二十日、メイド二号の誕生日。
憲邇(けんじ)先生に祝ってもらえる。ケーキも予約だし、仕事帰りの短い時間、遊園地デートだし。うふふ。べ、別に露出デート、したっていいんだからね? うふふ。あいつが言ってきたら二つ返事でOKしなくっちゃ。うふふ。


 スカートひらひら、一回転の練習をしていると、携帯に連絡が。わぁ、早く終わったみたい。うふふ。はい、準備しておきます。女は時間かかりますからね。


 本日のあたしはグレーのリボンデザイン、ティアードワンピ! 気合入れたんだから。胸元のリボンデザイン、ふんわりパフ袖、裾部分はシフォンのティアードスカートよ。ふんわりひらひら、スカートひらりね。ちょっと胸元が開くから、長めのシンプルなネックレスを着けて。


 下着は悩んで、思い切って
Tバックにしようかと思ったけれど、それだと露出のとき大変だし、へ、変態度が増すから嫌だし。どうしようかなぁ、と、考えて、水玉もどうやら一回転ほどは好きじゃないみたいだから、あたしらしく、自分の好みで選んだ。あたしだって、かわいいのが好き。刺繍だって大好き。しょ、勝負下着、なら。シンプルな白の普通の、下着が一番だったけど、でも、でも、大好きな憲邇先生が、かわいらしい下着で、喜んでくれる。だから、あたしも、段々……ああ、染まってるわ。


 だから。苺柄がかわいい(本当にかわいいの! こういうの、き、嫌いじゃあないし)、白のブラとショーツ。ブラもショーツもフロントにリボンがかわいく、ブラにはリボンテープに波型レースがかわいくって、ショーツはサイドの足口にひらひらフリル、かわいい。同じのを黒も持ってるけど、今日は、思い切って。かわいい、白にしたの。憲邇先生の好み、あたしの好み、なの。最高、だわ。スリップはなし。露出がしやすいからじゃあなくって、ただやっぱり、恥ずかしいから。ああいうのは、淑やかな人専用だわ。あたし、まだまだはすっぱだもの。


 髪はどうしようかしら、束ねたほうが本日のファッションに似合うかしら。でも彼、ストレートロングが大好きなのよね。どうしようかなぁ。うぅん、個人的にも、伸ばしたのをひけらかしたいし、このままでいいかな。ブラウンのサンダルも本日のグレーティアードにはぴったりでしょ。ピンクのふりふりガーターリング、も着けたかったから、生脚だけど仕方なくファッションで着けておいた(これに靴下はアウトよ)。こういうの、本当は
春花(はるか)さんたちに言わせると変なんだろうけど、おしゃれだって思ってもらおうっと。最近じゃあ片方だけガーターリングが普通なくらいだけど、ふふふ。私は両脚よ。


 くるり、試しに一回転。あたしはやっぱり、勢いがよすぎてパンチラしすぎかな、うぅん、見せすぎかも。短いシフォンスカートだから、すぐ見えちゃうせいもあるけど。いいじゃない、短いほうがかわいいんだし。


 さて、準備万端、用意万全。憲邇先生の車も返ってきたことだし、今日は存分に助手席を味わうんだから。


 鏡の前で最終チェックをしていると(お化粧もばっちりね)、憲邇先生が帰ってきたみたい。あたしはバッグを持ち、ぱたぱたと玄関まで向かう。


「お帰りなさい、憲邇先生」


「ただいま。すぐ出るぞ、せっかく早く帰れた」


「はーい。じゃあ行ってきますね、メイド長」


「行ってらっしゃいませ」


 いつもメイド服、そのままでデートすらしたそうな
良子(りょうこ)さんに手を振り、家を出る。彼のライトブルーのプリウスに乗り込み、助手席でシートベルト。


「今日のお前、かわいいぞ。さすがだな」


「うふふ。ありがとう。派手じゃない?」


「全然。似合ってるよ」


「ありがとう。あなたは白衣着なさいよ、白衣でデートだわ」


 最高かも。


「できるわけないだろう、まったく。まあいいや、行こう」


 エンジンがかかる。あたしはじっと憲邇先生を見て、今から見ていると到着したときからめろめろだわ、と、微笑みながら外の景色に意識を移していった。








 車中。うきうきは会話を始める。


「今日のデート、ありがとね、あんた」


「なに言ってるんだ、当たり前だよ」


「ふふ。残念でしょ、普通のデートで。あんたはどーせ露出デートがしたかったんでしょ?」


 い、いいのよ。言ってくれたら、なんでも、するから。


「う、はは、い、いや、そんなこと……今日はね、誕生日なんだ。普通にするって決めた。でないと楽しめないだろう?」


 どうやら、どうやら、押してはこない、みたい。じゃ、じゃあ……


「憲邇先生、あ、あたし、あのね、あの……は、初めて、露出、した日、あるじゃない」


「うん」


「あの日の……あ、あなた、とっても、す、す、素敵、で……え、えっち、と、とっても、よ、よか、よかった、から……きょ、今日、露出デート、して、く、ください。あの日のえっち、誕生日なら、嬉しい、です。ご主人様。
(ともえ)のわがままを、どうか、き、聞いてやってくださいませ」


 前のピザはこの人の中では露出じゃあないみたいだし、言わないでおく。その日もとっても素敵だった、けど。


「……」


 じっと、見つめられる。赤信号。止まったまま。時間も止まる。


「本当かい? 露出デートなんて楽しめないんじゃあないか」


「ちょ、ちょっとは、そうかも。で、でも、その、よ、夜が、えっちが、その、なるなら、その、い、い、いいかなぁって。そっちのがいいかなぁって。た、か、た、かん、完全に、はぁ、楽しめないわけじゃあ、ないし……」


「私としては願ったり叶ったりだが……少々巴には早いがね」


 車は走り出す。あたしの心臓もどんどこ、どこまでも走っていきそうなほど、暴れてた。


「い、いつも、い、言ってる、でしょ。あん、あんたの、やりたい、のが、一番、あたしたち、うれ、嬉しい、って」


「……」


 目は、真実しか言わない。だから、憲邇先生はにっこり、とっても楽しそうになるの。


「わかったよ、ありがとう! いやぁ楽しくなってきたな、なんの準備もしてないけど、遊園地露出は一度やってみたかったんだ! 遊園地のアトラクションはどれも優秀でねぇ」


「も、もう、えっち。ほ、ほどほどにしてね。ぜ、全裸でも、いいけど、一瞬にしてね」


 宅配員の前で、死ぬほど恥ずかしかったんだから。


「もちろん。私ね、露出は好きだけど、他人にたくさん見られるのは好きじゃあないんだ。独占欲が強いからね。まあ、ちょっと見られるだけはスパイスだが、大勢やたくさんはね。困る。だから安心しろ、なんの考えもないし、適当に普通にやる」


「はい、憲邇先生。なんでもします。巴はご主人様の愛奴ですわ」


「よろしい」なでなで、ふふっ。ありがと。


 遊園地に到着です。小さな地方の遊園地、アトラクションは普通のもの。これといって特筆するべきものはなく(あったかも、もう覚えてないわ)、普通に気軽に楽しめる。そうだ、一つだけ特色があるとしたら、観覧車が割と高いのよね。一周も三十分近くかかっちゃうし。でもそれだけ、景色は雄大だわ。この辺のビルなんてちらほらしかない、向こうは山向こうは海を堪能できるの。


「実はこんなこともあろうかと車には衣装がずらりあるんだけど、どうしようかなぁ」


 と、トランクを開ければなにやらコスプレっぽい衣装が確かにずらり。ふぅん、ふぅん。制服なら自前がいいわ、着てないし。あ、でもチアはかわいいわね、メイドはないのね、ふぅん。カメラまで、よくやるわ。


「巴に前にコスプレ露出って言われたし、やってみたいけどどうしようかなぁ」


「早くしてください。せっかくの時間なくなりますよ」


「うぅん、そうだね。なんの考えも時間もなしじゃあ、やめといたほうがいいか。巴のその格好でも充分だし。カメラだけ持ってこう」


 ばたん。コスプレたちがさようなら。別にいいけどね。大衆の前で生着替え、でもない限り。


 さて、では、遊園地! 憲邇先生にチケットをとってもらい、腕組んで出発よ! まだ日は明るいわ、暗くなるまで、精一杯楽しまなくっちゃ!


「前も言ったけど、これだけは絶対に乗りたいわ、ジェットコースター! あたし大好きなの」


「わかった、行こう」


 地方の遊園地、でも夏休みだからか、人ごみはそこそこ。憲邇先生にエロスイッチが入る前にと、一番好きな楽しみたいアトラクションへ向かって行った。


 並ぶことなく、すぐに乗れるって。二人並んで一番前の席に座る。ほかにもちらほらお客さん。これは潰れないわね。よかったよかった。


「うぅん、どうしようかなぁ。あそこは外せないとして……」


「二回ぐらいになさい、ねっ。それ以外は楽しみましょ?」


「ああ、そうだね。そうしようか。ようし、私も久しぶりのジェットコースターだ。絶対悲鳴は上げないぞ」


「ふふふ。泣いたら末代まで語ってやるわ」


「う、うるさい」


 話している間に、こつこつとジェットコースターがスリルの階段を上っていく。このじわじわくる感じも好きで、いよいよとなってからの急転直下もたまらないわ。ああ、もうすぐ……


 落下していく、ハイスピードがすごく楽しい。あたしは黄色い叫び声を上げながら、とっても楽しんでいった。


 ちらりと視界に入る、隣の人は。意外と楽しんでいる叫び声だった。ちぇっ。弱かったらいじくり回してやるのに。


 高回転、くるくるーっと、回って戻っていくジェットコースター。次第に勢いをなくして無事スタート地点に戻っておしまい。ひねりも上昇も落下も、ああ楽しかった! 最高ね、もう一回でもいいわ。


 うきうきとした笑顔でジェットコースターをあとにする。隣の人はグロッキーにでもなっていれば面白いのに、それなりに楽しんだ様子でつまんない。デートらしくあるうちは、あたしはぐいぐいと腕組んで引っ張って、リードしまくりで遊園地を闊歩していく。


「まあまあだね。どちらかというとやっぱり、私はおとなしいのがいいなぁ。これ以上早いと多分」


「恥ずかしい悲鳴でしょ、ふふふ。あーあ、あんたの情けない声が聞けなくて残念だったわ」


「うるさいなぁ」


 そんなにも美声なんだからたまには聞きたいじゃない。あたしらのあーんなこーんな声、聞いてるんだから、ちょっとくらい、ねぇ。いいでしょ。


「じゃあ、次どこ行く? 情けない声の出ないとこ? それともおばけ屋敷? まさか観覧車?」


「観覧車はラストだろう、これだけは譲れないね!」


「うふふ、よかった。あたしと一緒だ。じゃあじゃあ、ミラーハウスで鬼ごっこかくれんぼ、しましょう?」


 指差す先に返事を待たずにどどどと駆けて行く。どたどたと憲邇先生はついてくるので手一杯。ふふ。


「ええ? あそこ迷うんだよなぁ。うう、まあいいだろう、受けて立ってやる。負けたほうがジュースね」


「いいわよ、ふふふ。こう見えてもあたし俊敏だからねっ、負けるもんですか」


 軽くルール決め。先にあたしが入り、三分待ってから憲邇先生が入る。あたしはミラーハウスからもちろん出ちゃダメで、憲邇先生が入ってから三分、つまり六分後までに捕まえられなかったら負け。六分経ったらミラーハウスを出て、無事逃れることができたらあたしの勝ち、捕まえられたら憲邇先生の勝ち。うふふ。では、と、よーいどん!


 三百六十度、鏡面が広がる。どこを向いても自分が映り、でも道はちゃんと続いている。ふむふむ、お化粧直しはまだまだ平気ね。あたしはこういう、鏡の世界は大好き。鏡とにらめっこが半分お仕事だったからか、鏡は好きだった。でも残念、ここはあまり盛況でなく、来年はないかもしれないわね。あたし好きなんだけどなぁ。別に遊園地のアトラクションって、凝る必要ないと思うけど。ジェットコースターと観覧車、おばけ屋敷とメリーゴーラウンドがあったらあとは自由でいいわ。通うのに。


 三分経った。あたしはくらくら目眩がしそうな鏡の世界の、奥のほうに位置し、六分後にはすぐ出られるよう出口付近に身を潜めていた。ここなら見つかりやしないわ、三分でここまで来るのも難しい人はいるでしょう。憲邇先生が苦手意識を持っているなら、いけるわ。ジュースおごらせてやる、ふふ。


 鏡の前、自分を眺める。鏡台はすらりとあたしを映し、シフォンティアードのワンピをかわいく見せてくれる。裾持ち、しゃらんとなびかせ、髪も自然にはしゃいでいく。うふふ。くるり、ふわっと一回転をすると、ちら見せガーターに一層女らしさが駆けていくようだった。憲邇先生、あなた好みに女になっています。どうか今夜もよろしくね。うふふ。


 ここが今夜でも、構いませんから。


 さて。あっさりと三分経過、計六分。あたしは鼻歌を歌いながら出口まで向かい、無事逃げ切ることができたのでした! うふふ。じゃあ、敗北の知らせを携帯で送ってやろう。


「……もしもし? 六分経過しました。あなたの負けです」


『ええ? 本当かい? ああくそ、残念だなぁ。いやぁ、ここ迷うよ。ちょっと待っててくれ』


「はいはい」


 じゃあ出迎えに行ってやろう。あたしはちょっぴりいけないなと思いながら、出口から逆に鏡の世界に入っていった。


 曲がりくねる迷路をあっちこっち探し、いたと、憲邇先生を見つける。正面左右の三方向に壁の鏡が設置された、行き止まりでうんうん唸ってた(おでこを撫でているところをみると、どうも進んだ先で激突したみたい、かわいい)。


「はいはい、出るわよ。ふふ。残念でした」


「うぅん、ここどこを向いても自分がいるじゃあないか。どっちが壁でどっちが道かわかりやしないよ」


「あらそう? あたしこういうの得意よ。すぐすらすら進めるわ」


「そりゃあすごいね。こういうのは天性のものかなぁ。くそう。悔しいな」


「あたしジンジャーエールがいいわ。ついでにアイスも買ってきなさい、二段ね」


「ぐ、はい。しょうがないな。でも、その前に」


 ぼそり。……はい、ご主人様。かわいい巴は、あなたの言うことはいつでも守りますわ。


 憲邇先生が行き詰った、行き止まりに立つ。正面にも左右にも鏡があり、あたしが四人に増えたみたい。その、三つの鏡に映る自分が、そろそろとティアードスカートをめくっていった。


 本日のオフホワイト、真っ白が。フリルふわふわのショーツが、丸見え。ピンクフリルのふわふわのガーターリングも、丸見え。


「へぇ、靴下ないのにガーターか、それもおしゃれだね」


「さ、最近じゃあガーターリングならそっちが普通よ。ガーターベルトがもう主流だもの」


「ふぅん。わっかのほうがいいと思うけどなぁ。少しそのままで」


「はい、ご主人様」


 ショーツが鏡に、映ってる。後ろの憲邇先生からも丸見えね。誰か後ろから来たらどう思うかしら。プレイ中よって、どいてもらわないとね、ふふふ。


 録画もされています。ご主人様の趣味ですから。かあってちょっぴりなるけど、でも。


「お尻を鏡に見せてやりなさい」


「はい、ご主人様」


 くるり、お尻を向け、ティアードスカートをめくる。鏡にお尻が映り、左右からもそれを分かち、そして憲邇先生に目に、入る。あたしも憲邇先生を見つめ、じっと、録画される恥ずかしさを感じていった……


 照れも、あるけど、でも、嬉しいが、強い。好きな男にだけ、ここも好きな男にだけ見られる、空間だから。恥ずかしさより誇らしさが、顔を出す。


 そうして……この人をどうしたら満足させられるか、を、第一にする、台詞が、出てくる。


「……ねぇ、ご主人様。そんなに下着が好きなら、あ、あ、あた、あたし、一週間くらいなら、ずっと、ず、ずっと、ずっ、と、メイド服じゃあなくて、し、し、した、下着、姿で、お勤め……する、わよ?」


「ああ、そういうのもいいねぇ。うんうん、すごくいい、ありがとう、いいアイディアだ。でも、一週間もしたら慣れるだろうしなぁ、お客様の相手をさせなくってずっと下着姿でお勤めとか、プレイとして考えられるけどそれじゃあ慣れちゃうしなぁ。難しいところだ。考えておくよ、巴。そういう意見があったらどんどん言ってくれ。ふふふ。じゃあ、ブラジャーだけ脱ぎなさい、そのあと胸が見えるまでめくって、そう、こっち向いたまま」


「はい、ご主人様」


 あたしはワンピの上からホックだけ外そうとして、なかなかうまくいかず、やったことのないプレイに手先がおぼつかない、面倒だわと服の中に手を入れ、すぐに、するっと、ブラジャーを外した。憲邇先生に預ける。


 すぐに、ワンピースを、胸がのぞくまで、めくった。憲邇先生の周りの鏡でさえ、あたしの肌色を暴露させる。きっと後ろの、横の鏡には、あたしの乳房が丸映り……恥ずかしい……見られてる……ああ、見るえっちだ……ご、くん。


 どきどきする。胸が、丸見えの胸が高鳴っていく、わ。どう、どうしよう。興奮、し、しかけ、てる。


「いいよ、ありがとう、下ろして。ばっちり撮れたからね。あとで自慰するときに使おうっと」


「やだ、一人えっちするくらい、なら、あたしを使ってください」


「うん、巴と一緒にね。……お? いいね、巴、そのワンピース、素材の関係かちょっと透けそうだ。谷間に腕置いてみてよ」


「こ、こう? もうやらしい」


 試しにちょっとだけある、谷間に右手を置いてみる。胸に直接ワンピースが当たり、ち、乳首が、こす、擦れ……! ああもう、恥ずかしいわ! バカ!


「うわ、いいなぁ、すごくいいなぁ。そういう、ノーブラがくっきりわかるシャツは買ってあるんだけど、普通に遭遇するとは! ああきっちり撮れてるかなぁ、こういうの、動画とか写真になると途端にわかりづらくなるからなぁ、露出撮影の難しいところだよ」


「へ、へ、変態っ」


「待って待って、そのまま。一旦ビデオは止めて、と。よし、カメラもあるんだ、撮るよ?」


「……き、綺麗、に……」


 せめて、それくらいは。


 たくさんいやらしい機械が、ビデオカメラと普通のカメラが出てくる鞄を忌々しく見つめながら、シャッターを押された(パズーみたいなものだったらいいのに)。あ、憲邇先生見なかった。もう一回、ね? ぱしゃっ。はぁっ。撮られちゃった……これ、ほかの女の子たちに見せて回られるプレイされたらどうしよう……


 ワンピにくっきりとうつる、自慢の美乳が。残される。


「こういう写真、私の女だけでいいから見せて回るのも今度やらないとなぁ。やってないからなぁ」


 ふ、普通にやってたのねっ。変態っ。はぁっ。もう。どうしよう。


「じゃあ、最後にパンツ脱いで、渡しなさい。デートが終わるまで返さないよ。そのまま、遊園地を巡ろうか」


「……は、は、はい、ご主人様……」


 また一つ、あたしは淫らな階段を上っていくのね……すっとワンピに手を入れ、するっと、ショーツを、脱がした……


 ご主人様に、渡す。ノーパンノーブラ、かわいいワンピース一枚の、変態女のできあがり。風、吹いてないわよね。遊園地の中、確か無風に近かったはず……


「私にあそこを、鏡にお尻を見せなさい」


「はい、ご主人様」


 まだ誰も来ない、不人気のスポット。あたしはもちろん言葉の意味を咀嚼し、噛み締めて、ワンピースをめくった……


 また録画、されてる。あたしは正面に自分の黒い茂みを見せつけ、後ろの鏡たちに自慢のヒップを露呈していった……胸が見えるまで、ともの、サインが下り、仰せに従う……小さいだけにちゃんと張った、若々しいお椀型のおっぱいが、控え目な胸に控え目な乳首が、大好きな人に舐め回される……後ろの鏡越しに、引き締まったヒップを、何度も何度も指先で滑るように撫で、られる……そして……そこだけは美しくするための運動を、してこなかった、簡単にお手入れするだけ、の、唯一色白の肌に許された黒、を、じっと眼球で愛撫、される……どきどき……従ってる、ご命令のままに動く充実感と、羞恥と、嬉しそうな憲邇先生からくる、よ、喜びの、感情……いくつもの相反するはずの感情に挟まれて、あたしは息が詰まってくるのを感じていた。


 しばらく、そのままでいさせられる(写真とともに)。誰か来るかもしれない、スリルが合わさって、あたしの体温は徐々に上昇していった。


「誰も来ないね、さすがにこういうところ、もう古いかな。いいところなんだけどな。あるのもここくらいだし」


「……好き……」


「私も好きだよ。ありがとう、私に付き合ってくれて。綺麗な巴、大好きだよ」


 じゃあ、許す。全部全部、いくらだって、こういうこと、してあげる。この人がハーレムの主人足りえるのは、こういうときにこういう、芯にくる台詞が言えるからだと、思う。みんな言葉に、じんときているのよ。


「じゃあ、もういいよ。行こうか、巴。ジュースとアイスだったね、二段」


「う、うん。買ってきてよね、ライムとレモンがいいわ」


「わかった」


 ノーパンノーブラで、放置……考えるだけでぞくっとくる。あたしは、あたしは……


 腕を組み、ミラーハウスを出る。すぐに彼はあっちへ行ってしまい、一人、取り残される。


 どくん、どくん。道行く人があたしに気がついていないか、気が気じゃない。さっきノーブラがくっきりわかりそうだと、言われた。誰か指差さないかしら、あの女ノーブラで出歩いているって……ごくん。ああ、歩くだけで、お股スースー、乳首、擦れてく……


 待つ時間が何時間にも感じられる。とても立っていられなくて、すぐそこのベンチに座り込んだ。


 ひんやり、背筋を凍らせる、ノーパンの感触。どくん、どくん。あたしは淫らな、性奴隷……


「あー! やっぱり
竹花(たけはな)巴モデルだ! ねっ、そうでしょそうでしょ?」


 指を、指される。ごくん。一瞬本当にノーブラがわかったんじゃあないかって、必死に押さえてる手でノーパンがわかったんじゃあないかって、涙が出そうになった。でも、違った。ほっとし、近づいてくる若い女性二人組に笑顔で答える。


「もうモデルはやめました。なので、写真とか握手とか、サインもよしてくださいね」


「えーでもつい一ヶ月前ですよー。びっくりしました、あたしファンだったし」


「実際見ると写真とかよりずっと美人ですねー」


「そんなことないわよ、ありがとう」


「どうして辞めちゃったんですか?」


「どうしてって……」


 じっと、見つめられる……知られているわけでもないのに、体が熱く……はぁ。憲邇先生。はぁ。はぁ。うう……


 ノーパンノーブラで、人前にいる。自覚が、芽生えると同時に、あのときとは、以前の道路露出、家の前での下着姿、とは違う、人がいる、という事実が……あたしを、狂わせる。おばあさんの前でスカートめくり、したのに、どうして。あのときはショーツだけだったから? そうよ一昨日だって、もっとひどい大変なこと、男の人の前でタオル一枚、そこから全裸にだってなってやった、のに……ああでもあれは一瞬だったから? あれもあったから? あれを経た、から? まざまざと見せつけるでなく、傍目には普通である、から? わかんない。なんで、どうして……


 ぞく。って。するの。


 彼女たちの後ろにあいつが見える。こっちこっちと手を振り、振り返った彼女たちに見せつけるように、忘れるように、アイスを持つ手に腕組んだ。


「こういうこと。この人のところに嫁ぐために辞めたの」


「ええっ……ええーっ! あーそーゆーこと」


「ふぅん……さすがモデルさんは選ぶ人が違うね」


「? なに、どうしたの? はい巴、アイス。ジュースを一緒は無理だったよ、ちょっと待ってて」


「一緒に行くわ。ごめんね、そういうことなの。今はこの人専用モデルよ」


「あーお幸せにー。ふぅん、そっかー」


「お幸せにー。ふふ、いいなー。あたしたちも女子だけで遊園地なんて寂しいこと、もうやめたいよねー」


「ねー」


 騒ぐ彼女たちを置いて、二人はジュース売り場を目指しました。はぁとため息が出て、でも、と切り替える。屋台が出ているのでそちらへと。二段アイスに舌鼓を打ちながら、あたしはにへらっと腕組み楽しみ、歩いていった。


 この人と一緒なら。どんな恥ずかしい真似でも、我慢できる。どくん、どくん。胸の高鳴りは収まらないけど、ひどくもならない。はぁ、よかった。


「ちょっと目を離すとすぐこういうことになるね。有名人は大変だ」


「若い女の子だけよ。男の人なら知らない人だって多いわ」


「そうかな、そういうものかねぇ」


「ふふふ。あーん?」


「うん、おいしい」


 一回ぐらい嫌がりなさいよ、ふふふ。そこをこう、無理矢理食べさせてやるのが好きなのに。


 二人でジュースを買い、からからに渇いた喉に癒しを与えていく。はぁ。生き返る心地だわ、文字通り。


「風、ないなぁ。この辺風強いのがデフォルトなのに」


「い、いいじゃない今日くらい。さんざっぱらパンチラ、見てきたでしょ?」


「うぅん、私パンチラは一生涯飽きることないだろうなぁ。あとスカートひらり」


「変態、バカ。もう、じゃあ次行きましょう? こ、このまま、楽しんでやるわ」


「そうだね。このままで。どこ行く? あと二、三回るとちょうどいい時間で、ラストに観覧車にしようよ」


「うん。あんたが決めなさいよ、次」


「じゃあ、なんとかフォールって言ったっけ、あの上に垂直に上ってって落下するやつ」


「そ、それはダメよ、い、今は、ミラーハウスに、行く、前なら」


 ああ、スースーする。


「あ、そっか。じゃあヘリコプターにでも乗ろうか? ほらあの、ヘリっぽい形したやつ。たまにはのんびり、園内を一周して見て回るのもいいかも」


「うん、それなら。ここ二人乗りよね?」


「確かね。行こうか」


 腕を組んで、歩く。食べたもの飲んだものをゴミ箱に捨て、目的のアトラクションまで。


「お前は今ノーパンにノーブラだってこと、ワンピに乳首くっきりって、忘れるなよ」


 ぞ、く。背筋を通過する正体不明の感覚に、あたしはうんと、だけ、頷いておいた。


 違う。気づきたく、ない。はぁ。憲邇先生のせいなんだから、あたしに素質があったわけじゃあ、ない。この人を喜ばせたいだけ、この人の性欲を満足させたいだけ……


 人が一人、横を過ぎるたびに、なぜかどくんと、視線を、かん、じる。下半身を見ていないか、太ももの上を見ていないか、わずかある谷間を見ていないか、胸の膨らみを先を見ていないか。どきどきする。


 バレちゃあいないか。知られちゃあいないか。スリルが満点、きっとこの人の興奮も満点……この人と一緒にいられるから、腕を組んでいるからかあっとなって頬が赤くなる。この人が楽しそうに歩くから、嬉しくて体温が上昇する。あたしと同じペースに合わせて歩いてくれるから、胸の動悸が早くなる。恋のときめきが、体を支配して、いるの。


 決して──じゃあ、ない。興奮なんて、して……な、い。


 あたしが見られるのは、仕事だったから。その仕事に、見てもらうことに、充実感があったのは、事実。見てもらい、称賛される、誇らしさがあったのも、事実。


 だから、なの? あたし、あたし……道を、歩く人たちに……遊園地のスタッフに、子供たちに、風船を配るマスコットキャラクターたちにまで……


 見られている。という、感覚が、全身を支配、していった。恥ずかしい、思いでいっぱい、でもこの人、笑ってるから、嬉しくって、そのせいで嬉しくって、どきどきして……スリルが、お股がスースーするのが、歩くたびに胸の先が、わずか擦れるのが……その、はしたない淫らな、あたしが、見られて、いる……の、が……こ……する……か……じる……恥ずかしい、のに……あたし、あたし……


 誰かが振り返る。あたしが美人だと言ってくれている。でも、あたしは……後ろからの、視線……汚れ……てるわ……


 誰かが竹花巴モデルだ、と声を出し、こちらを見る。近づいては来ず、隣の憲邇先生にああ、と見ているだけ。見ている、だけ……見ている、だけ……


 気がつくと周りにいる人間の誰も彼もがあたしを見ている気になっていた。ノーパンでノーブラで遊園地を歩いているだけで、次のアトラクションまで歩くわずかな時間だけで、あたしは……何十何百という人に見られた、見られている、もしかしたら……という思いだけに、なっていく。


 ふと見ると憲邇先生がいない。辺りを見るとなにか機械の上に乗っていてあたしを手招きしている。あたしはふらふらとそちらへ向かい、隣に座り込んだ。


 ひやり。


「どうしたの? 変な顔して」


 遊具が動いていく。ゆったりしたペースで空を走るヘリコプターが、二人を乗せていった。


 あたしは、景色なんて見ずに、ただ憲邇先生に肩を借りて、目を閉じてさっきの視線、感触、だけを、味わって反芻していた……


 あたし……好き、かも。うん、好き、かも。ああ、好きなのよ。


 見られる、ことが。モデルのときにしていたから、いつの間にか、見られることが、嬉しいんだわ。か、かい、快感、なんだわ。


 どんなもので、あれ。


 ぞく。ぞくぞく……


「……あんたが、見るえっちなんてするから、いけないのよ?」


「え? なんのこと?」


「きっとあれが契機だわ……でないと、でないと……」


「ん? なにぶつぶつ言ってるんだ。ほら見なよ、上から見ると結構広いんだね」


 下着と、ノーパンでこうも、違うとは思わなかった。違う、下着で順序踏まれたからだわ、きっとそうよ、この人のせいなんだわ。目覚めさせられたんだわ、きっとそうよ。一昨日の一瞬でもの激しい露出行為でもよ。きっとそう。徐々に徐々に、されて、いって、とうとう、今日……


「ごめん、そんなに大変だった? あれならトイレに寄って」


 大きく首を振る。「い、いいの。あなたがしたいことだから」


「そう? どうしても嫌なら、いいよ。無理強いは嫌いなんだ」


「……どうしてもじゃあ、ないわ」むしろ、「恥ずかしいけど、でもあなたがとっても楽しそうなんだもの」ぞくりとした、「許してあげる」駆け巡るものが、あるわ。


 わかっているけれど、永遠に認めたくない、真実が。そこに、雑然と転がって、る。


「ありがとう。じゃあ、景色見ようよ。結構綺麗だよ。ほら、ちょうど遅い、夏の夕焼けが見えるよ」


 本当だった。ちょっと顔を上げれば、夕焼けの時間。綺麗な景色が、高くから臨める。しかも隣には大好きな人がいる。こんなにいいシチュエーションはない。


 ぎゅっと、腕につかまる。安心する人の腕を感じながら、少しさっきまでの危うい感覚を押しやり、綺麗な景色を堪能していった。


「……素敵ね……」


「ああ……」


「誕生日にこんなの、嬉しいわ。ありがとう」


「こちらこそ」


 ふふふ。あたしたちは下からものぞかれる小さな箱の中で、キスを交わした。


 甘い甘い、魅惑の果実の味が、ここからもする。たっぷり、進むのを止めて。唇を味わっていった。


 ヘリコプターから降りる。キスに夢中で終着したのに気づかなかったけど、いい。うふふ。とっても気持ちよかったわ。


 ええ……気持ち、いい、わ。


「もう夕焼けってことはすぐ夜かな。どうしよう、今観覧車きっといい景色だよ」


「ええ、そうね。これをもっと高くから見てみたいわ」


「じゃあそうしようか。混んでないといいけど」


 混んでるどころか、日が暮れてきて人は減る一方よ。よかった。視線、少なくなってる。はぁ、さっきほどは、感じない。


 でも……視線、視線、視線。あたし、視線が……好き。


 観覧車までの歩く時間、あたしはまた見られているというぞくりとした感覚に身を、少しだけ、震わせていた。


 一番強い、隣の人の視線が、主だけど。


 二人で観覧車に乗り込む。続いて乗る人も前にもいなく、あたしたちはたとえここでやらしいことをしても、バレそうになかった。


 ぴったり太ももと太ももをくっつけて座る。彼の首筋に鼻筋を埋めて、楽しんでいく。ああ、いい心地。この人の肌、大好き。


 ね。いいよ。ここなら密室だわ。好きなだけ、ご命令、ください。あたしをこんなにした責任、とってもらわなきゃ。


「景色を楽しみなよ、と言っても、今の巴には聞こえなさそうだな。ノーパンノーブラはやらせすぎたかな」


「そ、そうよ、やらせすぎ。ミラーハウスだけだったら、あんただけ、だったのに」


「でも」ぐいっと顎を持ち上げられる。「お前に素質があったとは驚きだよ」


「え、な、なんの、こと、よ」


「前の下着だけじゃ開花しないなんて不思議なこともあるもんだ。ピザは露出にしてはちょっとあれだしね。まあ、恥ずかしさの度合いが違うのかなぁ、女心はいつまで経ってもわからないよ」


「……違う、わ」


「露出、好きなんだろう?」


 どくん。ぞく、ぞく。「好きになったんだろう? 今日、この露出で」


「きゃっ」


 スカートをめくられる。あたしは小さく悲鳴を上げ押さえたけれど、でも、されるがままに自分の大事なところを見せてしまった。


「見られると思うとぞくぞくしたんだろう? 違うかな?」


「ち、ち、ちが、違う」


「恥ずかしいくせにもっと見てと願ったんだろう?」


「違うっ、違うわ」


 唇は震える。自分でなんて絶対に認められない。


「ふふ、そうだね。ごめんよひどいこと言って。巴は露出狂なんかじゃあない」


 ほっ。胸を撫で下ろし、やんわりと腕を押しやって、スカートを戻す。


 瞬間、耳もとで。


「露出マゾなだけだね」


 耳が壊れたかと、思った。あたしはわなわなと、口をパクパクさせ、なにか言い返さなきゃと思うのに、なにもでない。


「いいね、露出マゾメイドか。ふふ。露出マゾ彼女って呼ぶのもいいね、将来的には、露出マゾ妻だね。今も既に露出マゾ奴隷だけど」


 連呼されるワード。露出の意味もマゾの意味も知ってる、あたしには。びりびりとした、電気にも似た、酔いを、感じさせてくれた。


「……」


「ふぅん? 反論しないんだ?」


「……あんたが、そう、したの。仕向けたの。恥ずかしいのよ、めちゃくちゃ。あたしは騙されて」


「君に素質があったんだよ。私のせいにすると楽なのはわかるけど」


「あんたのせい。あんたのせいなの。あたしに素質なんてない」


「ふぅん? まあいいや、それでも。じゃあ、四分の一まで上ってきたことだし、下からものぞけないだろう。脱げ」


「はい、ご主人様」


 あたしはご主人様の前に立ち、すぐにワンピースを脱いだ。洋服を座席に置き、裸に、なる。裸に、ああガーターリングがあったわ。あとネックレスと、サンダルが。なんてフェティッシュな、格好。ロングストレートの黒髪も、後ろへ飛んでいってしまっている。控え目な胸を隠しては、くれない。


 どこも隠してはいけないと目が言っている。あたしは全裸で、観覧車に揺られていった。


 さっき鏡の部屋でめくった裸体と、違う変化が、あった。


 汗、色づく肌、そして胸の、先……


「いい格好だ、巴」


「……恥ずかしい、わ」


 思わず手が大事なところへ伸びる。ところへ、きつい声が。


「隠すなよ、手で隠したらそのまま下りさせるぞ」


「は、はい」すぐにどかす。はぁ、はぁ。


「いいね、夕焼けが綺麗で、君の体はよく映える。乳首、どうしたんだい?」


「これ、は」わかってる。興奮したから、起立したんだって。でも。「ノーブラだったから、擦れて自然となっただけよ」


「ふぅん、そう。ならいいんだ。ああいいロケーションだ、一枚撮るよ」


「……」


 ぐるぐる回る頭に、一枚、フラッシュがたかれる。全裸で観覧車に乗っている写真が、撮られた。お尻も、また前も、またお尻、ぐるぐる……


「いいね、巴の体が夕焼けに染まって、すごく神秘的だよ。じゃあ、このままずっと録画しておくから、下りる直前までそのままだよ、いいね?」


「はい、ご主人様」


「好きにしていなさい。楽にしてていいよ。別になにも言わなくていい、そのままで充分面白い。お前ならね」


 彼が楽しそうにカメラを回す。気が向いたときに写真も撮るみたい。あたしはもじもじとそわそわし、すぐに洋服の上に座り込んで、脚を斜めに、いつもどおり揃えた。もちろん、腕で大切なところを、隠してはいけない、の。


「……さ、最近どう? 月曜日とか、忙しいんだ?」


 あたしはとりわけ気にしていないように、普通の会話を心がけた。若干、震えが混ざる。


「ああ、月曜がみんな、仕事の関係の人がね、時間が空いてるから、それでね。もうちょっとだよ。もうちょっとで、多分なんとかなる。なんとかなったら、もっと環境はよくなるはずなんだ」


「そ、そうなんだ。ふぅん。大変でしょ、ふ、普通の、通常業務こなした上で、でしょ? 仕事終わりにまだ、なんだよね?」ぱしゃっ。


「そうだけど、大変とは思ったことないな。必要なことなんだ。私ね、医者の数を増やしたいんだ。そうすれば医者の忙しさが軽減される。ただそれがしたいだけなんだ」


「あ、うん、い、いいね、それ。お医者さん忙しくって大変そうだもの。ね、あんたも、も、もうちょっと、休みあってもいいわよ」


「いや、週二で休めるのはかなり贅沢だよ。
相良(さがら)五十川(いそがわ)はその休みに電話がかかってばっかりだからね」


「そ、そうなんだ。大変だね。じゃ、じゃあ、その人たちのためにも、医者は増やさなくっちゃね」ぱしゃっ。


「ああ。頑張るよ」


 話の内容が頭に入ってこない。なにか受け答えを自分がやっているけれど、なにを言ったのか話しているのか、なんにもわからなかった。


 だって、だって彼、顔もそうだけど、せっかく閉じた、お股、を……わずかのぞく、あたしの大人の、黒……上へ向いた、乳房、を……ガーターだけの太もも、までを……


 瞳の海で、犯して、くるから。


 あたしは……背徳的な状況に、ぞくぞくして、いた。興奮、していた。昂ぶっていた。恥ずかしいのに、恥ずかしいのがいいって。


 あたしは露出マゾだ。そう、教えられている。こうも明確に……


 今だって、この観覧車に誰か乗っていないか、こちらを見ていないか、すごく気にかかって……確かめたいのに、確かめないの……見られているかも、見られるかも、という、想像を……勝手に、自分から、やってる……


 見られてる、かも。いいえきっと、見られてる……観覧車から、下から、きっと……


 夕日のせいじゃない、赤が、あたしを染めている、わ……


「あたし、き、綺麗?」


「ああ、綺麗だよ。お前は美しい」ぱしゃっ。


「よかった。ありがとう。あなたも、カッコいいわ。夕焼けに輝いてる」


「そうかな、そんなことないよ」


 そんなことあるわ。夕日が眩しくあなたを照らし、陰を差す光もいつにも増して男前にしてる。惚れ惚れするわ。なにされても、許しちゃうわ。


 だから勝手に、口が滑るの。


「……あたしは、
深町(ふかまち)憲邇先生、ご主人様の、メイド二号兼、性奴隷です。どうぞご命令を、くださいませ」


「全裸で観覧車にいるのに、これ以上があるっていうのかい?」


「……あ、あたしは思いつかないけれど、ご主人様がしろと言うのなら、します」


「ふふふ。悪いけれど私も思いつかないよ。そのままでいいよ、羞恥に悶える、お前を見るだけで愉しい」


 どくん。はぁ。ご主人様。


 憲邇先生の視線と、フラッシュ、そして夕日に、焼かれていった。じりじりと。もじもじ、してしまうあたしの乳首の起立は、収まることなく、露出の快感に溺れたまま、自己主張をしていた。ぬ、濡れなかったのが、せめてもの。でもきっと、この人といっぱいえっちして、もっともっと体が慣れたら、きっと露出で──


 ごくん。そう、なったら。どうしよう。この人は喜んでくれるかしら。それだけが気がかりだわ……


 観覧車は回る。ゆっくりと、確実に。外の景色がこんなにも雄大なのに、あたしの目には憲邇先生しか映っていないまま、観覧車は緩やかに回転していった。


 下りる、直前。ふわとキスをされ、よくできましたとなでなでをされる。そのままワンピを着、ブラもショーツも返してもらった。ほっとする。……これで残念と思うのが、真の露出狂ね。きっと。あたしはまだ、そこまではないわ。


「楽しかったね、巴」


「うん。楽しかった」


 それは真実だわ。憲邇先生と腕を組んで下り、夕日が消え入るのを見送りながら、あたしたちも帰る準備をしていった。お土産、少しでいいから買ってきましょうと、暗くなる遊園地のグッズ屋さんに入り、適当なものを買っておく。今日の記念にもなるわと、イルカの置物をねだって買ってもらった。飾っとこうっと。


 なんて素敵な、誕生日。まだ、夜が、ある。


 助手席に座りながら、今日のデートを振り返って一人、もんもんとしていた。帰ったら、子作りしなくっちゃ……


 何度も走行中、髪を梳かれ、撫でられ。あたしはくすぐったい思いと、心地よい温もりに包まれて、笑顔でいた。


「本日はよくできました。帰ったらご褒美あげる。今日は優しくね」


「うん。ありがと。ご褒美、チケット? チケットって、野外露出してくださいだけはダメなんでしょ?」


「ああ、そればっかりは私のペースでやる。ふふ、露出したいんだ?」


「しっ、したいってわけじゃあっ。うう、あんたが変に調教するからよっ」


「そうかな? ご褒美はチケットじゃあないよ。今日は私が料理を作ろうと思うんだ。まあ時間もないし、巴の分だけ」


「わぁ、ありがとうっ。うふふ。すっごく嬉しいわ。ありがとうあんた。大好き」


「ああ、私も大好きだよ」


 ちゅう。はぁ。め、めろめろだわ。もう。


 ゆっくりと走る車の中、あたしは至福のひとときを感じていた。








 憲邇先生の手料理はラザニアだった。うふふ。嬉しい。あたしの大好物、憲邇先生に初めて振舞ってもらったお料理だもの。うふふ。夏だからって冷たいものばかりじゃあダメだしね、熱いものもいいわ。冷ましてもらおうっと。本日の食べさせあいっこ当番のみゆちゃん優しいから一緒にあーんしましょだって言ってくれるから、二人であーんあーんよ。うふふ。ああ楽しい。おいしい。幸せ。


「お誕生日、おめでとう」って。憲邇先生が最初に言ってくれて、とっても嬉しい。幸せ。もちろん、ほかの女の子たちにも言ってもらえて、ね。


「さて、八月も後半だね。学校がある子は夏休みももう終わるけど、さて。ここでみんなにちょっと聞いておきたいんだ」


 なにかしら、とみんなが居住まいを正す。あたしはもう一回だけあーんをし、苦笑しながら食べてくれる大好きな人に微笑んで、次を待った。


「ここにいない子にはメールで聞いてあるからいいんだけど、こほん。みゆを、今月の頭に私の部屋に裸でずっといさせたのは、知っているね?」


 みんなが赤面しつつ、顔を逸らしつつ頷く。また恥ずかしいいやらしいことだと、春花さんは顔を覆って、いやいやをしていた。


「あれはみゆをペットの猫として、部屋で飼っていたんだ。そういうプレイ。その、ペットプレイなんだけど、準備もあるし、次は希望を聞きたくってね、やりたいって人を募りたいんだ。やりたい人、いる?」


「はーい」「はい!」「はぁい憲邇くん!」「はい憲邇様!」「はい深町さま!」


 まゆちゃん、
静香(しずか)ちゃん、紗絵子(さえこ)さん、(めぐみ)さん、そして花雪(かゆき)ちゃんが、一斉に手を上げる。残りは恥ずかしそうに俯いていた。


 憲邇先生は半ば予想がついていたのか、ふんふんと頷いている。


「まあ、だろうね。もういないかな? じゃあ、夏休みだしまず静香から」


「あ、あの、先生」


 おずおずと、
千歳(ちとせ)ちゃんが手をあげる。恥ずかしそうに頬染め、でもと、頑張ったのがありありとわかる。


「わ、私も、夏休みだし、せっかくだから、チャレンジして、みたい、です」


「そうかそうか。うん、ありがとう。じゃあ千歳からにしよう、三日ずつね。明日から順繰りに、ああいや、もうちょっとよく考えて、明日の朝発表するよ。ちなみにここにいない
(いずみ)広子(ひろこ)もいいってさ。まあ、仕事が大変だしね。愛も、無理して休みをとったりするな、自然に、土日の前か翌日か、とにかく月曜か金曜に休みをとってなどにしなさい」


「はい、憲邇様」


「あーん憲邇くん、お母さん最初がいいわ。猫さんになりきってあげる」


「ダメだよ、紗絵子は融通が利くから、まずは夏休み組からさ。あと十日しかないからちょっと考えないと。もっと早くに言っておけばよかったなぁ。これは二人同時に飼うのも考慮に入れないとな……」


「もう、やらしいんだから。あ、あたし、メイド二号だから、い、いつでもだから、あんたがやりたいときは、いつでも、言ってね? あーん」


「うん、わかってる。おいしいよ、とっても」


 はぁ。もう。大好き。


「あたしお母さんと一緒だといいなー。ね、お母さん一緒にやろうよ」


 まゆちゃんはむしろ無邪気に、目をきらきらさせていた。


「わ、私は仕事がパートタイマーだから、なかなかお休みは……こ、今月はもう振り替えとか、む、無理よ」


「ちぇっ。ねーみゆちゃん、かってもらうのってどっか大変なとこある? ちゃんとできるかなぁ」


「え、えっと、た、大変なのは、その、け、憲邇さまが、その、がばぁって、毎日、だから、大変かな」


「えーそれごほうびだよ。うふふ。あたしうれしいなー、だったら」


「ねっ、それうれしいねっ」静香ちゃんも愛さんも大喜びだ。変態どもめ。あたしもだけどさ。


「あ、あと、白いの、ずっと残っちゃって、猫さんだからふかないから、その、においが、大変かなぁ」


「……」赤くなっちゃって。飼ってもらうって、そういうことよ。あ、愛さんだけますますきらきらさせてる。ド変態。


「あとは、夜のお散歩かなぁ。大変だよ、いっぱい大変」


「そ、そっかぁ。うふふ。あたし二回目のやがいろしゅつも大変だったけど、そっちもすごそうだなぁ。すごいなぁ、憲邇さんのちょうきょう」


「ねっ、せんせ、すごいねっ」


「うん、先生いやらしい」


「うるさいぞ。そうだな、そういえば静香と千歳は学生だったな……制服露出もやろう、そうしよう。あ、君たちじゃあないぞ? 学生たちに制服でしてもらおうかなってだけさ」


「もう、せんせったら」「うふふ」


 二人とも嬉しそう。まったくもう。あれはああ言っておいて油断した隙にやらせるという、憲邇先生の手の内を完全にわかっているんだわ。まったくもう。


 それからみんなで楽しく夕食を終えて(春花さんだけずっと目伏せしてた)、解散となりました。あたしは楽しい楽しい、今日も後片づけをやらせてもらっていた。


 今夜も、抱いてもらわなくっちゃ。あの人にちょっとでもいい気分になってもらわなくっちゃ。喜んでもらおうっと。一回転、ふんわりパジャマワンピースでしなくっちゃ。うふふ。


 今日、あれだけ、大変なこと、したんだから。きっと憲邇先生、前の露出のときと同じくらい、ふふふ。してくれるはず。誕生日でもあるしね。でも、あたしと寝てくれなくっていいのよ。ほかの人に夜這いに行っていいのよ。うふふ。


 そうして、夜が訪れた。








 千の夜をともに過ごす頃には、あたしはもっと淑やかになれているかしら。口うるさくやかましく、とても大和撫子にはなりきれない、あたしでも。


 目の前の人と夜を過ごすたびに、近づいている気がする。


 あたしはかわいいと言ってもらえた最後の一枚を脱ぎ捨て、男の人の前で全裸になった。じっと、ベッドに座る人に見てもらう。視線でえっちを、される。今日の恥ずかしい思いがちらと蘇り、でも、誇らしい思いでいっぱい。嬉しい、もっと見てほしい。


「今日の露出はどうだった?」


「とっても恥ずかしかったわ、バカ。ああいうこと、もうちょっとソフトにしてほしいわ」


「嘘つけ、楽しんでたくせに」


「た、楽しんでない」


「私は露出マゾです、って」ぞくり。「言えたら今日、かわいがってやる」


「ひ、ひどい。言えるわけないでしょっ。バカ、バッカじゃないのっ」


「あはは、冗談だよ。いつか言えるようになろうね、自分から」


 おいで、と招かれる。どこかほっとした気持ちに包まれ、あれおかしいなと思いつつも、でもと、裸のご主人様の胸に飛び込んだ。


「今日のお前、綺麗だったよ」


 ちゅっ。はぁ。ありがとう。ありがとうね。


 しばらくご主人様の膝の上と胸板を堪能する。はぁ。厚い、かたぁい。すりすり、しちゃうわ。とってもいいわ。すごくいいわ。彼もよしよしとあたしを慰めてくれ、とても落ち着いていく。


「大変だったね、ありがとう。やっぱり最近ひどい露出が多いかな? 巴はどうだった?」


「ひどい露出なんてないわ。あんたのしたいことにひどいことなんてない。誰も文句一つ言わないわ、それよりあんたの喜ぶ顔にほくほくよ」


「……ありがとう」ぎゅう。はぁ。はぁ。


「じゃあ、巴は今日やりたいこととか、ある? こういうプレイがいいとか、シチュエーション、外でやりたいとか」


「そ、外は嫌よ、ここがいいわ。あ、じゃあ、じゃあ……あ、あの、あの、なりきり、したい、な」


「うん、イメージプレイだね。なにになりきる?」


「……あたし、が……あ、あんたの……い、い、いも、妹、で……」


 お兄ちゃん、と。呼びたい。この人の妹がよかった、実の妹。そしたら、
奈々穂(ななほ)ちゃんのように、結ばれるから。姉に生まれてしまい、彼女に少しずつ、憧憬を感じているの。


「ふぅん、わかった。いいよ巴、今からお前は、私のかわいい妹だ。じゃあ初夜がいいね、ようやく結ばれる禁断の関係だね」


「うん。あ、じ、実の、が、いい。義理の妹はいや」


「へぇ、そう? どっちでもいいと思うけどなぁ」


「そりゃああんたはそうでしょうよ。どっちにしろ妹を食いものにするんだわ、最低よ」


「し、失礼だな。私が絶対近親相姦するとでも思って」


「しないの?」


「う、す、するわけ」


「しないの?」


「……はい、すると思います……私は妹だろうが姉だろうが、子供だろうが関係なく、人を好きになります……」


「よしよし、いいのよ。好きになるって、そういうことだわ。うふふ」


 なでなでしたげる。いい頭ね、うりうり。


「じゃあ、し、しよ? お、お、おに、おにい、ちゃん……」


 これもまた、ぞくりとする。禁断の果実、だわ。


「いいんだね? 巴? 僕たち、兄妹だよ?」


 こくりと頷く。「だって、好きなんだもん。それがすべてだわ」


 なぜか驚いた顔をされる。不思議がっていると、お兄ちゃんがにっこりと、でも少し困ったように笑った。


「そうだね、好きになったんだからね。好きなんだ、うん、好きだ。巴、僕は君が、大好きだよ」


「うん。あたしもお兄ちゃんが大好き。結婚する。形だけでもいいから」


「うん、しよう。巴、巴……」


「お兄ちゃん……」


 ぎゅっと抱きしめあい、それからお兄ちゃんは、あたしを押し倒した。好きな男の人にがばっとされる、押し倒される魅惑のめろめろシチュエーション。女なら誰でも憧れる、上に覆いかぶさって、もらった。


 見上げる、男の人の、海の深い、でも澄んだ、底に……沈められる。この人の恋の海に、溺れるんだ。きっとみんな同じことを感じてる。少なくともこの人の瞳が、海のようだと、雄大で、綺麗で、時折恐ろしくて、時折、悲しくて。どこかあたしたちを引きつける、の。


 誰かが泳がなくちゃ、すぐに荒れる。そんな寂しがり屋の、海。


「誕生日おめでとう、巴」


 なのに、あたしを柔らかく包んで、くれる。その温かみがじんと、胸を貫いてくれた。


「ありがと、お兄ちゃん。プレゼント、あたしを女に、して」


「……うん。いいよ」


「ずっと一緒に、いようね」


 でないと、お兄ちゃんは寂しくて死んじゃいそう。そっと頬をなぞる。彼の手もそれに重なり、軽く頷いた。


「うん、ずっと一緒にいよう。離さないよ、ずっと傍にいる」


「うん、うん……」


 口付けを交わす。どんなお料理よりもおいしい、感触は、目を開けて見るお兄ちゃんからも伝わってくる。ふふ、かわい。


「はぁっ……」


 唇が離れる。お兄ちゃんがまた、上に戻って、あたしの髪を撫でにきてくれる。


「じゃあ、いくよ」


「うん。や、優しく、して」


 二度目の初めてが訪れる。お兄ちゃんはいきなり舐めてくれてもいいのに、ゆっくりとその滑らかな指先を滑らせるだけ。いつにも増して(おっと、ま、いっか)優しい手つきに、じんと体の奥が温かくなる。


 だから簡単に、男を受け入れたがるの。うん、優しさが嬉しいだけで、本日のお勤めが影響しているわけじゃあ、決してないわ。


「挿れるよ。戻るなら今だよ?」


「戻らなくていい。間違っててもいい。それでもいいの。あなたが好き、あい、愛して……」


 ここだけは自信がない。
絵里(えり)さんは柚香里(ゆかり)さんはそれは愛がある、でしょう。でもあたしは……


「僕も愛しているよ、巴」


 この、口がうますぎる変態。でも、でもそれ以上、あたしはなにも言えず……ゆっくりと迫りくる巨大な物体に、目を、つむった。


 一つに、なる。身体全体が傾きそうなほどの刺激を感じ、あたしは「んぅ、はぁっ」と、喘いだ。


 なんて、快感。心底、痺れる、今日、野外露出なんかしたから……


 あたしは露出、マゾだから。そのせいで死ぬほど、感じちゃう。ああ、気持ちいい……


 この人も。巨塔ほどそそり立つ、モノで。あたしのすべてを、壊しに、きた。


「お兄ちゃん……やったね、えっち、できたね、うふふ……はぁっ」


「うん、できたね。これでもう、巴は僕のものだよ。体も心もね」


「うん、うんっ。なんでも言うこと、聞く。どんな格好もする。どこでもえっちするし、どこでも脱ぎます。お兄ちゃんの言うこと、妹は全部聞かないとね」


「いい子だ」頬滑る、指の背にぞくり。あたしは「はぁ、はぁ」と漏れるため息に、なるべく色っぽさを込めた。


「きつくないかい? 辛くない? 痛くは」


「ないよ。大丈夫、お兄ちゃんのしたいように、して」


「ありがとう。じゃあ、まずはおっぱいを堪能しようかな」


 急に指が今度は胸を襲う。あたしは嬉しい気持ちと重なる快感が波のように絡まり合い、胸が自分から脈動、しているわ。


 おっぱいをこねくり回される。パン生地にされる嬉しさに、胸はできるだけの柔らかいものを与えようと必死だわ。若いだけで、すっぽりこの人の手のひらに収まるサイズ、そしてきっと柔らかさは、性経験と正比例する。きっとみゆちゃんにだって劣る、情けのない乳房、を、この人はお兄ちゃんはとっても、硬くしながら、興奮する顔で、こねてくれる。あたしは……「お兄ちゃん、あっ、あっ」乳首を変形させることで、応えていた。


「お兄ちゃん、気持ちいい? あたしのおっぱい、もっと触ってっ」


「ああ、いいんだなっ。ずっと触りたかったっ、お前の胸が膨らむのに、欲情してたっ」


「ああっ、えっちっ、お兄ちゃんのえっちっ、あっ、あんっ」


 今度は潰される。そして、そしてとんがった乳首が転がされ、あわあわとあたしは恥ずかしいながらにそっぽ向き、でも、転がる快感を追っかけて、自ら坂を転げ落ちていった。


 胸をめちゃくちゃにされる、快楽は、あっさりとあたしを陥落し、求められる嬉しさに塗れる。心底から心地よく、胸、だけで、あたしは、うっとりと嬉し涙を流していた。


「あたし、も……お兄ちゃん、夏に上半身裸でうろうろする、から、あ、ん、欲情、してたよ? どきどき、してた」


「ダメだな僕たち、兄妹で。そっか、じゃあ今度から、家族の目を盗んでお風呂も一緒に入ろうよ」


「うん、いいよ。お風呂えっち、する。お兄ちゃんタオル巻いちゃダメだからね?」


「ああ、わかってる。寝るときはこっそり僕の部屋に来いよ、それか僕が夜這いしに行く」


「夜這いがいい、来て、お兄ちゃん」


「わかった」


 言葉終わり、今度は膣を貫かれる。「ああっ! お兄ちゃん、強いよっ」初夜という設定、兄は我慢できない思いをぶつけてくれ、あたしは高鳴る鼓動を感じていた。初夜よ、初夜なのよ。あたしも、なりきらなくっちゃ。


「お兄ちゃん、もっと、あっ、弱くしてっ。はげしっ、あっ、あたし、はじ、んっ、初めて、だよっ」


「あっ、ご、ごめん。つい、興奮して。僕も、初めてだから」


 やっぱりこいつ、なりきりうまいわ。演技派ね。台詞がどうして一回も棒読みにならないのかしら。


 でも。そっと兄に涙を拭かれ、あたしは笑顔でこう言った。


「お互い初めてでよかったね。うふふ。お兄ちゃんは経験しててもよかったんだよ? 最終的にあたし一筋になるなら、誰と経験してても平気だよ? でも、あたし一生お兄ちゃんとしかしないから」


「僕も一生巴としかしないよ。大好きな妹とね」


 ああ、大嘘つき。今だけの言葉だわ、ふふ。もう、そこまでなりきられると困っちゃう。


「ありがと。じゃあ、ゆっくりして? まだ、慣れてないから」


 でもあたしも嘘つきだ。本当は完全に慣れてしまってる、早くこの人のペースで動かしてほしい。でも、でもそれだと、今日の露出で昂ぶった身体は崩壊しそうで、怖いのもある。ゆっくりでじっくりと、焦がされていきたい。


「わかった」


「ん……はぁっ……はぁっ……」


 ゆっくり、ずぷずぷと侵入が続く。あたしの膣内を大好きな男の人が進んでいき、めりめりとお腹を壊してくれる。それが刺激となり、あたしを困らせ、気持ちよくさせる。ゆっくりと突き進む刺激は、今日のジェットコースターのように、あたしの気分を高揚させる。あそこから、水を流し。男の人をもっと受け入れたがる。


「はぁ……好き……好き……お兄ちゃん……お兄ちゃん……」


「僕も好きだ、大好きだ、巴……」


 お兄ちゃんと呼ぶたびに、身体が震える。感慨深く、そして禁断の響きが、好きなんだわ。そして呼ばれるたびに、確かに男の人も振動してる。それが嬉しい。気持ちいい。


「巴……かわいいよっ。綺麗だよ巴っ」


「やっ、やだ、やだぁ、もうっ。そ、そんなの言わないの」


「かわいい!」


「恥ずかしいのっ、バカにいっ!」


「かわいい巴が気持ちいいよっ、巴っ」


「バカ、バカ……」


 でも嬉しい。涙いっぱい、そしてあそこが、なにか囁いてる、この人のモノに。ああ、気持ちいいんだ。低い声でかわいいって言われると、あたしの身体が気持ちいいって言われると、あたしも気持ちいいんだ。ああ、やらしい。あたしやらしいよ。声が好きなんて、ちょっと変だよ。


「んぅ……はぁっ、はぁっ!」


 キス、する。彼の唇、吸い付くあたし。唾を交換し、大人のキスをし、そこからも快感を受け渡しする。今日、おかしい、なにされても、最高に気持ちいい。ああ、感じてるっ。


「お兄ちゃん……き、気持ち、いいよ……お兄ちゃんが、優しく、するから……きゃあっ!」


 ぐずんっ、と勢いよく、ベッドを動かされる。あたしは顔を歪ませ、飛び上がる快感に踊らされていた。ああ、今、とっても気持ちよかった……もっと、もっと突かれたい……


「きゃっ、お、おに、あっ、んっ、はぁっ、ふっ、あっ、あっ、ああっ」


 お兄ちゃんがとうとう我慢できなくなった。あたしを思う様、犯している。振動が熱い、揺れる鼓動、熱が、汗が、お互いを濡らしている。ずちゅっ、ずちゅっ、あそこは擦れに擦れ、お互いを気持ちよくさせる。お兄ちゃんはあたしにぴったりと吸い付き、二度と離れない。そしてその、あまりの硬さにあたしを困らせるの。快感だけを運んで、初夜のはずなのに痛みをなくして、快感だけであたしを泣かせるの。むせぶほどの、快楽に沈めて、くるの。


 絶頂、いくかも。今日初めて、初めてのえっちから一ヶ月ちょっとで、絶頂、しちゃう、かも。だって、だって気持ちいいもん。すごく気持ちいい。露出で熟れた身体が、身体全体が喘いでるわ。汗が、愛液が、涙が、愛を囁いている。火照った肌、濃い吐息、潤んだ瞳。全部が、興奮を露わにしているもの。


「お兄ちゃん……好き、好きなの、大好き」


「好きだ巴、好きだ、好きだ」


 うんうん頷く。返事くれなくていいのに、いつも言ってくれる、優しいお兄ちゃん。あたしは涙ながらに笑顔で、また「だーいすき!」と大声で言った。


「大好きだっ、巴っ」


「お兄ちゃんっ! お兄ちゃんっ!」


 しっかりとあたしは、もっともっと兄がほしくなり、両手で背中を抱き寄せ、両脚できっちりホールドし、もっともっと引き寄せた。もっとぶつかるようにしてほしい、って。もう一生膣の奥にアレがぶつかったままでいてほしいくらいだって、教えてる。ああそれじゃダメ、動かなきゃダメ。ぶつかって、衝撃で女の悦びを身体に運んだあと、戻ってからまた同じ衝撃をくれなきゃダメ。うん、じゃあ、一生膣の中に男のモノを挿れた状態でいてほしいくらいだって、教えてる。そうしましょう。ね? 一生は無理でもね、お兄ちゃん? 一生の三分の一くらい、挿れた状態でいてね?


「え? なにか言った?」


「うぅん、なんでも」危ない、小声で言っちゃうところだった。変態なこと、言いたくないわ。


 でも心は、変わらない。一生の、起きてるうちの三分の一くらいは。この人と一つでいたい。それくらい……今に、感じてる。今の、あたしの、女としての悦びが猛々しい。狂いそうなほど、よがって、いた。


「おにい、あん、あっ、あっ、あっ、あん、お兄ちゃん……気持ちいいよ、すっごく気持ちいい……ねぇ、熱いね、お兄ちゃん。すっごくあつぅい……はぁ、はぁ……」


 ぼうっとしてきた。身体を揺らされるほど突かれるのがずっと続いているからか、そのたびにこめかみからつま先まで神秘的な快感に満ちていくからか、ぼうっと……


「巴……すごくかわいいぞ……それに綺麗だ……僕も、すっごく気持ちいいよ……」


「あーん、やだもう、お兄ちゃんのえっちぃ……うふふ……恥ずかしいったらぁ」


「やだ、かわいいはずっと言う」


 言うとともに突かれる。ぐりぐりぐりと強引に近い腰使い、この人はいつも変化に富む。だから、踊り咲くのね。ああ、快感。快感。


「うふふ。あん、お兄ちゃんもぉ、カッコいいよぉ? うふふ、あん、あっ、あっ、あっ……はぁ、ふぅ、はぁ……カッコいいお兄ちゃん、だーいすき!」


「僕のほうがかわいくて綺麗で愛らしい巴が大好きさ、負けないぞ」


 今度は違うところを貫かれる。また斜め角度違うところからの刺激に、濡れ、涙が、ああ、気持ちいい。ぴりぴりとした快感だわ。


「ありがとう、お兄ちゃん……はぁ、はぁ……はぁ……んっ、はぁっ、ふぅ……」


 次第にへとへとになる。今日の露出で精神的に疲労しているからかわからないけど、じっくり初夜を再現しているからか、あたしはやっぱり、一回でもすごく大変だ……じっとりと濡れ、次第にスピードの増す彼に、どっと、汗と、息が、増える。


「あっ、あっ、おにい、んっ、はっ、あっ、んっ、やっ、やっ、はぁ、おに、あんっ」


「巴……かわいい、すごくかわいい」


 恥ずかしいことを何度も何度も言われ、彼は腰を止めなかった。結果、あたしは膣を濡らしに濡らし、快感でシーツを汚していった。全身に痛みにも似た快感が広がっていく。彼が絶え間なくあたしを犯してくれる、せいで。おかげで、あたしは艶やかなため息を吐き、彼を誘い誘われるままに兄も、あたしと口付け、突くは続く。唇が橋を渡し、それからべっとりと胸を舐め回す。あたしはびくびくびくっと身体を仰け反らせ、胸を責めてもらえる嬉しさと気持ちよさにのた打ち回った。声にならない叫び声を、上げ、それがひどく激しい快楽だと、教える。


「お兄ちゃん、舐めちゃダメ、あんっ、ああっ」


「うるさい、お前の胸がエロいんだっ」


「やだ、さいてい、ひど、んっ、あっ、あっ」


 胸は性感帯……声も性感帯……あたしはべろべろと蠢き這い回るお兄ちゃんの舌に、溶かされていった……


 巨大な舌に胸を蹂躙され、恥ずかしさと嬉しさを心地よさに全身をくねらせ、暴れて、そこを抑えられ、また嬉しく……幸せはループする。幸せな、匂いが……段々、感じてくる。あたしは初夜を忘れ、いつものように宣言したくなってきた。彼もそろそろと、硬さが増してくる、から。


「お兄ちゃん……ああ、いい、いいよ……ね、子供、つくろ? ねぇ、お兄ちゃん……」


「ああ、わかってるっ! 前からお前を孕ませるつもりだったんだっ!」


 段々、早くなる。彼の興奮が、高くなる。


「変態……あん、あ、あん、ああ、いい、き、んっ、いい……お、おま、おま○こ、して……して、お兄ちゃん……」


「うん? ダメだよ巴、そんなこと言っちゃダメだ。それだとセックスしてと言っていることになるぞ、僕以外に言うなよ」


「ああ、そうだ……はぁ、ん……おま○こ、おま○こに、なか、ナカダシ、して……ナカダシ、してくれないとお兄ちゃん嫌いに、なるからね……はぁ……っ」


「わかった、巴っ、巴っ」


 お兄ちゃんがあたしをどんどん犯してくれました。あたしはぼうっとした頭がなにも考えられず、ただただお兄ちゃんを捕まえて離さないようにして、なるべく色っぽく艶っぽい喘ぎ声を出すだけでした。キスで感じ、胸を舐められ感じ、あそこを突かれて感じ、あそこと一緒に泣き続けました。喘ぎ続けました。全身をくねらせ続けました。そして……


「お兄ちゃん……はぁ、お兄ちゃん……はぁ、あん、好き、いいよ、好き、いいのっ」


「僕も好きだっ、そろそろ
射精()すぞっ」


「うん、射精してぇ、ナカダシ、してくれたら、産むから、孕むからぁ……あんっ!」


「巴っ!」


「お兄ちゃんっ
 ああ ああ、お兄ちゃんだ…… はぁ……はぁ…… あ、あ、ああ あっ あっ お兄ちゃ……


 生ナカダシ、される。続々と注がれる大好きな人の白い液体に、膣が満たされ、やがて子宮も、満たされることでしょう……ああ、気持ちいい……全身がびくつき、跳ね回り、のたうち、動き回る……背筋から弓なりにもしなり、丸まろうともし、なんだか忙しない……あそこと頭が望外の心地よさ、そしてそれが身体中を満たしていくの……今までで一番の、初めての感覚……信じられないほどの快楽に満たされ、女の悦びはこうなんだと、初めてわかるの……


 達した、の。絶頂、なの。い、イッちゃった、の。わかる、わかるわ。絶対そう。ああ、初めての絶頂、初めてのイメージプレイで……絶頂……ああ、幸せ……匂いも、うふふ……


 やっぱり孕みたいけど孕んでませんようにと祈りながら、彼との結合を外した。ごぽごぽと体内からこぼれ落ちる赤ちゃんの元に目を逸らしつつ。ぼうっと、にへらっと、してしまう。あんなにナカダシされちゃった。うふふ。できちゃうわ、こなくなっちゃうわ。うふふ。


 後始末終わり、とっても心地いいじんわりとした余韻に浸りながら、ごろごろと甘えるの。だって今は妹だから。


「ありがとうお兄ちゃん。えっちしてくれて。気持ちよかったよ、あたし」


「僕だってとっても気持ちよかった。ありがとうえっちさせてくれて」


「どういたしまして。うふふ。これから一生させてあげるねっ。いつでも好きなときに」


「ありがとう。ふふ」


 髪を梳かしてもらう。うふふ。幸せ。最高だわ。


「巴、イッてたね」


 びくうっ。……「う、うん。イッちゃっ、た」


「嬉しいよ、僕で気持ちよくなってもらえて」


「あ、当たり前でしょ、お兄ちゃんとっても上手だもん」


「そうかな、そんなことないよ」


「あるわよ。初めてのあたしにとってもぴったりの、優しいの、上手なの」


「そうかなぁ」


 そうだわ、絶対よ。


「……あ、あたし、こんな、優しく、してくれる、なら、ろ、露出だってなんだって、す、するよ?」


「ありがとう。させるよ、巴。覚悟しておきなさい」


「うん、ごしゅ、ああお兄ちゃん様」


「あはは、変なの」


 変じゃあないわ、もう。あ、そうだ。


「ねぇお兄ちゃん、あ、あたし、その、年子が生まれるまで、子作り、したい、なぁ」


「いいよ。ただしそれなら、一人目ができてから一年はお薬飲んで避妊してね」


「……それだと、年子は一生できないじゃない」


「うん、だから一生子作りしよう、巴。やめるつもりはないよ、いいかい?」


「……バカ……さいてい……うん、わかったお兄ちゃん。一生子作りする。け、けど、あたし一人で、い、いいわ。その、お父さんとお母さんのこともあるし、一人が限界だと思う。そ、それからは、お薬使うね。い、いいでしょ? お兄ちゃんナカダシさえできたらいいんでしょ?」


「い、いやまあ、そんなことは……子供を作るのは巴だからね、一人にしたいならそうしよう。いいよ、避妊して。ふふ」


「うふふ。ありがとうお兄ちゃん。そうだなぁ、子供は早めにほしいけど、まだまだお兄ちゃんとえっちしたいしなぁ。どうしよっかなぁ。もうお薬、飲んでさ、しばらくえっち三昧もしたいな。どうしよっかなぁ」


「好きになさい。それは巴が決めることだよ」


「うん。うふふ」


 それからごろごろとお兄ちゃんに甘えました。うふふ。なでなで、ぎゅうぎゅう、ちゅっ。はぁ。幸せ。幸せの匂いいっぱい。ありがとお兄ちゃん。イメージプレイ、してくれて。野外露出、いくらでもします。大好き、お兄ちゃん。


「僕も大好きだよ、巴」


 ぐっすり、おやすみなさい。








 翌朝。あたしはすやすやと眠るお兄ちゃんのかわいい寝顔を十二分に堪能してから、ゆさゆさと起こしてあげた。


「お兄ちゃん、起きて。朝だよー。早く起きないと遅刻しちゃうよー」


「うーん……ああ、おはよう巴、かわいい妹。ふふ。ふぁ……ああ、よく寝た」


 むっくり起き上がる大きなお兄ちゃん。あたしはぎりぎりまで妹でいたがった。


「昨日は楽しかったね。お誕生日デート、嬉しかった」


「僕もだよ。ふふ。起こしてくれてありがとう。いやぁ妹に起こされるとか最高だなぁ。僕は幸せものの兄貴だよ」


「ふふふ。あたしと寝てくれたら、毎回してあげる」


 あ。わ、忘れてた。むっくり、あそこ、なって、ああ確認しちゃダメ、恥ずかしい。うう、い、今からいいかな? の、見上げる目線を送ると、首を振られる。


「別にいいよ。かわいい妹が起こしてくれたんだから最高の気分だ。今日一日、兄のままでいようか?」


「や、そ、や、それは、その、恥ずかしいわ。みんなの前は、その、二人きりが」


「あはは、そうだね。そうしよう。じゃあ朝ご飯にしようか。巴はシャワーだっけ」


「うん、浴びてくるね。じゃあね、お兄ちゃん。大好きだよ」


「僕も大好き」ちゅっ。うふふ。


 最高の気分であたしも、お風呂へ向かった。ああ、爽やかな朝だわ! 窓の外は抜けるような青天の空! ああ、いい気持ち。


 お兄ちゃん。その言葉を胸に抱き、あたしはにへらっとしながら今日一日のお勤めを頑張っていくのでした。
















 朝食の場で宣言をされる。ご飯を食べる前に言って、朝食からペットプレイ開始みたい。せんせは、あたしを、ご指名。や、やった。うふふ。なんでもします、明日の花火大会も、そのままで行きます。


「じゃあ、おいで静香。部屋に来るんだ。お前の首輪を用意してある」


「はいせんせ。ここで脱がなくていいんですか?」


 みんながさっと目を伏せる。ふふ、恥ずかしがりやばっかり。


「へぇ、そう。よしわかった、ここで脱げ、そして四つんばいで猫のごとく、歩くんだ」


「はい、せんせ」


 あたしはすぐにブラウスを脱ぎ捨て、ミニスカートに手をかける。愛さん以外、誰もが目を背ける中、あたしは自ら全裸になっていった。


 ブラも、ショーツも、床に転がる(この前買ったガーターリングと靴下も)。それをそのままにし、あたしは四つんばいになって、おいでと手招きする大好きなご主人様についていった。


 全裸で、猫のように、四つんばいで、歩く。はぁ。どきどきする。おっぱい、揺れてる。お尻、ふりふりだ……あたし、ほんとに性奴隷だ……


 せんせの部屋に入り、ベッドに紐で繋がれた首輪を提示される。どきどきするまま四つんばいでせんせに擦り寄り、見上げているあたしの、首に、『静香』と書かれた首輪を、はめてもらった。


 かちゃり。これであたし、逃げられない。そう、わかると、胸がじんと、くる。高鳴りが止まない、心臓が早く、走っていく。


 監禁、だ。


「じゃあ、軽く説明するよ。三日間ここにいなさい。逃げちゃあダメ。食事は口で食べなさい、手を使うな、お前は今、猫なんだ」


「はい、せんせ」


 どきどき。横に餌箱があるから、これなんだ。ふふ、食事は良子さんが確かそれらしい見た目のを作ってくれてるはず。


「トイレは良子か巴に言いなさい、ここでおもらししたらお仕置きだよ。お風呂なんて入れると思うな、気が向いたら、シャワーで洗ってやる。それと一日一回、お散歩だね。夜にする。それくらいかな、あとは大体わかるだろうし、なにかあったら良子にでも質問してくれ。携帯はあとで届ける、使うこともあるしね」


「はい、せんせ」


「ふふふ。お前、いい顔してるな。嬉しいのか?」


「はい、うれしいです。せんせのご命令ですから」


「ふふ。そうかそうか。ありがとう。じゃあ、一枚撮ろうか。首輪の文字が見えないといけないね、えーっと、私を見上げなさい」


「はいせんせ」


 カメラを構えてもらう。きっちり首輪の『静香』が見えたところで、シャッターを押してもらう。もちろん、あそこも胸も隠してません。
Dカップ、丸見え。うふふ。


「よし、映ってる映ってる。じゃあ、朝食を運んでもらうから、食べておきなさい。そうだ、猫になりきってくれていいぞ? かわいい声で鳴いてくれて構わん」


「……は、はい。れ、練習して、から」


「あはは、そう。じゃあ、三日間だよ、ちゃんとしてなさい……あ」


 出て行こうとしたせんせが止まる。


「忘れるところだった、けど、うぅんまだいいかな。三日目かな。あ、こっちは言わないとね、花火大会は浴衣を着なさい、私がめちゃくちゃ見たいから」


「はいせんせ」


「うぅん、三日目、だな。今日試してみて、だな。うん」


「な、なんですか? あ、あたし、なんでもしますよ? こ、このままで、朝のお散歩でも、なんでも」


「いやぁ、そこまではしないよ。加減を間違えると私がつまらないんだ。やりすぎは面白くない。じゃあ、いい子にしてるんだよ」


「はい」


 せんせが出て行く。はぁ、ちゃんとできるかなぁ。大変だ。


 三日家に帰らない。連絡、しとかなきゃ。ダメって言われたら無視してやる、やりたいの。
大悟(だいご)とかうるさいかもね。ふんだ。


 せんせの香りがする、室内。本の香り、男の人の香り……鼻腔をくすぐる、かぐわしい匂い……本、読んじゃおうかな。専門はよくわからないけど、読めそうなのはいくつかある。普通の小説とかも何冊かあるし。


 あ、
DVDもある。観ちゃおうかな、どうしよう。猫だからなしかも。あ、でもなにがあるかくらい……


 ずらり、せんせの収納棚には、堂々とあたしたち妾女房の名前と数字だけが書かれた
DVD、ブルーレイが、何枚も何枚も、あった。み、みゆちゃんやっぱり多いな、最初のほうから撮影しながらだったもんね。で、でもこれ、ここにお友達とか来たらどうするつもりなんだろ。大変だよ。『みゆ 露出1』とか、露出はサブタイトルがあるから、すぐわかっちゃうと思うけど。


 ……あ、あたしの、
DVD、なら……い、いいかも、しんない。でも、でも、やっぱり、恥ずかしいな……


 これ、を、飼われる、間、ずっと、観させられる、プレイ、とか、ど、どうかなぁ。せんせ、いいって、思うかなぁ。


 朝食とともに渡されたケータイに、あたしは、もう思いついたからやるしかないって、おねだりを、書いた。


 お返事は──


 顔を餌箱に近づけて、猫のように、というか、犬のようにご飯を食べる。食べる間は良子さんがあっち行っててくれるから(みゆちゃんのときにそうしてほしいって途中に言われたみたい)助かるな。口が汚れる、感慨に、あたしはにんまりとして、しまった。変態。


 でもいい。これなら、手は汚れない。箸もフォークもないから、これが一番。動物のように食事をして、口の周りを汚して、ああ性奴隷だと実感がわくと喜ぶ、変態のあたし。変態のあたしは、流れるような動作で一枚のディスクを持ち出し……


 二時間続く上映時間、ずっとずっと、続き続けるポルノ映画。二時間ごと、つまり一本ごとに一時間、休憩を挟むよう言われたけど。三日間ずっと、これは続く。えっちが、えっちを撮ったものが、ずっと。これを、観させられる。お前はこれを見て勉強しろって、言われてるみたい。ううんそうなんだわ。そうしよう。


 一本終わるごとに良子さんが取替え、してくれる。二時間ごとに、違う人の、えっちを。観せてもらえる。良子さんが選ぶから、誰のを観るか、わかんない。色とりどりの女が、同じ男の人に犯される映画が、何本も。


 あまり大きくない、液晶画面に。紫の下着を半脱ぎにされたままえっちしている、絵里さんの姿があった。普通のえっちだ。でも、絵里さんのって、はぁ、二人でえっちしてる、感じがすごくする。せんせ主導だけど、絵里さんもえっちにがんばってるのが。


 ……綺麗だな……これ、二時間……自信、失っちゃいそう。ああでも、せんせカッコいい。はぁ。ますます好きになっちゃうよ。


 胸が高鳴りながら、裸で、首輪で、繋がれたままの猫静香は。室内で女の喘ぎ声と男の囁きに包まれて、一日を過ごしていった。最中に目を開けるの、恥ずかしいなんておしとやかすぎだよ、ずるい。あ、やっぱりナカダシ……いいな……あ、せんせって、溢れるところちゃんと映るようどいてるんだ、やらし……あれ、っていうか、あれ、絵里さんって、あたしだなんて、言わないよね……ああ、二人だけのヒミツ、知っちゃった。黙ってよう。


 自然と、胸に、あそこに、自分の手がいきそうになる。ああ、いつもみたいに、せんせにしてほしいって。願ってる。


 そこでケータイが光った。なんだろ、って、見てみると。


 ……見透かしてるような、内容。そ、そんんなこと、あの一回しか。ああ、だから、い、イッちゃったら、ご褒美、ですか……強制じゃあ、ないだなんて、卑怯です。そんなこと言われたら、するしか、ない。


 続いて絵里さんが純白のブラジャーとショーツをゆっくりとじれったく脱ぐシーンから、またえっちが始まった。あ、この下着見た。脱衣麻雀のときだ。脱ぎ方も参考になるなぁ。いいとこは盗まなくっちゃ。


 せんせがちっちゃめの胸を、揉むのに合わせて。あたしも自分の自慢のバストを、自分でいやらしく、揉んでいった。


 ん、ぁ、せんせ……えっち……そんなに触っちゃ、やです……はぁ、せんせにしてもらってるって、少しでも思わないと……


 い、イけるかな。映画が何本か、夜までの数回上映する間に、一回でいいから。そしたらそこで終わり、はぁ。


 液晶の向こうとは程遠い快楽しか、自分では運べなかった。


 切ない。
















 うーん、ネクタイっていろいろあるんだなぁ。黒いのだけじゃないんだね。大人ってめんどくさそう。


 今日はおそい父の日を祝うために、この前もらったおこづかいでお買い物なのです。いっぱいもらったからなぁ。なに買おうかなぁ。ちょっと広くてでっかいデパートまで、遠いけど来ちゃったの。


 もちろんみゆちゃんも一緒です。あと、パティさんもパパを祝いたいって、実は桜園の子供たちはちゃんとしてたらしいんだけど、もっかいやりたいんだって。えらいなぁ。
花織(かおり)ちゃんと奈々穂ちゃんには言わないで来ちゃったけど、もう遊び行ってたもんなー。しょうがないよね。……父の日今やろうって、そういや言ってないかも。しまった。でも、早くやりたいもん。帰ったら言っとこうっと。


 ちありーだーはなー、やっぱり憲邇さんお休みじゃないと。ふふふ。明日花火大会だけど、それまで憲邇さんずっといるし、ちありーだーしちゃおっかなー。うふふ。花火大会の前にがばぁされちゃうと大変だしなぁ、花火大会のあとにがばぁされたいしなぁ。ふふ。


 みゆちゃんすっごく真剣な顔して選んでるや。やっぱりまじめだなぁ。みゆちゃん、憲邇さんに喜んでもらいたくっていっつもいっしょうけんめいだもんね。ふふふ。


 あたしは一個、いいのがあったから決めちゃった。青いの、きれいな線がいっぱい入ってるやつ。これ似合うかなぁ、憲邇さんなんでも似合うけど。


「みゆちゃん決まった? あたしこれー」


「えっ、は、早いよ。みゆまだ決まんない」


「そう? あたし青のネクタイだからさ、みゆちゃん違う色のがいいよ。同じ青でもさ、こいのとかうすいのとか」


「う、うーん……ど、どうしよっかなぁ。なにがいいのかなぁ。憲邇さんなんでも持ってるからなぁ」


「たばこすえば灰皿とかいいけどね。お酒もあんまりだし」


「うぅん……うで時計、憲邇さんにいいの、すっごく高いし……みゆね、この前ね、すごくいいのもらったから、お返しにしたいの」


「あーそっかぁ。なにがいっかなー。パティさんはなんにすんのー?」


「え、えと、うぅん……や、やっぱり万年筆かなぁ。な、なんとか買えるし……」


「まんねんひつかぁ。あれカッコいいよね、えんぴつってしょぼいじゃん」


「そ、そう? みゆよくわかんない。じゃあ、じゃあどうしよっかなぁ。うぅん、あんなにいいのもらったからなぁ」


「なにもらったの?」


 なんでかみゆちゃんまっかになんの。あり? なんかへんなこと言った?


「だ、ダメ、ないしょ。言えないよ」


「そう? えーなにもらったの、気になるじゃん」


「うふふ、私知ってます。みゆちゃん、すっごくいいのもらってうの」


「え、なーに? ねーねー教えてよ、ねっ、ねっ」


「ううう、ひ、ヒミツだよ? だれにも、ないしょだからねっ。あ、あのね──」


 こしょこしょ、みゆちゃんがないしょ話。ふんふん……ええっ。なにそれ、いいなー。ずるいずるいー。
詩音(ふみね)さんすごいや。


「えーいいなー。ちぇっ。あたしも混ぜてもらえばよかった」


「ダメだよ、ちゃんとチケットだよ」


「ちえー。ふんだ、いいもん。どーせまたすぐもらえるし、あたし次それにする」


「うふふ。よかったねみゆちゃん。わた、私は恥ずかしいからいいけど」


「み、みゆもすっごく恥ずかしかったです。大変でした」


「まだですかー、おちびちゃんたちー」


 あっちで良子さんと巴さんが手を振ってる。ダメだよこっち来ちゃあ、あたしたちだけで決めるんだから、アドバイス禁止!


「もうちょっと待ってー。じゃあみゆちゃん、もう決めちゃわないと」


「う、うん。じゃあ、じゃあ、こっちの青っぽくて黒っぽいのに、する」


 みゆちゃんもネクタイだ。うん、いーんじゃない?


「じゃあ買おうっか。プレゼントだからちゃんとしてもらわなくっちゃ」


「うん」


 三人でお会計。全部きちんとプレゼント用ですからって、包んでもらっちゃった。へへ、これきれいだよなー。お店の人ってすごいや。


 プレゼントが三つできあがり。三人でちゃんと持って、帰ったらすぐあげたいなー。でもなー、憲邇さんまだまだ、夜までだしなー。ふふふ。


 それからみんなでお買い物して(良子さんも巴さんも今日がなにのセールだとかなんとか、安いの全部知ってんの。すげーや)、たくさんのご飯の材料持っておうちに帰ってった。ちょっぴり時間あったし、ちょっとお洋服見て回ったけど。巴さん見ると絶対お洋服屋さんの店員さん、おどろくんだよね。やっぱりお洋服にくわしいから、モデルさんは知ってるんだ。


 みんなでわいわい話しながら帰るのって、すごく楽しいよね。あたし一番おしゃべりだけど、良子さんも巴さんも結構話すんだ。みゆちゃんとかパティさんとか、あと千歳さんとか、しとやか姫の春花さんはあんましだけど。


「ねー明日の花火大会、何時からー?」


「そうですねー。確か八時からですから、場所取りを考えると早めに行きたいですね」


「そだね、あたし花火大会のお店のって食べたことないんだ、食べたい。早く行こうよ」


「そうね、三時くらいにはもう出店が出てるはずだから、早くに場所もほしいし、それくらいに出ましょうか」


 巴さんにさんせいです! 早くにしたほうがいいよ、いっぱい食べたいもん。


「ふふふ。マスターがしたいことも、長くできますしね」


 びくって、みんなが動くの。うふふ。あたしどんとこいだよ! なんでもするもん。


「と、巴さん、このメイド二号や。も、もっと早くも、ありかもしれませんね、昼過ぎからでも、い、いっそ」


「そ、そ、そう、そうね。いいかも、ね。ね」


「うふふ。みゆちゃんお昼からとか、平気? たおれちゃわないでよね」


「ううう……な、なにしてもらえるのかなぁ。ひどくないのがいいなぁ」


「わたた、わた、私、なんでもいいけどなぁ。うふふ。なに言われてもちゃんとしまう」


 パティさん指つんつん、くせだね。


「うん、あたしも。楽しみー。憲邇さんのひざの上、あたしだかんね? ゆずらないよ? 憲邇さんが言わない限りね」


「う、うん。はぁ、なにするのかなぁ。みゆ、普通に花火大会がいいなぁ」


「巴さんや、浴衣は着物にカウントすると思いますか」


「え? えっと、浴衣は着物じゃあないんじゃないですか。どうしたんです急に」


「ほ、ほら、言うじゃないですか、着物は、昔の人は、し、下着……」


 下着? あ、前二人赤くなってる。


「そ、それは違うんじゃあなかったですか? 本当にそ、そうじゃあ、なかったはず」


「そ、そうでしたっけ。で、でも、そっちのほ、ほうが、その、ご主人様」


「やりたかったらメイド長だけ、どうぞどうぞ」


「うっ……」


「なーに? なんの話?」


「まゆちゃんは知らないほうがいい話ですよ。う、うーん、じゃあ、どうしましょう」


「えー、なんだよー、教えろよー」


「まゆちゃん、かんざしあるんでしょ? いいなー、羨ましいなー」


「巴さん? なんだよ、あたしたちめかけにょうぼうの間で隠し事はなしだよっ」


「だ、ダメよ。いけません」


「うふふ。わた、私、えへへ、知ってるー。まゆちゃん、あのね──」


 あたしはささやかれるいけないゆうわくに、そうしちゃおうかどうしようか、にへらってなりながら悩んじゃった。どーしよっかなー。うふふ。


 帰り道も楽しいのです。えへへ。
















 花雪さんの肖像画は、思ったよりうまくいかなかった。何枚描いては破るを繰り返したかわからない。最近スランプかもしれない。前はあんなにすらすら描けていたのに、なんだか不調だ。でも、描くこと自体は楽しい。やっぱりコンクールに出すって決めたからかもしれない。いいのを描こうとしてしまってる。力んでるのが、自分でもわかるもの。


「詩音さん? 少し休憩しましょうか?」


「う、うん。はぁ。どうしよう」


「お茶を淹れますわ、落ち着きましょう」


「ぁ、ありがとう」


 花雪さんはいつもの白いワンピースとつややかな黒髪をなびかせながら、部屋を出て行った。はぁ。落ち込んじゃうなぁ。憲先生ならあんなに簡単なのに。


 淹れてもらった紅茶を飲んで、少し落ち着く。おいしい。


「やっぱりコンクールはよしましょうか。締め切りもありますし。詩音さんの好きに描きましょう。少々、最近の詩音さんは描いている顔が怖いですわ」


「う、そ、そうだね。コンクールはよしとく。ゎ、わたし、そういうのじゃあない、好きに描くほうがいいや」


「そうですわ、それでこそ詩音さんの才能が引き出せますの。買い手の注文など受ける必要ありませんわ、余計に悪くなって互いによくありません」


「そ、そうかなぁ。で、でも、お仕事になったら、注文をこなすのが、その、ぷろでしょ?」


「芸術は例外ですわ。結果としてよいものを作れるのなら、そんな通例は破棄ですの」


「うぅん……そうかなぁ……」


「詩音さん」ずいっと、綺麗な顔が近づく。美人だなぁ、同い年なのに。目がぱっちり、長いまつ毛、色白。「言うことを聞くべきなのは深町さまだけですわ。それ以外は無理に聞くことありませんの」


「あ、そ、そうだね。そっか、そうだよね。ゎ、わたしつい、誰でも言うこと、聞こうとしちゃってるな。いけないいけない」


「まったくもう。よいですか、深町さまの言うことを聞くのは婦人の努めですわ。それ以外は違いますの」


「うん、わかった。ありがとう花雪さん。うふふ。なんだか元気出てきた、描こうっと。美人の花雪さん」


「まあ、ありがとうございますわ。うふふ。詩音さんもとってもお美しゅうございますことよ」


「ぁ、ありがと。えへへ……」


 なんだか筆がすらすら動くの。簡単になっちゃった。うれしいなぁ、楽しいなぁ。ああ花雪さん、もっともっと綺麗。美しく描かなくっちゃ。ふふふ。


 お昼までの時間。わたしたちは笑顔で絵描きとモデルとして、過ごしていった。








 お昼過ぎ、じゃあと、一旦花雪さんにモデルはやめてもらって、今度は今日に都合のついた
早川(はやかわ)さんご夫妻と一緒に、この前の海岸線を買ってくれた人と会うの。おめかし、いいかな。そういう相手じゃあ、ないものね。憲先生とだけ、髪をちゃんと梳いたりするの。それ以外はちょっとでいいや。


 おしゃれは、大好きな人だけにするの。


 本当は駅とかで待ち合わせしたかったけど、自転車もないわたしはどこにも行けなくって、仕方なくお家まで来てもらっちゃった。ううう、や、やっぱり、せめて自転車くらい、それから大きくなったら、車だよねぇ。


「あはは、いーいー、必要ないよ。まだ若いし、自転車っていってもこっちからしたらどうせちょっとだから、気にすることないよ」


 旦那さん笑顔で言ってくれるけど、悪いなぁ。ハンドルさばき、男の人って様になるよね。


「詩音さん自身が遠出したいと思わないなら、免許だっていらないさ。
(いさお)をこき使え、あたしが許す」


「そうそう」


 い、いいんだ。旦那さんまで、ううう。で、でも、大きくなったら免許、とろうっと。こ、こ、子供、いると思うから、遠くへ連れてってあげたいし、憲先生お仕事の日とか、ね。


 なにより、その前に。学校へ戻ることが、第一だけれど。お休み明けに、できたら……と思い、今からもお勉強を、しては、いるけれど。ゆっくりでいいって、みんな言ってくれる。だから、がんばり、たい。無理しない程度に、この前のようにならない、くらいに。できたら……花雪さんのところに、行きたいけれど。


 そうして、三人の車はどこか少し遠くへ向かっていった。知らない景色が次から次へと移ろい、自宅と学校しか知らなかったわたしには目が眩む世界。でも、いいな。広い世界、これからもっともっと、知っていこう。今日は遠くに、綺麗な青い山が見える。わぁ……


 到着したのはすごく大きな一軒家だった。買ってくれた人のお家かな、と、三人でインターホンを鳴らす。すぐに恰幅のいい中年男性が出てきて、にっこりと笑顔で招き入れてくれた。


「やぁよく来てくれました。しかし本来なら私のほうからいくらでもアトリエへ出向きますのに」


「いやいや、ご足労かけるわけにはいきませんよ。あたしらが動かなくてどうします。なにより、かわいい絵描きの卵を、でかいおっさんの腹で潰したくありませんしね」


「ははは、あれからまた二キロ太りましたよ。どうぞどうぞ」


 家の中に入る。憲先生の家とは違って、最近の、その、硬い床だ。お邪魔しますと、広々とした家は扉一枚挟むだけで、すぐに巨大なリビングに出てきた。わぁ、絵がいっぱい飾ってある。やっぱり好きなんだ。テレビとソファーとテーブルの、シンプルな調度品があるだけであとは絵画が部屋を埋め尽くしている印象を受ける。庭に面したガラスが広さを増大させ、大きな色彩と談話をしているよう。どちらかというと油絵が多くって、その色鮮やかさにやさしく包まれている感じがする。素敵だ。


「とりあえず初めまして、
(はやし)敏明(としあき)といいます」


「ぁ、ふ、詩音です。
水村(みずむら)、詩音です」


「どうぞよろしく。いやぁ配置変えましたよ、海の絵ですから、やっぱり庭に置きましてな、外を眺めるだけで視界に海岸線が入ってくる。いやいや、海に面した県とはいえ、やはり家から海が臨めるのはいい」


 あ、ほんとだ。指差したところ、ガラス戸の上にわたしの絵が置いてある。


「まあ本来なら絵を鑑賞するためだけの部屋があればいいんですが、生憎とそうはいかなくってですねぇ、水村さんの絵だけを自室に置くのもよいかと思ったのですが、それだとほかの絵が文句を言いそうでして」


「はぁ」


「一室増築して専用の部屋を作るか、いやさその金があるなら多くの絵を買えるじゃないかと、ははは、悩みどころでしてな」


「は、はぁ。でもこの空間、ゎ、わたし、好きですよ。すごくよく、その、絵それぞれの魅力に囲まれてて、どれもいやじゃないです」


 なんでか林さんは目をきらきらさせてわたしの両手をつかみ、ぶんぶんと振ってきた。


「そうでしょうそうでしょう! いやぁ妻は疎くて、わかってくれませんでしてな! いやぁさすが製作者はわかってくださる! ここで食う飯がうまいと何度」


「はいはいストップストーップ」
百恵(ももえ)さんが手を引き離した。「興奮するのはわかるが、それ以上はオイタだぞ」


「ああ悪い悪い、すみません水村さん。それでそうだ、本日お越しいただいたのはほかでもありません、私も水彩に目覚めましてな、ぜひほかの作品があれば買い取りたいと、もしくは新作ができたのならいの一番に私に連絡いただきたいと思いましてな」


「は、はぁ」座りなおす。林さんは子供のようにはしゃいでいた。


「なにしろこれの衝撃は今までで一番でしたよ、いやこれほど温かみのある絵は今までなかった、眺めているだけで心が安らかになる、なんだか昨日までの悩みがすごく些細なことかと、活力が湧いてきましてな、しがない作業員としては業務の辛さもこれを思い出すだけで、あ、今日は同僚と休みを振り替えしましてな、三連休これ幸いと、ちょうどいいから今日が早川夫妻も都合がいいと言いますし、それでですな」


「はいはい、言いたいことを決めてから言え。詩音さんが目を丸くしてるだろ」


「ああすまない、すみません。そうだ、えーっと、あれが作品第一号ですかな?」


「ぁ、い、いえ。習作のようなものは、ある程度は」


「ほほう、でしたら完成品はまだありますかな? 競売の雰囲気ですと、早川の奥さんはもう二、三作は隠していそうな空気でしたが」


「んー、まあぶっちゃけるとまだまだある。けどまあ、あそこで一気に出したとして全部いい値で売れるとは思えなかったから、様子見で一つだけにしたんだ。なにしろこっちは初めてだ、なにもわからなかった」


「なるほど。確かにあのときに予算が足りない、水村さんの出品は最後のほうでしたから足りなくて悔しい人が大勢いましてな、同じ競売仲間といいますか、同じ穴のムジナといいますかその人たちが配分と最終予想、最後にこれくらいあればいいだろうというものをみなある程度残しておくのですがそれを間違えたと、はは、おかげで私はうまい飯にありつけたわけですが、もちろん水村さんの作品がそれだけ多くを出していいという素晴らしい作品だからこそですがね、競売というシステムはいい、明暗がはっきり出ますが、とりあえず先に交渉して奪われるなんてことはありませんからな、芸術家は大抵貧困に喘ぎ、足元を見て本来の価値はもっとあるというのに、その人の今の暮らしを見て少なく、でも相手にとっては高額の金で手打ちにさせるという、卑劣漢な転売屋も多くいますしな、そのときはそれが魅力的な提示に見えるという、最低ですぞ」


「お前はその回りまくる舌をどうにかしろ。あとそういうあくどい業者のような人ばっかりじゃあないからな、詩音さん」


「は、はぁ」


「それでですな、ぜひ私をパトロン、というほど支援はできないかもしれませんが、これからも仲良くできませんかな?」


「ぱとろん?」


「絵を描くのだけでもお金かかるだろう? 道具の費用とか、いいものを使うだけでかなりかかるんだ。絵が売れなかったら生活もできないから、その辺の費用とか、生活費とかを援助する人のことさ。その代わり、さっき言ったように詩音さんに新作ができたら、一番最初に教えたり、売りに出すのをお手伝いしたり、お世話をしたいっていうのさ。単に画家とも仲良くしたいっていう口かな、こいつは」


 百恵さんの説明はわかりやすかった。最近のスランプでずいぶん使っちゃったし。


「はぁ、なるほど」


「もちろん私は水村さんの作品が喉から手が出るほどほしいですが、先の言ではありませんが私の言い値で買ってくださいとは言いませんよ、きちんと競売に出してください、そっちのほうが多くの人の目につく。作品も喜びます。世話をしたからとなんやかや言う気はありません、そうじゃあない。よい画家と知り合いたい、触れ合いたい、話がしたい。それだけです。できたらお手伝いをしたい、と。ははは。ただ競売の日程を私に合わせてくれたりすると助かります、そういう意味での繋がりですな。あとはなにより、いの一番にあなたの絵が見たい。それだけです。それでもう充分なほど報酬をもらっていますぞ」


「そういうこと。あたしらも詩音さんの絵を競売に出すほかに、買ってくれそうな人に見てもらったりとかするつもりだし、将来的に名が売れてきたら新作のお披露目も大々的にしたいし、詩音さんならそれができると思うしね。こういう人もいたほうがいいと思ったんだ」


「は、はぁ……え、えっと、でも、お金のお世話は、絵を描く費用くらいは、その」


「ああ、気にすることないぞ、こいつしがない作業員っていっても、一時期株かなんかでたんまり貯めて、それを使って趣味の絵画集めさ、優雅なもんだよ。ずっと株やってりゃよかったんじゃないか?」


「人間引き際が大事ですよ、あまり金を持ちすぎると困ります。あれでよかったんですよ。日々の暮らしは働いて得る金だけで賄っていますし、前の金は妻と二人で趣味に費やしておしまいですよ」


「結局不妊治療は諦めたのか? もったいない、可能性はあるんだろう?」


 ふにん治療? ちょっとだけ、今まで笑顔だった人の顔がくもった。


「いやいや、四十までと妻と二人で決めましたから。それでできなかったら天運ですよ。二十年寄り添ったんです、それでもう充分ですよ。銀婚式の日程、今から張り切ってるんですから」


「ああ、そうか。すまない、つい。あたしの悪い癖だ」


「いやいや、妻もおしゃべりですから。むしろ気兼ねなく話してくれて嬉しいですよ、この年になるとそういう相手に苦労します」


「わかりますよ、あたしも立場上、なんにも考えずに話せる相手は貴重です」


「ははは、そうでしょうな」


 旦那さんが耳打ちしてくれる。


「こういう、絵とかをプロデュースしたいって百恵さんが考えてたけど、しばらくはできなくてね、そのときにいろいろ教えてもらったりしたのがこの人で、もしできるようになったらぜひ自分が通ってる競売にまずはって、ね。元々仕事関係で知り合ったんだ。それから話しているうちに仲良くなってね、奥さんもおしゃべりなんだ、すぐに百恵さんと打ち解けてさ、今じゃ親戚付き合い同然だよ」


「わぁ、素敵です」


「はは。最初に買ってもらったのがこの人っていうのは、ちょっと運命感じるよね」


「はい。あの、じゃあ、お願いします。お、お世話になります。新しいのができたら、あ、でも、その、早川さんご夫妻と一緒に、になりますけど」


「ああもちろん、それでいいよ。嬉しいなぁ。ふふ。妻もね、水村さんの絵だけは褒めてくれてね、久しぶりにいい買い物をしたわねって、いやぁ嬉しかった」


「わぁ、それはうれしいです。ぁ、あと、ど、どうしても必要にならない限り、その、ゎ、わたしもまだ十四だし、お父さんお母さんが育ててくれてますから、その、どうしてもお金が必要にならない限りは、しばらくは平気です」


「そうですか、確かに若いですからな。しかし十四ですか、私はてっきり小学五年生くらい痛っ」


 百恵さんの肘だ。「失礼だろ。まったくもう」


「ううう、しょうがないです。ゎ、わたし、初めて会う人みんなに、ちっちゃく見られますから」


「そんなことないよ、男だけだ。女は一目見ればわかる」


 百恵さんのウインク。な、なんだかかあってなっちゃった。……あれ? 前もこんなこと、百恵さんとあったような、旅館とか。まあいっか。


「じゃ、じゃあ、えっと、よろしくお願いしますね。あの、リクエストとか、ありますか? その、あるなら、今描いているのが終わったらでいいですか? いっぺんに二つも描くのは、できなくって」


「いや、それは……そうだ、そうですな、妻を描いてくれると嬉しいですな、それだけでよいですよ」


「ああ、あんたもうちの、見たんだっけな」


「ええ。あれは羨ましい」


「奥さんもあんたの絵がほしいんじゃないか、え?」このこの、とでも言いそうな、さっきとは別の肘が動いてる。


「う、そ、そうですな。聞いておきます。水村さん、無理にとは言いませんし、どれだけ遅くなっても構いません。あなたは描きたいものを好きなように描いてください、そうでなければ、いいものはできませんよ」


「はい」


「よし、じゃあ次はこれを出そうかと思っているんだ、見せてやるよ敏明」


 がさっと、そういえばあった荷物を取り出される。これは……ハンバーグだ。ハンバーグをおいしそうに食べてる、桜園の子供の絵だ。


「ほほう……これは……」


「お節介かもしれないが、これを見られるかと思えば、苦労じゃあないかもしれないぞ? ああすまん、切なくなるならやめとく」


「いやいや! とんでもない、これは……確かに……」


 ……うれしいな……わたしの絵、こんな風に見て、もらえる……うれしいな……


 とっても素敵な、微笑み。


「あとは養子という手もある。もうちょっと悩んでもいいんじゃあないか?」


「はぁ……確かに、養子なら……はぁ、しかしこれは、いいものだ……思わず目尻が、緩むというもの」


「だろう? いやーガキなんて生意気なだけかと思ったけど、こんな顔もするんだって再確認したよ、なぁ勲」


「確かにね。百恵さんにもこんなかわいい時期があったかと思うと、信じられ」


 百恵さんがビンタした。ふふ、しーらないっと。


「お前サイッテーだぞ! あたしまだ二十八だぞ!」


「ごめん! 悪かった! つい!」


「ついってなんだ! ついって!」


「わかった、今夜は豪勢にする、するから」


「はっはっは。夫婦喧嘩は犬も食わないとは、まさにこのことですな」


「うふふ」


「ぐぐ……勲、お前罰として一週間パンツ一丁で過ごせよ」


「ええっ……わ、わかったよ」


「ふんっ。よし、これにするぞ。敏明はいつがいいんだ?」


「ああ、八月はもう全滅ですな。休みも妻との予定で埋まっていますから、九月の、確か第二の日曜日あたりか、またはっきりしたら連絡します。確かその日にあったはずです、第二第四ですから」


「わかった。お前吹いとけよ、その日にまた詩音さんのが出るって噂だぞって」


「もちろんだとも。競売が盛況になるに越したことはないですからな。はは、ライバルは多いほうが燃えますしな」


「よろしい。それじゃあ詩音さんは作業に精を出してくれ。ああ、コンクールなんだけど」


「あ、それは、その、遠慮しようかと。その、コンクールに向けてって、張り切ると、ダメみたいで」


「ああ、そっか。うん、そうだろうね。わかったよ。よし、じゃあまたな、敏明。お前次会うまでにダイエットして三キロ痩せてなかったら奥さんに密告するぞ」


「はは、覚悟しておきます。ではまた、水村さん。今後ともよろしく」


「はい、よろしくお願いします。じゃあ、また。さようなら」


「さよなら」


 三人で家を出る。いい人そうでよかった。今度は奥さんにも会いたいな。描きたくなっちゃうと思うし。


 帰りの車の中、旦那さんはぶつぶつ文句言ってたけど、奥さんがそのたび黙らせてた。ふふふ。これも仲いいんだね、わかるの。


「そうだ詩音さん。あたしたちに子供ができたら、その子も描いてくれるかな? 成長の軌跡をさ、いくつのとき、いくつのとき、ってさ」


「はい、もちろんです」


「ありがとう。これは家宝だな……勲、あたしたちも部屋作ったほうがいいんじゃないか」


「うぅん、育児費用を考えると……何人産むかだね、今の子供部屋が足りるかどうか」


「そうだな、何人がいいかなぁ……」


 二人、仲良しさんだ。うふふ。いいですね、とっても。


 車はやさしく、道を走っていきました。わたしも、ゆっくりと歩いていこうと思います。
















































































 第七十三話あとがき的戯言




 こんばんは、
三日月(みかづき)です。


 そりゃあ十七人からもいれば一人や二人や三人四人、目覚める人はいますよね。誰かが言っていました、女性には多かれ少なかれ、露出願望はあると。ええ、あると思います。本当は全員あったほうがいいとは思うのですが……まあ、さすがに。


 さて、八月も終わりに近づき、ラストスパートですね。とりあえずペットプレイは学校の人優先にするそうです。ふふふ。楽しみだ。ほかにもまだまだ、描いていないものがありますので、できるだけ漏らさずいこうと思います。ひとまず花火大会の前に終わらせたいものを終わらせようかと。花火大会が終わってから、レオタードかなぁ。マジックミラー、どうしようかなぁ。ブラインドシャッターも、うまく使うにはどうしたらとうんうん悩んでおります。エロって、難しい。


 遊園地露出には絶好のおばけ屋敷、今回はおやすみです。ご了承くださいませ。


 あ。実はリクエストしていただいたものに近しいことを今回やってはいるのですが、その、残念なことに遊園地での巴さんのワンピース、作中での通りお胸の先がノーブラだと判明する肌にぴっちりタイプなので、見せつけることはできませんでした。ごめんなさい。ちなみにリクエストは『貧乳の人が下着一切なしのワンピースのみで昼間にデート。隣を歩く憲邇にノーブラな胸を見せるようにする』でした。一応、見せるようにはなりましたが、恐らく読者の方の言う見せる、とは違う意味だと思うので(夕暮れでしたし)、これはまた別の機会にやろうと思います。ええ、ワンピの上から、ノーブラが判明するのがなにより先にやりたかったんですよ! ……本当にごめんなさいでした。……実はリクエストからこっちを思いついてどうしても先に先にと思った、なんて言えない……


 それでは今回はこの辺で! ここまでお読みくださりありがとうございました。また次回もよろしくお願いします。




 
20111028 三日月まるる





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2012/07/07 13:54 | 小説COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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